「博士」と「がくしゃセンセイ」&推奨「神奈川県立歴史博物館」

No.9786

 来春、当ゼミのメンバーから二人目の博士が生まれることになる見通しが用意された模様。長年の努力の結実を期待しています。
 昔、古代学協会にいた頃、角田文衞先生が、研究員で博士号を持っている人に対しては○○博士と呼んでおられたことを思い出しました。先生は若い頃、イタリアで研究生活を送られていたので、当たり前のこととして実行されていたのでしょうが、研究員の間では定着を見ませんでした。しかし、あれは一つの見識というものです。日本においては「学位」が正当に評価されていないことは疑うべくもないことです。その一方で、蔑称のように「がくしゃセンセイ」などと曰われる方もおられます。
 
 ところで、先ほど関東より帰洛致しました。今回は行き帰りともに車窓から富士山を見ることが出来ました。鎌倉は観光の人がたくさん。鶴岡八幡宮では結婚式も。銀杏の落ち葉で埋め尽くされた称名寺の庭園は美しく・・・。よく歩きました。

 しかし、一番よかったのは神奈川県立歴史博物館の特別展示。鎌倉時代の政治史を研究している人は必見。ただし、明日までらしい。首都圏在住の方で見ていない人は頑張って行ってみてください。これは素晴らしい展示でした。当方のゼミ生にも見て欲しかった。
 個人的にうれしかったのは、恩師貫達人先生が鎌倉の海岸で集められた青磁片や、大学4年の夏休みに鎌倉国宝館で博物館実習を行った際にお世話になった安田三郎さん(1950年から1980年まで国宝館に勤務されていた由)に関する展示があったこと。安田さんのことはすっかり忘れていましたが、当時(1972年)鎌倉の景観保存について心を尽くされていたことを思い出しました。
 あの頃の国宝館のことと言えば、まだお若く、美術工芸史家として将来を嘱望されていた灰野昭郎さんが思い出されますが、その灰野さんも、もう亡くなられてしまいました。本当に時の流れを感じてしまいます。

 神奈川県立歴史博物館は、常設展の方も充実しており、これはぜひ関西で中世史をやっている人は行っておくべき所だと思いました。(岩田君や山本さんは是非行きなさい。)レプリカとはいえ『天養記』や妙法院の後白河院像も展示されています。大きな鎌倉の立体地図は歴博のものより分かりやすいし、円覚寺の舎利殿の建築構造を示した展示もよい。ただ、「頼朝の挙兵と東国武士」というパネルに示された、房総半島における頼朝の進軍コースは変に思いました。

  神奈川県立歴史博物館には数年前にも行ったはずなのですが、初めて地下鉄で桜木町駅に着いたせいもあって、場所が分からなくなって焦りました。首都圏は、21世紀になっても変化が激しすぎるように思います。
 京都に戻って、1970年代の山手線と同じウグイス色の奈良線普通電車に乗ったら、気持ちがヤケに落ち着きました。東京で学生時代を過ごした団塊世代には、今の奈良線普通電車はきっと懐かしいはず。これで客寄せが可能かも知れませんね。
編集:2012/12/09(Sun) 10:50

鎌倉文学館の源実朝

美川圭
No.9788

 野口先生も、鎌倉に行かれていたのでね。私も同日、鎌倉におりました。3館はしごは、11月に小学校の同期会が東京の広尾であったときに、いたしました。今回は、4年に1度の高校の同期会が新宿のホテルであったので、それを兼ねて、土曜日の昼間に鎌倉文学館の「源実朝展」にまいりました。

 正岡子規以降の近代の詩人、小説家が、実朝をどのように評価したかを一望することが中心の展示で、こじんまりしながら、歴史畑の人間には、けっこう新鮮な視点でした。前田別邸の庭園から相模湾見晴らしを堪能できるので、9日までなので、紅葉見物を兼ねて気持ちのよい時間をすごせます。

