今日の産経新聞の読書面

No.9442

 本日(28日)の『産経新聞』朝刊の読書面に、拙著『武門源氏の血脈』の編集を担当して下さった中央公論新社の並木光晴さんが、「編集者お薦めの1冊」として拙著の紹介をしてくださいました。
 サイトにもアップされていますので、紹介させて頂きます。
  http://sankei.jp.msn.com/life/news/120128/bks12012808220000-n1.htm

 とても、うれしいアフターサービスに感激しています。
 最後のオチの部分は全くその通りです。本書に優れた面があったとしたら、編集者のすぐれた見識と著者に対する適切な後押しの賜物だと思います。
 ありがたいことでした。

 正月二十七日「実朝忌」

No.9441

 今日も京都は、ときどき小雪がちらついています。

 車を車検に出しました。年式の新しい代車を借りたのですが、やはり自分の車が一番よい。ただし、この経費の負担は大きい。それでなくても寒いのに。
 
 拙著『武門源氏の血脈』(中央公論新社)に対しては、諸方のみなさまから御感想を頂いており、ありがたく存じております。また、元木先生が『河内源氏』(中公新書)の「あとがき」で紹介して下さったためか、旧著『源氏と坂東武士』(吉川弘文館・歴史文化ライブラリー)も、あらためてお読み頂いているようで、うれしく思っております。さらに、『武家の棟梁源氏はなぜ滅んだのか』(新人物往来社)や『伝説の将軍 藤原秀郷』(吉川弘文館)も。
 後者については、秀郷流藤原氏を出自とする西行がらみでしょうか?
 波及効果による相乗効果とでも、申すべきものか。

 ☆ 東京大学史料編纂所の本郷恵子先生より、新刊の御高著『蕩尽する中世』(新潮選書)を御恵送頂きました。
 第四章のタイトルは「御家人千葉氏を支える人々」。
  本郷先生に、あつく御礼を申し上げます。

   お寒うございます。

No.9439

 本年度のゼミ『吾妻鏡』講読会のうち、木曜日のⅢ講時に行っていた文治元年条については、本日で打ち止めということになりました。最後に、大分県御出身の高橋さんに臼杵惟隆や緒方惟栄の出てくる条を読んで頂けたのは、佳き廻り合わせだったと思います。
 新年度に継続ということになれば、屋島合戦のあたりからということになりますね。
 内乱期の鎮西や四国の情勢についても、追究の余地は多大だと思います。

 京都アスニーから出講の御依頼を頂きました。6月8日(金)の予定で、
   テーマは「源氏と平家~武士社会の夜明け~<仮題>」。

 こまかい話よりも、こういうひろい内容の方が、わかりやすい話が出来るかも知れません。
 なお、新年度の講演予定については、↓を御覧頂ければ幸いです。
           http://donkun.ath.cx/~sion/presence/

 それにしても、深刻な寒さですね。耄碌の身には酷くこたえます。

 それから、倉吉のお土産、ありがとうございました。

非寒冷地仕様です-次回の『吾妻鏡』-

No.9440

 寒くてしかも乾燥しているというのはなかなかつらいですね。そろそろ年度末が見えてくるこの時期、みなさまどうぞお大事にお過ごし下さい。

 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年2月2日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:正治三年(建仁元年、1201)二月五日、三月四日・十日・十二日・二十四日、四月二日・三日・六日、五月六日・十三日・十四日・十七日、六月一日・二日・二十八日・二十九日、七月六日、八月十一日・二十三日、九月七日・九日・十一日・十五日・十八日・二十日・二十二日、十月二日・六日、十一月十三日、十二月二日・三日・二十八日・二十九日の各条
    建仁二年(1202)正月十二日・十四日・二十八日・二十九日、二月二十日・二十九日、三月八日・十四日・十五日、四月二十七日、六月一日・二十五日・二十六日、八月二日・十五日・二十三日・二十四日・二十七日、九月十五日・二十一日、十月八日・二十九日、閏十月十三日・十五日、十一月二十一日、十二月十九日の各条

