複数の学部からの受講生、それにテーマを各自の関心に委ねたことが幸いして、じつに多岐にわたる内容豊富なレポートが寄せられました。こちらも、学ぶ点が多く、また、自らの授業評価は、試験やレポートに勝るものはないことを、あらためて確認できました。
この科目(「女性視点の日本史」)を選択するにあたって、「熱烈なフェミニストのおじさん、若しくは女性の権利を切々と訴えるおばさんが出てきたらどうしようかと思っていた」のだが、「胸焼けしそうな不快感」はなかったという感想や、フロイトの思想を通して、心理学という学問も男性目線の学問であると指摘したり、さらには映画『ヘルタースケルター』を通して現代女性のあるべき生き方を論じたものもありました。
歴史教育の点からも、「学校の歴史の時間はただ一般常識として・テストのために覚えなければならないという理由で勉強していたという記憶しかなく、実際にじっくり考えて感想を持つ場は大河ドラマや歴史漫画であった」という、歴史学者(教育者)にとっては厳しい回想や日本史の教科書の叙述に対する不満が語られていました。
また、「競技ダンス」では男性がリーダー、女性がパートナーと呼ばれていて、大会の予選段階における審査はリーダーの技術が主な評価対象となること、福沢諭吉の「女大学評論」の存在、樋口一葉の日記『塵之中』に「死ぬ計悲しかりしかど、学校は止になりけり・・・それより十五まで、家事の手伝ひ、裁縫の稽古、とかく年月を送りぬ。されども猶、夜ごと文机にむかふ事をすてず」という一節のあることなどを、教えられたり、思い出させて頂けたのも収穫でした。
嬉しかったのは、レポートに対するコメントと今後の研究についての指導を求めて、メールを下さった受講生のおられたことで、この方のレポートは流石に最高点の内容でした。 こういう学生さんも受講してくれていることを励みに、これからも頑張らないといけません。
それにしても、テーマは千差万別なレポートを百件近く読みこなすのは大変でした(万・千・百と数が合いませんね)。
なお、これは不快な情報ですが、友人宅のバーベキュー災禍(
>>No.9666)、昨夕も発生したとのこと。そのうえ、トランペットを吹き鳴らしたり、夜間に道路でサッカーを始める者も現れたとのことで、「世も末」だそうです。
☆ 当ゼミの史料講読会で活躍して下さった満田さおりさん(京大院工学研究科・建築史)から、御高論「平安宮内裏の土庇と雨儀」(『日本建築学会計画系論文集』第77巻 第677号)を御恵送頂きました。
こういう精緻な論文を読むと、理科系の優秀な方には、ほんとうに叶わないと思います。
満田さんに、あつく御礼を申し上げます。
☆ 相模女子大学の高木信先生から、御高論「能を観る〈紫式部〉、あるいはジャンルの交差点を漂う〈亡霊〉-「海人の塩焼く」言説をめぐる謡曲、『平家物語』、『源氏物語』-」(『物語研究』12)を御恵送頂きました。
文学音痴の私には、圧倒されるタイトルです。
高木先生に、あつく御礼を申し上げます。
☆ 学習院大学の兵藤裕己先生より、御高論「物語としての政治史-『太平記』を中心に-」収録の『日本思想史講座2-中世』(ぺりかん社)を御恵送頂きました。
この本の書評は、長村君が適任では?
兵藤先生に、あつく御礼を申し上げます。
ちなみに、同封のお手紙によると、9月3日に上洛される兵藤ゼミの人数は先生を含めて29人とのことです。(
>>No.9666参照)