「古本まつり」のご案内

No.5181

向寒のみぎり、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。臨川の薗田です。
告知が遅くなってしまったのですが、本日(11月1日)より11月5日まで、
百万遍知恩寺にて「秋の古本まつり」を開催しております(小社も出店しております)。
お品についてはリサーチ不足で恐縮なのですが、初日はすごい人出だったと聞いております。
うち2日程度は店番に入っておりますので、お気軽にいらしてください。

Re: 「古本まつり」のご案内

No.5183

 百万遍の「古本まつり」では、2年ほど前でしたか、格安な『平安時代史事典』を見つけた山岡さんが、ケータイ一本で研究費での購入を決めてくれたことがございましたね。
 あの手腕が「今日」につながっているのだと思います。目下、この『平安時代史事典』がゼミの史料講読会などで大活躍していることは御存知の通りです。

 というわけですから、ゼミのみなさん。本年度、ゼミナール助成金の方でも書籍購入の予算はまだのこっておりますから、もし必要な本が見つかりましたら御連絡下さい。

 >薗田さん 宇治の共同研究などに役に立ちそうなお薦めの本がございましたら、ぜひお知らせ下さい。

☆★☆ 三重県の斎宮歴史博物館 平成18年度特別展「斎王のおひざもと」(11月23日まで)の招待券が2枚あります。必要な方は野口までお申し出下さい。

07年度研究所研究員の内定について

No.5180

 本日開催された京都女子大学宗教・文化研究所運営委員会において、来年度の共同研究として「「権門都市」宇治の成立 (中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅱ)」(研究代表者:野口)が承認されました。

 それにともない、この共同研究の「研究協力者」である下記の方々は、「京都女子大学宗教・文化研究所規則」第6条第2項の規定により、来年度の当研究所研究員として活動していただくことに内定いたしました。当該条には「研究員は研究所の調査研究に従事し、その研究成果を機関誌等に発表するものとする」とあります。
 研究遂行上の経済的裏付けがきわめて少なくて恐縮なのですが、よろしくお願い申し上げます。

  佐伯智広,岩田慎平,佐藤英子,長村祥知,辻浩和,坂口太郎,樋口健太郎,
  田中裕紀,雨野弥生,大原瞳,鈴木潤,永富絵里子(敬称略)

 なお、運営委員会において、当「HPの活用」が来年度の研究所ゼミナール活動の一環として承認されたことも付け加えておきます。
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 ☆ 昨日、滋賀県野洲市の写真家八田正文先生より、先生の御編著にかかる『八田正文&さんさん会 写真集 近江富士まんだら』(サンライズ出版)を御恵送いただきました。
 八田先生は近江富士=三上山の写真を撮り続けておられる方で、拙著『伝説の将軍 藤原秀郷』(147頁)にも、その一点を使わせていただきました。先生との幸運な出会いについては同書「あとがき」を御覧下さい。
 先生の写真には必ず撮影位置・三上山の方位が明示されていますので、芸術作品であるばかりか歴史地理の資料としても活用できます。
  八田先生にあつくお礼を申し上げます。
 
  ちなみに、八田先生の「近江富士」HP→http://omfuji.jp/

京都文化博物館歴史展示の見学について

No.5177

 キャンパスプラザで開講中の大学コンソーシアム京都提供科目「中世前期の京都」では、毎年講義のうち一回を京都文化博物館常設歴史展示の見学にあてていますが、今年度は来週7日に実施いたします。

 日時:11月7日(火)10:50~12:20
 集合場所:京都文化博物館本館エントランス(高倉通り側)
 入館料:大学生400円
 遅れた場合は2階の歴史展示室においでください。

 ※ 集合場所について掲示用の案内でエントランスを本館西側としましたが、東側の誤りです。

 >大谷大学の西田君   卒論執筆に役立つと思われる市沢哲先生の論文は以下のとおりです。
               ぜひ読んでみて下さい。

  ① 「『梅松論』における建武三年足利尊氏西走の位置-もうひとつの多々良浜合戦・湊川合戦-」
    (『神戸大学史学年報』16,2001年)

