歴史学が面白くてたまらない若者もいる

No.8165

 昨日はⅤ講時の授業の後、研究室で史学科2回生のお二人と懇談。今年度は「研究」に意欲満々の受講生が多く、ゼミ創設当初(平田さんこと山田夫人が3回生で、永富さんこと鈴木夫人が2回生だった年度)のことが思い起こされます。
 磨けばピッカピッカに輝きそうな彼女たちを、おおいにバックアップしたいのですが、何しろ困るのは、あの頃に比べて私自身のパワーが相当低下しているということ。ゼミ関係者諸姉兄の御助力に期待するところです。

 それにしても、『鎌倉遺文研究』に掲載された私の論文を読んでくれて、その注にある『千葉史学』掲載の論文を読みたいと申し出て来る2回生というのは、まずもって稀有な存在であり、こういう人こそ、育ててあげるべき人材だと思ってしまうわけであります。

 もうお一人は、如何に苦労が多くても研究への道を突き進みたいと覚悟を決めておられる。これまた、この御時世には珍しい、気持ちのよい若者ではありませんか。放ってはおけません。

 これからの日本史研究が危機的な状況に直面している中、われわれ高齢研究者に課せられた責務の一つは、長年培ってきた研究者間のネットワークを駆使して、こうした若者を励まし、育て上げていくことにあるのではないかと思う次第です。

【今日の言葉】
 「若者よ身体を鍛えておけ」

 これは、戦後、歌声喫茶でよく歌われていた歌のタイトル。私の高校1年の時のクラス担任であった亀忠夫先生の好きな歌。一度教室で歌って下さいました。
 先生は少年時代は軍国少年。ところが戦後、価値観がひっくり返ったのにショックを受け、東北大学の哲学科に入られ、英語の先生になったと言っておられました。また、感銘を受けた本として、小林秀雄の『モーツァルト』を挙げておられたのを記憶しています。
 戦後体験を率直に自らの教育姿勢に反映されていた先生だったと思います。私の母校では長くラグビー部を指導されました。
 それにしても、先生の「亀」という苗字は珍しい。どこの御出身なのか伺っておかなかったのが悔やまれます。

「中世における悪の意味ついて」-次回の『吾妻鏡』-

No.8166

 本日は、私の抱える“もやもやっとした感じ”をご紹介するところから入りまして、いろいろと意見交換させていただきました。肝心の『吾妻鏡』はほとんど読めませんでしたが、また次回以降もよろしくお願いします。
 来週6/9(木)はお休みですが、その次のご案内です。

 日時:2011年6月16日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:文永二年(1265年)三月七日、四月二十五日、閏四月二十日、五月二日・三日・二十三日、六月三日・十日・十一日・十三日・二十三日、七月四日・十日・十六日・十八日、八月十三日・十六日、九月二十一日、十月二日・十八日・二十五日、十一月十三日・十六日・十七日・十九日・二十日、十二月五日・十八日の各条
    文永三年(1266年)正月二日・十三日・二十五日、二月一日・十日・二十日、三月五日・六日・十一日・十三日・二十七日・二十八日・二十九日、四月七日・十五日・二十一日、六月五日・十九日・二十日・二十三日・二十四日・二十六日、七月一日・三日・四日・二十日の各条

 6月は16日、23日、30日に開催予定です(9日はお休みとさせていただきます)。

 今年度から木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

1972年6月、千葉県立千葉東高校

No.8163

 明日から6月。教育実習の季節です。
 私は1972年の6月5日から2週間、母校の千葉東高校で行いました(この教育実習が私の人生に大きな転機をもたらしたのは、知る人ぞ知ることです)。
 翌日の6日から日本史28コマの授業を担当。最終日の土曜の午後は、希望する生徒を引率して加曽利貝塚の博物館を案内しました。
 怠け癖のついていた私にとって超ハードな毎日であり、終了後2週間ほどダウンして家で静養していたことを思い出します。
  というわけで、これから実習に行く人は、くれぐれも健康管理にお気を付けください。