 個人的に、ちょっとびっくりしたのは、常設展に祖母の展示があったことです。戦前と戦後に出た、ともに中央公論社刊の2冊の小説と生原稿1枚、それに説明パネルだけのちっちゃな展示でしたが、とても懐かしかったです。とくに祖母の生原稿の記憶がないので、こんな字を書いたんだ、などと少し感激しました。もう、今の人は手書きで原稿を書かなくなりましたから、これからはこんな生原稿の展示はできなくなりますね。寂しいですね。生原稿は肉声を伝えてくる感じがします。学芸員の方に聞くと、300人ほどの作家の展示を特別展の展示のときに順に展示替えするそうです。ですから、祖母の展示も4年ぶりくらいになるようです。祖母が呼び寄せてくれたのかな。もう忘れ去られた作家である祖母の展示がされているとは、思いもかけませんでした。

 ちなみに、祖母は昭和20年から27年まで鎌倉に住んだと説明パネルにあります。そのころの鎌倉って小説家だらけだったようです。最近、桐野夏生が『ナニカアル』という林芙美子主人公の小説を出版しましたが、そのなかにやたらに祖母が登場します。それを読むと、事実に作家がどのように虚構をからめて作品を構成するかが、家族だけにはよくわかります。実名で登場するので、読者はそれを皆事実だと思って読むのでしょうね。

 それで、土曜日の夜は高校の同期会。出光美術館の常務理事が同級生であることがわかりました。

清文堂出版『中世の人物』第一巻 元木泰雄編『保元・平治の乱と平氏の栄華』の構成案のお知らせ

No.9784

 以前お知らせした、取り上げる人物と執筆者のラインナップ>>No.9684を踏まえた新しい構成案をお知らせ頂きましたので、ここに御紹介させて頂きます(執筆者敬称略)。
 なお、刊行は本年秋の予定でしたが、来年早々となる見込みとのことです。
 後続の第二巻・三巻も着々と編集作業が進んでおります。

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  『中世の人物 京・鎌倉の時代』第一巻『保元・平治の乱と平氏の栄華』
      保元・平治の乱と平氏の栄華                   元木泰雄
  
      Ⅰ 鳥羽院政と保元の乱
    鳥羽院・崇徳院-崇徳院政の夢                  佐藤健治
    藤原忠実-辛酸を嘗めて中世を切り開いた摂関家家長      佐古愛己
    藤原頼長-苦闘する大学者                     横内裕人
    平忠盛-都鄙で広がる京武者の舞台                守田逸人
    源為義-保元の乱における実像                    須藤 聡
    覚仁と信実-悪僧論                          久野修義
    阿多忠景と源為朝-その伝説と実像                 栗林文夫
   コラム1 王家の乳母                          野々村ゆかり

   Ⅱ 平治の乱と後白河院政の成立
    後白河院-暗主の波瀾万丈の生涯                 高橋典幸
    藤原忠通と基実-院政期摂関家のアンカー             樋口健太郎
    信西-中世を開いた稀有の天才                   木村真美子
    藤原信頼・成親ー平治の乱と鹿ヶ谷事件               元木泰雄
    藤原経宗-拷問を受けた有職の公卿                元木泰雄
    源義朝-最初の武士の棟梁                     近藤好和
   コラム2 京武者たち                            元木泰雄

       Ⅲ 平氏の栄華
    平清盛-「おごれる」権力者の実像                 川合 康
    池禅尼と平時子-平家の後家たち                 栗山圭子
    平時忠と信範-「日記の家」と武門平氏               松薗 斉
    藤原邦綱とその娘たち-平清盛の盟友/近衛家の忠臣      佐伯智広
    平重盛-一門栄耀の反照                       平藤 幸
    西行-秀郷流故実の継承者                       近藤好和
   コラム3 院と芸能者たち                        辻浩和

    系図
    索引
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編集:2012/11/28(Wed) 12:06