  ② 「『難太平記』二つの歴史的射程-室町初期の『平家物語』を考えるために-」
    (『文学』3-4,2002年) 

次回の吾妻鏡

No.5176

 本日は吾妻鏡の講読(やや時間を超過してすみませんでした)の後、卒論準備報告会が行われました。準備報告をしていただきました山岡さん、お忙しいなかお集まりいただきいろいろとご意見を出してくださった参加者のみなさんも、ありがとうございました。

 さて次回の吾妻鏡は以下の通り予定しております。
  時間:11月6日(月)15:30~(予定)
  場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
  範囲:承久元年七月十九日条、七月二十五日条、七月二十八日条、九月二十二日条、十月二十日条、十二月二十四日条、

 参加者してくださるみなさんが概ね卒論を抱えておられますが、ぼちぼち読んでまいりましょう。メンバー随時募集中ですので、まずは見学からでもお気軽にご参加下さい。

ありがとうございました。

山岡 瞳
No.5178

昨日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。
この先どう話を進めていこうかと悩んでいましたが、今回報告を聞いていただいたことで、方向性が見えてきました。
提出まで時間がありませんが、少しでもいいものになるように頑張ります!!

さすがに「晴着より『玉葉』」。

No.5179

 書き込むのが遅くなりましたが、昨日の山岡さんの発表内容は、卒論の準備報告というには非常にレベルの高いもので、武士論の制度史的研究の欠落を埋めるものとして高く評価でき、学会誌に研究ノートの形で掲載されてもおかしくない内容だったと思います。

 山岡さんが取り上げたテーマについては、私も「東国武士と中央権力」(『中世東国武士団の研究』)・「後白河院と清和源氏」(古代學協会編『後白河院』)などで少しばかり考えてみたことがありますが、ここまでやれるとは立派です。史料の博捜といい、ほとんどゼロからたった3年でここまで出来るのですから、若い人のパワーというのはおそろしいものだと思いました。
 ほんとうに、ほんの少し前までは「ハプスブルク家に関心がある」とか、「日本史よりも東洋史コースを選ぶとか」仰っていたのですからね(笑)。

 それにしても、卒論報告の開始時間の18時を期していたかのように、山岡さんが来春から所属する元木先生の研究室のお兄さんたち(DC三兄弟)がドヤドヤと集結されたのには驚きました。ほんとうに妹思いの優しいお兄さんたちですね(笑)。

 「晴着より『玉葉』」とは、山岡さんにとって、これからの人生そのものの「選択」だったのかも知れません。 

 ところで、『吾妻鏡』の方ですが、承久元年三月九日条に、院から地頭職改補の要求が出されたとある「摂津国長江・倉橋両庄地頭職」のうち、倉橋庄は除外されるべきことが明らかであり、これは『吾妻鏡』と流布本『承久記』の史料的限界と両者の編纂(著)者の政治的基盤の共通性を示すものといえそうです(小山靖憲「椋橋荘と承久の乱」『市史研究とよなか』1,1991年 参照)。この点については承久三年五月十九日条(ここを読むときは、ぜひ長村君にお出まし頂きたいものですね)の有名な政子の演説のところで、また考えてみましょう。

 岩田君、『吾妻鏡』講読会、今後ともよろしくお願い申しあげます。 

東北大シンポ・衣川遺跡群・骨寺荘園遺跡

No.5174

 27日から東北に出掛けておりましたが、昨晩遅く帰洛いたしました。
 仙台到着の際には柳原敏昭先生・佐倉由泰先生にお出迎えを頂いたのをはじめ、すべてに御親切な対応をしていただいて、私にとっては日ごろの非礼を反省させられることしきりの三日間でした。

