キノシタ建築研究所のHP開設

No.5399

 今年もたくさんの年賀状をありがとうございました。
 もう三十年以上も会っていない友人からの年に一度の便り、そうかと思えば日常的にお目に掛かっている方からの思わぬ一言、あるいはバチカンに調査に行くといった今年の羨ましい予定等々。高等学校や博物館に勤務する友人たちからは、一様に現場の悲鳴が届きます。
 しばらく音信不通だった教え子からの来信に安堵したり。・・・
 そんな中、もう三年近く前になりますが、この掲示板がきっかけで国文学の箕浦尚美先生の御紹介により、拙宅に作りつけの書架を設置していただいた一級建築士の木下洋さんからの年賀状にはHP開設の知らせが書かれていました。元日にopenしたばかりで、中味はこれからのようですが、ともかく周知をはかりたいと思います。
 アドレスはhttp://vtkino.comです。

 目下、大学受験勉強真っ最中の高校三年生からは、PCに触れると遊んでしまうので(よく分かります)、ケータイから送りますという年賀のメールを頂きましたが、『紫苑』に論文を掲載予定のゼミメンバーも、そうしておられるのかも知れません。この受験生に負けないように、しっかり頑張ってほしいところです。
 否、「お互いに頑張りましょう」ですね。 

ご紹介頂き有難うございます。

No.5406

歴史学とは全くかかわりのない建築設計の事務所をご紹介頂き大変恐縮しておりますと同時に深く感謝しております。
心地よい空間で研究に取り組んで頂けるよう少しでもお手伝いができればと思っております。書架の設置や建築に関わることなどで何かお役に立てることが有りましたらお気兼ねなくお申し付け下さい。

揚名の編者

No.5397

 タイトルの意味が分からない人は「揚名介(ようめいのすけ)」の意味を調べること。

 共編で、しかしタイトルのような立場に徹するという条件でお引き受けしたのですが(なにしろ負債原稿の返済中ですから)、某出版社から『吾妻鏡』の入門書を出すお手伝いをすることになりました。
 執筆者としてこの分野に秀でた若手研究者を推薦してほしいということなので、心当たりの方々(歴史学専攻で在京活動を事とする院生<含む内定者>諸姉兄)にお願いしたところ、ほとんどの方に快くお引き受けいただきました。(アドレスがわからなくなって、これからお願いする方もいます。)
 また、この本で私の担当する部分の統轄は、『吾妻鏡』講読会の実質的な推進役であり、また私と家も近いので岩田師範にお願いすることに致しました。よろしくお願いいたします。
 「宇治」とともに、皆さんに頑張っていただく今年の大きな仕事になりました。

 今年の仕事と言えば、4月から現代社会学部の「基礎演習」と「現代社会特論」、それに総合教育科目を一つ担当することになりました。一方、同志社大学での講義は、残念ながら今年度をもって終了ということになります。

 ☆ 元木先生の2006年最後のお言葉-「それにしても、近頃の若いもんは、えらいおとなしゅうなったね・・・どないなっとんねん、ホンマ。」・・・・・まったく同感です (笑)。

奉行人(仮)

No.5403

 新年あけましておめでとうございます。
 お正月はほぼ引き籠もっておりました(外出はしました)、岩田です。

 昨年末に、上のご案内を野口先生より直々に頂戴し、身の引き締まる思いで謹んでお受け致しました。どうぞよろしくお願いします。
 野口先生とお家が近いのは事実なのですが、「『吾妻鏡』講読会の実質的な推進役」というのは近ごろどうも事実とは相違してしまっていますので(「推進役」というか「連絡役」です)、今年も『吾妻鏡』講読会やその他のゼミ活動も含めてしっかり精進に努めたいと思います。

>野口先生
 現代社会学部の「基礎演習」と「現代社会特論」、総合教育科目のご担当でのご活躍をお祈り申し上げます。…ゼミの新人さんのリクルートにもちょっと期待致します。

 謹賀新年 & 藤原公任邸跡発見か?

