先達からの激励とアドバイス

No.9914

 ありがたいことに『紫苑』第11号をお読み下さった方たちから続々と御感想が寄せられていますが、その一つを御紹介。
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 岩田君の「武士論からみる中世前期・後期の分岐」は岩田君らしい優しさが感じられる。しかし、それでいて読み手を納得させる不思議な魅力ある文章だと思います。
 山本みなみさんの文は毎回意外性に富んでいて、話の切り口も鋭く、返り血も浴びない太刀筋で、「おぬし、なかなかやるな!」って感じです。次回は何を書くのだろうと楽しみです。
 滝沢智世さんの論文は上手くまとまっているのですが、なんとなく概説で終わってしまっているのがちょっと残念です。例えば、「「越後国人衆軍陣壁書」に関する一考察」とでも題して、壁書に名を連ねている国人の一人に光を当て、時代も鎌倉期まで遡り、生き残りの為の苦悩を跡付けてみるのも一案かもしれません。
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 ☆ 鶴見大学の平藤幸先生より、御高論「『平家物語略解』著者御橋悳言年譜稿」(『国文鶴見』47)ならびに御高論「藤原経宗の口伝-平家一門が学んだ公事・故実瞥見-」収載の小原仁編『「玉葉」を読む 九条兼実とその時代』(勉誠出版)を御恵送頂きました。
 平藤先生に、あつく御礼を申し上げます。
編集:2013/04/14(Sun) 00:12

新年度もがんばります-次回の『吾妻鏡』-

No.9915

 11号を迎えた『紫苑』も多くの方にお読みいただくことができてなによりと存じます。
 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2013年4月18日(木)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:承元三年(1209)十一月十四日・二十日・二十七日、十二月一日・十一日・十三日・十五日・十七日・十九日の各条
     承元四年(1210)正月一日、二月五日・十日・二十一日、三月十四日・二十二日、四月九日・十九日、五月六日・十一日・十四日・二十一日・二十五日、六月三日・十二日・十三日・二十日、七月八日・二十日、八月九日・十二日・十六日、九月十一日・十四日・三十日、十月十二日・十三日・十五日、十一月二十二日・二十三日・二十四日、十二月五日・二十一日の各条
     承元五年(建暦元年、1211)正月十日、閏正月九日、二月二十二日、三月十九日、四月二日・十三日・二十九日、五月四日・十日・十九日、六月七日・二十一日・二十六日、七月四日・十一日、九月十二日・十五日・二十二日、十月十三日・十九日・二十日・二十二日、十一月二日・三日・四日・二十日、十二月一日・十日・十七日・二十日・二十七日の各条

 4月も木曜の午後、18日・25日に開催予定です。

 『吾妻鏡』講読会は基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、春まっ盛りの季節に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

老いの身に負うもの重し春の夕

No.9913

 帰路、山科盆地で愛車を東に走らせながら、駄作を一句。

 昨日は「教養科目」の初授業。教室は満杯。最近は授業に出る前に履修登録をしてしまう学生が多いので、減る可能性は少ないとのこと。
 このところ、体調がすぐれないので一時間半の授業を立ちっぱなしでこなせるか心配でしたが、幸いにも、その心配は杞憂でした。体力的にはまだまだやれそうです。しかし、どうも気分的にさっぱりしません。授業後にとても充実した気分になれた時代もあったのですが・・・。ほんとうに、老いは負いだと思います。

 『吾妻鏡』の講読会は、時に雑談に花を咲かせながらも、毎回必ず、「これは使える」というような重要な記事を発見しています。かつて読んだことがあるのに、気がつかなかったのです。史料から事実を引き出すことの醍醐味はこういうところにあるようです。

 依頼されていた原稿をすっかり忘れていたの気づいて動転しているところに、別件の原稿依頼がありました。このところ、肝腎なことを忘れることが多い。昨夜、この掲示板に書き込もうとしていたことも忘れてしまい、思い出せません。しかし、昔はこうではなかったことは覚えています。

☆ 上横手雅敬先生より、御高論「『方丈記』管見」掲載の『學士會会報』第897号と先生が担当された京都新聞連載の「平家物語を読み解く」の33・41を御恵送頂きました。
 上横手先生に、あつく御礼を申し上げます。
 ちなみに、先般この掲示板で話題になった宇治と松殿家の関係については、上横手先生の御研究をしっかり学ばせて頂くことから勉強を始めなければならないでしょう。

