平雅行『歴史のなかに見る親鸞』刊行

No.8049

 郷里の千葉から公立学校教職員の異動を報じた新聞が届きました。毎年、知人の名前が少なくなります。それもそのはず、私が千葉で高校教員を続けていたら今春で定年でしたから。
 それでも、異動された先生方の中には、流山東高校で初めて副担任として私とペアを組んでくれた尾形先生や、姉崎高校時代の社会科の同僚佐藤先生(奥様は京女の御出身)のお名前を見つけました。
 そして、退職者の中には高校時代からの親友の名も。彼は大学を出てアメリカ留学後、私より一年前に教職に就きました。あれから、もう30年以上が過ぎた。夢の如しです。

 750年遠忌ということで、親鸞に関する本が沢山出版されています。しかし、その中には、歴史学者の手になるものであるにも拘わらず、当該時代の政治・社会にたいする認識に著しく欠けるような内容を含むものも認められて、内心穏やかならぬものがございました。そんな中、ようやく信頼のおける最新の親鸞伝が出版されました。嬉しくてたまりません。
 平雅行『歴史のなかに見る親鸞』(法蔵館)がそれです。
 本日、平先生より御恵送頂きました。
 平先生にあつく御礼を申し上げます。

 ちなみに、歴史学者による親鸞伝に関する業績として、私が特に注目しているのは、石井進「親鸞と妻恵信尼」(『大乗仏典〈中国・日本篇〉22親鸞 月報3』中央公論社)。短編ながら、さすがは石井先生のお仕事と思わせる、親鸞伝の研究者には必読の文献です。

新年度の『吾妻鏡』

No.8050

 今年度は毎週火曜日に開催しておりました『吾妻鏡』は、4月から木曜日に開催する予定です。
 この『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

 日時:2011年4月7日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:弘長三年(1263年)三月十日・十三日・十七日・十八日・二十一日、四月七日・十四日、五月九日・十七日、六月二日・二十三日・二十五日・二十六日・三十日、七月五日・十三日・十六日・十八日・二十三日・二十七日、八月一日・四日・六日・七日・八日・九日・十日・十一日・十二日・十三日・十四日・十五日・二十五日・二十六日・二十七日、九月十日・十二日・十三日・二十六日、十月八日・十日・十四日・十七日・二十五日・二十八日、十一月二日・八日・九日・十三日・十六日・十九日・二十二日・二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条

 「木曜日の『吾妻鏡』」、4月は7日(木)、14日(木)、21日(木)、28日(木)と開催予定です。

今年度ゼミ史料講読会終了。

No.8045

 昨日で本年度のゼミ講読会はすべて終了。
 本年度火曜の『吾妻鏡』講読会ですが、新年度は木曜日に設定されることになりました。期日などは追って岩田君から御案内があると思います。時間の都合で、今年度は参加できなかったが、それなら都合がつくという方が沢山お出でになることを期待しています。
 本日、岩田君は安芸国に出掛けております。私も含めて京都残留組は、午後から総合資料館で古文書の見学です。

 ☆ 神奈川県立金沢文庫の西岡芳文先生より、同館特別展「もう一つの鎌倉文化 ◇金沢龍華寺の聖教と秘宝」の図録を御恵送頂きました。
 西岡先生にあつく御礼を申し上げます。

宮島滞在中

岩田 慎平
No.8046

 岩田です。
 本日は鞆浦経由で安芸の宮島に参りました。

 鞆浦では好天に恵まれました。宮島上陸時には少し雨に遭いましたが、充実の合宿となっております。

東国と京都 中世日本の放鷹文化。

No.8041

 しばしば、「京都の貴族」と比較する視点から「鎌倉武士」は無教養で野蛮であったのかと問われることがあります。

 武士は武芸を職能としますが、野蛮とは限りません。そして、彼らは巧みに和歌を詠みました。その一方で暴力的な貴族もたくさんいたようです。武士を一喝するような胆力を持った貴族もおりました。