 ところで、月曜日の講話に出席した史学科1回生のみなさんの感想ですが、
 「何だか胸の内がすっとした」「聴いていてワクワク?した」「自分の中の何かが変わりました」「今日聴いた話をずっと心にとめて生活していきたい」「もう一度この大学に来た意味を考えようと思いました」「これからの自分の大学での歴史学における根本的な指針が確立したように思う」・・・・・、そして「このレジュメは捨てたくないと思った」などというものもあったようです。
 私としましては、つまらない話しかできず、多少自己嫌悪の念に駆られていたのですが、いささか安心し、且つ、嬉しい気持ちにもなることができました。

 それにしても、1972年6月に、千葉東高校で私の日本史の授業を聴いてくれた生徒諸君は、今はどうしているのでしょうか?
 もう、そんなことはすっかり忘れてしまっているのでしょうね。

6月『小右記』講読会のお知らせ

大谷久美子
No.8164

 6月といえば教育実習ですね。私も自分が実習に入ったときのことを思い出します。梅雨時期に木造校舎の母校での実習…最大の懸念事項は雨漏れでした。
 実習に行かれる方は憂鬱な気分になっているかもしれませんが、二度と得ることのできない貴重な経験を得て戻ってこられると思います。どうぞがんばってください。


 本年度『小右記』講読会も既に二日分終了しました。昨年度まではほぼ毎週レジュメを作っていたように思うのですが、進むペースは大差ないのに各週だとのんびりレジュメを作っている気がしてしまいます。

 さて、先生からも御案内いただきましたが、次回『小右記』講読会についてお知らせ申し上げます。

日時:6月11日(土)14時~
場所:京都女子大学L校舎3階 共同研究室
範囲:『小右記』長和四年(1015)五月十九日条(発表担当;大谷)


参加を御希望の方がいらっしゃいましたら、当日飛び入りも大歓迎ですので、どうぞお気軽に御参加ください。

台風一過。明日の授業は・・・。

No.8162

 明日のⅢ講時の基礎演習は寺島さんの報告。テーマは「血液型」に変更になりました。
 昨年度も「血液型性格判断」というテーマで、なぜ日本人の間にはこんなにも血液型信仰が根強く信じられているのかを追究した報告がありました。たしか、瀧浪さんでしたね。

 Ⅴ講時の基礎・教養科目は「老人と女性」の2回目。今回は話を中世に絞ります。
 レジュメがいつもの二倍の分量になってしまいましたので、無駄話のないように進めなければなりません。

 今日はこれから仏教学の講話です。史学科の1回生には初見参。

食いものの恨みは恐い

No.8161

 昨日(28日・土曜)はゼミが14時からだから、昼食は大学でということで、13時過ぎにA地下に行ったのですが、すでに営業は終了とのこと。普段なら土曜は14時までなのに、事前の告知なしで、というのは大変困ります。
 仕事に追われて昼食抜きというのよくあることですが、朝から食事をとっていなかったのでヨロヨロと「ぐるんぱ」へ。テーブルに灰皿がなくなっていたということは、ようやく全面禁煙に踏み切ってくれたのかも知れません。

  『小右記』講読会。久しぶりに同女の中村さんが参加。例によって大谷さんから教えられること多し。とくに「斎食」と「清食」の話は大変興味深いものがありました。大谷さんなら『食生活で語る平安貴族の一生』なんていうタイトルの本が書けそうです。
  その後、国文の院生お二人を相手に、若手研究者の処世術講座を開催。まぁ、要するに自分の昔話を語ったわけです。
 なお、6月の『小右記』講読会は11日と18日に実施の予定です。

 いただいたメールに返信しなければならないものがだいぶ溜まってしまっております。失礼の段おゆるし下さい。なお、ケータイから送信される場合も、ぜひ用件のタイトルをつけてください。迷惑メールにまぎれて削除してしまう可能性があります。 