No.5395

 明けまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願い申しあげます。
 HPトップも御覧下さい(鈴木先生-今年からこう呼ばせていただきます-、ありがとうございました)。

 ◎ 元旦に配達された京都新聞によると、京都市中京区四条新町北西角の発掘調査で、十一世紀前半の庭園の池の洲浜跡が検出され、ここは藤原公任の邸宅「四条宮」に比定することが出来るとのことです。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007010100023&genre=M2&area=K1C1

あけましておめでとうございます。

No.5396

野口先生をはじめ、野口ゼミのみなさん、またこの掲示板をご覧のみなさま、あけましておめでとうございます。
みなさん楽しいお正月生活をお送りでしょうか?
私は積み残しにするまいと論文の書き直しをしていたのに間に合わず、気がつけばそのまま年を越してしまっていました(苦笑)。
出遅れちゃったかなーと思ってたんですが、そうでもなさそうでちょっと安心。
いろいろとみんな予定が一杯で忙しいんでしょうね。

今年も自分なりに精一杯頑張っていこうと思っておりますので、どうかご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
先日この掲示板で野口先生にもご紹介いただきましたが(野口先生、どうもありがとうございます)、
今月の16日にさっそく日本史研の部会で報告をさせていただくことになっております。
関西一円の方もそうではない方も、ご都合がつきましたらぜひぜひお越し下さいませ。

3月一杯で京都を離れる方もいらっしゃいますが、それまでにまた楽しい企画もできればいいですね。
それでは、みなさまの新しい一年が、幸い多きものでありますように。

山田博士の偉業-「年末閑話」-

No.5392

 元木先生の肩は快復されたとのことです。ファンの皆さん、御安心下さい。

 たしかに50歳を過ぎると身体に(あるいは精神にも?)いろいろ変調があらわれます。私も目下、動きはしますが右手の甲から肩にかけてしばしば神経に痛みを感じます。腱鞘炎なのかヘルペスの後遺症なのか。ただの更年期障害だという人もいます。
 昔、祖母があちこち神経の痛みに悩まされていたことの意味が今頃になって理解できるようになりました。やはり、その年齢にならないと分からないことは多い。その意味で人間を相手にする歴史研究者は長生きをした方がよいと思います。

 ○ 仕事の息抜きにいろいろな方のブログを拝見。
 それぞれの年末が記されていて、とりわけ今年から専任で教職に就いた方などのお気持ちにシンパシーを感じたりしているのですが、一番驚いたのは山田邦和先生の「平安京閑話」に掲げられた今年一年の研究活動の一覧。すごい仕事の量です。http://heike.cocolog-nifty.com/kanwa/
 ここに記されているのは、授業やその成績処理、学内の委員会・入試関係の仕事等々、義務的な仕事以外に過ぎないと思います(おそらく、さらにその一部でしょう)。
 山田先生の超人的な御活躍振りには以前から舌を巻いていたところですが、それでいて、結構、日々を楽しく過ごしておられるように見える。
 まさしく「学者の鏡」だと思います。ただし、これは常人には真似は出来ません。

 ただ、研究者をめざす院生諸姉兄には良きお手本だと思います。
 若い知人に、過酷な毎日の仕事の中、通勤の満員電車で吊革につかまりながら論文を読むのが一日のうちでもっとも至福の時間だと仰る方がいらっしゃいます。
 なにしろ、一人の自立した人間として経済的・社会的な義務を果たした上で、みずからの人生に課した目標に向かって全力を傾注することに一番の楽しさを感じている人を私は応援したくなるのです。・・・

 ・・・「そんな無駄口を叩いている暇があったら、さっさと締切の過ぎた原稿を書け」「社会的義務などと、よくもぬけぬけと」
というお叱りの言葉が飛んできそうなので、この辺で。

 >伊藤さん  久保先生の御出講についてお知らせをありがとうございました。

 ○ 正月六日の第一回「中世戦記研究会」には、発表者の辻君のほか、雨野さんと伊藤さんが参加される予定です。

みなさまよいお年を

山田邦和(花園大学・考古学)
No.5393

 野口先生、元木先生、美川先生、そしてここにお集まりの皆様方。
 大晦日となりました。今年一年間、いろいろとお世話になり、ありがとうございました。野口先生のお褒めにあずかり恐縮しておりますが、今年は中途半端な仕事ばかりに時間をとられ、まとまった成果が少なかったことを反省しております。先生方がどしどし著書を出されているのを、ただただ羨望の眼差しで仰いだ一年でした。来年こそは心機一転の年として、またイノシシ年生まれの「年男」として、皆様に見せても恥じない成果を出したいと思っております。いつに変わらぬ御指導御鞭撻をどうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは皆様、よいお年をお迎えくださいませ。