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 昨今は、“ポップでライトな”歴史が流行っているようですが、そんなポップでライトで楽しげなイメージも、もとはといえば何らかの史料に依拠して形作られたはずです。そのもとの部分の史料に当たって事実関係をきちんと踏まえて整理するという作業に慣れておくことも、いろいろな角度から楽しむのに役立つかもしれません。
 ただ、そうすると今度は“ポップでライトな”歴史を楽しめなくなってしまうのかもしれませんが…

 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、2012年、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

雪景色の関東から、結婚の知らせが届く

No.9420

 前任大学のゼミ生(当ゼミ古参メンバーは、よく御存知の方)から、御結婚のお知らせを頂きました。
 おめでとうございます。

 今日はキャンパスプラザの今年度最後の講義。「義経論」でしめました。
 今年度の受講生は少なかったのですが、とても積極的に参加してくれましたので、お伝えすべきことは伝えることが出来たように思います。

 年度末が近いので、いろいろな事務仕事をもてあまし気味なのですが、その一方、『源義家』の書き加えに取り組んでいます。しかし、先ほど月末締切の校正が届いたので、そちらを優先ということに話が変わりました。

 清盛関連本は、ようやく売れ行きが鈍ってきたようですね。しかし、(清盛関連本の範疇には入れたくありませんが)元木先生の『河内源氏』(中公新書)は勢い衰えず。スゴイと思います。

 ☆ 名古屋学院大学の早川厚一先生、青山学院大学の佐伯真一先生の御連名で、早川厚一・佐伯真一・生形貴重校注『四部合戦状本平家物語全釈 巻十』(和泉書院)を御恵送頂きました。
 『平家物語』を史料として活用しようとする際、重宝すること必定。
 巻末の「藤戸合戦関連地図」はうれしい。
 早川・佐伯両先生に、あつく御礼を申し上げます。 

美川圭先生による清盛・平家論

No.9419

 現在、『京都民報』に「清盛・平家とその時代」というシリーズが連載されています。その第1章は美川圭先生の御担当で、1月15日付紙面には「平安時代末期の京都-平清盛の育った都市-」、昨日22日付には「院政とは何か」が掲載されています。新聞の連載とはいえ、最新の研究成果を踏まえたもので、写真・地図・系図も付されてわかりやすく、要を得た読み応えのある内容です。

 ☆ 神戸大学の樋口健太郎先生より、御高論「藤氏長者宣下の再検討」(『古代文化』63-3)および、分担執筆された『高砂市史』第一巻・『香寺町史 村の歴史・通史編』の御執筆部分の抜刷などを御恵送頂きました。
 樋口先生に、あつく御礼を申し上げます。

『日記で読む日本中世史』3刷へ

No.9418

 現在、京都文化博物館で、「古文書・古典籍の世界」という展覧会が開かれており、(財)古代学協会が所蔵している古文書・古記録・古典籍などの文献史料が展示されています。
 平安文学研究者垂涎の重要文化財『大島本源氏物語』や南北朝時代の『紫式部日記絵巻断簡』が人気を集めているようですが、当ゼミ関係の方々には、建久3年(1192)の「後白河法皇院宣」や藤原定家筆『明月記断簡』(建保元年正月16日条)、「北白河院陳子自筆消息」(寛喜3年)、『魚魯愚抄』などが興味を引くのではないでしょうか。
 一見に如かず。会期は2月19日まで。

 先に、元木泰雄・松薗斉編『日記で読む日本中世史』(ミネルヴァ書房)の重版をお知らせ致しましたが、売れ行き好調のため、さらに三刷が決まったとのことです。やはり、充実した内容の本は売れる。

 そういえば、元木プロジェクト(>>No.7823)第一弾の原稿締め切り日がせまっておりますね。御執筆の先生方、頑張ってください。(藪蛇ですが)

源義朝って、どんな顔してたんですか?

