「分相応」 「分をわきまえる」 「お里が知れる」

No.9928

 昔、大嫌いだった言葉なのですが・・・。

 本日の『教養科目』では、中世の可視的身分標識について、今日の学校教育における制服や頭髪規制の問題とも絡めてお話しする予定です。

 昨日の『台記』研究会は、治承・寿永内乱期の東海道地方に関するご報告だったので、私自身の研究にとって裨益を受けること多く、たいへん充実した時間を過ごさせて頂きました。
 次回の報告は、若い方で手を挙げる方がおられなかったので、私が担当させていただくことになりました。一年に一度くらいは報告しないと居づらくなるという不純な動機によるものですので、御期待はなきように。報告テーマについても、まだ決まっていません。報告というより、問題提起のような内容の方が建設的かもしれないか、などと思案いたしておりますが、諸賢からのアドバイスをお待ちしています。

 『紫苑』11号は少しずつ送付させて頂いています。校正漏れもいくつか見つかっておりますが、こちらで気がつかなかったところもあるかもしれません。宜しくご教示下さいますように、お願い申し上げます。

 >>No.9920で御紹介した、拙著『坂東武士団の成立と発展』は、すぐに売れてしまったようです。

ネバーエンディング講読会(ストーリー)-次回の『吾妻鏡』-

No.9925

 先週の講読会後はたいへんお世話になりました。今後ともさらなる精進につとめ、講読会の内容も充実させられるようがんばります。

 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2013年4月25日(木)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:承元三年(1209)十二月十一日・十三日・十五日・十七日・十九日の各条
     承元四年(1210)正月一日、二月五日・十日・二十一日、三月十四日・二十二日、四月九日・十九日、五月六日・十一日・十四日・二十一日・二十五日、六月三日・十二日・十三日・二十日、七月八日・二十日、八月九日・十二日・十六日、九月十一日・十四日・三十日、十月十二日・十三日・十五日、十一月二十二日・二十三日・二十四日、十二月五日・二十一日の各条
     承元五年(建暦元年、1211)正月十日、閏正月九日、二月二十二日、三月十九日、四月二日・十三日・二十九日、五月四日・十日・十九日、六月七日・二十一日・二十六日、七月四日・十一日、九月十二日・十五日・二十二日、十月十三日・十九日・二十日・二十二日、十一月二日・三日・四日・二十日、十二月一日・十日・十七日・二十日・二十七日の各条

 4月も木曜の午後、25日に開催予定です。

 『吾妻鏡』講読会は基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新緑を迎えつつある季節に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。京都女子大の方限定ではありませんよ。

 研究所ゼミへのお誘いと明日の「基礎演習Ⅰ」

No.9926

 岩田君 告知、ありがとうございます。
 研究所のゼミ創設当初は、同志社・立命館・精華大などから、多くの参加者がありました。このところ、その点ではちょっと寂しい気がいたします。『吾妻鏡』を読みたい方、中世前期の歴史を学んでいる方、ぜひご参加下さい。

 ところで、明日の現代社会学部「基礎演習Ⅰ」ですが、発表について、誰がいつ行うのか、決めたいと思います。それぞれのテーマについても、考えておいて下さい。
 連休明けから、個別発表を開始したいと思います。

 ☆ 埼玉大学の清水亮先生より、御高論「中世武家領主の組織と年中行事」(遠藤基郎編『生活と文化の歴史学2 年中行事・神事・仏事』竹林舎)・「書評 木村茂光著『初期鎌倉政権の政治史』」(『人民の歴史学』195)を御恵送頂きました。
 清水先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 国士舘大学の秋山哲雄先生より、新刊の御高著『敗者の日本史7 鎌倉幕府の滅亡と北条氏一族』を御恵送頂きました。
 秋山先生に、あつく御礼を申し上げます。 

御著書について

No.9923

身延山大学の長又と申します。よく利用させていただいているのですが、以前の専門書2冊は復刊
される予定はないのでしょうか?いつも出向先の青学の図書館から借り出しているのですが、
手元においておければ、と思い、古本屋で探すのですが、ついぞお目にかかった事がなく・・・
 今年から、御成敗式目の訳注と、鎌倉北条氏の人物伝を、雑誌に連載してゆこうと思っております
ので、ご教示いただければと思います。いちおう日本氏研究会と、大阪歴史学会に入会しては
いるのですが、雑誌購読だけとなっています。ものぐさな性格でフットワークが重いもので