Re: 山田博士の偉業-「年末閑話」-

元木泰雄
No.5394

「五十肩」でご心配をおかけした元木です。
 幸い、ひどい痛さは緩和され、右手もほぼ自由に動くようになりました。
 ちゃんと両手でパソコンを打っております。
 11月に最初に発症し、龍谷大学の講義を休んで医者に駆け込みました。その時は何もしなければ痛みはなく、肩が全く動かない状態でした。医師からはフィットネスのやりすぎと診断され、消炎剤と薬用の湿布をもらったところ、まもなく手は動くようになりました。
 その後も関節付近の疼痛は続いていたのですが、強く動かさない限り気にならない状態でした。ところが、12月23日未明、前にはなかった猛烈な痛みが走り、夜も寝られず、一晩煩悶するハメに。夜が明けて少しおさまり、連休明けの25日に再度医院に駆け込み、今度は鎮痛剤、消炎剤を貰ったのですが、なかなか回復せず、各種の会合を失礼するなど、諸方面にご迷惑をおかけしました。
 27日の晩には普通の状態での痛みもなくなり、ようやく日常生活に戻った次第です。
 御心配、ご迷惑をおかけした方々に深くお詫び申し上げます。
 ただ、本当に五十肩かどうかはまだ判然としないのですが・・・・。
 
 これまでは1日で確実にできた仕事が、何日かかるかわからなくなった、というのが正直な気分です。
 山田先生の精力的なお仕事ぶりに敬服するとともに、衰え行く自分が寂しく情けなくも思えます。
まあ、無理せず、仕事は厳選して、しかし酒はあまり減らさず(笑)、色々人生を楽しんで、しなやかに、かつふてぶてしく生きて行きたいな、などと思っております。
 適当に仕事をサボる、チョイ悪オヤジになりたいものです。如何ですか、チョイ悪を標榜される近藤先生?
 
 冗談はともかく、今年も野口先生には、私個人はもとより、元木研究室のメンバーも大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
 また、色々ご迷惑もおかけした事と思います。深くお詫び申し上げます。

 野口先生、美川先生、山田先生はじめ、野口ゼミ関係者の皆さん、何卒良き新年をお迎えください。

 それにしても、近頃の若いもんは、えらいおとなしゅうなったね・・・どないなっとんねん、ホンマ。

Re: 山田博士の偉業-「年末閑話」-

雨野 弥生
No.5402

野口先生、この場にお集まりのみなさま、旧年中は大変
お世話になりました。本年はさらにさらにお世話になる
ことになるかと存じますが、ご指導賜りますようどうか
よろしくお願い申し上げます。

年明け第一回目の「中世戦記研」、早速お伺いする予定です。
よろしくお願いいたします。
予報では明日はあいにくの雨模様のようですが(すみません、
私のせい・・?)、時期が時期だけに「雪女」にならないよう、
頑張り(!?)たいと思います。

年末年始は・・・。

No.5388

 京都女子大学は27日から来年の1月5日まで、年末年始の休日になります。しかし、この期間こそ原稿という負債をかかえた同業者にとっては、一年のうちでもっとも返済(執筆)に専念できる貴重な期間です。

 昨日の京大の研究会では蹴鞠のお話をうかがいました。鎌倉時代初期の貴族社会に於けるサッカーブーム。もうすこし、武士社会にも普及しても良かったような気がするのですが。そのあたりが、政治史的意味のポイントなのかも知れません。

 ☆ 京都国立博物館の久保智康先生より、御高論「中世南九州における神社への銅鏡奉納」(黎明館企画特別展『祈りのかたち~中世南九州の仏と神~』)を御恵送いただきました。
 京都鏡や舶来の湖州鏡が南九州にもたらされた流通ルートにかんして近年の持躰松遺跡研究の成果などを踏まえた御研究です。私も『都城市史 史料・古代』(2001年)に、南九州に伝わる湖州鏡は博多などを介さず直接当地に輸入されたという想定を述べたことがあるのですが、それは間違いではなかったようです。
 久保先生にあつく御礼を申し上げます。