No.9413

 今日はとても寒い。研究室で書類を作って提出してきたのですが、後で間違いのあることに気がつき、メールで訂正ということになりました。相変わらず耄碌進行中。
 
 ところで、また御質問を頂きました。「源義朝はどんな顔をしていたのか」というのです。これはわかりません。
 ただ、甲府善光寺の頼朝像が、頼朝の面影をかなり正確に伝えていそうなので、頼朝が父に似ていたなら、こんな顔だったのでしょうか。
 描かれたものとしては、『平治物語絵巻』にありましたね。でも、これは後世の作品ですから、作者のイメージに基づいたものでしょう。そうそう、拙著『源氏と坂東武士』(吉川弘文館、歴史文化ライブラリー)の表紙の絵です。

 平清盛については六波羅蜜寺にある坐像が有名ですが、『平治物語絵巻』にも六波羅合戦の場面に描かれています。これは、樋口州男・鈴木彰・野口華世『図説 平清盛』(ふくろうの本、河出書房新社)の表紙に使われています。

元木先生の御新著と平清盛の誕生日

No.9411

 元木泰雄先生が、角川学芸出版より『平清盛と後白河院』という本を出されるとの情報を得ました。発売予定日は 2012年3月27日とのことです。
 タイトルからして、「これで決まり!」のような感じです。刊行が待ち遠しいところですね。

 ちなみに、平清盛に関心が向けられる中で、彼の誕生日が正月十八日(もちろん旧暦で)であるのに、このことは、どなたも触れることがありませんでした。
 この時代の人物で、誕生日がハッキリわかるのは珍しいことです。ちなみに、それを伝える史料というのは、『玉蘂』の承元五年三月十四日条です。
 この記事によると、醍醐天皇も正月十八日、鳥羽院は正月十六日生まれのようです。

『紫苑』と講読会と清盛落胤説について。

No.9409

 今日のゼミで、池嶋さんから清盛落胤説について質問がありました。その取りあえずの答えです。
 「まず、平忠盛の妻に白河院の女房がおり、彼女を清盛の生母と推定してほぼ間違いないことは、確実な史料によって明らかに出来ます。」
 あとは、元木先生の『平清盛の闘い』をお読み頂いた上で。

 『紫苑』第10号ですが、本日見積書が揃い、印刷所が決まりました。
 山本編集長のもとで刊行に向けて順調に進んでおります。中味は力作揃いで、おおいに期待できそう。10号記念の特集も楽しみです。
 
 『吾妻鏡』講読会は2月も継続して行われることになりました。詳しい日程は追って告知されることになると思いますが、普段参加できない方は、この期間だけでもどうぞ。
 研究発表の例会も計画しなければいけませんね。

 それにしても、元木先生の『河内源氏』(中公新書)の人気は盤石たるもの。羨望を禁じ得ません。

 なお、Amazonで拙著『武門源氏の血脈』(中央公論新社)に、読者の方から早々のうちにレビューの書き込みがありましたが、最初にこれを読んだとき、実によく内容を把握してくれていると感激したものです。
 実は、これをどなたが書き込んで下さったのか、すでに判明しており、なるほどと思っているのですが、この掲示板を御覧の諸賢にも、ぜひ御一読頂ければと思います。
http://www.amazon.co.jp/武門源氏の血脈-為義から義経まで-野口-実/dp/4120043185/ref=zg_bs_561456_4  

 元祖 『平家の群像』 を読む。

No.9407

 出版社にお送りした『八幡太郎』の原稿は分量不足だったようで、これから書き足すことになりました。「終わりなき」原稿執筆の日々を楽しんでいます。

 学生時代に読んだ「平家」関係の一般向けの本を捜し出して読んでいるのですが、なかなか勉強になる本が多い。今になって、ようやく書いてあることの意味が理解できたりしています。先学は、本当に史料をちゃんと読んでおられます。頭が下がります。

 今読んでいるのは、安田元久『平家の群像』(塙新書、1967年)と村井康彦『『平家物語』の世界』(徳間書店、1973年)。
 さすが碩学のお書きになった本です。この四半世紀ほどの間に、歴史学の世界で「平家」研究が、どれほど進んだのか等々、いろいろ考えさせてもくれます。

 安田元久先生には、大学院生時代、学習院大学で『鎌倉遺文』のゼミに出席させて頂いたり、科研の「『吾妻鏡』の総合的研究」のメンバーに加えて頂いたり、たいへんお世話になりました。

 村井康彦先生は、かつて本学で教鞭を執っておられましたので、御著書の中で本学周辺の史跡に触れられるところが多く、また、本学の大学祭で催された平曲の講演の写真なども収録されていて、そんなところも楽しめます。

 30年後。たとえば、拙著『武門源氏の血脈』をまだ読んで下さる人がいるだろうか、などと要らぬ心配を致しております。