師走の『吾妻鏡』

No.9785

 街の雰囲気もすっかりそういうかんじになってまいりましたが、『吾妻鏡』もよろしくお願いいたします。
 次回のご案内です。

 日時:2012年12月4日(火)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:元久二年(1205)八月七日・十一日・十六日・十七日・十九日、九月二日・二十日、十月十日・十三日、十一月三日・四日・十五日・二十日、十二月二日・二十四日の各条
     元久三年(建永元年、1206)正月十二日・二十七日、二月四日・二十日・二十二日、三月十二日・十三日、五月六日、六月十六日・二十一日、七月一日・三日、十月二十日・二十四日、十一月十八日・二十日、十二月二十三日の各条

 12月は4日、11日、18日に開催予定です。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

久方ぶりの~!

No.9783

 本日は私にとって、とても大切な人物の誕生日でありましたが、その上に久しぶりの佳きことも重なりました。その最後のシメは、帰宅したら美味しい松葉ガニが待っていたこと。
 松葉ガニを丸ごと食させて頂いたのは、久しぶりというより初めてかも知れません。境港からの絶品。本当に美味しゅうございました。ありがとうございました。
 
 もう15年ほども原稿を提出できずにいる本がありますが、その最後の追い込みにかかっています。そこへ研究紀要の初校ゲラも届きました。編著書も大詰めに近づきつつあり、そして師走は目前。どうやら今年も「大つごもり、合わぬ算用」必至のようです。

 さて、明日は山本さんの御報告。とても楽しみです。多くの方々の御来会を期待するところです。

27日(火)の『吾妻鏡』講読会は研究発表会に変更します。

No.9782

 次回、『吾妻鏡』講読会は、しばらく開催されていなかった研究発表会(例会)に変更させて頂きます(講読会師範代岩田君の了解済みです)。
 ふだん、講読会に出席されていない方たちも是非お出かけ下さい。
 さて、研究発表のテーマなどは以下のとおりです。

 ◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇-◇

 テーマ:「実朝将軍就任前後の公武関係」
 報告者: 山本みなみ(京都大学大学院院生)
 参考文献:上横手雅敬「『日本の中世国家』を読んで」(『日本国家史論考』塙書房、1994年)
      北村拓「鎌倉幕府征夷大将軍の補任について」(今江広道編『中世の史料と制度』続群書類従完成会、2005年)
 日時:11月27日(火)15:00より
 会場:京都女子大学宗教・文化研究所共同研究室(L校舎3F)

 日本の大学や学問・研究はどうなるのか。

No.9780

 一昨日は、姫路市の皆さんと大変楽しい時間を過ごさせて頂きました。あつく、御礼を申し上げます。

 昨日の『吾妻鏡』講読会では、元久二年、畠山重忠滅亡後の北条時政の伊豆退隠や平賀朝雅の誅殺、さらに河野通信の伊予国御家人の支配に関する条を読みました。まさに『吾妻鏡』の突っ込みどころでしたが、山本さんが牧の方について精査されていたのには、ある種の感動を覚えました。こういうモチベーションの高さが全ての始まりです。これをどこかに発表して頂かないと、私は『北条時政』を書けません。

 京都大学における問題に対しては、日本における、今後の大学のあり方や、とくに人文科学系の研究・教育にかかわる重大問題として、私ごとき者も強く関心を向けざるを得ません。(下記にその情報)
   http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20121113000010
   http://www.asahi.com/national/update/1115/OSK201211150024.html
   http://www.kyoto-minpo.net/archives/2012/11/17/post_9148.php
   http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20121119000146 

 ちなみに、昨日の『京都新聞』夕刊「現代のことば」欄に掲載されていた、京都学園大学准教授・岡崎宏樹先生の「大学のセンセイ」は、共感の持てる内容でした。『京都新聞』が手近にある方は、ぜひお読みになってみて下さい。

