市中は祇園祭の山鉾巡行。

No.9667

 昨日の基礎演習Ⅰのテーマは「IT社会の到来」。まず、そのデメリットについて切実な教訓が示されました。
 「PC」と「英語」優先の風潮に危機感を抱いている私としては、電子書籍よりも、紙の本が良いという意見が案外多くて、すこし安心。
 来週の発表者は筒居さんで、テーマは「日本のオタク文化」とのことです。

 Ⅳ講時の『玉葉』講読会は、興福寺対策会議の続き。兼実がまた指を弾いておりました。 
 Ⅴ講時~『吾妻鏡』講読会。岩田君が「和田平太胤長」の名前の通称「平太」について説明してから、「大河ドラマなら、胤長の長男は『胤太』ですね」と言ったのが面白かった。
 山本さんの差し入れ、美味しく頂きました。

 後期は火曜日以外にも、もう一つ、講読会なり研究発表会なりの時間を設けたいと思うのですが、如何でしょうか?

真夏の『吾妻鏡』

No.9668

 連日の暑さ、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 前期最後となる次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年7月24日(火)午後4時すぎ~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建仁四年(元久元年、1204)三月九日・十日・二十二日・二十九日、四月一日・十日・十六日・二十日・二十一日、五月六日・八日・十日・十六日・十九日、六月八日・十九日・二十四日・二十六日、八月三日・四日・十五日・二十一日、九月一日・二日・十三日・十五日、十月十四日・十七日・十八日、十一月四日・五日・七日・十三日・十七日・十八日・二十日・二十六日、十二月十日・十八日・二十二日の各条

 また、火曜日の『吾妻鏡』は7月は24日に開催予定です。
 夏休みを挟んで、後期は9月25日(火)に開催予定です。よろしくお願いします。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

9月3日(月)、学習院大学兵藤ゼミを御案内致します。

No.9666

 京郊の新興住宅地におけるバーベキュー災禍、先週(>>No.9655)に続いて昨夕・今夕も発生しているとのことです。市場原理主義横行の御時世ゆえ、こんな情報によってでも住宅地の地価の変動が生ずるようになるのかも知れませんね。この友人には重ね重ね気の毒な話です。
 それにしても、こうなると「隣組」やら「五人組」のあった社会の方が健全なようにも思えてしまいます。
 我々の時代における前進は、はたして前進であったのか。この辺で、シフトレバーを入れ替えるというのも、一考の余地ありかも知れません。
 
 ところで先般、当方のゼミの諸姉兄には、学習院大学の兵藤裕己先生のゼミのみなさんが、9月はじめにゼミ旅行で京都にお出でになるというお話をお伝え致しましたが、本日、詳しい情報が兵藤先生から届きました。
 旅行に参加されるゼミの学生さんは25名ほど(大河ドラマの影響によるものか、例年より多いとのこと)で、9月3日(月曜)の午後1時、三十三間堂のチケット売り場で集合ということになったとのことです。
 午後1時から一時間ほど、三十三間堂を拝観して、2時くらいから法住寺殿跡の巡検をされるとのことなので、私は2時に合流して御案内にあたりたいと考えています。本当は、先日の京都文化博物館歴史散歩の経験を活かして六波羅も歩きたいところですが、三十三間堂を見学した後、ということになると、法住寺殿跡のみに留めておいた方が良いかも知れません。

 さて、そんなつもりでおりますので、もしこの見学会のお手伝いをいただけるメンバーがおられましたら、お申し出下さい。数年ぶりの兵藤ゼミとの交流の機会になると思います。
 もちろん古参メンバー・関係者、とりわけ国文学科の学生さんの参加も歓迎致します。
 ちなみに、当ゼミメンバーからは、これまでに学習院大学の大学院に2名が進学し、兵藤先生の御指導を頂いております。

 ※ 兵藤先生のプロフィール↓
   http://www.gakushuin.ac.jp/univ/let/jpn/staff/staff08.html
 兵藤先生と私は同じ小学校と中学校を同じ学年で過ごしました。

