元木先生の御新著と平清盛の誕生日

No.9411

 元木泰雄先生が、角川学芸出版より『平清盛と後白河院』という本を出されるとの情報を得ました。発売予定日は 2012年3月27日とのことです。
 タイトルからして、「これで決まり!」のような感じです。刊行が待ち遠しいところですね。

 ちなみに、平清盛に関心が向けられる中で、彼の誕生日が正月十八日(もちろん旧暦で)であるのに、このことは、どなたも触れることがありませんでした。
 この時代の人物で、誕生日がハッキリわかるのは珍しいことです。ちなみに、それを伝える史料というのは、『玉蘂』の承元五年三月十四日条です。
 この記事によると、醍醐天皇も正月十八日、鳥羽院は正月十六日生まれのようです。

『紫苑』と講読会と清盛落胤説について。

No.9409

 今日のゼミで、池嶋さんから清盛落胤説について質問がありました。その取りあえずの答えです。
 「まず、平忠盛の妻に白河院の女房がおり、彼女を清盛の生母と推定してほぼ間違いないことは、確実な史料によって明らかに出来ます。」
 あとは、元木先生の『平清盛の闘い』をお読み頂いた上で。

 『紫苑』第10号ですが、本日見積書が揃い、印刷所が決まりました。
 山本編集長のもとで刊行に向けて順調に進んでおります。中味は力作揃いで、おおいに期待できそう。10号記念の特集も楽しみです。
 
 『吾妻鏡』講読会は2月も継続して行われることになりました。詳しい日程は追って告知されることになると思いますが、普段参加できない方は、この期間だけでもどうぞ。
 研究発表の例会も計画しなければいけませんね。

 それにしても、元木先生の『河内源氏』(中公新書)の人気は盤石たるもの。羨望を禁じ得ません。

 なお、Amazonで拙著『武門源氏の血脈』(中央公論新社)に、読者の方から早々のうちにレビューの書き込みがありましたが、最初にこれを読んだとき、実によく内容を把握してくれていると感激したものです。
 実は、これをどなたが書き込んで下さったのか、すでに判明しており、なるほどと思っているのですが、この掲示板を御覧の諸賢にも、ぜひ御一読頂ければと思います。
http://www.amazon.co.jp/武門源氏の血脈-為義から義経まで-野口-実/dp/4120043185/ref=zg_bs_561456_4  

 元祖 『平家の群像』 を読む。

No.9407

 出版社にお送りした『八幡太郎』の原稿は分量不足だったようで、これから書き足すことになりました。「終わりなき」原稿執筆の日々を楽しんでいます。

 学生時代に読んだ「平家」関係の一般向けの本を捜し出して読んでいるのですが、なかなか勉強になる本が多い。今になって、ようやく書いてあることの意味が理解できたりしています。先学は、本当に史料をちゃんと読んでおられます。頭が下がります。

 今読んでいるのは、安田元久『平家の群像』(塙新書、1967年)と村井康彦『『平家物語』の世界』(徳間書店、1973年)。
 さすが碩学のお書きになった本です。この四半世紀ほどの間に、歴史学の世界で「平家」研究が、どれほど進んだのか等々、いろいろ考えさせてもくれます。

 安田元久先生には、大学院生時代、学習院大学で『鎌倉遺文』のゼミに出席させて頂いたり、科研の「『吾妻鏡』の総合的研究」のメンバーに加えて頂いたり、たいへんお世話になりました。

 村井康彦先生は、かつて本学で教鞭を執っておられましたので、御著書の中で本学周辺の史跡に触れられるところが多く、また、本学の大学祭で催された平曲の講演の写真なども収録されていて、そんなところも楽しめます。

 30年後。たとえば、拙著『武門源氏の血脈』をまだ読んで下さる人がいるだろうか、などと要らぬ心配を致しております。

『武門源氏の血脈』の刊行から一週間

No.9406

 元木先生。 1月17日は絶対にお忘れになれない日だと思います。
 古文書学会の見学会の御案内、ありがとうございました。当方のゼミメンバーに周知したいと存じます。

 美川先生。 私ごときでも、ネットの世界では、しばしば「呪い」の対象になっているようです。そのせいかどうか、最近は「行動がノロイ」と周りから叱られてばかりおります。