 なお、久保先生は、年明け10日に京都女子大学の博物館学に御出講されるとのことです。
 履修されている方がおられたら、何講時にどこの教室かお教え下されば幸いです。

Re: 年末年始は・・・。

元木泰雄
No.5389

 五十肩ですっかりダウンの元木です。
 どなたか住吉のご感想などお願いします。
 ついでに、五十肩の対処方なども、お教えください。
 左手だけでキーを操作するのは、ホントに難儀ですね。
 野口先生、ライブラリーの『源義経』を御宣伝くださいまして、誠に有難うございました。二番煎じの内容ですが、最後には若干面白そうなところもあります。
 あらましは研究会でお聞きいただいたとおりですが・・・
  
 日本史を高校で受講したことのない諸君が、オブリゲーションで受講する講義を朝一番で担当させられております。これは、お互いにストレスがたまりますね。
 高等教育で日本の歴史を知らない人が、重要な地位を占めて、本当に国際人として活躍できるのでしょうか。
 日本の伝統を否定し、貶め、アメリカ流の『グローバルスタンダード』を信奉する人に、愛国心があるのでしょうか。ドイツ式の帝国大学理念をベースにしながら、アメリカ流の教養主義大学を導入し、大学のあり方を根本から混乱に陥れている輩に、授業のやり方など指南できるのですかね。
 今をたとえるなら、戦国のような明るさがない。平安末期、もうすぐ保元の乱か、はたまた鎌倉末期の霜月騒動か・・・

Re: 年末年始は・・・。

No.5390

 今年もあとわずか。例年通り、あわただしい一年でした。
もう少し、落ち着いた国になれないもんでしょうか。
私など、国策とは無縁な窓際生活を、職場でおくっておりますので、
たいへん恵まれております。
でも、COEなどにふりまわされている先生方は、日々、ほんとうに大変だと、
ご同情申し上げます。
そして数年後(もしかしたら来年にも?)には、確実に、マスコミと国民の
「無駄遣いー」バッシングが待っていますからね。

 私は今年度中に何とか、市史の原稿を書き上げて、
来年度4月からはミネルヴァの『後白河天皇』執筆にとりかかろうと思います。
この変な君主に、棚橋先生のようにのめり込まず、斜にかまえて、
おつき合いしようと、いまから楽しみです。

 この国では、国策に従っていては、よいことがありません。
まあ、自分と同年ぐらいの年の人間が、国策を作っているという年代になりました。
学生時代を知っているので、たかがあの程度の人間が考えていること、
いちいち反応する必要は、まさに無用。自信をもって、我が道をまいりましょう。

Re: 年末年始は・・・。

No.5391

野口先生
先日は論文のコピーありがとうございました。

元木先生・美川先生
先日の忘年会ではご馳走になりありがとうございました。
しばらくご無沙汰していた能楽太鼓方の井上敬介先生にご挨拶できたことは幸いでした。
いつもながら「住吉」の料理は美味しいものばかりでしたが、以前同行させていただいた時は品切れで食べられなかったアジの刺身は絶品でした。

会社勤めをしている友人によると、整体の専門の方のマッサージは、
やみつきになるほど体中のコリ全般に効くそうです。
五十肩に効くかどうかはわかりませんが、ご参考までに。

それでは皆様、良いお年を。

元木泰雄『源義経』刊行まで、あと一ヶ月

No.5387

 年末のせいか、日曜でも配達が行われているようで、沢山の郵便物が届きました。そのひとつ『日本歴史』1月号(704号)を広げると、歴史文化ライブラリー(1月25日発売)の宣伝のトップに元木先生の新著『源義経』(1785円、224頁)があげられていました。平治の乱から治承・寿永内乱期の政治情勢を踏まえた義経論の決定版に間違いなく、刊行がたいへん楽しみです。

 しばらく御無沙汰していたNHK出版の石浜哲士さんから、御担当のNHKブックス新刊の御恵送に与りました。来年こそは10年来の負債をお返ししたいと思っております(実は既に一部は返却してあるのです)。
 石浜さん、ありがとうございました。また、どうぞよろしくお願いいたします。

 ☆ 筑波大学の山本隆志先生より、御高論「関東武士の在京活動-宇都宮頼綱を中心に-」(『史潮』新60号)を御恵送いただきました。
 東国武士一族の在京と在地支配の分業関係は私にとって目下おおいに関心のあるテーマです。