☆ 鹿児島県歴史史料センター黎明館の林匡先生より、「「島津家由緒」と薩摩藩記録所-寛永から正徳期を中心に-」(『黎明館調査研究報告』第25集)を御恵送頂きました。
 林先生に、あつく御礼を申し上げます。

椅子が足りないほどの「基礎演習Ⅰ」開講

No.9911

 昨日の「基礎演習Ⅰ」。さすがに17名は多い。当初予定されていたJ304は狭すぎで、共同研究室への移動はやはり正解だったと思います。2回生の東城さん・東川さんにも参加してもらいましたが、これが新入生には一番役立ったのかも知れません。
 東城さん・東川さん、どうもありがとうございました。

 来週(16日)は年度はじめ恒例の大学周辺の史跡散歩。13:00に共同研究室に集合して下さい。資料配付の後、即出発します。
 ホテルの工事のために積翠園(平重盛の小松殿跡の苑池遺構?)を見られないのが残念ですが、代わりに河合寛次郎記念館周辺の町屋を見て、方広寺大仏殿跡→豊国神社→耳塚→国立博物館→三十三間堂→後白河天皇陵といったコースを予定しています。問題なのは所要時間です。Ⅳ講時に講義のある人には途中離脱をお願いするかも知れません。
 例によって、飛び入り参加も歓迎です。また、人数が多いので引率のお手伝いをしてくれる方も歓迎。
 好天を祈るのみ。

 佐伯真一先生から頂いたお手紙によると、青山学院大学文学部は今年度から全学年が青山キャンパスということになったので、たいへん賑やかであるとのことです。学部を卒業してからはや40年目。昔に戻りましたが、人同じからず。

 『坂東武士団と鎌倉』が校了となり、月末には刊行予定との情報があるとうかがいましたが、まだ私には直接の連絡は来ていません。平忠常の乱に関係する写真・地図を追加するに際して、そのチェックの依頼を頂いていたはずなのですが、その必要がなくなったので校了とされたのかも知れません。どんな本が出来上がってくるのでしょうか。

 研究所ゼミの史料講読会ですが、木曜日の午後が不都合だとか、『吾妻鏡』以外の史料を読みたいという方もおられるかも知れません。その場合は何人か仲間を集めて、時間について御相談下さい。漢文史料ではなく、『今昔物語集』や『平家物語』『愚管抄』などをじっくり読んでみるのも面白いかも知れませんね。

【追記】 古代学協会の2013年度古代学講座(前期)には、まだ定員に達していない講座もあるようです。     http://kodaigaku.org/study/koza-koenkai/kodaigaku-koza/2013/zenki/2013annai-zenki.html
  故・角田文衞先生の執務室が教室として使われているようですし、時間限定ながら協会所蔵の図書のある部屋を予習に使えるというメリットもあるとのことです。 

 ☆ 髙橋昌明先生より、御高論「高野山根本大塔領大田荘の始動と鑁阿の働き」(『学習院史学』51)を御恵送頂きました。
 高橋先生に、あつく御礼を申し上げます。
編集:2013/04/10(Wed) 23:20

桜の季節もいつしか過ぎ、葉桜の季節の『吾妻鏡』

No.9912

 ご案内が遅くなりまして申し訳ありませんが、明日も『吾妻鏡』講読会は開催致します。

 『吾妻鏡』講読会は基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、春まっ盛りの季節に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

 日時:2013年4月11日(木)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:承元三年(1209)十月十三日・十五日・十七日、十一月四日・五日・七日・八日・十四日・二十日・二十七日、十二月一日・十一日・十三日・十五日・十七日・十九日の各条
     承元四年(1210)正月一日、二月五日・十日・二十一日、三月十四日・二十二日、四月九日・十九日、五月六日・十一日・十四日・二十一日・二十五日、六月三日・十二日・十三日・二十日、七月八日・二十日、八月九日・十二日・十六日、九月十一日・十四日・三十日、十月十二日・十三日・十五日、十一月二十二日・二十三日・二十四日、十二月五日・二十一日の各条
     承元五年(建暦元年、1211)正月十日、閏正月九日、二月二十二日、三月十九日、四月二日・十三日・二十九日、五月四日・十日・十九日、六月七日・二十一日・二十六日、七月四日・十一日、九月十二日・十五日・二十二日、十月十三日・十九日・二十日・二十二日、十一月二日・三日・四日・二十日、十二月一日・十日・十七日・二十日・二十七日の各条