 来年の大河ドラマ。いろいろ情報をいただくと、また僭越で面倒なコメントを発せざるを得なくなりそうな雲行きですね。高橋先生の御健闘に期待するばかりです。

 つぎに原稿の執筆状況ですが、ここにおよんでドカンと校正ゲラが届きました。また、この原稿を書いたときの資料を引っ張り出さねばならず・・・、といった次第です。

 ☆ 秋田大学の志立正知先生と東北大学の佐倉由泰先生より、志立先生の御高論「『平家物語』の〈古典〉化」、佐倉先生の御高論「『平家物語』における祝祭的表象」収録の鈴木則郞編『平家物語〈伝統〉の受容と再創造』(おうふう)を御恵送頂きました。
 志立先生・佐倉先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 拓殖大学の樋口州男先生より、先生ほかの御編著になる『再検証 史料が語る新事実 書き換えられる日本史』(小径社)を御恵送頂きました。
 樋口先生に、あつく御礼を申し上げます。

大河ドラマ「清盛」女優陣発表

山田邦和(同志社女子大学)
No.8157

おはようございます。
大河ドラマ「清盛」の主要女優陣が発表になりましたね。

二位尼・平時子:深田恭子
建春門院平滋子:成海璃子
待賢門院藤原璋子:檀れい
美福門院藤原得子:松雪泰子
清盛の妻・高階明子:加藤あい
忠盛の妻・藤原宗子:和久井映見
常盤御前:武井咲
由羅御前:田中麗奈
堀河局:りょう

壇れいさん、松雪泰子さんが待賢門院と美福門院ですか。これはなかなか、かもしれない。特に松雪さんは深みのある美女ですから、美福門院は合っているかも。壇さんはマジメな美人、というイメージですね。どんな待賢門院になるのでしょうか。

個人的にファンなのでちょっと嬉しいのは、加藤あいさんが大河ドラマ初登板されること。綺麗な方ですよ。高階氏といえば、重盛のお母さんですね。早くに亡くなるから、出番は少ないのでしょうか? 

注目の建春門院は成海璃子さんという人。すみません、どんな方か知らないのですが、若手バリバリの売り出し中の女優さんらしいですね。さて、どんな建春門院を演じてくださるのか。見守りたいと思います。

京都女子大周辺1キロ圏にいた女性たち

No.8158

 山田先生、貴重な情報をありがとうございます。
 ここに登場する女性たち。ほとんど全員が京都女子大学から1キロ圏内(六波羅・法住寺殿)で日常の生活を営んでいたわけで、それを考えると楽しくなりますね。研究室や教室から見渡せますから。
 御参考までに、京女のパノラマビュー↓ これは、なかなか見応えがありますよ。
       https://www2.kyoto-wu.ac.jp/club/panorama/index.html


 どうも、ドラマでは清盛を瀬戸内海賊と結びつけたがっているようですので、空間的には福原に注目が集まるのでしょうか?

 ちなみに、建春門院の陵墓については、文献史学の方からも、あらためて実証的な考察が進められることになると思います。ご期待下さい。

 なお、平家一門の女性たちの中で、私が最近とみに再評価しているのが藤原宗子。軍記のなかの「池禅尼」とはまったく異なった存在としてイメージしています。
 立命館大学の杉橋隆夫先生によると、北条時政の若き妻「牧の方」は、この宗子の姪。この人も政治史上特筆に値する女性だと思います。

夢とチューインガムが詰まったポケット-次回木曜『吾妻鏡』-

岩田慎平
No.8159

 以前、とあるサッカー中継を見ていたら、ある場面でファウルがあって審判が試合を止めました。ファウルした選手に歩み寄り、胸ポケットに手を伸ばす審判。解説者が「カード(イエローカード)が出そうですね」と言うと、実況の倉敷保雄さんは「そうですね、審判のポケットには『夢やチューインガム』は入ってないでしょうからね」と言ったのをおぼえています。なんの試合だったかは忘れてしまいましたが。
 近ごろの子どもたちのポケットには何が詰まっているんでしょうね。叩くたび増えていくビスケットなんかを入れてる子もいるんでしょうか。