 【追記】 上記の新聞記事ですが、研究室前に立っている掲示板にコピーを貼っておきました。
編集:2012/11/22(Thu) 12:52

次回は11月最後の『吾妻鏡』は研究発表でございます

No.9781

 今年も、そろそろ年賀状のことなど考えはじめねばならならない季節となってまいりました。そのまえにやるべきこともいろいろありますが、次回のご案内です。
 次回は『吾妻鏡』の講読はお休みして、山本さんの研究発表です。

 日時:11月27日(火)15:00より
 会場:京都女子大学宗教・文化研究所共同研究室(L校舎3F)
 テーマ:「実朝将軍就任前後の公武関係」
 報告者: 山本みなみ(京都大学大学院院生)
 参考文献:上横手雅敬「『日本の中世国家』を読んで」(『日本国家史論考』塙書房、1994年)
      北村拓「鎌倉幕府征夷大将軍の補任について」(今江広道編『中世の史料と制度』続群書類従完成会、2005年)


 ※次回以降の『吾妻鏡』のご案内は以下の通りです。

 日時:2012年12月4日(火)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:元久二年(1205)八月七日・十一日・十六日・十七日・十九日、九月二日・二十日、十月十日・十三日、十一月三日・四日・十五日・二十日、十二月二日・二十四日の各条
     元久三年(建永元年、1206)正月十二日・二十七日、二月四日・二十日・二十二日、三月十二日・十三日、五月六日、六月十六日・二十一日、七月一日・三日、十月二十日・二十四日、十一月十八日・二十日、十二月二十三日の各条

 12月は4日、11日、18日に開催予定です。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

>野口先生
 11/20(火)の『京都新聞』夕刊「現代のことば」は私も読みました。いい連載ですね。ウェブでも公開してくれればいいのにと思いますが、紙面でゆっくり味わいながら読むのがいいのかもしれませんね。

2013年6月の公開講座に関する詳報 

No.9778

 >>No.9774で御案内した来年6月第4土曜日に開催予定の公開講座「東山から発信する京都の歴史と文化⑮」について、詳報をお伝え致します。

 「京都と地方社会をつないだ摂関家のネットワーク」をテーマとする予定。

 講師には、鹿児島大学法文学部准教授の金井静香先生と大手前大学講師の樋口健太郎先生(第2回角田文衞古代学奨励賞受賞者)をお招きする。

 金井先生には、平安~鎌倉期における摂関家のネットワークを介した京都と南九州のつながりに関するお話を、樋口先生には、保元の乱から平家政権期を中心にした摂関家の動向やその存在形態についてのお話をお願いする。

 ちなみに、2013年の第4土曜日は6月22日になります。

古文書学会見学会のご案内

元木泰雄
No.9775

 野口先生からもお書きいただきましたが(↓9765)、古文書学会見学会の参加申し込みの期限が迫ってまいりました。
 参加ご希望の方は早急にご連絡をお願いします。
 また、すでに口頭でお伝えいただいた方も、確認のために連絡してください。

 日時 11月23日金曜日・祝日
     14時~16時 受付は13時45分から
 場所 大阪城天守閣
     集合場所は天守閣改札前
 参加費 500円
 近年の新規収集品を中心として、織豊期~江戸初期の大阪城天守閣収蔵文書を拝見致します。
 なお、特別展「秀吉の城」も開催中ですので、あわせてご覧ください。会期は10月6日(土)~11月25日(日)です。

 参加ご希望の方は、下記までハガキにてお申し込みください。11月15日(木)必着でおねがいいたします。
〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町 京都大学大学院人間・環境学研究科 元木研究室
 以上です。

