拙著『源氏と坂東武士』の重版について

No.6809

 ゼミメンバー・関係者の帰省先の多くが豪雨被災地と重なっているので心配しております。
 まぁ、君たちのことですから大丈夫でしょうが。
 もっとも、これから関東に出かけられる方もおられますね。台風と道連れになりますから、くれぐれもご注意下さい。

 >丸山さんちの田中さん 本日はおめでとうございます。
  お祝いに、宇治川では盛大に花火が打ち上げられる模様です。
  ちなみに、「子を持って知る親の恩」というのもあります。

 ところで、これまで>>No.6685 >>No.6721 >>No.6725でも触れましたが、2007年に出版された拙著『源氏と坂東武士』がようやく重版の運びとなりました。本日、出版元の吉川弘文館から書類を頂きましたので、正式にお知らせする次第です。「歴懇リバイバル」の一環とのことです。

 これで、さらに多くの方々に読んで頂けるという喜びもありますが、恥ずかしい誤り(無論、すべからく私自身の責に帰するものです)の訂正が出来るので有り難い限り。助かりました。
 人生には、「訂正」とか「軌道修正」がつきものですが、自著の誤りは気になっても重版がない限り、修正のしようがありませんから。
 発行期日は10月1日なので、訂正原稿(原則として誤植のみ)の締切は8月21日だそうです。急がなければなりません。

 もう8月も中旬にさしかかってしまいました。執筆計画、当然順調ではありません。
 PCのディスプレイを見る。本を探す。本を読む。その動作ごとに眼鏡を掛け替えなければならないという耄碌ぶり。面倒きわまりなし。
 なにしろ、「鰻は三島に限る!」ように、原稿は若いうちに書くに限ります。サクサクと進み、思考がそのまま文字に反映されて楽しかったものです。

 ☆ 創価大学の坂井孝一先生より、御高論「源実朝覚書-青年将軍の心にさした光-」(『創価大学人文論集』第21号)を御恵送頂きました。
 >>No.6802で申しあげた、まさに史学と文学との間の架け橋になるような内容だと思いました。
 この論文も、「文学、とりわけ和歌文学を勉強されている方は、ぜひ御一読を」!
 坂井先生にあつく御礼を申し上げます。

ありがとうございます&おめでとうございます

田中裕紀
No.6810

>野口先生
お祝いのお言葉、ありがとうございます。区切りの良い年齢となりました。
とにかく、たくさんの物と出会える歳にしたいです。
そして『源氏と坂東武士』の重版おめでとうございます☆
新潟の書店に並ぶのを楽しみにしています。

査読の余得。「源為義」関係論文紹介。

No.6802

 論文査読の必要上、上横手雅敬先生の「後鳥羽上皇の政治と文学」(『権力と仏教の中世史 文化と政治状況』法蔵館、2009年、初出1994年)を拝読する機会を得ました。
 当ゼミのメンバーは史学と文学を専攻する人が多いのですが、この史学と文学との間には深くて暗い川が流れている(昔、こんな歌詞の歌がありましたが)。その間隙を埋め、相互理解をはかる上からも、この論文はとても貴重だと思った次第です。
 文学、とりわけ和歌文学を勉強されている方は、ぜひ御一読を。

 もちろん、歴史学の方からも、文学研究の成果から学ぶべき点が山のようにあります。目下、執筆中の拙文では、井上宗雄『平安後期歌人伝の研究』(笠間書院、1978年)から多くの裨益を蒙らせていただいております。

 夏休みに「源為義」について考えたいので、先行研究を教えて欲しいというリクエストがありました。そこで、この場にて。
 ・米谷豊之祐「源為義 其の家人・郎従の結集・把持」(『院政期軍事・警察史拾遺』近代文藝社、1993年、初出1974年)
 ・多賀宗隼「源為義」(『日本歴史』第396号、1981年)
 ・上横手雅敬「院政期の源氏」(御家人制研究会編『御家人制の研究』吉川弘文館、1981年)
 ・渡邉敬子「源為義について-その検非違使としての性格-」(聖心女子大学大学院機関誌『文学・史学』第4集、1982年)
 ・元木泰雄「保元の乱における河内源氏」(『大手前女子大学論集』第22集、1987年)
 ・野口実「豪族的武士団の成立」(元木泰雄編『日本の時代史7 院政の展開と内乱』吉川弘文館、2002年)
 ・同 「源為義の闘い」(『源氏と坂東武士』吉川弘文館、2007年)
など。