 ☆ 神奈川県立金沢文庫の西岡芳文先生から、御高論「新出『浅間大菩薩縁起』にみる初期富士修験の様相」(『史学』73-1)、「富士山をめぐる知識と言説-中世情報史の視点から-」(『立教大学日本学研究所年報』5)、「『諸社寺勧進状写』と甘縄観世音寺・秋田四天王寺」(『説話文学研究』40,例会報告に於ける資料も添付)、「鎌倉周辺の勧進に関する新出資料-甘縄観世音寺・城ヶ島薬師堂に関する新発見資料の紹介-」(『金沢文庫研究』312)、「阿佐布門徒の輪郭」(『年報三田中世史研究』10)、「港湾都市六浦と鎌倉」(五味文彦・馬淵和雄編『中世都市鎌倉の実像と境界』 高志書院)、「蒙古襲来と鎌倉仏教(前)・(後)」(『聖道』157・158)、および御高論「初期真宗へのタイムトリップ」収録の津田徹英編『中世真宗の美術 日本の美術488』)、また御担当の企画展「よみがえる鎌倉の学問」(12/7~2/12)の図録と招待券などを御恵送いただきました。
 富士山は、秀吉との関係については瀬田勝哉先生、家康との関係については故・足利健亮先生が論じられており、また、平清盛が富士見物を企てたことなどが知られ、近年興味をそそられていたところでした。
 1~2月は頻繁に東下りをすることになりそうですので、金沢文庫の企画展はぜひ見学に訪れたいと思っています。

 山本先生、西岡先生に、あつく御礼を申し上げます。

『古代文化』第58巻第Ⅱ号落手

No.5386

 本日(22日)は、御所の辰巳に位置する美味しい和食のお店で忘年会。まさに現在の日本中世政治史研究を牽引する先生方と同席させていただきました。

 さて、卒論ですが、4回生のゼミメンバー全員の提出が確認されました。来年のことが、ちょっと未定の人もいますけれども、みんなしっかりと実力は備えていますから、拙速は避けて、まぁ余裕で行くことにいたしましょう。

 ところで、私のもとにもようやく『古代文化』第58巻第Ⅱ号「特輯:弥生社会のの群像-高地性集落の実態-」が届き、編集委員就任を依頼する書面が同封されていました。
 再刊第Ⅰ号は変則的にⅡ号の後に刊行されることになってしまいましたが、その巻頭を飾る記念すべき論文は、
      佐伯智広「一条能保と鎌倉初期公武関係」
であります。刊行が待たれます。
 
 ☆ いよいよ冬休み直前、すでに本日からオーストラリア長期遠征というメンバーもおられますが、時節柄、くれぐれも御自愛の上、御活躍下さい。

同志社大学の受講生のみなさんへ

No.5382

 「文化史特論(2)」の前回講義終了時に、次回(22日)の講義では、第6回目に予定していてとばしてしまった「慈光寺本『承久記』に描かれた承久の乱」にかえて、北条氏の話をすると申し上げましたが、再度変更して「中世前期における武士と神社」というテーマでお話しすることにします。ご了承下さい。
 なお、来年授業再開後の講義(第12回)は、予定通り「東国武士団の西遷・北遷と日本文化」のテーマで行うつもりです。

 ☆ 当ゼミメンバーの4回生は、全員あと1~3日で卒論提出です。すでに余裕か、はたまた修羅場か?やはり、心配です。

卒論お疲れ様&御高著・御高論拝受

No.5384

 上の告知をまだ御覧になっていない受講生がおられるといけないので、ここに書き込ませていただきました。

 本日は京都女子大学4回生のゼミメンバーにとっては卒論の提出日。さすがに、提出を済ませて研究室に報告に来てくれたメンバーは疲労と睡眠不足がありありとしていました。一様に、提出論文が満足のいくものでなかったことを悔やんでおられましたが、それで良し。この経験を次に活かしてください。ひとまず、ゆっくり御休息を。
 ちなみに、後輩たちのことが心配で(?)、わざわざ吉田山の麓から駆けつけてくれた先輩一名あり。
 なお、明後日が提出日という方もおられます。もう一息!!