編集:2012/11/14(Wed) 07:30

勉強するのに一番良い季節なのですが・・・・・

No.9776

 元木先生、ありがとうございます。
 戦国期~近世史に関心のある方は、ぜひ行かれると良いと思います。

 なお、すでに紹介致しましたが(>>No.9764)、今週末には下記の研究会もあります。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ◇ 女性史総合研究会11月(第168回)例会 ◇
  日時:2012年11月17日(土) 13:30~17:00
  報告テーマ:「遊女と女房」
  報告者:辻浩和氏(日本学術振興会特別研究員 京都大学博士)
  コメント:西野悠紀子氏(女性史総合研究会代表) 
  会場:ウイングス京都 http://www.wings-kyoto.jp/about-wings/access/
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 来週のゼミ史料講読会ですが、19日(月)の『玉葉』はお休みですから、お間違えのないように。

次回の『吾妻鏡』のご案内

No.9777

 前回はご案内が遅くなってしまいましたので、取り急ぎ次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年11月20日(火)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:元久二年(1205)七月二十日、閏七月十九日・二十日・二十五日・二十六日・二十九日、八月二日・五日・七日・十一日・十六日・十七日・十九日、九月二日・二十日、十月十日・十三日、十一月三日・四日・十五日・二十日、十二月二日・二十四日の各条
     元久三年(建永元年、1206)正月十二日・二十七日、二月四日・二十日・二十二日、三月十二日・十三日、五月六日、六月十六日・二十一日、七月一日・三日、十月二十日・二十四日、十一月十八日・二十日、十二月二十三日の各条

 11月は20日、27日に、12月は4日、11日、18日に開催予定です。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

 たどりついたらいつも雨ふり

No.9772

 むかし、こんなタイトルの歌がありました。ギターをかき鳴らして芝浦工大や青学の仲間達と大声で歌った記憶があります。 吉田拓郎氏の作詞・作曲だったでしょうか。

 ところで、昨日の「もちもちぃんウォーク」で史跡見学の講師をつとめて下さった岩田君・佐伯君、それに同行して種々お手伝いを頂いた山本さん・滝沢さん・真鍋さん、ありがとうございました。
 私は身体・頭脳ともに疲れ気味のため、昨年のようには行かなかったので、内心忸怩たるものがあるのですが、伏見区醍醐支所の方たちの熱心な取り組みには本当に頭の下がる思いでした。地元のボランティアの方たちのパワーにも昨年同様に感動致しました。

 栢ノ杜遺跡では京都市埋蔵文化財研究所の山本先生が、出土遺物の展示と解説をして下さり、「ウォーク」}のレベルを越える充実した内容であったと思います。
 また、一般市民に交じって若い府議会議員の方が参加して下さったのも、うれしいことでした。地域の住民とその代表が地域の歴史をしっかりと認識することは、地域の未来づくりの前提だと思います。

 講座でも述べましたが、「栢ノ杜遺跡」の名称では、そこが何の遺跡なのかよく分かりません。ここにあった寺院の門に掲げられていた寺の名に「醍醐」を冠した呼称が適切だと思います。この寺の名を史料から発見された坂口君の研究成果の公表を待望する次第です。

 今日は普段より一時間ほど余分に朝寝をして、それから後回しにしていた仕事に取り掛かろうと考えていたのですが、日曜の朝であるにも拘わらず、様々な情報手段を通じて、いろいろな仕事が届けられ、かえってやる気を失っております。外は雨ですし。
 そこで思い出したのが、タイトルの歌。
 歌詞のなかには「ところが、おいらは、何のために、こんなに疲れてしまったのか」というフレーズもありましたね。

 とは言っても、このまま休んではいられません。重源や千葉常胤を見習って頑張りたいものです。
編集:2012/11/11(Sun) 11:49

秋はどこへ-次回の『吾妻鏡』-

No.9773

 昨日は野口先生のお手伝いで「醍醐もちもちぃんウォーク~「方丈記」と「平家物語」の里を歩く~」に参加させていただいてまいりました。
 運営に当たられました伏見区醍醐支所のみなさん、社会福祉法人 南山城学園新和光のみなさん、ご協力いただいた醍醐・日野地域のみなさん、参加者のみなさんに御礼申し上げます。
 朝から好天に恵まれ、法界寺・恵福寺・日野家の墓・栢ノ杜遺跡・平重衡の墓などの史跡を見学することができ、たいへん充実した機会となりました。