 ☆ 摂南大学の美川圭先生より、御高論「上皇と院政-なぜ退位した天皇が権力をもつことができたのか-」が収録されている、近藤成一ほか編『中世 日本と西欧-多極と文献の時代-』(吉川弘文館)を御恵送いただきました。
 本書には、2004年12月にボン大学で開催された国際会議「中世 多極と分権の時代-日本では? そして西欧では?」における報告(小山靖憲先生の遺稿も)が収められています。
 美川先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 浅草金龍寺の御住職である並木優記師より、『無相大師六百五十年遠諱記念 正法山妙心寺開山 関山慧玄禅師伝』(妙心寺遠諱局刊、廣田宗玄執筆、春秋社発行)を御恵送いただきました。
 私には難解な内容ですが、妙心寺の建築を専攻するメンバーに役立ててもらいたいと思っています。
 並木師にあつく御礼を申し上げます。

お盆の鎌倉

No.6808

 史料講読会のご案内が続々と出されておりますので、火曜日の『吾妻鏡』もとりあえず少し先の方までの範囲を掲出したいと思います。いつから再開するかは未定ですが…。

 範囲:宝治二年(1248年)正月三日・七日・二十五日、二月五日・十八日、三月十八日、四月七日・二十九日・三十日、五月十五日・十六日・十八日・二十日・二十八日、六月五日・九日・十日・十一日・二十一日、七月三日・七日・九日・十日、八月一日・十日、九月七日・九日・十九日・二十日・二十二日・二十六日、十月六日・二十四日・二十五日・二十七日、十一月十三日・十五日・十六日・十八日・二十三日、十二月五日・十二日・二十日、閏十二月十日・十六日・十八日・二十日・二十三日・二十五日・二十六日・二十八日
     建長二年(1250年)二月五日・二十六日、三月一日・三日・五日・十三日・十六日・二十日・二十六日、四月二日・四日・五日・十六日・二十日・二十五日・二十九日、五月十四日・二十日・二十七日・二十八日、六月三日・十日・十五日・二十四日、七月一日・五日・八日・二十二日、八月七日・十八日・二十六日、九月十日・十八日、十月七日、十一月十一日・二十八日・二十九日、十二月三日・五日・七日・九日・十一日・十五日・二十日・二十三日・二十七日・二十八日・二十九日の各条

 毎週火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、夏が明けたら何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加ください。

 ところで、来週11日から大学のゼミ旅行にご一緒させていただけることになりました。鎌倉に行きます。日頃読んでいるところをじっくり歩いて見て回れる機会なので、とても楽しみです。

治承四年の『吾妻鏡』

山本みなみ
No.6800

    後期『吾妻鏡』講読会の日程が決まりましたので、お知らせいたします。

    日時:9月17日(木)10:35~12:05
    場所:京都女子大学 L校舎3階 共同研究室
    範囲:治承四年十月廿一日条~

    後期は現メンバーに加え、国文学科の方が参加されます。
   『玉葉』や『山槐記』など他記録との比較も入れていけたらいいかなと思います。

    後期からは『小右記』講読会の方にも参加させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
    

暑中お見舞い申し上げます。

No.6801

 京都も梅雨が明けて、ようやく夏らしい風情になってきました。

 今年は夏休み中にゼミとしての活動はありませんが、史料講読会については、後期に備えてしっかり準備を進めておいて下さい。

 なお、夏休み中、L校舎ではエレベーターホール・階段・トイレ・エレベーターの改修工事が立て続けに予定されていますので、研究会の実施などは無理のようです。

 『紫苑』の執筆にもチャレンジしてみて欲しいところです。各地で御活躍の古参メンバーからの投稿も大歓迎です。

 前期試験・レポートの採点が終わりましたので、私も原稿執筆の態勢に入れるように準備を始めたいと思っていたのですが、・・・おっと、某誌投稿論文の査読を忘れておりました。

『小右記』講読会

大谷久美子
No.6805

もうじき立秋とはいえ、暑い毎日が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。

>野口先生
先日報告申し上げましたレポートの件なのですが、
『小右記』講読会再開時に一度発表させていただければと思っております。
どうぞ宜しく御指導ください。

>山本さん
後期から御参加くださるとのこと、嬉しいです。
現在『小右記』講読会は、史料関係に疎い国文科生のみですので、
他専攻の方に御参加いただければ刺激になります。
こちらの方こそ、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