 28日は、東北大学大学院文学研究科 東北文化研究室の企画による東北文化公開講演会(公開シンポジウム)「東北像再考:地域へのまなざし、地域からのまなざし」において、柳原先生の御報告「東北と琉球弧―島尾敏雄「ヤポネシア論」の視界―」のコメンテーターをさせていただきました。精緻な御報告に対する雑駁なコメントというのが大方の御感想だったのではないでしょうか。
 ほかに二つの報告と、それに対するコメントがあり、その後、佐倉先生の司会のもとに全体の討論が行われ、おおいにに蒙を啓かせていただきました。
 なお、会場では大学院生の渡邉俊さんから、御高論「使庁と没官領」(『日本歴史』681)・「平安期使庁における追放と財産刑の形成」(『年報中世史研究』29)を拝受。ありがとうございました。
 シンポジウム終了後の懇親会では、多くの先生方とお話をする機会をえることができましたが、とりわけ、『歴史評論』649(特集 日本中世王権論の世界)に「源頼朝のイメージと王権」という拙文を書いたときに、御研究から大いに学ばせていただいた佐藤弘夫先生と、しばし歓談の時間をもてたのは大きな幸いでした。

 翌29日は、柳原先生のRV車で東北自動車道を北上。現地でお迎えいただいた平泉町世界遺産推進室の八重樫忠郎先生の懇切な御案内で「衣川遺跡群」と「骨寺村荘園遺跡」を見学。とても充実した一日を過ごすことが出来ました。

 ちなみに、「骨寺」見学の後、休憩に立ち寄った「ポラーノ」という地元で大人気のアイスクリーム屋さんでは、かつて東京からお出でになったある日本中世史研究者がダブルのアイスクリームを2つ(要するに4人分)をぺろりと平らげられたとのことで、東西を問わず、優れた研究者というのは胃腸もとびきり頑丈に出来ているのだと、またしても再確認させられた次第です(旅行中、食事のたびに胃腸薬のお世話になっていた私には、ここのアイスクリームはシングル一つでも食べ終わるのが大変でした)。

 それにいたしましても、八重樫先生には貴重なお時間を割いていただいたばかりか、昼食の時間に、わざわざ仕事場まで資料を取りに行っていただくなど、本当に懇切な御案内をいただきました。三日間、いろいろお気遣いをしてくださった柳原先生ともども厚く御礼を申し上げます。

 さて、これから出張報告書を書かなければならないのですが、ゼミの方は、本日の午後には『吾妻鏡』講読会、ついで山岡さんの卒論中間報告会と続きます。

 >岩田君  留守中、ありがとうございました。 

日本古文書学会見学会のご案内

元木泰雄
No.5172

 11月に日本古文書学会の見学会が関西で二回計画されております。
 繰り返しになりますが、ご案内を掲示いたします。

・11月12日和歌山県立博物館
 まず、11月12日、日曜日に和歌山県立博物館で「熊野・那智山の歴史と文化―那智大滝と信仰のかたち―」展を参観し、『那智大社文書』『那智廊之坊文書』などを見学させていただく予定です。時間は15時から17時の予定です。
 すでに詳細は書き込みましたし、野口先生にもご案内を再掲していただいておりますので御確認ください。参加希望の方は、今月中に元木研究室あてに葉書をお送りいただくか、メールでご連絡ください。

・11月18日土曜 醍醐寺霊宝館
 ↓5150でも少し触れましたが、永村真先生のご尽力で、醍醐寺霊宝館でも見学会を開催致ます。詳しい内容は以下の通りです。

 日時 11月18日 10時から12時
 会場 醍醐寺霊宝館
 参加費 300円
 集合 醍醐寺霊宝館前 受付は9時45分から
 見学内容 「修験道と醍醐寺―山に祈り里に祈る」
    『醍醐雑事記』『醍醐寺新要録』「役行者及八大童子像」その他、HPで確認してください。
www.daigoji.or.jp/index3.html
 以下、HPの解説のさわりを引用しておきます。
                   ☆  ★
 醍醐寺霊宝館(だいごじれいほうかん)の秋期特別公開「世界遺産醍醐寺展」の今回のテーマは、「修験道(しゅげんどう)と醍醐寺-山に祈り、里に祈る-」。