 大河の女優さんたちと全然関係ない話ですみません。
 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2011年6月2日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:文永二年(1265年)三月四日・五日・七日、四月二十五日、閏四月二十日、五月二日・三日・二十三日、六月三日・十日・十一日・十三日・二十三日、七月四日・十日・十六日・十八日、八月十三日・十六日、九月二十一日、十月二日・十八日・二十五日、十一月十三日・十六日・十七日・十九日・二十日、十二月五日・十八日の各条
    文永三年(1266年)正月二日・十三日・二十五日、二月一日・十日・二十日、三月五日・六日・十一日・十三日・二十七日・二十八日・二十九日、四月七日・十五日・二十一日、六月五日・十九日・二十日・二十三日・二十四日・二十六日、七月一日・三日・四日・二十日の各条

 六月は2日、16日、23日、30日に開催予定です(9日はお休みとさせていただきます)。

 今年度から木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

まんぢうの美味い講読会

No.8160

 「♪ポケットの中にはビスケットがひとつ・・・」と子どもたちが声を揃えて歌っていた頃は、ビスケットが御馳走の時代でした。今の子どもたちにとっての「嬉しいこと」といったら何なのでしょうか。
 放射能は蒔き散らされるし、ほんとうに子どもたちの受難の時代です。

 話は変わりますが、高級品でもお饅頭ばかりしか食べたことのない人にとっては、安いビスケットでも美味そうに見えるのかも知れません。

 昨日の『吾妻鏡』講読会には、史学科3回生が「見学」に参加。岩田君の差し入れのほかに、藪本君のお土産「ずんだ餅」あり。弘長三年読了。参考文献は山本みなみ「近衛宰子論」(『紫苑』9)。

 本日の『吾妻鏡』講読会は元暦元年二月二十一~二十五日条。川上さんの長野のお土産あり。
 以前、「藤戸の戦い」の話をしたことがありましたが、来月、その古跡を見学する機会を得ることが出来そうです。

 このところ、睡眠をとっても一向に疲れがとれません。辛いところです。しかし、帯状疱疹の症状はだいぶ軽減してきました。御心配、ありがとうございました。

 ☆ 弘前大学の斉藤利男先生より、新刊の御高著『奥州藤原氏三代』(山川出版社)を御恵送頂きました。
 斉藤先生に、あつく御礼を申し上げます。   

「頼朝さん、蔵の中には興味なし」

No.8155

 つまらぬ駄洒落にこだわったりして一見元気そうだが、実は中身はボロボロで一触即発の状態というのが、われわれ中高年の身体の実態なのかも知れません。

 さて、昨日の『台記』研究会は美川先生の御報告。後白河院を取り巻く文化と政治の関わりについての実に興味深い内容。元木先生の研究史に関するコメントも得て、例の如く頭の中の情報を気持ちよく整理することが出来ました。
 拙著『源氏と坂東武士』の「あとがき」にも記したように、この研究会で得るところは極めて多大。ありがたいことです。

 満仲の原稿は、図書館に依頼した資料待ちの状態です。それにしても、芸能史に関する無知が歴然。伊藤さんが京都に居ればいろいろ教えて頂けたのに残念です。

☆ 國學院大學の森幸夫先生より、御高論「南北朝動乱期の奉行人斉籐氏」(『鎌倉遺文研究』27)を御恵送頂きました。
 斎藤氏というと、『紫苑』第3号に掲載された山本陽一郎君の論文「北陸地域と比企氏-疋田斎藤氏の御家人化の背景-」が思い起こされます。
       http://donkun.ath.cx/~sion/organ/sion_003.pdf
 森先生に、あつく御礼を申し上げます。

本日もやります『吾妻鏡』

No.8156

 日時:2011年5月26日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:弘長三年(1263年)十一月二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条
    文永二年(1265年)正月一日・五日・六日、二月九日、三月四日・五日・七日、四月二十五日、閏四月二十日、五月二日・三日・二十三日、六月三日・十日・十一日・十三日・二十三日、七月四日・十日・十六日・十八日、八月十三日・十六日、九月二十一日、十月二日・十八日・二十五日、十一月十三日・十六日・十七日・十九日・二十日、十二月五日・十八日の各条
    文永三年(1266年)正月二日・十三日・二十五日、二月一日・十日・二十日、三月五日・六日・十一日・十三日・二十七日・二十八日・二十九日、四月七日・十五日・二十一日、六月五日・十九日・二十日・二十三日・二十四日・二十六日、七月一日・三日・四日・二十日の各条

 今年度から木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

The grass is always greener on the other side .