 4月も木曜の午後、11日・18日・25日に開催予定です。

 基礎演習Ⅰ&『吾妻鏡』講読会、そして『紫苑』11号の配付

No.9907

 昨日は現代社会学部新入生のガイダンスがあり、そこで今年度の基礎演習Ⅰのメンバーたちに初見参いたしました。総勢17名と大所帯。一回の授業で一報告というわけにはいかなくなりました。出身地は宮城県から宮崎県まで。でも、やはり滋賀・奈良などの関西圏の方が多いようです。一番近い人は京都の金閣寺の辺りから。もっとも、昨年度のメンバーには、自宅が大学と京都駅の間にあるという方もおられました。
 ちなみに、新一年生の諸姉、メール送信の件、お忘れなきようにお願い致します。

 ガイダンスに出ていたので、ゼミの史料講読会には30分ほど遅刻して参加。さっそく、『紫苑』11号と、その抜刷を配付。満田さんには、わざわざ受け取りに来て頂き、ありかどうございました。坂口君には郵送しましたが、入りきらなかったので、『紫苑』本誌はあと5部、追って進呈させていただきます。
 完璧を期したと思っていても、必ず見つかるのが校正漏れというやつです。すでに、2件を発見。後日、一括した正誤表をこの掲示板に載せるのも一案です。編集長の御判断にお任せいたします。

 すでに本誌を御覧下さった、ある著名な先生からは、「いつもながら力作がそろい、ゼミの充実ぶりが窺われた」、また「満田さんの労作、精緻な図面と相まって説得力があり、従来見落とされてきた御簾について、見直す必要を感じました」、あるいは「新鋭の池嶋、滝沢のお二人のデビューもお心強いことと思います」「常連の岩田、山本のお二人も小品ながら、鋭い切り込みで存在感を示したものと存じます」などといった嬉しい御感想を、頂いております。

 なお、ゼミ関係の皆さんやお世話になった方々で、お目にかかる機会の少ない方には、これから暇を見つけて順次発送させて頂きたいと存じます(結果的には一年がかりとなってしまうのではないかと思いますが)。

 また、管理人の鈴木君には例年の如く、HP上にアップロードして頂くようにお願い致しました。

 目下、スランプの上に新年度の諸用件が重なって執筆活動が停滞しており、各方面に御迷惑をおかけしていることと思いますが、しばし、御容赦の程、お願い申し上げます。

 【追記】
 ☆ 法政大学の古澤直人先生より、御高論「平治の乱における源義朝謀叛の動機形成-勲功賞と官爵問題を中心に-」(『経済史林』80-3)・「平治の乱における藤原信頼の謀叛-再評価と動機形成をめぐって-」(同 80-4)・「平治の乱の要因と12月9日事件の経緯について-河内祥輔氏の学説検討を手ががりにして-」(同)を御恵送頂きました。
 古澤先生に、あつく御礼を申し上げます。
編集:2013/04/06(Sat) 07:09

紫苑 11号アップロードしました。

No.9909

http://donkun.ath.cx/~sion/organ/
へ11号データをアップロードしました。

最近は、電子書籍端末も安くなっていますので、
電子化したデータで論文をたくさん端末に入れて、常に持ち歩く
というのも普通な使い方になっています。

縦書きの文献に対応していない(めくる方向が逆になってしまう)課題はありますが
調べたり読んだりするのは、だいぶ便利になってきました。


>野口先生
新入生ガイダンス関係が落ち着いたら、時間がとれそうですので
レーザープリンターの設定、もうしばらくお待ち下さい。申し訳ありません。

古い人間とお思いでしょうが・・・。

No.9910

 >鈴木君 お忙しい中、どうもありがとうございました。
  プリンターの方も、よろしくお願いいたします。

 これで、世界中の方が全号の『紫苑』を読めるようになったという訳ですね。おそろしい時代になったものでありますね。
 それこそ、世界各地の方々からの御批評・御感想をお待ち致します。ただし、日本語でお願い申し上げます。

