大河ドラマ(ゼミ生からのご質問に答えて)

No.9723

 鹿ケ谷事件とか治承三年のクーデターとか、どう描くのでしょうね?
 
 「神人」ですが、髙橋昌明先生は必ず「じんにん」とルビをつけておられます。

 それにしても、東国武士の描き方は、加藤剛の演じた平将門以来、NHKはワンパターンのステレオタイプを踏襲しているようです。「民と共に鋤・鍬を持って額に汗して働く、大地に根を下ろした純粋素朴で剛毅な男たち」。
 そんななかで、一番まともだったのは永井路子原作の『草燃える』だったでしょうか。
 北条政子は『義経』の時に大変な登場の仕方だったのですが、今回はそれを凌ぎましたね。「お話」として分かりやすいし、若者ウケするのでしょう。

 テレビのみならず、書店に並んでいる一般向けの本によっても、同じような認識が拡散しているように思います。今は、あらゆる場面で玉石混淆の時代だと思います。

 鬼が笑いますが

No.9722

 目下、来年度の公開講座について思案中です。
 テーマや講師をお願いする先生について、御提案や御推薦がありましたら、お知らせ下さい。参考にさせて頂きたいと思います。
 なお、これまでのテーマ・講師の先生は以下のとおりでした(講師肩書きは当時)。
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  公開講座 シリーズ「東山から発信する京都の歴史と文化」
          講演者・講演テーマ一覧

 2000年12月16日(土)①「平安・室町の陰陽道と陰陽師」
   「陰陽道と安倍晴明」
     山下克明(大東文化大学東洋研究所兼任研究員・青山学院大学兼任講師)
   「室町の王権と陰陽道」  柳原敏昭(東北大学文学部助教授)

 2001年3月24日(土)②「「平家」は都を落ちたのか?」
   「「平家都落ち」の真実」 上横手雅敬(龍谷大学文学部教授・京都大学名誉教授)
   「<平家都落ち>と『平家物語』」  鈴木彰(早稲田大学非常勤講師)

 2001年6月30日(土)③「平清盛と後白河院」
   「平清盛の闘い」  元木泰雄(京都大学助教授)
   「平家と後白河院」  美川 圭(摂南大学助教授) 

 2002年6月29日(土)④「『平家物語』を読む、掘る」
   「『平家物語』合戦談のリアリティー-橋合戦を中心に-」佐伯真一(青山学院大学教授)
    「消えた建春門院陵を探る」 山田邦和(花園大学助教授)

 2003年6月28日(土)⑤「『平家物語』と治承・寿永の内乱」
   「『平家物語』と風景-清盛の見たもの/清盛を見る者-」
                     源健一郎(四天王寺国際仏教大学専任講師)
   「治承・寿永の内乱と伊勢・伊賀平氏」 川合康(東京都立大学助教授)

 2004年6月26日(土)⑥「清盛の夢-『平家物語』の成立」
   「福原の夢-清盛と神戸」 高橋昌明(神戸大学教授)
   「平家物語のテクスト形成」 兵藤裕己(学習院大学教授)

 2005年6月25日(土)⑦「平家の本拠・平家の鎮魂」
   「「六波羅」から中世を考える」 高橋慎一朗(東京大学史料編纂所助教授) 
   「小宰相の局と「耳無し芳一」伝承-いくさ語りから江戸怪談へ-」堤邦彦(京都精華大学教授)

 2006年6月24日(土)⑧「英雄と鎮魂」
   「為朝・義経-日本的『英雄』の条件について」 樋口大祐(神戸大学助教授)
   「安元3年の崇徳院鎮魂-天下静かならず-」 樋口州男(専修大学非常勤講師)

2007年6月23日(土)⑨「王権と貴族・武士」
    「王朝の狩猟文化-摂関・天皇・院の権力と野生-」中澤克昭(長野工業専門学校准教授)
    「武家平氏と貴族社会」 松薗斉(愛知学院大学教授)

 2008年6月28日(土)⑩「王の装いと武家の空間」
    「寝殿造と六波羅泉殿~総柱大型建物の意味~」 川本重雄(京都女子大学教授)
     「天皇と装束」 近藤好和(神奈川大学特任教授)

 2009年度6月27日(土) ⑪「太平記の時代」
    「南北朝内乱と祇園社」市澤 哲(神戸大学大学院人文学研究科教授)
    「洞院公定をめぐる書物―字書・部類記・未来記」小川剛生(慶応義塾大学文学部准教授)