 醍醐寺に伝わる宝物の中から修験道ゆかりのものを中心に、132点(うち国宝5点、重文77点)を展示する。
 特に、7年ぶりに公開される未指定の絵画「役行者及八大童子像(えんのぎょうじゃおよびはちだいどうじぞう)」をはじめ、初公開の修験(山伏)関係の書跡・古文書(こもんじょ)、装束(しょうぞく)や道具類など、修験道ゆかりの品々85点(うち重文51点)が含まれており、これだけのものを一堂に展示するのは醍醐寺では初めてのこと。
 また、今年の春に修理を終えて4年ぶりに公開する国宝『文殊渡海図(もんじゅとかいず)』(期間10月1日~11月6日)や、国宝『訶梨帝母像(かりていもぞう)』(期間11月7日~12月3日)など、日本の密教美術を代表する絵画も特別陳列される。
                   ★  ☆

 解説は以上です。
 見学会参加希望者は、葉書に参加希望の旨を記し、住所、氏名、会員・非会員の別を記入して以下までお送りください。
 
 〒141-8602
 東京都品川区大崎4-2-16
 立正大学文学部 北村研究室内 日本古文書学会事務局宛

 12日の見学会と申し込み先が異なりますので、ご注意ください。
 申し込みは、11月4日までにお願いします。

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 ついでに私用の書き込みです。
 美川先生、ご出版おめでとうございます。これで、院政の実態が一般の方々にも明快に理解されると思います。皇国史観に規定された院政の否定、あるいは忌避のような通俗理解が払拭され、去年のドラマのような後白河(というより丹後局か)が二度と登場しないことを祈ります。
 
 野口先生、25日はつたない報告で申し訳なく存じます。過分の御評価を賜り、面映い限りです。実を申すと、今度の義経論の副産物です。刊行の暁には、厳しい御批判をお願い申し上げます。
 
 花田君、書き込み有難うございました。やはり阿蘇山の景色は今ひとつでしたか。
 でも、充実した調査旅行だったようで、何よりです。
 常に新しいご研究に取り組まれる大山先生の御姿勢を見習いたいと存じます。

Re: 日本古文書学会見学会のご案内

No.5173

>元木先生
 古文書学会のご案内、ありがとうございます。貴重な機会にしっかり勉強させて頂きたいと思います。秋の和歌山に醍醐は、文書のほかにもいろいろとたくさんの見どころもありそうですね。

 ところで本日は日本史研究会大会の一日目でした。書籍販売コーナーでは、当掲示板5051で佐伯さんからご案内があった『平安時代史事典 CD-ROM版』のデモも行われており、さっそくその場でお会いした坂口くん・山岡さんとともにいろいろな検索を試してみました。こりゃ便利です。みなさまも是非会場にてお試しあれ。しかし、価格88200円(税込)・・・。
 余談ですが、このお二人が頻りに感心しているのをみて「宣伝効果」という言葉が思い浮かびました。
http://www.kadokawa.co.jp/game/bk_search.php?pcd=200604000160

※地球温暖化という書き込みを頂きましたが、当掲示板はハンドルネームによる投稿は遠慮していただいておりますので削除させていただきました。御了承下さい。

卒論報告会&虎の穴打ち止め。

No.5168

佐伯です。
まず、古文書読み虎の穴ですが、さしあたって今日でいったん打ち止めとなりました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
4回生の皆さんは、ここからは卒論一本に励んで下さいませ。

それで、すでに来週月曜日には、山岡さんの卒論準備報告会が決まっております。
確認のために再掲です。
日時:10月30日(月)18時から(吾妻鏡講読会終了後)
場所:L校舎3F 宗教・文化研究所共同研究室
テーマ:「女院と武士」(仮)

そして、今日新たに、前回延期になった伊藤さんの卒論準備報告会の日程が決まりました。
山岡さんの二週間後の同じ時間帯です。
日時:11月13日(月)18時から
場所:L校舎3F 宗教・文化研究所共同研究室
(テーマは伊藤さんがレスをつけて下さいませ)

というわけで、先輩・後輩・同期のみなさま、ここぞとばかりにぜひぜひご参集下さい。

卒論準備報告

伊藤明日香
No.5170

こんにちは、伊藤です

佐伯さんの書き込みの通り、上記の日程で卒論準備報告をさせていただきます。
テーマは「曽我物語享受考ー近世前期を中心としてー」です。
近世前期、曽我物語は人々にどのようにとらえられていたのか、曽我物を中心に考察します。
この機会に、貴重なご意見など賜れましたら幸いでございます。
皆様、お忙しいことと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

美川圭『院政』(中公新書)ついに刊行!