 本日、2冊の御高著と御高論一編を拝受いたしました。

 ☆ 神奈川県立金沢文庫の永井晋先生より、御高著『金沢北条氏の研究』(八木書店)を御恵送いただきました。鎌倉時代後期の政治と文化を論じた大著。内容に見合った豪華で素晴らしい装丁に驚かされました。
 研究室にも配架の予定。『吾妻鏡』講読会出席者は、この御本で大いに勉強していただきたいと思います。

 ☆ すでに御紹介したことのある「ミュージアム知覧」の開館に獅子奮迅の活躍をされ、現在は各地の博物館・美術館の計画・設計・製作のお仕事をされている、オフィス・フィールドノート代表の砂田光紀先生から、御高著『九州遺産 近現代遺産編101』(監修:国土交通省九州運輸局 九州産業・生活遺産調査委員会、発行:弦書房)を御恵送いただきました。
 知られざる、しかしとても興味深い九州近代の歴史遺産のカラー写真が満載。その紹介文は、さすがに素晴らしい博物館展示を企画されている砂田さんならではのものがあります。博物館学芸員志望の学生さんにお薦めします。

 ☆ 室町期を中心に内裏空間や路頭の秩序に関する優れた研究を発表されている慶應大学大学院生の桃崎有一郎さんから、史料紹介「『経嗣公記抄』(荒暦)永徳三年春記-翻刻と解題-」(『年報三田中世史研究』13)を御恵送いただきました。歴博所蔵の広橋家旧蔵本の紹介。学界に裨益するところ多大なことと思います。

 永井先生・砂田先生・桃崎さんに、あつく御礼を申し上げます。

大学教員の研修、義務化

No.5377

一瞬、目を疑った。4月1日にはまだ早いし。

今朝の新聞(朝日)の2面に、

「大学教員の研修 義務化 授業に不満の学生多く」という記事が出ている。

「文部科学省は、すべての大学や短大に対し、教員の教育能力を向上させるための研修を義務づける。授業に不満を持つ学生が多いためで、中央教育審議会(中教審)の部会でこの方針が了承された。」などとある。

 いやいや、研究のための研修義務化のことか、と思いかえした。サバテイカルなどの期間を確保して、研究の質を高め、それを教育に反映させるというのならば、わかる。しかし、記事を読む限り「教育力」に限定された「研修」のようなのである。つまり、授業テクニックのことらしい。そんなこと、だれが「指導」できるんだろうか。大学生の質が大きく変化し、しかも文科省が「黙認」していた高校での「未履修」が発覚し、その対応に各教員は、いろいろと頭をしぼり、話をしているのである。対策を考えているのである。そういうときに、どこか「研修所」にでもいけば、教員の教育能力が高まる、とか、何か特効薬でもあるかのような話は、信じがたい。この記事の内容が不十分、あるいは誤解しているのかもしれない。

 とにかく、それほど大きな記事ではないのだが、今後の日本の大学のありかたに、大問題が出現した、という危機感をいま持っています。どなたか、正確な情報を知らないでしょうか。とにかく、びっくりしています。

Re: 大学教員の研修、義務化

No.5378

 あまり、びっくりしたので、なにも調べずに書き込んだのですが、
すでに、10月の頃には、その情報が流れていたのですね。全く知りませんでした。
毎日新聞には10月に出ていたようです。

http://kaz055.noblog.net/blog/10256781.html

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20061021dde001040007000c.html

「即戦力」求める経済界の要請だそうですが、そこまで大学を知らないとは。
以下の意見に賛成です。

http://blog.tatsuru.com/archives/001962.php

Re: 大学教員の研修、義務化

No.5379

気になることなので、ゆっくり毎日新聞の10月の記事も読みかえしているのですが、
「FD活動の義務化」ということではないでしょうか。
ほとんどの大学ですでに「FD活動」をやっていますし、やっていない大学はむしろ少数でしょう。やっていない大学に、必ずやれよ、ということかもしれない。「FD」というと特別なことのようだが、ようは学生に何をどう教えるのかを、教員間で話し合う場、である。それをやるのは、教育機関である以上、あたりまえなのである。それを新聞記事を書いている記者が、よくわかっていない、勉強不足なのではないか。実は、今回の朝日の記事よりも、10月の毎日の方が、少しましな記事なのです。