 電子書籍ですが、私は「紙媒体」でないと頭に入りません。ペンや鉛筆で書き込んだり、付箋を貼ったりといった身体感覚が伴わないと、まったく達成感が得られません。そして、本物の日本史研究者は、毛筆で立派な文章が書けなければ様にならないと思っています。私の先生の世代は、みんなそれが出来て格好良かったです。

 日本史に限っての話ということになろうかと思いますが、論文を草稿の段階から、すべて手書きで書いたことのない人の文章というのは、どうも面白くないように思います。

 ☆ 熊本の工藤敬一先生より、御高論「竹崎季長を支えた長門守護代三井氏とその周辺」(『山口県史の窓』通史編中世)を御恵送頂きました。
 工藤先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 樋口州男先生より、「長門探題の滅亡と「タスキ」氏」(『豊北の歴史文化誌 和海藻』28)を御恵送頂きました。
 樋口先生にあつく御礼を申し上げます。

 期せずして、鎌倉時代末期の長門国の歴史を学ぶことが出来ました。

新年度第一回の史料講読会

No.9906

 明日(4日)のゼミ史料講読会ですが、私(野口)は現代社会学部新入生のガイダンスに出席するため、研究室に戻るのが15時を過ぎてしまうかも知れません。
 その場合は、共同研究室にて、岩田君・山本さんを中心に時間通り開始して頂くようにお願い致します。

 ☆ 鹿児島の江平望先生より、御高論「島津氏初代忠久の生涯-朝河貫一博士著『島津忠久の生ひ立ち』に接して-」(『南九州市薩南文化』5)を御恵送頂きました。
 江平先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 龍谷大学の吉田賢司先生より、御高論「武家編成の転換と南北朝動乱」(『日本史研究』606)を御恵送頂きました。
 吉田先生に、あつく御礼を申し上げます。

 【追記】 >>No.9885でお願いした経理補助の人材募集の件ですが、適切な方が見つかったそうです。御協力ありがとうございました。

 それから、明日のゼミでは、今年度のゼミ旅行などについても、御意見を頂ければと思います。

『紫苑』第11号は、すでに納品されています。

No.9905

 『紫苑』第11号、研究室に届いております。早くみたい人、早々に抜刷が必要な方は、本日中に研究室まで。公式には木曜日のゼミの時間に配布します。

小椋佳さんと大河ドラマ原案

美川圭
No.9899

 3月27日に神戸を出港し、商船三井客船のクルーズ船にっぽん丸で対馬に行ってきた。前に対馬に行ったのは、岸俊男先生の退官する年の秋の研究室旅行だから、もう30年ぐらい前だ。正確な年をよく覚えていないのだが、そのときは元木先生ともご一緒だった。とにかく、大変懐かしかった。不思議なことに日本船が対馬に寄港することは、非常に稀なことで、このにっぽん丸も初寄港だったようである。対馬は韓国人観光客だらけであった。

 それはともかく、このクルーズにはシンガーソングライターの小椋佳さんが乗船していて、出港の夜にコンサートが船内で開かれたのである。私はどうもフオーークソングが苦手で、その手のコンサートには行ったことがないが、さすがに小椋佳さんともなると、その曲のいくつかはカラオケのレパに入っている(ちなみに元木先生も「愛燦々」がレパであったはずである)。客船のコンサートは無料なので、試しに聴きに行った。コンサートは邦楽伴奏によるユニークなもので、琴と尺八の若い人、それに坂田美子さんという琵琶奏者が加わっていた。最大の聴きものが、小椋さんのつくった曲ではなく、意外なことにこの坂田さんと小椋さんの2人による琵琶連弾「平家物語」であった。あの、那須与一の扇の的の場面である。これがよかった。