 論文集の復刊はなかなか厳しいと思います。

No.9924

 私信と存じますので、この場で御回答するのは如何かと思いましたが、復刊についての御要望は多くの方から頂いておりますので(復刊ドットコムなどを御参照下さいhttp://www.fukkan.com/vote.php3?no=26331)、ここに書かせて頂くことにします。

 論文集の復刊は、多くの方に自分の研究成果に接して頂けるわけですから、私も望むところです。いくつかの出版社の方にも御検討をお願いしたこともございます。しかし、内容もさることながら採算も合わない仕事になってしまうようで、残念ながら引き受けて下さるところはありませんでした。
 また、当方と致しましても、旧著の復刊となれば、現時点の研究水準とのすり合わせによる補説の執筆など、研究者として成すべき責務が生じます。そこに投じる時間的余裕もなかなか得がたいものがございますので、それなりの条件が必要になってまいります。

 一冊全てをコピー製本しておられる方もございますが、ときに古書店に出ることもございますので(私も気がついたときには、この掲示板でお知らせするようにしております。すぐ下に『坂東武士団の成立と発展』の情報を記したばかりです>>No.9920)。それを購入して頂くしか方法はないと思います。

 絶版本の入手は私も長く苦労するところですが、私の方法としては図書館で借りたものを一論文ごとにコピーしています。そうしますと、持ち歩いて電車内などで読んだり、書き込みも可能になりますので、便利です。ただ、後の保存には工夫が必要だと思います。
 電子書籍では、私にはまともな研究は出来そうにありません。

 それにしても、復刊について出版社から積極的にアプローチされるような、すぐれた内容の論文集をぜひ遺したいものと思う次第です。 

 『坂東武士団と鎌倉』が届きました。

No.9922

 本日は某誌編集会議に出席。家に帰ったら戎光祥出版から『坂東武士団と鎌倉』(中世武士選書15)が届いていました。月末に出るという予告が出ていたようですが、こんなに早く対面できるとは思いませんでした。

 1983年にかまくら春秋社から出版した『鎌倉の豪族Ⅰ』(鎌倉叢書3)のリニューアルです。しかし、面目は一新、図版もだいぶ差しかえました。索引の省略は残念ですが、新装開店を喜んでいる店主の気分です。

 30年前は千葉で高校の教員をしていました。あの頃は、忙しく諸事大変で、先がどうなるか分からない苦しい情況でした。しかし、体力とモチベーションだけはありました。いま思うに、それは何物にも代えがたい財産だったと思います。

 再刊のこの本。30歳になったばかりの若僧の書いたものであることを念頭にお読みいただければ幸いです。

 なお、再刊なので献本はしないつもりです。なにとぞ御容赦下さい。

【追記】 版元から御連絡を頂きました。全国の有名書店店頭には、25~26日に並ぶ予定とのことです。

四条烏丸の市場にて

No.9921

 昨日の史料講読会。また新たな問題提示に資する記述の発見があり、勉強になりました。
 続いてのイベント。最後の師範代による「所信表明」は心に響いたのではないでしょうか。幹事さんもありがとうございました。私の老耄の戯言は御寛恕の程。

 素人だろうと史料を知ろう。

No.9920

 明日Ⅲ講時の「教養科目」は中世の文献史料のお話。何をやるにも、歴史を知ることは必要ですが、その前提になる史料について、典籍・文書・記録に分けて解説したいと思います。
 教養科目ですから深入りは出来ませんが、世間に出回っている「歴史」の危うさを理解して頂ければ、それで十分。どう転びますやら。
 時間不足が懸念されますので、脱線しないように気をつけたいと、今は思っています。

 それが終わったら、『吾妻鏡』の講読会。その後にも重要なイベントがひかえておりましたね。

 ☆ 京都文化博物館時代の同僚で、現在は府立総合資料館におられる大塚活美先生より、御高論「暮らしと民俗」(『近江日野の歴史』第三巻)を御恵送頂きました。
 地に足のついた歴史研究の成果です。
 大塚先生に、あつく御礼を申し上げます。
 