 ところで、拙著『武門源氏の血脈 為義から義経まで 』(中央公論新社)が世に出て一週間経ち、お目通し下さった方たちから、ありがたいメッセージが届くようになりました。 
 私が学生だった頃から一貫して日本中世史の第一線で活躍されている先生方から、「鎌倉幕府成立史の斬新な視角が明瞭となり、蒙を啓かれた」とか、「新解釈の数々にふれ、歴史の幅の広さにあらためて感じ入っております」というようなお言葉を頂いて、若い頃のように、とても励まされた気持ちになっております。

 それから、ちょっと嬉しかったのが、同年の『平家物語』研究の大家から「文章も読み易く、学ばせていただくところ大です」と「国語」でも褒められたこと。なにしろ彼は小学生時代から、ボンクラの私にとっては<羨望>の対象でしたからね。

 拙著は、そろそろ売れ行きがストップし始める頃だと思いますが、さらに多くの方々にお読み頂きたいと念ずる次第です。ほんとうに、24時間労働で頑張ってくださった編集者の方をはじめ、たくさんの方たちの御助力によって出来上がったものですから。

 励ましやお誉めの言葉ばかりを書き連ねましたが、もとより不勉強な私の著作ゆえ、多々、誤りもあろうことと思います。校正漏れから歴史観に至るまで、厳しい御指摘や御批判をお待ち致しております。
 その場合、書評のような文章の形にして頂けるのが一番嬉しいのですが、直接議論したいという方には、2~3月に開催を予定している、元木先生の『河内源氏』と拙著との合同書評会での御高評をお願いしたいと存じます。ぜひ立候補してください。

日本古文書学会見学会のご案内

元木泰雄
No.9403

日本古文書学会見学会のご案内
 
 先日予告致しました日本古文書学会見学会の内容が確定しましたので、ご案内を掲載いたします。大変貴重な機会ですので、ふるってご参加ください。

① 関西学院大学(阪急電鉄今津線甲東園または仁川駅下車、徒歩12分、甲東園駅より関 学行きの阪急バスがあります)http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_000374.html
日時 2月18日土曜日13時~15時(12時45分受付開始) 
集合場所 関西学院大学図書館(時計台裏手)入口のエントランスホール     http://www.kwansei.ac.jp/pr/images/0000017078.jpg(25番の建物が図書館です)
 参加費500円
 関西学院大学所蔵の東寺文書、および近世文書(灘の酒造関係の文書、その他)を見学します。
 お問い合わせは、関西学院大学図書館利用サービス課古文書室担当 羽田真也氏まで。 TEL:0798-54-6123、FAX:0798-51-0911
 参加希望者はお名前・連絡先明記の上、下記までハガキで申し込んでください。
 2月10日必着です。

② 京都府立総合資料館(京都市営地下鉄烏丸線・北山駅下車)
 日時 3月13日火曜日13時~16時(12時45分受付開始)
 集合場所 京都府立総合資料館入口  
 参加費500 円
 東寺百合文書を上島有先生のご解説を承りながら見学します。今回は、当時百合文書の料紙見学会の4回シリーズの最後になります。
 中世文書全体のまとめをしますので、上島先生のご著書『中世日本の紙―アーカイブズ学としての料紙研究―』(日本史史料研究会刊)の、第二章から第六章まで目を通していただくとわかりやすいかと思います。
 お問い合わせは下記元木研究室まで。TEL075-753-6681
 参加希望者はお名前・連絡先明記の上、下記までハガキで申し込んでください。3月5日必着です。

申し込み先(①、②とも同じ)
〒606-8501京都市左京区吉田二本松町 京都大学大学院人間・環境学研究科 元木研究室(2月10日までに申し込まれる方は、どちらの研究会に参加されるか、または双方参加の旨を明記してください)

俄然脚光を集める中世前期-次回の『吾妻鏡』-

No.9402

 元木先生、野口先生の御著書が相次いで刊行され、それぞれ順調に売上を伸ばしているようですね。堅実で水準の高いご研究が広く世に知られることは、大変喜ばしいことだと思います。
 野口先生にはあらためて拙著をご紹介いただきまして、誠にありがとうございます。我が子を持ったことはありませんが、我が子を褒めていただいたような気持ちです。

 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年1月19日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:正治三年(建仁元年、1201)正月十二日、二月三日・五日、三月四日・十日・十二日・二十四日、四月二日・三日・六日、五月六日・十三日・十四日・十七日、六月一日・二日・二十八日・二十九日、七月六日、八月十一日・二十三日、九月七日・九日・十一日・十五日・十八日・二十日・二十二日、十月二日・六日、十一月十三日、十二月二日・三日・二十八日・二十九日の各条
    建仁二年(1202)正月十二日・十四日・二十八日・二十九日、二月二十日・二十九日、三月八日・十四日・十五日、四月二十七日、六月一日・二十五日・二十六日、八月二日・十五日・二十三日・二十四日・二十七日、九月十五日・二十一日、十月八日・二十九日、閏十月十三日・十五日、十一月二十一日、十二月十九日の各条