 ☆ 神奈川県愛川町郷土資料館の山口研一先生より、御高論「来て・見て・楽しんで-神奈川県愛川町郷土資料館の開館に至るまで-」掲載の『民具マンスリー』(第45巻4号)を御恵送頂きました。
 御高論は、地域の博物館作りの貴重な経験を凝縮された内容で、博物館学芸員資格の取得を目指している学生さんには、ぜひ読んで頂きたいと思います。
 山口先生に、あつく御礼を申し上げます。
 ちなみに、山口先生は、私にとって大学・大学院の後輩にあたり、ともに貫達人先生の薫陶を受けた間柄ということになります。

 御一読をお勧めしたい論文

No.9664

 今週17日(火曜日)Ⅲ講時の「基礎演習Ⅰ」ですが、津称鹿さんの発表で、テーマは「IT社会の到来」とのことです。
 
 さて、朝刊のテレビ欄を見たところ、またショッキングな内容の番組紹介記事がありましたので、今日は先手を打つことにいたします。
 公立の図書館は日曜日も開館しているはずですから。

 1.信西と源義朝について
   元木泰雄「信西の出現-院の専制と近臣-」(『立命館文学』521,1991)
   元木泰雄「源義朝論」(『古代文化』54-6,2002)

 2.公家の処刑について
   上横手雅敬「天皇と京都」(『ミネルヴァ日本評伝選通信』36・37,2007)

  3.池家と源頼朝の関係について
   杉橋隆夫「牧の方の出身と政治的位置-池禅尼と頼朝と-」(上横手雅敬監修『古代・中世の政治と文化』思文閣出版1994)

 4.後白河院の御所法住寺殿について
   菅野扶美「今熊野神社考 後白河院御所・法住寺殿論 その一」(『東横国文学』25,1993)

 5.河内源氏嫡流のレガリヤ「鬚切」について
   鈴木彰「源家重代の太刀「鬚切」」について-その多様性と軍記物語再生の様相-」(『日本文学』2003年7月号)

 6.平家一門の女性の歴史的評価について
   栗山圭子「二人の国母」(『文学』3巻4号,2002)
   金永「平時子論」(同)
   鈴木啓子「『平家物語』と〈家〉のあり方」(同)

  ※ お近くの図書館でどうぞ。その図書館になくても複写したものを取り寄せてくれます。

Happy Wedding

No.9663

 六波羅と法住寺殿跡の歴史散歩から、はや一週間が経過しましたが、実はその翌日、東京の麻布で、私の前任大学における優秀なゼミ生であった山田さんが、華燭の典を挙げられました。
 森鴎外ゆかりの上野のホテル(今も語り種になっている、長村君・山本君によるタクシー事件のあった)に宿泊した、東京・千葉ゼミ旅行(2005,2,26~28)に付き合ってくれた、あの山田さんです。
 末長くお幸せに!
 しかし、あれからもう7年半ですか?あの時のゼミメンバーはもう古参。博士になった人。もうお母さんになった人。もうすぐお母さんになる人。学芸員やら中・高・大学の先生になった人。そして、すっかり腹の出たオジイサンになった私も。
 「少年老いやすく学成り難し」ですか。
 そういえば、「華燭」というほどのものではありませんでしたが、1975年の7月にも、青山でそんなことをやったカップルがありましたね。
編集:2012/07/15(Sun) 01:29

おめでとうございます

No.9665

 山田さんおめでとうございます。このたびは心よりお祝い申し上げます。

 あとにもさきにも、東京・千葉ゼミ旅行(2005,2,26~28)のように印象深かった旅はありません。もう七年以上も前になるんですね。あの旅行に参加された方は、みんな山田さんのことをよく覚えておられると思います。
 ご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

 昔の職場で、こっそりと『清盛展』を見てきました。

No.9662

 今日(13日)は、ある「推薦」の理由を記した書類を作成してから、京都文化博物館へ。
 折良く(相手方にとっては「運悪く」かも?)私と同時に入館した2回生の岩瀬さんと一緒に見学(岩瀬さんには御迷惑だったかもしれない「解説」付き)。
 性格の悪い私は(というより、かつての職場での使命感のトラウマにとらわれた私は)展示解説の「間違い探し」に精を出しました。
 人気を博していたのは、法住寺殿武将墓から検出された鍬形。あの武将墓をメインにして、京都文博独自の企画展が組めそうだと思うのですが、如何?