 『武家の棟梁の条件』に書いたことの修正も一つの目的にして、そんな話を織り込んだ本を早くまとめたいと思っているのですが・・・。

 ☆ 二本松泰子先生より、新刊の御高著(論文集)『中世鷹書の文化伝承』(三弥井書店)を御恵送頂きました。
 まさに、武士論、上記の問題の解明にも関係する貴重な御研究の成果です。
 二本松先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ (財)群馬県埋蔵文化財団調査事業団の唐澤至朗先生より、御高論「復活再生儀礼と時間域の研究へ向けての覚え書き」(『池上悟先生還暦記念論文集』池上悟先生還暦記念会)を御恵送頂きました。
 唐澤先生にあつく御礼を申し上げます。

6月の公開講座の概要が決まりました。

No.8039

 ◇ 2011年度 京都女子大学宗教・文化研究所公開講座
   「東山から発信する京都の歴史と文化⑬ 『鎌倉時代の公武権力と文化・宗教』」

 開催日時:6月25日(土)午後1時~5時

 講師: 平 雅行 大阪大学大学院文学研究科教授(日本中世史、古代中世仏教史)
 演題: 「鎌倉の顕密仏教と幕府」

 講師: 坂井孝一 創価大学大学院文学研究科教授(日本中世史、中世政治史・文化史)
 演題: 「源実朝と京都―和歌を通して考える朝幕関係―」

 司会: 野口 実 本学宗教・文化研究所教授
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 さらに詳細が決まりましたら、また告知させて頂きます。

 ☆ 本学名誉教授の加納重文先生より、新刊の御高著『源氏物語の舞台を訪ねて』(宮帯出版社)を御恵送頂きました。
 『源氏物語』の地理的な舞台を調査、検証した「文学地理」の書です。
 加納先生にあつく御礼を申し上げます。

 ※ 『紫苑』第9号は校了となり、近日納本の予定です。お楽しみに、お待ち下さい。
  編集長の山本さん、御苦労さまでした。 

本年度最後の『吾妻鏡』

No.8040

 次回で2010年度の火曜日の『吾妻鏡』も最終回となります。また来年度もよろしくお願いいたします。

 日時:2011年3月28日(月)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:遣欧使節団報告と、弘長三年(1263年)三月十日・十三日・十七日・十八日・二十一日、四月七日・十四日、五月九日・十七日、六月二日・二十三日・二十五日・二十六日・三十日、七月五日・十三日・十六日・十八日・二十三日・二十七日、八月一日・四日・六日・七日・八日・九日・十日・十一日・十二日・十三日・十四日・十五日・二十五日・二十六日・二十七日、九月十日・十二日・十三日・二十六日、十月八日・十日・十四日・十七日・二十五日・二十八日、十一月二日・八日・九日・十三日・十六日・十九日・二十二日・二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条

『オバマ発「金融危機」は必ず起きる!』

No.8038

 原発といい、銀行のシステムといい、この半世紀ほどの間に、私たちは自分で制御できないものに依存せざるをえないような世の中を作ってきてしまったようです。
 と言いながら、私には制御できないPCから、こんな話を発信しているのは矛盾の極みと言えます。

 ところで、学生時代に仙台や平泉、そして唐桑半島を一緒に旅した親友の山広恒夫氏が新著を出されました。
 ちょっと、タイトルが、センセーショナルですね。

 実は山広氏とは大学四年のとき、一緒にヨーロッパ旅行に行く計画があったのです。結局私は行かず、彼は単身で横浜港から船に乗ってナホトカに渡り、そこからシベリア鉄道でヨーロッパに向かったのでした。
 その後、ようやく私がヨーロッパに行ったのは、つい20日ほど前のことです。行くか行かぬかの選択をしたとき、私は、まさに人生の岐路にいたのだと思います。

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山広恒夫著『オバマ発「金融危機」は必ず起きる!』(朝日新聞出版 ¥2,100 税込)