 1月はこのあと19日のみで、試験期間中はおやすみです。
 前回のご案内で「26日に開催予定」としたのは誤りでした。申し訳ございません。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 昨今は、“ポップでライトな”歴史が流行っているようですが、そんなポップでライトで楽しげなイメージも、もとはといえば何らかの史料に依拠して形作られたはずです。そのもとの部分の史料に当たって事実関係をきちんと踏まえて整理するという作業に慣れておくことも、いろいろな角度から楽しむのに役立つかもしれません。
 ただ、そうすると今度は“ポップでライトな”歴史を楽しめなくなってしまうのかもしれませんが…

 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、2012年、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

平清盛 第2回

山田邦和(同志社女子大学)
No.9399

 みなさまこんにちは。
 大河ドラマ「平清盛」第2回を見ました。第1回の際に話題にした鳥羽上皇と待賢門院の関係、
>2. 鳥羽は璋子の不倫を知って嫉妬に狂うが、しかし彼女を熱愛して求めてしまう。
というところで落ち着いたようですね。一応、後白河の実父が宙に浮くという事態は回避されました。でも、美川先生ご指摘のように
>じいさんが死んだらすぐに自分の子どもではないとわかっている崇徳を退位させ、自分の子どもであることが確実な後白河に位をつがせなけりゃだめでしょ。そうしないと鳥羽院政なんてできない。
という問題は未だに残っています。
でも、第3回の予告編を見ると、鳥羽上皇(三上博史)がこめかみに青筋を立てて(実際に立っている)待賢門院にくってかかっている場面が流れていましたから、美川先生の予測通り「待賢門院々政(鳥羽は璋子がこわくてなにもできなかった)」が敷かれていたのかもしれません(笑)。くわばらくわばら。

それにしても壇れいさんは綺麗だ。あんな呆けたような待賢門院(何を考えているのかさっぱりわかららない)を演じさせるのにはもったいないな・・・・

    参考文献の御紹介

No.9400

 何も申し(せ?)ませんが、このことに関心のある方に、話の前提として、必ず読んでおいて欲しい著書と論文を紹介しておきます。

 ○ 角田文衞『待賢門院璋子の生涯 椒庭秘抄』(朝日選書,1985年、初出は1975年)
 ○ 美川 圭「崇徳院生誕問題の歴史的背景」(『古代文化』56-10、2004年)

 『古代文化』は本学図書館(本館)の雑誌室にありますが、私の研究室にも配架しています。
 買いたい人は、(財)古代学協会に、まだ在庫があるはずです。
           http://kodaigaku.org/

 そういえば、『古代文化』には、こんな好論も掲載されていました。

 ○ 横澤大典「白河・鳥羽院政期における京都の軍事制度-院権力と軍事動員-」(『古代文化』54-12、2002年)

Re: 平清盛 第2回

美川圭
No.9401

 ネットの世界では、大河で「王家」と言ったのがけしからんという話が広がっているらしく、NHKは美川圭などという京大出の「アカ学者」の説をまにうけて、などという記事までみつけてしまいました。生きているうちに「アカ学者」などという名誉な称号をいただけるとは思いもかけず、家で大笑いしてしまいました。それこそ貴族社会をもちあげている私としては、本家本元に申し訳ないしだいです。そんなことで大河を批判するなら、白河法皇が「もののけ」と言われている(私の耳に誤りがなければ)ことの方が怪しからん、のではないでしょうか。どう考えても、白河法皇は現在の陛下の祖先であることは間違いないのです。これでは、現陛下の祖先が「アマテラス」ではなく、「もののけ」になってしまいます。

宇治市で学芸員などの募集をしています

No.9396

 私の住んでいる京都府宇治市で、学芸員と文化財保護担当の職員を募集しています。
 どなたか、応募してみませんか。詳細は下記をごらん下さい。
           http://www.city.uji.kyoto.jp/0000003536.html

岩田慎平著『平清盛』を推薦します。

No.9395

 昨年末、『京都民報』という地方紙の読書欄に、岩田君の著書『乱世に挑戦した男 平清盛』(新人物往来社)について書かせて頂く機会がありました。その原稿をベースに、ここでもう一度、この本を紹介させて頂きたいと思います。