 家に戻ると、京都市内の某カルチャーセンターからの葉書が一通届いており、それを見てモチベーションがかなり低下。
 岩田君は恵まれているぞ!

 一方、長野県飯山市出身の義理の叔父(戦時中は予科練生だったとのこと)の納骨が済んだという知らせに安堵し、拙宅に大量発生した羽アリがシロアリではないのが判明したことでホッと致しました。

 それにつけても、博物館の見学は、後になってから足腰に疲れが出ます。以前はこんな酷くはなかったのに。老耄は例の如し。

 ☆ 和歌山大学の海津一朗先生より、『和歌山大学教育学部教育実習テキスト 地域文化編-「田舎」「僻地」と思ってないか-』と『和歌山大学教育実習・博物館実施優テキスト2 戦国根来の歩き方』を御恵送頂きました。
 海津先生に、あつく御礼を申し上げます。

智に働けど、情に棹させども伝わらず

No.9660

 「ある集団に対して、良かれと思うことを頑張って進めてみるのは結構なことだが、それを分かってもらおうなどとは考えてはいけない」とは、昔教えを受けた師の言であるが、まさに然り。
 とは言っても、やはり分かってもらえないのは辛い。
 <厳しい現実>に直面して、めずらしく憂鬱になっています。

 自らの身体もさることながら、築10数年を経た拙宅も老朽化が進んでいるようで、水洗トイレの水が止まらなくなったり、天井裏に羽アリが大量発生したりするようになりました。
 嗚呼、「内憂外患」の種は尽きまじ。

 そういえば、京都文博の『平清盛展』をまだ見に行っていませんでした。
編集:2012/07/12(Thu) 19:36

 捨てるカミあれば、拾うカミあり

No.9661

 ゼミの方たちのツイッターの情報で、拙著『源氏と坂東武士』(吉川弘文館)が重版されることになったことを知りました。3刷は中公新書の『武家の棟梁の条件』(現在までに6刷)以来の快挙です。
 多くの方が復刊をリクエストして下さったようで、とても嬉しく思っています。
 いささか精神的に救われた気持ちです。

 ちなみに、この本の書名は『源氏と坂東武者』でも『源氏と板東武士』でもありません。
 お間違えなきようにお願い致します。

 新刊の『新横須賀市史 通史編 自然・古代・中世』拝受

No.9659

 山田邦明先生・近藤好和先生・高橋秀樹先生・真鍋淳哉先生の御高配により、横須賀市より『新横須賀市史 通史編 自然・古代・中世』を御恵送頂きました。

 大冊でほとんどがカラー印刷という豪華版です。そして、古代・中世の部分の多くは三浦氏に関係する内容。大変なお仕事であったことと思います。

 資料編も含めて、市町村レベルにおける自治体史編纂のお手本を示されたものと思います。
 もちろん、ほんの僅かですが、異論を差し挟みたいところもございました(笑)。

 山田先生・近藤先生・高橋先生・真鍋先生にあつく御礼を申し上げます。
 この本の内容を前提にして、中世を三つの時代くらいに分けてシンポジウムでも開催されたら素晴らしいのではないでしょうか。

 袴着・裳着・元服

No.9657

 本日の「基礎演習Ⅰ」。先週の東城さんに引き続き、戸出さんの発表も、なかなか考えさせられる内容。このクラス、前期で解散になるのが惜しまれます

 先日上洛された江波曜子さん(広島大学大学院博士後期課程、元『紫苑』編集長)から頂戴した御高論「〈三日の儀式〉考-王朝文学と古記録の間-」(古代中世文学論考刊行会編『古代中世文学論考』第26集、新典社)には、平安~鎌倉時代における袴着・裳着・元服に関する事例が検出されていて有用。さすがは、あの「首途考」の江波さん。

 ☆ 國學院大学大学院OBの池田陽平さんより、御高論「永保元年の二十二社奉幣について」(『日本宗教文化史研究』16-1)を御恵送頂きました。
 池田さんに、あつく御礼を申し上げます。 