【内容】
 金融危機はまた起きる。米国の政官財が結託し、金融帝国を維持する構図が変わらない限りは――。オバマ米大統領が推進した金融規制改革法も「偽りの改革」にすぎない。オバマ大統領は「ヘッジファンドのお友達」と呼ばれるほどウォール街と親密なのだ。米中央銀行は大量のマネーを供給してウォール街を救済。金融機関はタダ同然で資金を調達して利益を上げ、新たなバブルのリスクを世界中にまき散らしている。
 オバマ大統領が推進した金融規制改革法は「偽りの改革」だった。
 政財官が結託する「金融帝国」の闇に迫る。

【構成】
 第1章 オバマ大統領、偽りの「宣戦布告」
 第2章 修羅場から生まれた「モンスター金融法」
 第3章 二一世紀の取り付け騒ぎ
 第4章 巨大バブル破裂の「超新星現象」
 第5章 政治の街で結成された新「マーケットの三銃士」
 第6章 アメリカの「失われた二〇〇年」―封印された「金融膨張の真実」
 第7章 「大きすぎてつぶせない基軸通貨大国」

【著者紹介】
山広恒夫[ヤマヒロツネオ]
 ブルームバーグ・ニュース・ワシントン支局エディター。1950年生まれ。1973年、青山学院大学史学科(西洋史専攻)卒業後、時事通信社入社。同社外国経済部、ロンドン特派員を経て、英ジェームス・ケーペル証券シニアエコノミスト、共同通信社ロンドン特派員、ワシントン特派員、金融証券部次長を歴任。2000年からブルームバーグ・ニュース・ワシントン支局勤務。エディターとして、米政治・経済、金融政策に関する取材・編集活動に携わっている。

東北からの情報

No.8036

 岩手県奥州市の岡陽一郎先生、宮城県仙台市泉区の岡田清一先生、同青葉区の柳原敏昭先生とメールを交わすことが出来ました。

 一様に御自宅や研究室の本が大量に落下という状態だったとのことですが、物不足(食料品・ガソリン)とライフライン(特にガス)の障害を除いては、それほどダメージを受けていないとのこと。また、東北にお住まいの日本中世史研究者で、落命・負傷された方はおられないようです。ひとまず安心致しました。

 ただ、学生時代に旅をした唐桑半島(宮城県気仙沼市唐桑町)で出会った心優しい方々や、1998年8月9日、原町市(現在の南相馬市原町区)の博物館で「武士の呪術と信仰」というテーマで講演をさせて頂いた際に、あつくおもてなしを頂いた方たちの安否がとても心配です。御無事を祈るばかりです。

いま、為すべきこと。

No.8034

 このたびの未曾有の大地震・津波に被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 首都圏からも停電や物資の不足で不自由な生活を強いられているという情報が伝わってきます。こちらから関東への輸送も時間がかかっているようで、なんとももどかしい限りです。

 関西にいる私たちに出来ることは、取り乱さずに、いま為すべきことを考えて、しっかりと対応していくことだと思います。

 昨日、『歴史評論』の4月号が届きました。特集は「時代の奔流と向かい合って生きた歴史家たち」。「特集にあたって」の一節に「時代との緊張の感覚にかげりが見えていると思われる歴史学」とありますが、私ごとき者でも同感を禁じ得ません。

 ☆ 東洋大学の森公章先生より、御高論「純友の乱と西国武者の生成」(『東洋大学文学部紀要』61)、「刀伊の入寇と西国武者の展開」(同 62)、「西国国衙と武士の展開-相撲人と武士、『因幡国伊福部臣古志』の検討から-」(東洋大学人間科学総合研究所プロジェクト2009年度研究成果報告書『日本における地域と社会集団-公共性の構造と変容-』)、「古代土佐国相撲人補考」(『海南史学』48)、「将門の乱と藤原秀郷」(『東洋大学文学部紀要』64史学科篇36)を御恵送頂きました。
 森先生に、あつく御礼を申し上げます。

