御高著いただきました
No.5769
『源氏と坂東武士』到着しました。さっそく、章立てなどを拝見し、野口先生らしいなという感想を持ちました。当方は、年内締めの論文を二本と秋期特別展を抱えているところ半速前進せざるをえない体調となり、ここは読書休暇と、本を読むことにしています。和田春樹『歴史としての社会主義』(岩波新書)は25年前の本なのですでに古典ですが、マルクス主義自体が資本主義へのアンチテーゼであり、マルクス主義には国家と官僚に対する明確な意識がなかったことを明確にのべています。次は、中世国家論へ進もうと考えているので、戦後歴史学を主導してきた史的唯物論に国家に対する明確な論理展開がなかったという提言は、中世に国家がなかったのではなく、中世史家が国家に対する明確なイメージと定義を持たなかったという主客逆転を起こすので、非常に重い物を感じます。史的唯物論に代わる物として入ってきたアナール派社会史は社会の諸層を研究しても、これが国家論へと発展するものではなかった。戦後の中世史は、ある意味で国家というものをさわる事をさけていたのかもしれません。