夏の訪れの『吾妻鏡』

No.9658

 祇園祭の山鉾巡行は7月17日(火)9時からです。
 宵山と併せて、京都近辺にお住まいの内に一度お運びになるのもいいと思います。今年のお天気はいかがでしょうか。
 そんな日程の、次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年7月17日(火)午後4時すぎ~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建仁四年(元久元年、1204)正月十日・十二日・十八日、二月十日・二十日、三月九日・十日・二十二日・二十九日、四月一日・十日・十六日・二十日・二十一日、五月六日・八日・十日・十六日・十九日、六月八日・十九日・二十四日・二十六日、八月三日・四日・十五日・二十一日、九月一日・二日・十三日・十五日、十月十四日・十七日・十八日、十一月四日・五日・七日・十三日・十七日・十八日・二十日・二十六日、十二月十日・十八日・二十二日の各条

 また、火曜日の『吾妻鏡』は7月は17日、24日に開催予定です。よろしくお願いします。

 わけあって開始時間を四時過ぎに変更させていただいております。メンバーのみなさんにはご迷惑・ご不便をお掛け致しますが、よろしくお願い致します。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

 京都猛暑

No.9656

 今日の京都は真夏の暑さでした。夏は若者の季節であることを実感!

 ようやく校正ゲラを送付できましたので、次の仕事にかかわる「宇都宮歌壇」について考えている間に、うっかり京都文博の特別展を紹介する午後6時10分からのNHK京都の番組を見そこなってしまいました。残念! たしか、今日の放送でしたよね。
 岩田君の出演する番組は、本日ロケに出掛けたようですから、少し先のようです。

 明日の「基礎演習Ⅰ」は戸出さんの発表。テーマは「少年犯罪」とのことです。

 傍らに人無きがごとし。

No.9655

 雨上がりの日曜の夜。また、京都郊外の狭い建て売りの住宅地に住んでいる友達の家の隣人がバーベキューを始めたとのことです。まさに「傍若無人」。
 かつては、共生こそ京都都市民の文化であったはず。それを現代の京都人、しかも近郊住宅地の住民の意識にまで敷衍するのは無理な話でしょうか。

 平治の乱の評価は平清盛と源義朝の戦いに矮小化されるべきものではありませんが、その部分だけを取り上げるのなら、昔から、興味津々に思っているのは、上総広常ら義朝配下の東国武士がどのようなルートで帰東を果たしたのかということ。
 広常の場合、のちに尾張の原氏(良峯氏)と姻戚関係にあったことが知られるから、その援助を得たものか。いずれにしても、かれらは既に東海道や東山道の各所にネットワークを張っていたのでしょう。当時の東国武士は人生のかなりの時間、在京生活を送っており、歌も詠めるし、ドラマに描かれるほどに粗野ではありませんでした。

 平治の乱について勉強したい人は、元木泰雄先生の『保元・平治の乱を読みなおす』(NHKブックス)を図書館で借りてくるか、近く刊行される『保元・平治の乱 平清盛 勝利への道』(角川ソフィア文庫)を待つのがベスト。それ以外の関連書籍をお読みになっても、必ず最後は元木先生の御著書でしめて下さい。

 政治史的評価云々よりも、義朝の東国への逃走など、枝葉末節な合戦話にこそ関心があるという向きには、拙著『武門源氏の血脈』(中央公論新社)で十分かと存じます。

 それから、私が現在校正中の本というのは、山川ブックレットの『源義家』です。副題はいろいろ迷ったあげく『中右記』の一節から「天下第一の武勇の士」といたしました。順調に進めば、9月末頃には世に出ることになります。

 それにしても、近藤好和先生が今回の大河ドラマを御覧になっていなくて本当に良かったと思います。
 なにしろ、とくに合戦の場面は、専門外の私が見てもあんまりですから。

 【追記】 先ほど、「日本の古本屋」を見ておりましたら、早稲田の古本屋さんに(幻の)拙著『坂東武士団の成立と発展』(弘生書林)が出ておりました。