記録を読みこなす力。調べて多読しよう。

No.6806

 大谷さん、レポート報告ぜひ宜しくお願いいたします。
 『小右記』講読会。昨年は江波さんが引っ張ってくれましたが、今年はその先輩格の院生のお二人が頑張ってくれています。

 国文で平安~中世文学、日本史で古代・中世を専攻しようとする人は記録(公家らの日記)の読解力が必須です。でも、きちんと取り組もうという人はなぜか少ない。おかしな話です。

 私は院生時代、東国武士のルーツを探っているうちに、記録の重要性に気がつき、その段階でようやく須田春子先生の学部の授業を聴講させて頂いたり、指導教官の貫達人先生に東大の土田直鎮先生を紹介してもらい、土田先生が出講されていた学習院大学大学院の授業に出して頂いたり、妻の指導教官だった豊田武先生の御紹介で立正大学の桃裕行先生の開いておられた『小右記』講読会に参加させて頂くなど、多くの先生方のお世話になりながら、なんとか記録の勉強を進める事が出来たのです。

 記録に取り組んだおかげで、平忠常の乱や秀郷流藤原氏に関する新知見を学界に報告することが出来ました。でも、手を付けたのが些か遅すぎたらしく、未だに完全に読みこなすほどの実力は身に付けておりません。早く始めて多読することが肝要だと思います。
 その点、2回生の山本さんが早くも記録の勉強の必要に気がつかれたのは大したものだと思います。将来が楽しみです。

 なにしろ、記録はさまざまな切り口から、多様な情報が引き出せますから、ぜひ、しっかりと取り組んで欲しいと思います。時間が合えば、建築史専攻の方もどうぞ。 

 昨夜は醍醐寺の万灯会に行ってきました。

京都女子大学に法学部設置

No.6797

 平成23年4月、京都女子大学に女子大としては全国初となる法学部が新設されることになりました。同時に短大は廃止して大学に統合されることになります。

 詳細は以下の報道を御参照下さい。
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009073100245&genre=G1&area=K00
 http://www.kbs-kyoto.co.jp/contents/news/2009/07/post_4271.htm

 ※ 『御成敗式目』とか中世の法社会史を勉強したい、という法学部の学生さんが当ゼミに入ってくれるようになると嬉しいのですが。

【追記】 京都女子大学からのお知らせ↓
     http://www2.kyoto-wu.ac.jp/detail.cgi?target=0&news_id=467

称名寺裏山・・・から6年半後のおめでとう。

No.6794

 基礎教養科目の採点が済みました。持ち込み不可の論述形式をとると、講義内容の理解や読書量などが答案に直截に反映されます。
 世上よく「格差社会」と言われますが、答案もまったく同様。同じ京女の学生なのに、この差は尋常ではありません。それにしても、「こんな優秀な学生さんがいたのか」と感嘆してしまうような素晴らしい内容の答案が予想外に多く、その点では安心させられました。また、新鮮な発想から学ぶべき所も多々ありました。

 ◇ 一昨日、入学センターから出張講義の依頼があったとの連絡を受けました。10月ということなので、お引き受けしました。今回は熊本の高校から。福岡の中村学園女子高校、昨年の佐賀県の唐津東高校についで九州では三校目です。

 ◇ 後期のゼミ史料講読会の日程ですが、目下、以下のような案が出ています。
   『吾妻鏡』治承四年:月曜日Ⅲ講時
   『吾妻鏡』宝治二年:火曜日Ⅲ・Ⅳ講時~
   『小右記』長和四年:木曜日Ⅱ講時
 『小右記』の参加者の御都合など未確認なので、まだ流動的要素があります。
 何か要望があればお知らせ下さい。

 ◇ 2003年2月末に実施した鎌倉ゼミ旅行の際に、案内役をかってでて下さった、私の大学の後輩といえば、ゼミ古参メンバーはすぐに思い出されると思います。まだ思い出さない方は、「称名寺裏山?の行進」といえば、記憶が鮮明に甦るでしょう?
 その彼から結婚の御報告をいただきました。ほんの少し前にもゼミ古参メンバーの結婚のお知らせをしたばかりですが(>>No.6786の追記)、こういう慶事はいくら続いても結構なことですね。
 お相手は東北の自治体で活躍されている考古学の研究者。「とにかく研究しなさい」と言ってくれているとのことで、うらやましいカップルが誕生したよう様子です。
 ほんとうに、おめでとうございました。
 平泉と鎌倉の研究が一体となって、素晴らしい成果が期待できそうですが、ぜひ京都への目配りもお忘れにならないようにお願いしたいところです。

後期ゼミ日程.