No.5167

 今朝、新聞を取ろうと郵便受けを開けると、中央公論新社から美川先生の新著が届いておりました。

 『院政 もうひとつの天皇制』定価861円(本体820円)です。

 出版社の宣伝用のコピーをそのまま引用させていただきますと、「退位した天皇が権力を持ったのはなぜか。古代から中世まで、壮大なスケールで日本政治史を見渡す試み」・・・という本です。

 第一章 摂関期までの上皇    第二章 院政の開始   第三章 院政の構造
 第四章 白河院政から鳥羽院政へ  第五章 保元・平治の乱から後白河院政へ
 第六章 後白河院政と武家政権  第七章 後鳥羽院と承久の乱  第八章 鎌倉後期の院政

 という章立てで、「院政」を視座に中世前期の政治史が興味深く語られています。鎌倉時代に力点が置かれており、美川先生の御研究の真骨頂が分かりやすく示されています。
 ゼミメンバーの多くは早くも入手済みのようですが、広く、御購読をおすすめする次第です。

 なお、学会誌から依頼された書評執筆の締切を守れない私が申し上げるのは実に気の引けるところですが、来春刊行予定の元木先生の新著(歴史文化ライブラリーの一冊)が世に出た後、この美川先生の御本と併せて公開の「書評会」を企画したいと考えております。昨年『保元・平治の乱を読みなおす』の書評会を実施したのと同じ季節になることと思います。

>美川先生  御著書の御恵送、ありがとうございました。
       著者からの一言、お願いできれば幸いです。

Re: 美川圭『院政』(中公新書)ついに刊行!

No.5169

 美川です。野口先生の過分なご紹介のお言葉、痛み入ります。

 私が、この分野での重要な研究と考えている著作、論文の隙間に、自分の稚拙な旧説を張り込んだような一冊です。ですから、この本には私の新説部分はほとんどありません。研究者の方々には、ほとんど価値がないかも知れません。また、若い方々はここに書いてあることを乗り越えるように、ぜひよい研究をしてください。突破口はさまざまなところにあると思います。

 ということで、この本の目的は、日本中世政治史の水準を、ぜひ一般の読者に知っていただきたいということです。どなたかの主張とは異なり、平安時代から鎌倉時代の政治史は、けっして未開拓な分野ではない。私の旧説はたいしたことはないにせよ、この本の中核をなしている研究は一流のものだと思います。それこそ、去年の大河の義経とは隔絶した世界であり、あの稚拙なフィクションよりも、ここに描かれた歴史のほうがずっとおもしろいはずなのです。そのために、とにかく固有名詞にできるだけルビをふり、あるいは用語を説明し、といったことに力を注いだ(実際には編集者の並木さんがですが)本なのです。その点では少々誇ってもいいかと思っています。

 あと、これは自己満足なのですが、古代の太上天皇から、院政の終焉までを、ずっと見通すことができたことです。しかし、それはそれは長かった。執筆途中、何度か挫折しかかりました。1度目は保元の乱のところ。なんとか、元木先生の著作にすがりながら、よろよろと立ち上がり、さらに後白河の死前後で倒れました。そこで、上横手先生と故目崎徳衛先生の著作に助けていただきました。わたしの能力からすれば、ここらあたりが精一杯です。ごめんなさい。