「しかし、各大学で現在行われているFDの内容は講演会の開催や研修会、授業内容の検討会など座学中心で、実効性や効果を疑問視する声もある。また07年度に大学・短大の志願者数と定員数が同じになる大学全入時代を控え、経済界には「企業で戦力として使える人材となるように教育してほしい」と、大学教育の充実を求める声も強い。今後、具体的な研修内容は中教審で審議されるが、各大学ごとに建学の精神や求められる教員像が異なっており、「統一のガイドライン作成は慎重にすべきだ」という声もある。一方、大学院は既にFDが努力義務規定から義務規定に改正され、来年4月から義務化される。」という部分が毎日にはあるのですが、朝日の記事にはこの部分に相当するところが存在しない。

ほんとうの「大学」を目指す方たちへ

No.5380

 美川先生の書き込みに関連して、以前、京都女子大学の刊行物に掲載した拙文(新入生を主たる対象にして書いたものです)の一部を転載させていただきます。
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    『大学を楽しもう』

 私がここでお話ししたいことは、「大学を楽しもう」ということです。 なお、はじめにお断りしておきますが、「楽しむ」と「楽をする」とは別次元の問題で、「楽しむ」には主体的な意志と行動が必要です。

<大学で鬼を捜す>
 さて、もう半世紀近くも前のこと。私は父親から一冊の本をもらいました。『日本の歴史 ジュニア版』というシリーズの第一巻「国のはじまり」。本の箱の背中には○○大学教授◇△□×というように執筆者・編集委員の名前が列挙されており、子供心に、大昔のことを何でも知っている、こういう肩書きをもつ学者たちが、ある種の超能力者のように思えたものでした。
 数年前、朝日新聞の文化欄に日本中世史の研究者である黒田日出男さんが、こんなことを書かれていました。
 「学者の学者たるゆえんは鬼と見紛うような創造的な業を営むことに求められる。中世において、社会に対峙して人知を越える秘術を駆使した学者たちは「鬼」そのものであった。」
 少年時代の私の感想は、どうやら中世人の心性に通ずるものがあったようです。
 さて、黒田さんは、右のように述べた後に、
 「それは現代にも通じることで、大学とはまさに鬼の住処なのである。だから、大学に入る楽しみは、そうした鬼捜しに始まる。」
と続けておられたように記憶します。
 自分の興味のあるジャンルで、人知を越える秘術を操る鬼神のごとき先生(第一線の研究者)に巡り会えることが出来たなら、これは最高に楽しいに違いありません。皆さんも、鬼捜しに出かけませんか?

<生徒と学生>
 しかし、その前に鬼の住処である大学とはどんなところなのか、そこで行われる教育は高校などとどう違うのかということを、今一度考えて欲しいと思います。
 高校までの教育というのは、同じ情報を教師が一斉に生徒・児童に教え込むことが目的とされるものです。それに対して、大学における教育とは、研究者である教員がその個々の研究の成果を様々な方法で還元するものです。学生はそれを自らの意志で選択・享受するわけで、大学教育の本質とは自己教育というところにあるのだと思います。
 「生徒」(未成年)である高校生と「学生」(社会的に成人と認知された市民)である大学生の教育に対するスタンスは全く異なるのです。最近、自分のことを「生徒」と勘違いしている学生や、「学生」を生徒扱いしている(せざるをえない)教員が増えているのは、大学にとって憂慮すべき事態といえましょう。
 だから大学では、学生を高校のようには朝から晩まで拘束するようなことはせずに、自らの主体的な学習の自由が確保されるようにカリキュラムが組まれているのです。
 自由な時間に劇場や博物館・史跡に出掛けてみるのも良い(この点で、京都女子大学の立地は、日本一だと思います)。あるいは自分の関心のあるジャンルを専攻されている先生の研究室(他大学も含めて)を訪れてみるような(まさに鬼捜しですね)、ちょっと勇気のいる行動も試みるべきでしょう。会社訪問のようにリクルートスーツを用意する必要もないのですから。意志のある学生の訪問を、先生方はきっと笑顔で迎えてくれるはずです。