 終演後、ふらっと船内のバーに立ち寄ると、運良く小椋さんがマネージャーと2人で飲んでおられたのである。普通のコンサートでこういうことはありえないが、300人程度の乗船客しかいない閉鎖空間なので、こういうことがよくおこるのである。私は、先ほどのコンサート、とくに琵琶の連弾がすばらしかったことのお礼を申し上げた。そして、小椋さんも、今回のこれが目玉で、楽譜も読めず楽器もできない自分が(これ自体意外だが)ずいぶん練習したことをお話になり、ついつい話がはずむことになった。考えてみれば、小椋さんは東大法学部を出られた後、長く第一勧業銀行(現みずほ銀行)に勤められていたわけだが、退職後東大の大学院に入学、哲学の修士号を受けられたインテリである。
 私が身分を明かすと、酔いもあって、「平家物語」から、歴史の話、さらに美空ひばりのLPを作ったときの逸話に及んだ。小椋さんに話によると、美空ほどの歌手になると、必ず作詞家と作曲家がレコーデイングに立ち会い、曲の不具合などをその場で修正するそうである。ところが、当時小椋さんは現役の銀行員であったためそれができなかった。ある日、美空が「あら、曲をつくった小椋さんという人は来ないのね」というので、誰かが「おつとめの方なので」と答えると、美空は「刑務所に入っているのね」ということで、あまりの世界の違いにびっくりしたそうである。
 そこで小椋さんが「大河ドラマの原案って、歴史の教授が書かれているんですよね」と言われるのである。私は「時代考証のことですか」と去年の高橋昌明・本郷和人両先生の顔を思い浮かべながら答えた。すると「いえいえ、そうではなくて、脚本家の元本、つまり原作にあたるもののことですよ。私、本郷の東大大学院に行っていたとき、哲学の教授から、飲んでいるとき、具体的にその先生のお名前を聞いたのですけれど。内緒だけどということでタイトルにも出てこない」と言われて、具体的な名前を挙げられた。それは、高橋・本郷先生ではなく、よく知られた某先生のお名前であった。「その方、中世が専門の筈ですが、最近の大河って中世は稀ですが」と答えると、「いやいや幕末ものでも、ここのところずっとその教授だという風に聞きましたが」というのです。まったく、小椋さんからこんな話を聞くとは思わなかった。小椋さんも、歴史学界では有名な話だと思っていたらしく、私が知らないのが怪訝そうであった。というよりも、この話は私だけが知らないのかも、とこちらが不安になったぐらいなのである。

謹賀新年度

No.9900

 当ゼミ古参メンバーの間で「4月1日の男」として畏れられている美川先生。この日には久方ぶりの御登場。嬉しい限りです。
 
 対馬・壱岐。私も刀伊の入寇や元寇の遺跡を訪ねて、レンタカーで走り回った記憶がございます。対馬では安徳天皇の墓なる史跡にも。

 ところで、今日は年度の初日。元日です。進学、就職、そして、同じお仕事であっても異動になった方も多いと思います。在学のみなさんは進級ですね。
 当ゼミの出身者にも、今日から出版社の正社員や公立高校の教諭としてスタートした方がおられます。同学の日本史研究者には、博物館や美術館から大学にうつる方がいらっしゃいますし、私の高校教員時代の年少の同僚の中には、とうとう校長になってしまった方もおられます。
 いろいろ感慨深く、思い尽きざるものがございますが、諸姉兄の新天地でのさらなる御活躍を祈念するばかりです。

 ☆ 昨年、公開講座で御講演を頂いた埼玉学園大学の服藤早苗先生より、御高論「童女御覧の成立と変容-平安王朝五節儀のジェンダー眼差し-」の収録された小嶋菜温子・倉田実・服藤早苗編『王朝人の生活誌』(森話社)を御恵送頂きました。
 服藤先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 愛知学院大学の福島金治先生より、西岡芳文・瀬谷貴之・永村眞・福島金治・渡辺智裕・若林繁「福島県いわき市長福寺本尊地蔵菩薩坐像と納入文書-概報-」掲載の『金澤文庫研究』第330号を御恵送頂きました。
 納入文書の紙背は女性の手になる書状で、とても興味深い内容。今後の研究の進展が俟たれます。 
 福島先生に、あつく御礼を申し上げます。

春の除目

No.9897

 人事の情報が東西各地から飛び込んでまいります。
 本日の午後は新幹線で名古屋まで往復の旅。車窓の桜は東に行くほど満開が多くなっていくようでした。いま、極楽浄土は東方にあるのかも知れません。 