 なお、拙著を読んでいてうんざりした方は、私の新しい映画評でもごらんください。終戦前後の昭和天皇をイッセー尾形が演じたロシア映画『太陽』お勧めです。

http://www.avis.ne.jp/~iwasaka/mikawacinema.htm

多田行綱に畿内武士の生き様を見た。

No.5166

 本日(25日)は、京大の研究会で元木先生の「多田行綱と義経の挙兵」という御報告をうかがい、これまで『平家物語』に依拠する部分の多かった行綱のイメージが一変させられました。
 私には、源平内乱期に於ける畿内武士(京武者層)の動向の背景が、今ひとつ不鮮明だったのですが、今日のお話でかなりスッキリし、また、研究の展望も広がってまいりました。いつも学問への意欲をかきたててくれる元木先生に感謝あるのみです。
 ちなみに、日曜日に鹿ヶ谷に行かれた方には、とりわけグッドタイミングなテーマだったと思います。
 次回は美川先生の御報告。これまた大いに楽しみです。
 実は美川先生のお仕事でビッグニュースがあるのですが、これは私の手許に「現物」が届いてからのお知らせと致しましょう。
 
 ところで、以前、元木先生が書き込まれた11月12日の古文書学会見学会について、以下に再掲いたします。参加希望者は元木先生まで(元木先生の研究室に所属しているメンバーに取り次いでもらえるでしょう)。
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 和歌山県立博物館での古文書学会見学会、11月12日日曜日、15時からとなりました。
 見学2時間、閉館後希望者のみ、1時間ばかり熟覧時間を設定していただけるとのことです。
 15時までの間、近世美術の講演もあるとのことです。
 また、史跡めぐりも可能かと思います。すぐとなりの和歌山城が一番ポピュラーでしょうね。
 あのあたりで中世の史跡となると、少し東に離れた根来寺、粉河寺、下津の長保寺、箕島の常楽寺、そして湯浅の明恵関係史跡でしょうか。
 朝早くに行って、車を借りればそのうちにいくつかを回ることもできそうですね。
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 ところで、以下は私事。
 京大から帰宅すると、ゼミメンバーもよく御存知の「書評」について原稿督促のメールが届いておりました。今年度は計画に目算の狂ってしまったことが多く、まったくお詫びのほかはありません。 

 ☆ 弘前大学の斉藤利男先生より、御高論「安倍・清原・平泉藤原氏の時代と北奧世界の変貌-奧大道・防御性集落と北奥の建郡-」(義江彰夫・入間田宣夫・斉藤利男編『十和田湖が語る古代北奥の謎』校倉書房)・「北方世界のなかの平泉・衣川-日本史における「北」の可能性-」(『歴史評論』678)を御恵送いただきました。
 29日に衣川遺跡群を見学する予定ですので、事前にしっかり拝読させていただきたいと存じます。
 斉藤先生にあつく御礼を申し上げる次第です。 

随分ご無沙汰してしまいました。

花田卓司
No.5163

 野口先生、宗教文化研究所ゼミの皆様、お久しぶりです。立命館大学の花田卓司です。
 古文書学会は何とか無事に終えることができました。杉橋先生、元木先生をはじめ、長村君や坂口君など多くの方々から励ましの言葉を頂き、緊張していないつもりでしたが、壇上に上がってから緊張してしまい、声が裏返らないようにすることで精一杯でした。今後益々精進して参ります。