2010年6月26日(土)⑫「京・六波羅と鎌倉」
    「考古学からみた鎌倉北条氏―伊豆から鎌倉への足跡―」池谷初恵(伊豆の国市教育委員会)
    「北条氏一族女性の在京生活―六波羅探題金沢貞顕の周辺― 」福島金治(愛知学院大学文学部教授)
 
 2011年6月25日(土)⑬「鎌倉時代の公武権力と文化・宗教」
    「鎌倉の顕密仏教と幕府」平雅行(大阪大学大学院教授)
    「源実朝と京都―和歌を通して考える朝幕関係―」坂井孝一(創価大学文学部教授)   

 2012年6月23日(土)⑭ 「平家・王権・儀礼」
    「平清盛と後白河院」元木泰雄(京都大学大学院教授) 
    「院政期の五節」服藤早苗(埼玉学園大学教授)
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 ☆ 日本大学の関幸彦先生より、新刊の御高著『敗者の日本史6 承久の乱と後鳥羽院』を御恵送頂きました。
 関先生に、あつく御礼を申し上げます。

『源義家 天下第一の武勇の士』の公式配本日

野口
No.9721

 同女の山田先生が登学(出校)されたとのこと。御快癒、おめでとうございます。安堵致しました。

 「(>>>>No.9718)の件、さすがに誰も教えてくれませんね」などと、いじけておりましたが、お二人の篤学の士から、詳細な御教示を頂くことが出来ました。たいへん助かりました。

 京都女子大学、昨日はオリエンテーション、そして今日から後期の授業が始まりました。敬老の日も通常授業です。そろそろ私も敬われてもよい年齢か?・・・やはり、まだですか?

  山川出版社販売促進部のツイッターより、
【近刊案内】9月27日配本予定、山川出版社刊、野口 実=著、日本史リブレット人『22、源義家』、A5変型、96頁、定価840円(本体800円)。「文武兼備の稀代の名将」と「残虐を事とした暴力装置」という対極的な評価の間で揺れ動く義家の実像に迫る。
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 このところ、「宇都宮」に没頭しています。『餃子』ではありませんよ。
 > 岩田君 『牛丼』、どうかされましたか?
  ちなみに、この夏休みに三島で『鰻丼』を食べてこられた方がおられます。とても美味しかったそうです。

 原稿を書かないで、掲示板につまらないことばかり書いている者に襲いかかる昆虫が、東の方の某出版社で発見された?との怪情報あり。
 あな、おそろしや! 原稿は書いてはいるのですが、さまざまな事情から順番通りに仕事が進まないことを、お詫び申し上げる次第です。

伊藤瑠美氏「武士研究の現状と課題―2000年代以降の議論を中心に―」

No.9719

 下(>>No.9718)の件、さすがに誰も教えてくれませんね。むしの良すぎるお願いでした。

 このところ、博多・伊豆・宮島・直島など、夏休み中、各地に旅行をされた方たちから沢山お土産を頂いています。ありがとうございます。
 今日頂いたのは「恋忘れ貝最中」と「杓子煎餅」。前者は直島の崇徳院にちなんだ最中とか。最中はゼミの初日までもちませんから、3回生3人と頂いてしまいました。悪しからず。

 なお、3回生と合議(謀議)の結果、『玉葉』講読会の初回は24日(月)5講時(於、共同研)ということになりました。
 ちなみに、「もちもちぃんウォーク」や鎌倉見学の構想etcについても相談致しました。

 ところで、今月の大阪歴史学会の例会で、当ゼミ古参メンバーと親しい伊藤瑠美さんが研究発表をされるとのこと、同会のHPからコピーペーストさせて頂くと下記の通りです。
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  日時:2012年9月21日(金)18:30~
    伊藤瑠美氏「武士研究の現状と課題―2000年代以降の議論を中心に―」
  参考文献
   ・野口実「「東国武士」の実像」(高橋修編『実像の中世武士団』高志書院、2010)
   ・山本隆志「東国武士論ノート」(同上)
  会場:大学コンソーシアム大阪
  終了後、報告者を囲んで懇親会を行います。奮ってご参加ください。
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 参考文献に拙稿があげられたりしていて気になりますが、私は出席が叶いませんので、ぜひ(ゆかり深い)古参メンバーのみならず、現役メンバーも出来るだけ出席して下さるようにお願い致します(懇親会ではゼミの昔話もうかがえると思います)。