 朝夕のみならず、昼間もすっかり寒さを感じる季節となってしまい、秋の情緒もなにもあったものではありませんが、次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年11月13日(火)午後3時頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:元久二年(1205)六月二十二日・二十三日・二十六日・二十八日、七月一日・二十日、閏七月十九日・二十日・二十五日・二十六日・二十九日、八月二日・五日・七日・十一日・十六日・十七日・十九日、九月二日・二十日、十月十日・十三日、十一月三日・四日・十五日・二十日、十二月二日・二十四日の各条
     元久三年(建永元年、1206)正月十二日・二十七日、二月四日・二十日・二十二日、三月十二日・十三日、五月六日、六月十六日・二十一日、七月一日・三日、十月二十日・二十四日、十一月十八日・二十日、十二月二十三日の各条

 11月は、13日、20日、27日に開催予定です。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

来年6月の公開講座のテーマは「摂関家」です。

No.9774

 毎年、6月の第四土曜日に開催している当研究所の公開講座「東山から発信する京都の歴史と文化」ですが、来年は、「摂関家と地方社会とのネットワーク」をテーマに実施する予定です。

 院政期以降の摂関家の存在形態と、摂関家領鎮西島津庄と京都との関係が取り上げられることと思います。
 講師の先生お二方には、すでに内諾を頂きました。
 
 詳細は後日報告致しますので、お楽しみに。
 

重源さんや長明さんの暮らした空間に住むよろこび

No.9771

 昨日は夏休みにアメリカのユタ州に行っていた現社の3回生(2010年度の基礎演習Ⅰのメンバー)が研究室を訪ねてくれました。お話をうかがって、世界が広がりました。

 このところ、12~13世紀に活躍したお坊さんや遁世した人たちに関心を向けています。武士論からのアプローチということになると思いますが、そのうち形にしたいと考えております。
 その契機は方丈石と栢ノ杜遺跡なのですが、岩田君も佐伯君も方丈石まで脚を運んで下さったようで、ありがとうございました。明日、栢ノ杜遺跡には京都市埋蔵文化財研究所の方もおいで下さるようで、大いに勉強になりそうです。
 家の近くにこんなに凄い史跡がいくつもあって、文献史料も研究論文も続々と見つかるというのは、さすがに京都だと思うわけです。
 ただ、昨夕あたりから、風邪をひいたのか目の疲れからなのか、すこし頭痛が発生しているのが気になるところです。昔は講演など頼まれると、内容が心配だったのですが、最近はその場での体調が一番の問題になりました。 

 鴨長明の方丈は結構広いし、眼下に世間も見渡せる

No.9770

 昨日は予告通り、錦華殿に鴨長明と平清盛の展覧会を見学に行ってきました。会場で中前先生に御挨拶したところ、この掲示板を御覧になったとのお話でした。ちなみに、会場で配付されている展示図録には、粟村さんが一文を寄稿されています。

 土曜日の「もちもちぃんウォーク」は、講演の資料も出来ましたし、ほぼ準備は整いました。問題は体力と体調のみであります。
  「老いるとはオイル切れになることと見つけたり」

 ☆ 大阪市立大学の高重久美先生より、新刊の御高著『コレクション日本歌人選045 能因』(笠間書院)を御恵送頂きました。
 高重先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 高知大学の市村高男先生より、御高論「歴史を見る目、地域を見る目-古河公方の成立とその歴史的前提-」収録の古河歴史シンポジウム実行委員会編『古河の歴史を歩く』( 高志書院)を御恵送頂きました。
 市村先生に、あつく御礼を申し上げます。
 本書収録の高橋修「平将門の乱研究の現在」には、岩田君の所説が取り上げられています。