No.8153

 明日の授業ですが、Ⅲ講時の基礎演習Ⅰは、遠田さんの「人間行動学」をテーマにした報告。Ⅴ講時の基礎・教養科目は日本社会における老人の在り方を歴史的に考えます。

 【今日の言葉】
  ①  「一事が万事」   高校2・3年生のときのクラス担任が、遅刻してきた生徒を諭すときなどに、よく使っていた言葉。
  ②  「分相応」     これも同じ先生が多用していた言葉。たしかに身の不幸ばかり嘆き、努力もせずに文句ばかり言っている時には、耳の痛い一言である。

「一丁目一番地」の「バス通り裏」

No.8152

 表題は何のことだか分かりますか?また、昔のことを思い出しただけですが。

 昨日あたりから咳がひどい。夏風邪の先取りでしょうか。
 大学時代、一般教育の法学の授業で「先占取得の権利」の話を聴いたことを思い出しました。しかし、こんな権利は即放棄したいものです。

◎ 「女性史総合研究会」から 、例会開催の御案内を頂きました(5/28)。↓

http://www.geocities.jp/joseishi_sougou/regular_meeting.html

   近世が対象のようですが、とくに火曜日Ⅴ講時の講義を聴いてくださっている方には、出席をお勧めいたします。

◎ 当ゼミ関係者による研究発表もあります(6/19)。↓

http://gunki.sakura.ne.jp/menu/nextmenu.htm

 長村君が、木曾義仲に対する従来の評価を覆し、これまであまり検討の対象とされることのなかった源行家の果たした役割を解明した、この二つの最新の研究成果を報告されるものと思います。史学・文学のジャンルを問わず、治承・寿永内乱に関心のある方には、<強く>御出席をお勧めする次第です。
 長村君を先陣として、今年は当ゼミ関係者の学界での活躍(論文の発表)が期待できそうです。

 ◎  そして、当研究所の公開講座です(6/25)。→ >>No.8141

 >>No.8150に書いた、多田満仲の原稿。締切を確認したところ、6月3日でした。諸事鑑みるに些か時間不足の観あり。ですので、来週は研究会の欠席とか講読会の休止を余儀なくされるかも知れません。その節はよろしく御容赦下さい。

業鏡高懸 三十七年 一槌打砕 大道坦然

No.8150

 昨日の『吾妻鏡』講読会。事務の方から最中など、美味しい和菓子の差し入れを頂いたのですが(欠席された鈴木夫人は惜しいことを致しましたね)、私はペットボトルのお茶を飲みながら山本さんのお土産の蛸せんべいをバリバリと食べてばかりおりました。一向に疲れはとれませんが、こういった種類の食欲はあるのです。寅さん風に言えば「ろくなもんじゃねえ」。

 ところで、その『吾妻鏡』ですが、「北条時頼卒」のあたりを読みました。それこそ、「天人相関説」に基づく文言が多く、昨日拝受した下村論文評にも話が及びました(こちらの若手は、東京の方々とは、捉え方がだいぶ異なるのではないかと思います)。
 この辺りの記事には二階堂氏も頻出。質問を発すると、「二階堂氏に関する生き字引」のような山本さんがスラスラと答えてくれるので爽快でした。