 中世前期の武士論については、研究者間の東西交流が研究対象の武士たちよりも少ないように思われますので、こういう機会は貴重だと思います。
編集:2012/09/13(Thu) 17:21

秋学期の『吾妻鏡』

No.9720

 夏休みを挟んで、後期の『吾妻鏡』は9月25日(火)に再開予定です。よろしくお願いします。
 講読範囲は以下の通りだったと思うのですが、間違っていたらすみません。

 日時:2012年9月25日(火)午後4時すぎ~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建仁四年(元久元年、1204)四月二十一日、五月六日・八日・十日・十六日・十九日、六月八日・十九日・二十四日・二十六日、八月三日・四日・十五日・二十一日、九月一日・二日・十三日・十五日、十月十四日・十七日・十八日、十一月四日・五日・七日・十三日・十七日・十八日・二十日・二十六日、十二月十日・十八日・二十二日の各条

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

 お知らせとお願い

No.9718

 京都は未だに真夏のような暑さが続いております。

 でも、もう9月も中旬。古代学協会の後期の講座の募集が始まったようです。↓
   http://kodaigaku.org/study/koza-koenkai/kodaigaku-koza/2012/kouki/kouki-goannai.html

 本日、ようやく本務の仕事を一つ片付けました。しかし、まだ夏休みの宿題が沢山のこっています。小学生の頃、家庭科の宿題を母親に手伝ってもらったことが思い出されます。

 ところで、昨年度に刊行された論文・書籍などで、自分の研究業績(発表された時期は不問)が引用されているものをリストアップして提出せよという書類が回ってきました。
 理系の研究者の方は、PCで検索をかけるとすぐに見つかるのだろうと思うのですが、日本史はそう簡単にはいきません。とくに国文学などの他ジャンルや地方史関係の研究誌などは、とても捕捉することができません。そこで、もしお気づきの情報がありましたら、お知らせ下されば幸いとするところです。引用論文の執筆者・タイトル・掲載誌名と巻号・発行年月日・該当ページなどの情報が必要ですが、一部でも構いませんので、宜しくお願い申し上げる次第です。

 頼朝は政子なんて知らなかった

No.9717

  流人時代の源頼朝、および頼朝挙兵以前の伊豆北条氏については、下記を御参照頂ければと思います。
【流人時代の頼朝】
  坂井孝一「源頼朝の流人時代に関する考察」(『創価人間学論集』5)
  野口 実「流人の周辺」(同『中世東国武士団の研究』髙科書店)

【頼朝挙兵以前の伊豆北条氏】
  杉橋隆夫「牧の方の出身と政治的位置」(上横手雅敬監修『古代・中世の政治と文化』思文閣出版)
  野口 実 「『京武者』の東国進出とその本拠地について-大井・品川氏と北条氏を中心に-」
       (京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』19号)
    同   「伊豆北条氏の周辺-時政を評価するための覚書-」(同 20号)
    同  「北条時政の上洛」(同 25号)

 それから、政子という名前が、頼朝や時政の死後につけられたものであったことについては、高橋秀樹『中世の家と性』(日本史リブレット、山川出版社)をお読み下さい。

 「奥州藤原氏と平泉」について考え直します。

No.9716

 安芸・周防から帰還された1・3回生のみなさん、お疲れ様でした。
 成果は多大であったことと思います。

 15~20年ほど前、少しばかりエキセントリックな環境にあった私が、ある本を出版したとき、石井進先生からその本の内容に対して、「従来のパラダイムを崩すときには、それに代わるものを提示する責任が研究者には課せられる」という戒めのお言葉を頂いたことが、なぜか思い出される今日この頃です。

 ところで、この秋から名古屋の中日文化センターで「奥州藤原氏と平泉」というテーマの講座を担当することになりましたので、御案内させて頂きます。
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 【曜日・時間】 月1回土曜日 夕 15:30~17:30

 【会場】 栄中日文化センター  (名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル4階)

 【講座内容】 2011年、世界遺産に登録された平泉。中尊寺や毛越寺などにのこる素晴らしい建築や庭園もさることながら、それをつくりだした奥州(平泉)藤原氏の歴史についても興味深い土地です。この講座では12世紀、とくに平家の全盛期に、奥州地方に覇権をうちたてた奥州藤原氏と、その本拠地となった都市平泉について、京都や鎌倉からの視点で考えてみたいと思います。10月から始まる6ヵ月講座です。