<大学院も選択肢に>
  とはいえ、大学が大衆化された今日、資格の取得や就職活動などで、なかなか主体的な学習の時間が確保しづらくなっていることも事実です。
 そうした現実が、好きなことに思い切りチャレンジしようと張り切って入学してきた学生たちの意欲を萎ませてしまっているのはとても残念なことです。
 皆さんの親の世代が大学生であった頃の専門教育は、今日ではその多くが大学院に移行していますから、大学院への進学を視野に入れることを考えてみてもよいのではないでしょうか。最近、大学院に入ってから、めきめきと実力を発揮し始めた人をよく目にします。入学の際に渡された二葉憲香『親鸞 仏教無我伝承の実現』を開いてみて下さい。そこには、二葉先生の人間と学問との関係についての深い理解が、簡潔に示されていると思います。
 学問とは、わかっていないことを理性によっていろいろ勉強をしていくこと。そして、人間にはわからないことを少しでも分からせていただく、そういう能力が与えられおり、それを進めて行けば行くほど人間の知識の限界が明らかにされるというのです。
 人には、生まれながらにして自ずから学問を志さしめる働きが与えられている。だから、学問は尽きることのない楽しみを与えてくれるものなのでしょう。

 大学は学問を「楽しむ」ための総合施設です。ディズニーランドやUSJばかりが、「楽しい」ところだと思ってはいけません。お金を払えば誰にでも与えられる楽しさよりも自分の意志で得た楽しさの方がずっと素晴らしいに決まっています。

Re: 大学教員の研修、義務化

No.5381

美川です。
何人かの方の話を聞いて、だんだん事情がわかってきました。

来春改正の大学院設置基準に、
第十四条の三 大学院は、当該大学院の授業及び研究指導の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする。
という条項があるのですが(この改正の話も今まで迂闊にも知らなかった)、

現在の大学設置基準である、
(教育内容等の改善のための組織的な研修等)
第二十五条の二 大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究の実施に努めなければならない。

という文末を、大学院と同様に「実施するものとする。」とするのではないかという説が有力です。つまり「大学の教育内容等の改善のための組織的な研修等」=FD活動が努力目標から義務に変わる可能性が高いということです。

 そして、そこからが重要ですが、
文科省は、新聞記者に、つまりそれが何を意味するか、ということをレクチャーし、その結果が10月の毎日や今回の朝日に掲載された可能性が高い。ですから、私の新聞記者の誤解・暴走説は成立しそうもありません。つまり、設置基準の改正の意図は、新聞記事の内容であるということです。
 
 まだ中教審の結果が公表されていないので、これから注意深く見守ろうと思います。

http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w0020949001.html
http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w0020950001.html

武蔵武士と寺院

No.5374

 畠山重忠の居館「菅谷館」跡に建つ埼玉県立嵐山史跡の博物館(〒355-0221 埼玉県比企郡嵐山町大字菅谷757 TEL 0493-62-5652  FAX 0493-61-1060)で、『武蔵武士と寺院』という企画展が開催されているとのことです。以下、同館HPより。
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期 間 平成18年12月9日(土)~平成19年3月4日(日)

内  容 比企氏、吉見氏、大串氏……鎌倉幕府を支え、活躍した武蔵武士の
      本拠地はどこか? 現在に残る中世寺院跡やそれらにまつわる伝承、
      発掘された中世遺跡、板碑等のさまざまな文化財を通して探ります。  

関連イベント
         1.記念講演会と説経節上演
            平成19年1月13日(土)13時~16時
            国立女性教育会館講堂(定員400名・申込順)
             講演「大蔵合戦と武蔵武士」都立大学名誉教授 峰岸純夫氏
             説経節「親子対面矢取りの場~小栗判官実道記より」横瀬人形芝居保存会
         2.シンポジウム「武蔵武士と寺院」
             平成19年1月14日(日)9時30分~16時
             国立女性教育会館講堂(定員400名・申込順)
         3.埼玉県郷土文化会講演会
             平成19年2月18日(日)10時~15時
             嵐山史跡の博物館講座室(定員100名・申込順)

     申込方法:1.2.は12月12日(火)午前9時から電話又はFAXで受付
            3.は1月23日(火)午前9時から電話又はFAXで受付
            電話 0493-62-5652 FAX 0493-61-1060
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    詳細ならびに行かれる方は、あらためてhttp://www.ksky.ne.jp/~ranzansi/で御確認下さい。

 ☆ 東海大学の落合義明先生より、御高論「中世武蔵国の「都市的な場」と禅宗寺院-河越荘を中心として-」(『年報都市史研究』14)・「都市鎌倉の寺社修造事業」(速水侑『日本社会における仏と神』吉川弘文館)を御恵送いただきました。
 上記、企画展の開催についてお知らせいただいたこともあわせて、落合先生にあつく御礼を申し上げます。