 ☆ 帝京大学の木村茂光先生より、御高論「大蔵合戦再考-一二世紀武蔵国の北と南-」(『府中市郷土の森博物館紀要』26)を御恵送頂きました。
 木村先生に、あつく御礼を申し上げます。
 武蔵の武士団については、京都からも発言の余地が多々ありそうに思います。

 ☆ 先般、ゼミ例会で御報告を頂いた大田壮一郎先生より、御高論「聖一派永明門派の伊賀進出と鎮西得宗庶流家-伊賀安国寺前史-」(『鎌倉遺文研究』30)ならびに「安国寺・利生塔の設置と地域・守護-伊賀国を事例に-」(『佛教史研究』48)を御恵送頂きました。
 すばらしく精力的な御研究。
 大田先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 長野県伊那弥生ケ丘高校の花岡康隆先生より、御高論「鎌倉期信濃村上氏についての基礎的考察」(『法政史学』79)を御恵送頂きました。
 最近、元木泰雄先生が注目された河内源氏頼清流の流れを汲む村上氏に関する考察。
 あまり顧みられることのなかった拙論「後白河院と清和源氏」(古代学協会編『後白河院』)を注に取り上げて下さったのは嬉しいことでした。
 花岡先生に、あつく御礼を申し上げます。
 
 ☆ 東北大学の佐倉由泰先生より、御高著『『大塔物語』をめぐる知の血脈』(科研報告書)を御恵送頂きました。
 史学の立場からすると、これまた、中世の信濃武士団を考える上の重要な資料となりそうです。
 佐倉先生に、あつく御礼を申し上げます。

明日になる直前の明日の史料講読会に関する緊急連絡

No.9894

 今日は「西八条」に出かけておりました。

 明日の『吾妻鏡』講読会ですが、共同研究室を宗教部の会議で15:30まで使用致しますので、集合は教授室ということにさせて頂きます。会議終了次第、共同研究室に移動します。急な変更で申し訳ありません。
 
 また、『紫苑』第11号の納品は、印刷屋さんの事情で、残念ながら明日には間に合わない模様です。

 ☆ 国立歴史民俗博物館の近藤好和先生より、御高論「『洛中洛外図屏風』歴博甲本にみえる内裏とその行事」(『国立歴史民俗博物館研究報告』178)を御恵送頂きました。
 近藤先生に、あつく御礼を申し上げます。

新年度の『吾妻鏡』

No.9895

 本日は2012年度の最後でした。また4月以降の新年度もよろしくお願い致します。
 『吾妻鏡』講読会は基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、春の訪れを感じさせる季節に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

 日時:2013年4月4日(木)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:承元三年(1209)五月十二日・十五日・二十日・二十三日・二十八日、六月十三日、七月五日・八月十三日、九月二十九日、十月十日・十三日・十五日・十七日、十一月四日・五日・七日・八日・十四日・二十日・二十七日、十二月一日・十一日・十三日・十五日・十七日・十九日の各条

 4月も木曜の午後、4日・11日・18日・25日に開催予定です。
編集:2013/03/28(Thu) 20:18

『紫苑』はおあずけだが、大ホームランが飛んだ日。

No.9896

 今日のゼミ。『紫苑』が届かず残念でしたが、山本さんが特大の満塁ホームランを放ちました。

 これは多くの先学も気がつかなかったか、気にとめることのなかった重大な発見。見つけられたのは、山本さんのもつ、「史眼」(歴史に対する眼力)というやつでしょう。もとより、日々史料をしっかりと読みこなしている人のみに与えられるパワーだと思います。
 論文になって発表されるのが楽しみです。
 諸君よ!「なんだ、なんだ」などと、問い詰めるようなことをせずに、ただお静かに論文の発表をお待ちください。

 『紫苑』第11号ですが、来週には確実にお渡しできるはずです。
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 ◇ 『紫苑』第11号目次◇

【論文】
  「平安宮内裏における御簾の用法」
          ・・・・・・・満田さおり(京都大学大学院工学研究科DC、本学大学院家政学研究科MC修了)

【研究ノート】
  「史料上に見る富木常忍」・・・・・池嶋美帆(本学文学部史学科3回生)
  「守護代長尾氏の越後支配の展開と中央の権威」・・・滝沢智世(同)