次回の火曜日『吾妻鏡』

No.8032

 このたび被災された方々を心よりご案じ申し上げます。
 メディアから伝えられる緊迫した情報に無力感を禁じ得ませんが、我々に可能な支援を惜しまず、現代社会と歴史学との在り方についてしっかりと考え直しながら、史料に向き合いたいと思います。 

 日時:2011年3月22日(水)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:遣欧使節団報告と、弘長三年(1263年)正月一日・十日・十一日・十四日・十八日・二十三日・二十五日、二月五日・八日・九日・十日、三月十日・十三日・十七日・十八日・二十一日、四月七日・十四日、五月九日・十七日、六月二日・二十三日・二十五日・二十六日・三十日、七月五日・十三日・十六日・十八日・二十三日・二十七日、八月一日・四日・六日・七日・八日・九日・十日・十一日・十二日・十三日・十四日・十五日・二十五日・二十六日・二十七日、九月十日・十二日・十三日・二十六日、十月八日・十日・十四日・十七日・二十五日・二十八日、十一月二日・八日・九日・十三日・十六日・十九日・二十二日・二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条

 火曜日の『吾妻鏡』は、今月は22日(火)、28日(月)と開催予定です。

支援募金のお願い

戸田靖久
No.8029

失礼致します。関西学院大学の戸田と申します。
歴史研究者の方が大変多くご覧になる掲示板ですので、被災資料の救済活動を行っている「歴史資料ネットワーク(史料ネット)」で獅子奮迅の活躍をしている友人からのお願いを以下に投稿させていただきたいと存じます。

「仙台の宮城資料ネットからは、水と食料の不足が切実だと連絡きています。またそのような中、宮城資料ネットは活動を再開しようとしていると。史料ネットからも宮城に対して活動一時金の早急な送付を行うことになりました。今後、史料ネットは現地の活動のバックアップのため、募金の呼び掛けを行うことになりますが、歴史家として、そちらの方の支援をいただければ、と思います」

とのことです。よろしくお願い致します。

(追記)振込先が判明しましたのでご連絡します。

(郵便振替)
口座番号:00930-1-53945
加入者名:歴史資料ネットワーク

シンポジウム「寝殿造と書院造の間」延期

No.8026

 先に>>No.7991 でお知らせした。タイトルのシンポジウムですが、このたびの震災のために延期する旨、主催者の川本先生より御連絡を頂きました。
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シンポジウム「寝殿造と書院造の間」中止(延期)のお知らせ

 3月19日に京都女子大学において開催を予定しておりましたシンポジウム「寝殿造と書院造の間~建築史学と考古学の接点を求めて~」は、発表をお願いいたしておりました東北地方にお住まいの先生方の参加が困難であるため、中止といたしました。今後改めて時期を設定し、意義あるシンポジウムを開催したいと考えております。参加をご予定されていた方々におかれましては、大変申し訳ございませんが、ご了解ください。

京都女子大学 川本重雄

古文書学会見学会

元木泰雄
No.8030

 千年に一度ともいわれる未曾有の災害に、言葉を失っております。
 それに原発の大事故が加わり、人類史に残る大事件になろうとしています。
 犠牲となった方々に心からの哀悼を表したいと存じます。
 そして救援を待つ多くの方々二一刻も早く救援物資が届くように、我々一人一人ができる限りのことをしたいと思います。
 この惨事に対する対応で、これからの日本の行方が決まると思います。
 経済危機の中で、どのように被災者を救援し、完膚なきまでに破壊された被災地を復興できるのか。そして原子力発電を廃棄することができるのか。
 太平洋戦争以来の惨禍の中で、我々は歴史の岐路に立たされているのではないでしょうか。

 戦慄を禁じ得ない毎日ですが、しかし学問を忘れてはなりません。
 先般ご案内いたしましたが、来る3月29日火曜日に京都府立総合資料館で、古文書学会見学会を開催します。↓7971
 さる11日に申し込みを締め切りましたが、まだ若干余裕もあります。参加希望の方は以下まで、今週中にお申し込みください。

 〒606-8501京都市左京区吉田二本松町
 京都大学大学院人間環境学研究科 元木研究室