No.6795

 後期のゼミ史料講読会の日程ですが、参加者の都合により、以下のように変更されました。
 2回生の大倉さん・今井さん、御迷惑をお掛けしますが、宜しくお願いいたします。

  ① 『小右記』長和四年:月曜日Ⅲ講時
  ② 『吾妻鏡』宝治二年:火曜日Ⅲ・Ⅳ講時~
  ③ 『吾妻鏡』治承四年:木曜日Ⅱ講時

 なお、それぞれの講読会の実施についての世話役ですが、①は大谷さん、②は岩田君、③は山本さんにお願いしたいと思います。
 後期授業開始の週から実施ということに致しましょう。

『小右記』講読会

大谷久美子
No.6796

なかなか我々の日程の都合がつかず、野口先生ならびに『吾妻鏡』ゼミの方々に御迷惑をおかけしてしまいました。
たいへん申し訳ありません。

また、『小右記』講読会の世話役の件、恙なく勤め上げられるよう精進して参りたいと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

各講読会とも後期授業開始の週から再開とのこと。楽しみにしております。
『小右記』講読会の再開日、場所および講読範囲は以下のようになります。

日時;9月14日(月)13時~
場所;野口先生研究室(L校舎3階)
講読範囲;『小右記』長和四年五月二日条

後期から講読会参加を希望される方がいらっしゃいましたら、どうぞ気軽においでください。

わが庵は都の辰巳、風ぞ吹く、世を宇治山と・・・.

No.6798

 大谷さん、修論もあって大変だと思いますが、宜しくお願いいたします。
 国文や建築史の院生の方と一緒に史料を読むと、たいへん勉強になります。
 多くの参加者を見込んで、共同研究室を借りておきたいと思います。

 ◇ >>No.6794で御紹介した研究者のカップル。はやくも御入籍の情報が届きました。
 明日は奥様の地元でお祝いの会が開かれるとのこと。末長いお幸せを祈ります。

 ◇ 本日は宇治に落雷・突風・豪雨がかさなりました。
 テレビのニュースを見ていたら、当家からほんの200~300メートルほど南のところにあるゴルフ場のコンクリートの柱が折れた映像が映っていてビックリ。当家の近隣でも庭木の倒れたお宅がありました。
 
 1993年の夏に鹿児島で経験した災害とは比べものになりませんでしたが、異常気象はよそ事ではないようです。

 落雷のためにPCの中の情報はすべて消去され、家の中に吹き込んだもの凄い突風は、物の見事に、これまで書きためておいた原稿を、みんなどこかへ吹き飛ばしてしまいました。
・・・・・・・というのは真っ赤な嘘です。

 もう8月になってしまいました。原稿(すでに締切の過ぎた原稿もありますが)の締切は、確実に近づいてくるのです。

古文書学会見学会

元木泰雄
No.6792

 以前にご案内した古文書見学会の詳細が決まりましたのでご案内申し上げます。
 今回は、資料館の都合もあり、参加者は40名までに制限されておりますので、飛び入りは固くお断りします。また、先に口頭などで参加の意思をお伝えいただいた方も、あらためてご連絡をお願い申し上げます。

              日本古文書学会

 この度、上島有先生のご解説を承りながら、中世の檀紙を中心に東寺百合文書を閲覧するという見学会を、下記の要領で実施いたします。奮ってご参加下さい。
なお、参加ご希望の方は、葉書に住所、氏名、所属、連絡先、会員・非会員の別などを明記の上、下記の申込受付先までお申込み下さい。


ただし、今回の見学会は定員40名とさせていただき、
先着順とさせていただきますのでご承知置き下さい。


            記
日 時:平成21年8月20日(木)13:30~16:00頃会 場:京都府立総合資料館
 〒606-0823 京都市左京区下鴨半木町1-4
   (・ 075-723-4831) (交通):京都市営地下鉄 烏丸線・北山駅下車(・出口)