☆ 東京大学史料編纂所の保立道久先生より、御高論「平安・鎌倉時代の災害と地震・山津波」(『HUMAN』Vol.3)と先生をはじめ9名の共著「編纂と文化財学-大徳寺文書を中心に」(『東京大学史料編纂所研究紀要』22)を御恵送頂きました。
 前者では授業で使いたくなるような史料が紹介されており、後者では歴史学の基礎研究に関する本質的な議論が展開されていて、勉強になりました。
 保立先生に、あつく御礼を申し上げます。

 【追記】 『坂東武士団の成立と発展』これは掘り出し物ではないでしょうか。
       http://www.book61.co.jp/book.php/O29072
       

地球の歩き方-本日の「基礎演習Ⅰ」-

No.9917

 今日は私の担当する「基礎演習Ⅰ」恒例の歴史散歩。幸いにも、すこし暑いくらいの好天に恵まれて、まぁ楽しく歩くことが出来ました。
 例によって豊国神社の階段で記念撮影を致しました。私は学生諸姉の真ん中。これでは態度が大きすぎるかな、端でしゃがんだ方がよかったかなと思ったのですが、後で写真を見てみると、私は態度ばかりか本当に図体が大きくなっている。これは、今後態度を改めるのみならず、減量につとめなければならないと思いました。
 ここで解散。でもほとんどの人が後白河天皇陵まで付き合ってくれました。おかしかったのは、説明版の前での話が終わったら、肝腎の御陵を参拝せずに、みんな帰ってしまったことです。
 それでも残ってくれた4人(おかげで名前を覚えることが出来ました-田中さん・辻本さん・富田さん・富永さん)と女坂を登り、途中にある以前「仮店舗」の逆さまみたいな名前(山本さんの御教示による)で、最近新装開店したカフェで一休みして大学に戻ったという次第。
 もっと疲れると思ったのですが、楽しく歩けたせいか、むしろ体調は良くなりました。もっとも、歩いたのはせいぜい7000歩くらいでした。ここ数年の間で、一日に一番歩いたのは一昨年のフィレンツェで、この記録は当分破れそうにありません。
 撮影した写真は、そのうちプリントアウトして、履修の諸姉にお配りしたいと思います。データは研究室のPCに保存しましたので、必要な方は研究室に来てコピーしていって下さい。 
 来週は、研究発表の順番を決めたいと思います。

 明日(16日)の「基礎演習Ⅰ」

No.9916

 「基礎演習Ⅰ」の履修者でメール送信が未だの人は、至急お願いします。

 16日の「基礎演習Ⅰ」は、大学周辺の歴史散歩。バス停の行き先案内などもしようと思います。

 <予定のコース>
 河合寛次郎記念館周辺の町屋→方広寺大仏殿跡→豊国神社→耳塚→国立博物館→三十三間堂→後白河天皇陵
 (時間不足の時、Ⅳ講時に講義のある人には途中離脱をお願いします。)

 13:00に共同研究室(L校舎3F)に集合。即、出発します。

 ◎ 研究所ゼミ生や上級生の飛び入り参加も歓迎です(学部不問)。記念写真を撮影したり、引率のお手伝いをお願いします。
 好天を祈るのみ。

 ☆ 灘中・高校の藪本勝治先生より、御高論「海を渡る源義経-貴公子の悲劇とその語り手の系譜-」(緒形康編『アジア・ディアスポラと植民地時代 歴史・文学・思想を架橋する』勉誠出版)を御恵送頂きました。
 近代における義経をめぐる言説の背景が論じられています。
 藪本先生に、あつく御礼を申し上げます。  