 帰宅は車でしたので、疲れないで済みました。しかし、そのためには、朝、駐車場がいっぱいにならないうちに大学に到着する必要があり、早起きを要します。しかし、7時台に大学に着くと、さすがに事務仕事や授業の準備が捗ります。
 恩師の貫先生も、学部長をされていた頃、早朝出勤していたことを思い出します。先生は横須賀線のグリーン車を利用しておられ、帰りは地下鉄で表参道から東京駅に出られたので、よく御一緒させていただきました。考えてみると、そんなときの会話の遣り取りが、結構、私にとって、先生の御研究の血肉化に役立っているように思えます。

 本日は会議の前に、東北地方のある自治体史のコラム欄の原稿を送信。目下、元木先生の御研究に学びながら、源満仲の周辺に関する小文を執筆中です。体調が回復すれば、すぐに片付くと思うのですが。
 イタリア旅行についても、記憶がのこっている間に一筆したためておきたいのでありますが、なかなか・・・。
 
 なお、明日は土曜日ですが、『小右記』講読会はありません。

 ☆ 千田稔先生より、新刊の御高著『こまやかな文明・日本』(NTT出版)を御恵送頂きました。
 千田先生に、あつく御礼を申し上げます。

期待の新人はあらわれるか?

No.8148

 元木先生、お知らせ(>>No.8147)をどうもありがとうございました。
 >>No.8139の公募情報も、具体的にはこのことだったようです。応募をお考えの方は確認して下さい。

 さて、昨日の授業ですが、Ⅲ講時の豊田さんの報告では、京都の知られざる観光寺院が紹介され、普段とは異なる観点から、もう一度足下を見直すきっかけになりそうです。レポートでは「分析」と「考察」の成果を期待してます。
 次回は遠田さんが、人間行動学をテーマに報告されるとのこと。視点は心理学のようです。

 Ⅴ講時の講義は、相変わらず脱線気味でしたが、前回の総括も含めて、話すべきことは時間内に完了することが出来たと思います。このクラスは例年になく講義後に質問に来る受講生が多く、講義のし甲斐を感じます。さすがに、史学科の学生さんが多いのですが、また、ゼミで活躍してくれるような「人材」があらわれることを期待しています。

 土曜日の研究発表の際、藪本君などに教えて頂いた関係文献を調べてみたところ、面白い情報が得られました。当面いろいろ書かなければならないものがあるのですが、論文化はこれを優先しようかと考えています。

 しかし、今困っているのは月曜日の講話です。一応テーマは提出したのですが、中味は煮詰まらない。なんとしても「よい話をしなければならない」というのが前提ですから。

 体調の方、季節の変わり目であるためか、一寸(ちょっと)したことで疲れます。しばらく安静にしてでもいればよいのでしょうが、現実は、そうはさせてはくれません。とはいえ、運動が不足するとたちどころにウェストの周りに脂肪が増えて参りますから、これで「体力がない」などとは何方も思ってはくれますまい。

【追記】 ☆ 早稲田大学の下村周太郎先生より、御高論「鎌倉幕府と天人相関説-中世国家論の観点から-」(『史観』第164冊)を御恵送頂きました。
 下村先生に、あつく御礼を申し上げます。

初夏の『吾妻鏡』

No.8149

 7年ほど前に読み始めた頃は、まだ影も形もなかった(?)北条時頼の死亡記事を読むようなところまで進んで参りました。
 そんな木曜日の『吾妻鏡』、次回のご案内です。

 日時:2011年5月26日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:弘長三年(1263年)十一月二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条
    文永二年(1265年)正月一日・五日・六日、二月九日、三月四日・五日・七日、四月二十五日、閏四月二十日、五月二日・三日・二十三日、六月三日・十日・十一日・十三日・二十三日、七月四日・十日・十六日・十八日、八月十三日・十六日、九月二十一日、十月二日・十八日・二十五日、十一月十三日・十六日・十七日・十九日・二十日、十二月五日・十八日の各条
    文永三年(1266年)正月二日・十三日・二十五日、二月一日・十日・二十日、三月五日・六日・十一日・十三日・二十七日・二十八日・二十九日、四月七日・十五日・二十一日、六月五日・十九日・二十日・二十三日・二十四日・二十六日、七月一日・三日・四日・二十日の各条

 今年度から木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。