 久しぶりに掲示板を拝見しましたところ、元木先生から阿蘇見学の様子をお尋ね頂いているようなので、ご報告させて頂きます。10月16日の阿蘇文書見学会終了後、お昼から阿蘇へ向かいました。大山喬平先生、熊本大学の春田直紀先生、京都光華女子大学の野田泰三先生をはじめ、総勢9名での調査旅行となりました。
 初日は熊本県立美術館→大観峰(遠見ヶ鼻)→湯浦八幡宮→内牧→西小園→宿泊というルートでした。大観峰では、きれいな景色を期待しておりましたが、やはり霞がかっていてあまり良く見えなかったのが残念でした。ただ、眼下に湯浦郷を見下ろす風景は壮観でした。湯浦八幡宮の見学後、民家の玄関に「内牧手長絵図」という宝暦三年(1753)に作成された絵図が掲げてあるとのことで、春田先生のご紹介で拝見させて頂くことができました。続いて西小園公民館にて地元の方々に聞き取り調査をさせて頂き、公民館付近の西小園神社・西小園不動堂などを見学し、日没後、西巌殿寺付近の宿坊に宿泊しました。
 二日目は朝8時に宿坊を出発、西巌殿寺→小野田→霜宮神社→阿蘇神社→北宮国造神社→宿泊でした。西巌殿寺で熊本大学の学生の方々が合流し、ともに西巌殿寺文書を拝見しました。やはりガラス越しではなく、間近に文書を見られるというのは幸せだと感じた次第です。その後小野田の公民館にて再び地元の方々への聞き取り調査を行い、昼食後に阿蘇神社を見学しました。阿蘇神社では宝物管理をしておられる池浦秀隆さんが、阿蘇神社および阿蘇文書の解説をして下さり、その後神社付近(車での移動もありましたが)の見学・現地調査をしました。夕刻、国造神社に行き、日没直前に小国郷の満願寺温泉に到着・宿泊しました。
 三日目は8時に宿を出発、満願寺と北条時定以下北条氏三代の墓を見た後、菊池へ出て菊池氏墓所・菊池氏居館跡などを見学し、昼食後に解散となりました。
 三日間にわたる現地見学・調査は、私の頭では消化しきれない程の充実ぶりで、史料や地図だけではイメージできないような、多くのことを学ぶことができました。特に現地の方々は、圃場整備以前の様子や水田の水がかり、祭祀に関することなど、大変親切に教えて下さいました。また、何より大山先生が終始張り切っておられたのが印象的でした。おそらく今回の調査旅行で最も長い距離を歩いたのは大山先生ではないかと思います。相当お疲れのはずなのに、夕食時には当日見学した場所や史料、更には大山先生の中世村落に対するお考えを満面の笑顔でお話しして下さり、大変興味深かったです。春田先生のご紹介で宿泊させて頂いた旅館も素晴らしく、おいしい精進料理を食べ、温泉で疲れを癒すことができました。
 以上、簡略かつ拙い内容で申し訳ありませんが、阿蘇見学の報告をさせて頂きました。末尾ながら、ご多忙の折に今回の調査旅行を計画し、諸所で解説をして下さった上に車の運転までして下さった春田先生と野田先生、お世話になった湯浦の方々に心より感謝申し上げます。

 長々と失礼致しました。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

『源義経』を見ながら承久元年二月条を読む

No.5164

 花田君、ありがとうございました。実に有意義な旅行であったようで、羨ましい限りです。
 ぜひ、機会を見て京女の方でも御研究の成果を聴かせてください。

 さて、本日は『吾妻鏡』講読会。参加の諸姉兄、お疲れ様でした。元木先生から借用の『源義経』もみんなで視聴。
 例の如く軌道をはずれて、大いに盛り上がり、壇ノ浦合戦の場面では、シャンプーのCMを作る案、静の舞の場面では、源頼朝=○×君、大江広元=△□君というキャストでの鎌倉幕府構想(セリフ入り)などが提案されました(この幕府はどう考えても平家に滅ぼされるという結論でしたが・・・)。

 それから、来年度の公開講座懇親会の幹事はもう決まりました。祝着至極。

お久しぶりです、付、次回『吾妻鏡』

No.5165

 >花田くん お久しぶりです。古文書学会でのご活躍ぶりについては、すでに方々から聞き及んでおります。またお会いできる機会を楽しみにしております。

 さて、次回の『吾妻鏡』ですが、10/30(月)は山岡さんによる卒論中間報告会も開催されますので、時間はやや短めになると思います。
 次回『吾妻鏡』講読会は以下の通りです。
  時間:10月30日(月)15:30~(予定)
  場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
  範囲:建保七年(承久元年)閏二月十二日条、同二十八日条、同二十九日条、
     三月一日条、同九日条、同十一日条、同十二日条、同十五日条、

 範囲は以上の通りですが、いちおうその前後の条文にも目を通しておいていただけるとありがたいです。『吾妻鏡』講読会は“脱力系史料講読会”として毎週開催中です。メンバー随時募集中ですので、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加ください(とくに京都女子大学の学生さん求む)。

 また、同日の卒論中間発表会は以下の通りです(予定)。
  日時:10月30日(月)18:00~
  場所:L校舎3F 宗教・文化研究所共同研究室
  報告者:山岡瞳氏(テーマは、女院と武士に関係するものだそうです)