集 合:京都府立総合資料館入口(13:15受付開始)
参加費:会場整理費として300円を徴収します。

内 容:中世の檀紙を中心とした東寺百合文書の見学
※参加者は、上島先生の「檀紙について 上・中・下」 (『古文書研究』第33・34・35号)に事前に目を通して
おいて下さい。また、お持ちの方は「中世の紙の分類とその名称」(私家版)もご覧下さい。)

申込受付先:〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町
       京都大学大学院人間・環境学研究科
元木研究室宛

【申込受付締切:8月11日(火)必着でお願いします】

秋の 古文書学会見学会

元木泰雄
No.6799

 10月の古文書学会見学会の予告です。
 10月17日土曜日、京都国立博物館で「日蓮と法華の名宝―華ひらく京都町衆文化―」の展示を見学致します。
 『立正安国論』など、名品が目白押しだそうです。詳細は下記をご参照ください。
  ↓   ↓   ↓ 
 http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/korekara/index.html

 当日は13時より、京都国立博物館の土曜講座が開催され、古文書学会顧問の中尾尭先生のご講演が予定されております。
 ご講演を承った後、文書の見学に移る予定です。
 なお、土曜講座の会場は京都女子大J校舎です。
 ご予定ください。

学期末の採点は、世紀末の祭典のごとし

No.6791

 昨日(27日)のラボール学園の日本史講座。
 5月25日の振り替え、しかも悪天候ということで、受講者はだいぶ少ないだろうと予想していたのですが、案に相違して教室は満席。
 受講の皆さんは高齢の方が多いのですが、やる気満々。
 単位とか資格とかとは無関係の純粋な向学心は中高年にこそ期待できるのではないかと思いました。
 授業の終わりには、かならず盛大な拍手を下さる。本当に有難いことです。
 世に言う宇治川合戦のうち、承久の乱以外はフィクションが多いという話をして、佐々木高綱と梶原景季の宇治川先陣譚から歴史に興味を持たれたという方に、ちょっと寂しい思いをさせてしまったようです。

 本日(28日)、Ⅲ講時は基礎演習Ⅰの最終回。
 全員しっかりとレポートを提出してくれました。これで解散は寂しいところですが、あと3年半の大学生活でどれだけ成長してくれるか楽しみにしています。
 Ⅴ講時は期末試験。
 答案に「フロイトが・・・云々」と書いている人がいたので、そんな話はしたことがない。何のことかと一瞬戸惑ったのですが、あの宣教師の「フロイス」と間違えたようです。採点に悩むところです。

 ゼミの帰り、いつものように岩田君から貴重なお話をうかがうことが出来ました。お陰様で、ある単語が頭の中でグルグルと渦を巻いております(笑)。

ですよね~

No.6793

 やはり野口先生もある単語にとりつかれてしまいましたか。むべなるかな。

 それはさておき、09'前期の火曜日の『吾妻鏡』も昨日(7/28)で終了となりました。今期も講読会を支え続けてくださった参加者のみなさんに御礼申し上げます。火曜日の『吾妻鏡』の時間は参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 後期はいつからリスタートとなるかまだ決めていませんが、とりあえず以下の範囲から読むことになります。

 範囲:宝治二年(1248年)正月三日・七日・二十五日、二月五日・十八日、三月十八日、四月七日・二十九日・三十日、五月十五日・十六日・十八日・二十日・二十八日、六月五日・九日・十日・十一日・二十一日、七月三日・七日・九日・十日、八月一日・十日、九月七日・九日・十九日・二十日・二十二日・二十六日、十月六日・二十四日・二十五日・二十七日、十一月十三日・十五日・十六日・十八日・二十三日、十二月五日・十二日・二十日、閏十二月十日・十六日・十八日・二十日・二十三日・二十五日・二十六日・二十八日の各条

いよいよ前期もおしまい。付、明日の予定

No.6789

 今日は本来5月25日に予定されていた京都勤労者学園「日本史講座」の講義があります。新型インフルエンザによる休講の補講です。
 承久の乱の際に高辻京極の邸で幕府京都守護伊賀光季が討たれた事件を取り上げます。講義はすでに、中世末まで進んでいるはずなので、かなり時代を遡ることになります。
 