 来年度、本学やキャンパスプラザで、私の講義を受講しようとされる方には、ぜひ読んでおいてほしい一冊です。

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 日本史教育の衰退した今日、毎年NHKで放送される大河ドラマはその市民向け教科書のような役割をになっている。高視聴率をあてこんで、前年の秋頃から、ドラマのテーマに即した内容の書籍が続々と出版される。しかし、その多くは歴史作家と呼ばれるような人たちによって書かれたものなので、歴史の骨格そのものは分かりやすいステレオタイプの旧説が再生産されることになる。

 歴史への関心や理解ということについて、一般市民と研究者との間に深い断絶が生じていることは長く指摘されている。そんな状況に一石を投じるかのように本書は出版された。
 著者の岩田慎平氏は、京都教育大学で教育の本質を考える中で、日本中世史の研究に自らの方向を見定めた。大学院では平氏政権の研究者として令名高い田中文英氏に師事し、現在は院政期政治史研究の第一人者である元木泰雄氏の主宰される研究会で、その謦咳に触れている。
 したがって、本書は最新・最高の研究成果を反芻した上に、彼自身の視点を織り込み、しかも、一般の読者に対する心配りが籠められた内容であり、源平内乱期の政治史に関する入門書としても最適な本といえる。大河ドラマとの関わりで刊行されたにせよ、モチベーションの高い若い研究者によってこそ世に出すことの出来た出色の本である。

 「歴史学の世界で、今、平清盛と彼を取り巻く時代がどう評価されているのだろうか?」そんな疑問を持っている方たちに今、私が一番お勧めしたい本なのである。

 営業上の要請なのであろう。装幀やタイトル・字体などが通俗的なために、書店では「歴史読み物」のコーナーに置かれざるを得ないが、わかりやすい筆致ながら、現在の研究水準を一般に還元するに足るハイレベルな内容である。

 これからこの時代の歴史を勉強していこうと考えている、とくに若い方たちに是非とも一読をお勧めしたいと思う。

 ゼミ初日。 年頭の御礼とお詫び。

No.9393

 元木先生、日本古文書学会の見学会日程のお知らせ、ありがとうございました。
 
 見学会は2月と3月の2回です。
 2月18日(土)=関西学院大学→>>No.9381
 3月13日(火)=京都府立総合資料館→>>No.9392

 昨日は今年の初ゼミ(蝉が啼いたわけではありませんょ)。
 例によって、帰省先からの美味しいお土産がたくさん。御菓子を頂きながらの講読会。
 みなさん、どうもありがとうございました。

 『紫苑』第10号の原稿もそろい、構成が決まりましたので、いよいよ見積もり依頼の書類を提出する段階に到りました。
 もと編集長の鈴木(永富)さんからは、ゼミ創設の頃の懐かしいカラー写真の入った、PDFファイル化した原稿を頂きました(どうやら主役は山本陽一郎君のようです)。これは、縮小・横組みにして『紫苑』に掲載したいと思いますが、写真はモノクロになりますし、勿体ないので、カラーでプリントアウトしたものを研究室前に掲示するとともに、印刷したものを、少なくとも写真に写っている旧メンバーにはお送りするようにしたら如何かと思います。
 とても、懐かしい写真がいっぱいです。元木先生や美川先生、それに山田先生、松薗先生のお姿も。
 もっとも耄碌したせいか、自分が写っているのに、いつ何処でのことか、すっかり忘れているものもあります。

 ところで、耄碌と言えば、住所録の更新を怠っていたために、郵便物などをお送りしても、戻ってきてしまうケースが多く、まったく失礼な結果を招いたりしております。
 ひらに御容赦下さい。

「紫苑」原稿についてお願い

No.9394

野口先生>ありがとうございます。カラー版を掲示・配布していただけるとのこと、ありがとうございます。私の手持ちの写真で作ったので、どうしても私の写真(そして山本さんはどこにでも写っている!)が多いのですがご容赦ください。

岩田さん、田中さん、平田さん、長村さん>先ほどメールでPDFファイルを転送いたしました。お手数ですが内容をご確認の上、何かございましたら鈴木まで至急ご連絡いただきますようお願いいたします。

長村さん>顔出しNGとおっしゃっていましたが・・・すみません。守れませんでした☆(みんな出てるのでご容赦ください!)

編集長の山本みなみさん>原稿が遅くなりすみませんでした。よろしくお願いいたします。