 【開講日】10/13、11/3、12/8、1/12、3/2、3/30
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 私にとってもよい勉強の機会になりそうです。詳しくは下記を御覧下さい。
http://www.chunichi-culture.com/mgcgi/mgrqcgi.cgi?APPNAME=BunWeb&PRGNAME=kouza_ichiran_para&ARGUMENTS=-N10,-N11,-N12,-N15,-N23

 9月に入ったとたん、授業アンケートの結果に対する所見とか、昨年度引用された論文のリストとか、いろいろ提出しなければならない書類の要請が増えて大いに焦っています。まだ終わっていない宿題が沢山あるのというのに、嗚呼!

 平家追討軍?

No.9715

 信濃や和泉から出陣した「精鋭部隊」が安芸から周防方面に進行中の由です。
 当方、兵粮を送れず申し訳なし。

 下記の「もちもちぃんウォーク」、協力のお申し出をいただき、感謝です。
 例によって、ゼミ主催でプレ見学会も実施しましょう。
 「栢の森遺跡」の具体的理解をはかるために、重源ゆかりの浄土寺(兵庫県小野市)に日帰りで見学に行くというプランも出ています。

日野方面の歴史散歩について(お願い)

No.9714

 本日、11月10日(土、時間帯は午前8時半からお昼過ぎまで)に実施する京都市伏見区醍醐支所主催の歴史散歩(「もちもちぃんウォーク」)について、担当の方たちと打ち合わせを致しました。

 今回は、昨年歩いた日野法界寺・平重衡の墓・日野家の墓所・恵福寺に加えて、重源ゆかりの「栢の森遺跡」(国指定史跡)・『方丈記』の作者として知られる鴨長明隠棲地付近などを見学する、かなり中身の濃いコースになっており、史学・国文専攻の学生さんにとっても大いに魅力的な企画になっていると思います。
 私の講演(『平家物語』の時代の日野の歴史に関するお話を予定しています)は蛇足かも知れませんが、現地を歩くことで、研究上きわめてよい刺激を受けられることは必定。それ以前に、大いに楽しめるものと思います。

 参加者の対象は京都市伏見区民ですが、当方のゼミメンバーと関係者(とくに昨年手伝ってくれた有志のみなさん)には、ボランティア参加の形でぜひ御協力を御願いしたいと思います。
 主催者に名簿をお届けする必要がありますので、参加を希望する方は、可及的速やかに当方に御連絡下さい。

 なお、見学コースの地図や京都市埋蔵文化財研究所作成の「栢の森遺跡』に関する資料などは、後日、ゼミの史料講読会の時間に配布するつもりです。
 今回のコースは本当に「最高!」なので、私も楽しみにしています。

 文献史料からの「発掘」に正当な評価を

No.9713

 今まで読んだことのある文献史料のなかに、私の研究にとって大変重要な事実が記されていたことを発見しました。

 文献史料から意味のある事実を発見するには、それなりの知識・情報と問題意識がなければダメだと言うことを久しぶりに思い知らされた次第です。
 だから、このようにして重要な事実を発見した先学の業績には敬意を払わなければならないということなのでしょう。先学(とりわけ在野の、あるいは地域史などに携わっておられた無名の研究者)がコツコツと史料を読み込んで発見した事実を、すでに活字化されている史料に書いてあることなのだから、「発見」には当たらないという素振りで、ひどい場合には、自分が初めて学界に紹介するかのような書き方で発表するようなケースも見られるようです。
 こうした点について一部の歴史学者はあまりに無頓着に過ぎるように思えます。考古学者の態度に見習うべきでしょう。

 なお、今回「発見」した事実については、来春刊行の京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』第26号掲載の拙論に反映させる所存です。

 ☆ 都筑・橘木研究会代表の中西望介様から、御高論「村の成立と鎮守・小祠に関する基礎資料 都筑郡編」収録の『都筑・橘木地域史研究』を御恵送頂きました。
 黒沢則博「秩父平氏中山氏とその周辺」・菱沼一憲「小机鳥山開発からみる地域と権力」といった坂東武士研究に裨益の大きい論文も収められています。
 中西様に、あつく御礼を申し上げます。