 さて、本年度前期火曜日の授業は明日でおしまい。Ⅲ講時の基礎演習Ⅰはレポート提出。各報告の評価表の提出もお忘れなく。レポートの表紙はL校舎エレベーター前に置いてあるものを使って下さい。ただし、提出先は私に直接です。
 Ⅴ講時の基礎教養科目B25は筆記試験。既にお知らせしてあるとおり、持ち込みは不可。学生証を忘れないようにして下さい。

 夏休み期間中の史料講読会・研究会について、何か希望があればお寄せ下さい。『紫苑』第8号への投稿希望についても同様です。

京女の夏、『紫苑』の夏

No.6790

 夏休みに入ってしまう前に、昨年度(第7号)の『紫苑(しおん)』の投稿規定を参考までに再掲します。

《投稿規定》
枚数:
 注を含め四〇〇字詰原稿用紙に換算して七十枚以内とします。但し、分量については適宜相談に応じます。

原稿:
 ・種類は、論文・研究ノートなど。縦書き・完全原稿とします。
 ・ワープロ原稿の場合は、四〇〇字の倍数、縦書きで打ち出してください。投稿の際は、原稿を保存したメディア(フロッピー、CD-R、など)一部を添え、使用ワープロの機種名・ソフト名を明示して下さい。
 ・手書き原稿の場合は、四〇〇字詰または二〇〇字詰原稿用紙に、本文・注とも一マス一字、縦書き、楷書で、鉛筆書きは不可とします。
 ・注は本文末に一括して、(1)、(2)、…のように付けて下さい。
 ・年号を用いる場合は、なるべく西暦併用でお願いします。
 ・図表・写真(いずれも鮮明なものに限ります)の添付は刷り上がり時の大きさを勘案して字数に換算します。これらを添付する場合は、おおまかな掲載場所を指示してください。
 ・編集作業の迅速化のため、住所・氏名(ふりがな)・目次を記した別紙一枚を添えて下さい。

採否:
 編集担当者が掲載の可否を審査いたします。

著作権・公開の確認:
 本誌掲載の論文・研究ノート等の著作権は著者に帰属するものとします。ただし、宗教・文化研究所ゼミナールは、本誌に掲載された論文・研究ノート等を電子化または複製の形態などで公開する権利を有するものとします。執筆者はこれに同意して、投稿されるものとします。やむをえない事情により電子化または複製による公開について許諾できない場合は、採用が決定した段階で宗教・文化研究所ゼミナールにお申し出ください。

備考:
 ・他誌への二重投稿はご遠慮ください。
 ・掲載後一年以内の他への転載は控えていただきます。

やる気になりさえすれば。

No.6788

 このところ、ゼミメンバーの「やる気」が目立ちます。

 金曜日の『吾妻鏡』では、2回生の山本さんが富士川合戦について記録の所見を読みたいということで、予習をふまえて一人で『山槐記』を読破。
 一方、建築史の山口さんは鶴岡八幡宮にも関心を広められたようで、研究室から境内発掘調査の報告書まで借り出して行かれました。『紫苑』に何か書いていただけるでしょうか?
 さらに、岩田君も来月の大阪歴史学会中世史部会の例会報告を引き受けられた由。
 それから、これはお知らせが遅れてしまったのですが、学習院の大学院に進学した伊藤さんは、さる19日に静岡大学で開催された「日本文学協会第29回研究発表大会」の中世部会で「『和田宴』考」というテーマの研究発表をなされました。
 みなさんの<元気>にあやかりたいものであります。
 
 今週は試験あり、レポートの提出ありで、実質的に前期の最終週ということになります。
 
 ☆ 髙橋昌明先生より、 >>No.6783で紹介させて頂いた御高論「六波羅幕府という提起は不適当か-上横手雅敬氏の拙著評に応える-」(『日本史研究』563)を御恵送いただきました。
 「幕府」とは何か。近年の武士論における実証的成果を前提に、東国国家論や王権論も踏まえて再検討しなければならない段階に来ているのかも知れません。
 「六波羅幕府論」については、関東や東北の研究者の御意見をうかがいたいところです。
 高橋先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 学振研究員の小原嘉記先生より、御高論「平安後期の任用国司号と在庁層」(『日本歴史』735)と共著の御高論「「東大寺大勧進文書集」の研究」(『南都佛教』91)を御恵送いただきました。
 前者については>>No.6786で紹介させて頂いたとおりです。この論文の「おわりに」の「雑色人層は京との接触を断続的に有しており、地方勢力の結集ということが彼らの主要ベクトルであったわけでもない」という指摘は、平安末期の地方「武士」の存在形態にも敷衍できる重要な指摘であると思います。
 後者からは、鎌倉前期における東国有力御家人の西国守護補任に関する新知見を得ることが出来ました。
 小原先生に、あつく御礼を申し上げます。