先達からの激励とアドバイス

No.9914

 ありがたいことに『紫苑』第11号をお読み下さった方たちから続々と御感想が寄せられていますが、その一つを御紹介。
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 岩田君の「武士論からみる中世前期・後期の分岐」は岩田君らしい優しさが感じられる。しかし、それでいて読み手を納得させる不思議な魅力ある文章だと思います。
 山本みなみさんの文は毎回意外性に富んでいて、話の切り口も鋭く、返り血も浴びない太刀筋で、「おぬし、なかなかやるな!」って感じです。次回は何を書くのだろうと楽しみです。
 滝沢智世さんの論文は上手くまとまっているのですが、なんとなく概説で終わってしまっているのがちょっと残念です。例えば、「「越後国人衆軍陣壁書」に関する一考察」とでも題して、壁書に名を連ねている国人の一人に光を当て、時代も鎌倉期まで遡り、生き残りの為の苦悩を跡付けてみるのも一案かもしれません。
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 ☆ 鶴見大学の平藤幸先生より、御高論「『平家物語略解』著者御橋悳言年譜稿」(『国文鶴見』47)ならびに御高論「藤原経宗の口伝-平家一門が学んだ公事・故実瞥見-」収載の小原仁編『「玉葉」を読む 九条兼実とその時代』(勉誠出版)を御恵送頂きました。
 平藤先生に、あつく御礼を申し上げます。
編集:2013/04/14(Sun) 00:12

新年度もがんばります-次回の『吾妻鏡』-

No.9915

 11号を迎えた『紫苑』も多くの方にお読みいただくことができてなによりと存じます。
 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2013年4月18日(木)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:承元三年(1209)十一月十四日・二十日・二十七日、十二月一日・十一日・十三日・十五日・十七日・十九日の各条
     承元四年(1210)正月一日、二月五日・十日・二十一日、三月十四日・二十二日、四月九日・十九日、五月六日・十一日・十四日・二十一日・二十五日、六月三日・十二日・十三日・二十日、七月八日・二十日、八月九日・十二日・十六日、九月十一日・十四日・三十日、十月十二日・十三日・十五日、十一月二十二日・二十三日・二十四日、十二月五日・二十一日の各条
     承元五年(建暦元年、1211)正月十日、閏正月九日、二月二十二日、三月十九日、四月二日・十三日・二十九日、五月四日・十日・十九日、六月七日・二十一日・二十六日、七月四日・十一日、九月十二日・十五日・二十二日、十月十三日・十九日・二十日・二十二日、十一月二日・三日・四日・二十日、十二月一日・十日・十七日・二十日・二十七日の各条

 4月も木曜の午後、18日・25日に開催予定です。

 『吾妻鏡』講読会は基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、春まっ盛りの季節に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

老いの身に負うもの重し春の夕

No.9913

 帰路、山科盆地で愛車を東に走らせながら、駄作を一句。

 昨日は「教養科目」の初授業。教室は満杯。最近は授業に出る前に履修登録をしてしまう学生が多いので、減る可能性は少ないとのこと。
 このところ、体調がすぐれないので一時間半の授業を立ちっぱなしでこなせるか心配でしたが、幸いにも、その心配は杞憂でした。体力的にはまだまだやれそうです。しかし、どうも気分的にさっぱりしません。授業後にとても充実した気分になれた時代もあったのですが・・・。ほんとうに、老いは負いだと思います。

 『吾妻鏡』の講読会は、時に雑談に花を咲かせながらも、毎回必ず、「これは使える」というような重要な記事を発見しています。かつて読んだことがあるのに、気がつかなかったのです。史料から事実を引き出すことの醍醐味はこういうところにあるようです。

 依頼されていた原稿をすっかり忘れていたの気づいて動転しているところに、別件の原稿依頼がありました。このところ、肝腎なことを忘れることが多い。昨夜、この掲示板に書き込もうとしていたことも忘れてしまい、思い出せません。しかし、昔はこうではなかったことは覚えています。

☆ 上横手雅敬先生より、御高論「『方丈記』管見」掲載の『學士會会報』第897号と先生が担当された京都新聞連載の「平家物語を読み解く」の33・41を御恵送頂きました。
 上横手先生に、あつく御礼を申し上げます。
 ちなみに、先般この掲示板で話題になった宇治と松殿家の関係については、上横手先生の御研究をしっかり学ばせて頂くことから勉強を始めなければならないでしょう。

☆ 鹿児島県歴史史料センター黎明館の林匡先生より、「「島津家由緒」と薩摩藩記録所-寛永から正徳期を中心に-」(『黎明館調査研究報告』第25集)を御恵送頂きました。
 林先生に、あつく御礼を申し上げます。