【研究余録】
  「武士論からみる中世前期・後期の分岐―吉田賢司氏『武家編制の転換と南北朝内乱」に接して―」
           ・・・・・・岩田慎平(関西学院大学・立命館大学非常勤講師、当研究所共同研究員)
  「『英雄』小考」・・・山本みなみ(京都大学大学院人間・環境学研究科MC、本学文学部史学科卒)


 「文観弘真関係文献目録稿」
   ・・・・・・坂口太郎(京都大学大学院人間・環境学研究科 DC、高野山大学密教文化研究所受託研究員)

【活動記録】 
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 岩田君が書いてくれたように、四月からの『吾妻鏡』講読会も毎週木曜日15時からということになりました。京都女子大学以外の院生・学部生の諸君でも、大歓迎ですから、遠慮なくお出かけ下さい。
 なお、詳細は当方(上の名前をクリック)あるいはゼミメンバーにお問い合わせ下さい。 

 ああ、無精!

No.9891

 校正ゲラ一冊分、返送しました。1983年にかまくら春秋社から出版された『鎌倉の豪族Ⅰ』が、『坂東武士団と鎌倉』というタイトルで戎光祥出版からリニューアル刊行されます。4月半ばから5月上旬には出して頂けるとのことです。

 さて、さらに月末までに原稿2件。そういえば、『芬陀利華』もありました。
  「座業のわれ、ただ太りゆくのみ」。嗚呼! 次回公開は『ウェストサイズ物語』です。
 
☆ 千田稔先生より、新刊の御高著『古事記の宇宙-神と自然』(中公新書)を御恵送頂きました。
 千田先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 清泉女子大学の清水由美子先生より、先生が研究代表者をつとめられた科研『軍記文学における〈中央〉と〈地方〉に関する多角的研究』の研究成果報告書を御恵送頂きました。
 「源為朝」「鬼界島」「源義親」「廻心房真空」といった、私をワクワクさせる固有名詞を含む論文が盛りだくさんで、有り難い限りです。
 清水先生に、あつく御礼を申し上げます。 
編集:2013/03/24(Sun) 00:06

はなやいだ街で『吾妻鏡』探すつもりだ-次回の『吾妻鏡』-

No.9892

 前回は「君のひとみは10000ボルト」についてさまざま角度から議論しましたが、次はなにがいいでしょうねぇ。「木綿のハンカチーフ」(太田裕美、CBS・ソニー、1975年)とかでしょうか。

 また、28日は『紫苑』の11号のできあがる予定でしたね。楽しみにお待ちしたいと思います。

 日時:2013年3月28日(木)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 野口先生の教授室
 範囲:承元二年(1208)十一月十四日、十二月十四日・十六日・十七日・十八日・二十日・二十六日の各条
    承元三年(1209)二月十日、三月一日・二十一日、四月十五日、五月五日・十二日・十五日・二十日・二十三日・二十八日、六月十三日、七月五日・八月十三日、九月二十九日、十月十日・十三日・十五日・十七日、十一月四日・五日・七日・八日・十四日・二十日・二十七日、十二月一日・十一日・十三日・十五日・十七日・十九日の各条

 4月以降の予定も現在調整中です。

 『吾妻鏡』講読会は、春休み中は木曜日に開催しております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、春の訪れを感じさせる季節に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。
編集:2013/03/28(Thu) 04:46

受験生ブルースの世代

No.9893

 「木綿のハンカチーフ」だったら、「なごり雪」ですね。ただし、懐かしいのはそれより古い時代のもので、ブロードサイドフォーの「若者たち」とか、岡林信康の「友よ」。はしだのりひことクライマックスの「花嫁」など。
  1960~70年代、京都はフォークソングでも聖地でした。

 あの頃、東京は新宿の西口広場でフォークゲリラに参加していた世代が、いま企業の幹部になって就活の面接にあたったりしているわけですから、世の変転は面白い。長生きは三文の得。

 このところ、寒暖の差が激しいためか、すっかり体調を崩してしまい、本業の方は停滞中です。申し訳ありません。

 京都駅は観光客で溢れていますが、京都の桜は満開まで今しばらく。
 そういえば、今日は京都大学の卒業式でしたね。