広島大学大学院下向井研究室の学生募集

No.6786

 広島大学の下向井龍彦先生より、大学院の学生募集についての御案内と掲示の御依頼をいただきました。以下、*****の枠内に原文のまま告知させていただきます。
**********************************************************************
 広島大学大学院教育学研究科下向井研究室(SHIMOKEN塾)で平安時代史の研究しませんか

広島大学大学院教育学研究科では博士課程前期の学生を募集を行います。
出願期間 2009年8月4日(火)~10日(月)
受験日時 2009年9月9日(水)英語
           10日(木)午前:専門科目、午後:口述試験
 [募集要項]には次のように書かれています。
 学校教育と生涯学習社会のつながり及び生涯発達を視野に収め,各発達段階における地理歴史・社会科学認識の形成過程と論理を,教育現場でのフィールド・リサーチを中心とした科学的手法を用いた研究によって解明し,これらの研究を踏まえて社会認識の教育的意義や教育方法,内容等に関する研究・教育を展開します。
 [募集要項]を読んだだけでは、とてもここで日本史の研究ができるとは思えませんが、「内容等に関する研究」のなかに、実は日本史の研究も含まれているのです。
 私の研究室(SHIMOKEN塾)で仲間達と一緒に奈良平安時代史(王朝国家論)の研究をしてみようか、という人、是非、受験してみて下さい。現在、塾生は、教育学部・文学部の院生・学生など10数名。

院生以上の塾生の研究テーマは、
「平安時代対外関係史/平安時代国家財政論」(広島大学研究員)
「平安時代の祭礼と武士」(文・D3)
「平安時代の勝負儀礼と舞楽」(教・D2)
「院政・鎌倉期の摂関家と藤氏長者儀礼」(教・M3)
「平安時代の国衙と郡司」(教・M2)
「平安後期大宰府の裁判機能」(教・M1)

受験科目
英語(全専攻共通)。25点に満たないと不合格。英和辞典持ち込み可。
専門科目
社会科教育学・日本史

詳しくは下向井に問い合わせて下さい。
======================
下向井龍彦
広島大学教育学部社会認識教育学講座
〒739-8524 東広島市鏡山1-1-1
Tel & Fax 0824-24-7065(直通)
E-mail shimoken@hiroshima-u.ac.jp
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****************************************************************************
 下向井先生には、咋夏、宮島で開かれた古代史サマーセミナーで大変お世話になりました。また、その場で下向井研究室の実力の程も、存分に認識させていただきました。
 当方のゼミ出身者もお世話になっております。当ゼミ、本年度は4回生がいないのが残念です。

○ 昨日、『日本歴史』第735号が届きました。その巻頭論文である小原嘉記「平安後期の任用国司号と在庁層」は、武士論を考える上でも意義深い成果だと思います。いわゆる在庁クラスの有力武士の成立事情が、在地からの視点だけからではなく捉えられています。
 ちょっと時期的にズレがあるかも知れませんが、先年、岩田君が『古代文化』第59巻第1号に発表された「武士発生史上の院宮王臣家・諸司-富豪層との関連について-」で主張されたことが思い出されました。
 武士論も幕府論も、あらたな視角から、従来の枠組みを再検討すべき段階に来たようです。

【追記】 おめでたい話を「追記」に書くというのは失礼かとは思いますが、とりあえずの内輪のお知らせということで。
 本学史学科卒業後、関西圏の国立大学の院に進学され、修了後、高校の教師をされている(ここまで言えば誰か分かりますよね)当ゼミの古参メンバーから、結婚が決まった旨のお知らせをいただきました。
 お相手は、古参メンバーならよく御存知の方、もちろん日本中世史研究者(若手の期待の星)です。
 おめでとうございます!!