井上章一『日本に古代はあったのか』
No.6323
元木先生および『台記』研究会メンバーの皆様、昨日は急な欠席を致しまして失礼いたしました。予算執行に関する具申の書類を書かなければならなくなり、京大にお邪魔する時間を確保できませんでした。何処も同じようですが、事務仕事に追われて「研究」がなかなか捗りません。
ところで、先に小川剛生『武士はなぜ歌を詠むか』という極めて実証的で説得力のある本を紹介させていただきましたが、これとは趣を異にして日本古代・中世史の「学史」に切り込んだ、これまたインパクトに満ちた本を岩田君から紹介していただきました。井上章一『日本に古代はあったのか』(角川選書)です。
井上氏による「関東史観」批判については、昨年9月の日本史研究会例会報告や12月の茨城大学シンポにおける基調講演でも触れたのですが、それは新聞記事に基づくものでしたが、本書においてその全貌が提示されたわけです。センセーショナルな題名のように見えますが、もともと関東史観の大信奉者で、今は京都学派の立場に近いスタンスでいることを自認せざるを得ない私にとっては、自分の置かれている位置を再確認する上で、とても有り難い内容をもつ本だと思いました。
これまで、直接・間接にお世話になった諸先生のお名前も続々と登場し、時には一刀両断の体。なるほど、と思えることが山ほどあります。これは、ぜひ京都嫌いの各地の研究者にお読みいただきたい。また、著者には東北出身の角田文衞氏の時代区分論や史観にもぜひ触れて欲しかったと思いました(その意味から、「角田史学」の継承者である〈京都人の〉山田邦和先生には、ぜひ本書をお読み下さり、御感想をお聞かせ願いたいと思っています)。
今年の歴史学研究会大会に出かけた感想は、まさに京都の研究者と東京の研究者の歴史に対する問題意識、あるいは歴史認識の落差のようなものでありましたので、若い人たちにも是非読んで頂きたい本です。
当ゼミとしては、近々に本書の書評会を開きたいと思います。参加者は少数の方がよい。録音し、テープを起こして『紫苑』に掲載することを提案します。「我こそ」と思われる参加希望の方はお申し出下さい。こちらからも、直接お願いいたしますが。
☆ 東海大学の落合義明先生より、御高論「南北朝期相模守護と鎌倉-河越氏の守護時代を中心に-」(『三浦一族研究』12)・「新刊紹介 峰岸純夫・入間田宣夫・白根靖大編『中世武家系図の史料論 上・下巻』」(『史学雑誌』117-4)を御恵送いただきました。
落合先生に、あつく御礼を申し上げます。
※ 『吾妻鏡必携』の内容の詳細は、『日本歴史』8月号の吉川弘文館の広告12ページを御覧下さい。
なお、私は編者として参加させていただいたのみで、担当部分の監修は行いましたが、もとになった原稿の直接的な執筆は致しておりません。
> 岩田君 そろそろ、29日(火)の「公開講座事後勉強会」についての告知をお願いいたします。
ところで、先に小川剛生『武士はなぜ歌を詠むか』という極めて実証的で説得力のある本を紹介させていただきましたが、これとは趣を異にして日本古代・中世史の「学史」に切り込んだ、これまたインパクトに満ちた本を岩田君から紹介していただきました。井上章一『日本に古代はあったのか』(角川選書)です。
井上氏による「関東史観」批判については、昨年9月の日本史研究会例会報告や12月の茨城大学シンポにおける基調講演でも触れたのですが、それは新聞記事に基づくものでしたが、本書においてその全貌が提示されたわけです。センセーショナルな題名のように見えますが、もともと関東史観の大信奉者で、今は京都学派の立場に近いスタンスでいることを自認せざるを得ない私にとっては、自分の置かれている位置を再確認する上で、とても有り難い内容をもつ本だと思いました。
これまで、直接・間接にお世話になった諸先生のお名前も続々と登場し、時には一刀両断の体。なるほど、と思えることが山ほどあります。これは、ぜひ京都嫌いの各地の研究者にお読みいただきたい。また、著者には東北出身の角田文衞氏の時代区分論や史観にもぜひ触れて欲しかったと思いました(その意味から、「角田史学」の継承者である〈京都人の〉山田邦和先生には、ぜひ本書をお読み下さり、御感想をお聞かせ願いたいと思っています)。
今年の歴史学研究会大会に出かけた感想は、まさに京都の研究者と東京の研究者の歴史に対する問題意識、あるいは歴史認識の落差のようなものでありましたので、若い人たちにも是非読んで頂きたい本です。
当ゼミとしては、近々に本書の書評会を開きたいと思います。参加者は少数の方がよい。録音し、テープを起こして『紫苑』に掲載することを提案します。「我こそ」と思われる参加希望の方はお申し出下さい。こちらからも、直接お願いいたしますが。
☆ 東海大学の落合義明先生より、御高論「南北朝期相模守護と鎌倉-河越氏の守護時代を中心に-」(『三浦一族研究』12)・「新刊紹介 峰岸純夫・入間田宣夫・白根靖大編『中世武家系図の史料論 上・下巻』」(『史学雑誌』117-4)を御恵送いただきました。
落合先生に、あつく御礼を申し上げます。
※ 『吾妻鏡必携』の内容の詳細は、『日本歴史』8月号の吉川弘文館の広告12ページを御覧下さい。
なお、私は編者として参加させていただいたのみで、担当部分の監修は行いましたが、もとになった原稿の直接的な執筆は致しておりません。
> 岩田君 そろそろ、29日(火)の「公開講座事後勉強会」についての告知をお願いいたします。