日本古文書学会見学会のご案内

元木泰雄
No.9403

日本古文書学会見学会のご案内
 
 先日予告致しました日本古文書学会見学会の内容が確定しましたので、ご案内を掲載いたします。大変貴重な機会ですので、ふるってご参加ください。

① 関西学院大学(阪急電鉄今津線甲東園または仁川駅下車、徒歩12分、甲東園駅より関 学行きの阪急バスがあります)http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_000374.html
日時 2月18日土曜日13時~15時(12時45分受付開始) 
集合場所 関西学院大学図書館(時計台裏手)入口のエントランスホール     http://www.kwansei.ac.jp/pr/images/0000017078.jpg(25番の建物が図書館です)
 参加費500円
 関西学院大学所蔵の東寺文書、および近世文書(灘の酒造関係の文書、その他)を見学します。
 お問い合わせは、関西学院大学図書館利用サービス課古文書室担当 羽田真也氏まで。 TEL:0798-54-6123、FAX:0798-51-0911
 参加希望者はお名前・連絡先明記の上、下記までハガキで申し込んでください。
 2月10日必着です。

② 京都府立総合資料館(京都市営地下鉄烏丸線・北山駅下車)
 日時 3月13日火曜日13時~16時(12時45分受付開始)
 集合場所 京都府立総合資料館入口  
 参加費500 円
 東寺百合文書を上島有先生のご解説を承りながら見学します。今回は、当時百合文書の料紙見学会の4回シリーズの最後になります。
 中世文書全体のまとめをしますので、上島先生のご著書『中世日本の紙―アーカイブズ学としての料紙研究―』(日本史史料研究会刊)の、第二章から第六章まで目を通していただくとわかりやすいかと思います。
 お問い合わせは下記元木研究室まで。TEL075-753-6681
 参加希望者はお名前・連絡先明記の上、下記までハガキで申し込んでください。3月5日必着です。

申し込み先(①、②とも同じ)
〒606-8501京都市左京区吉田二本松町 京都大学大学院人間・環境学研究科 元木研究室(2月10日までに申し込まれる方は、どちらの研究会に参加されるか、または双方参加の旨を明記してください)

俄然脚光を集める中世前期-次回の『吾妻鏡』-

No.9402

 元木先生、野口先生の御著書が相次いで刊行され、それぞれ順調に売上を伸ばしているようですね。堅実で水準の高いご研究が広く世に知られることは、大変喜ばしいことだと思います。
 野口先生にはあらためて拙著をご紹介いただきまして、誠にありがとうございます。我が子を持ったことはありませんが、我が子を褒めていただいたような気持ちです。

 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年1月19日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:正治三年(建仁元年、1201)正月十二日、二月三日・五日、三月四日・十日・十二日・二十四日、四月二日・三日・六日、五月六日・十三日・十四日・十七日、六月一日・二日・二十八日・二十九日、七月六日、八月十一日・二十三日、九月七日・九日・十一日・十五日・十八日・二十日・二十二日、十月二日・六日、十一月十三日、十二月二日・三日・二十八日・二十九日の各条
    建仁二年(1202)正月十二日・十四日・二十八日・二十九日、二月二十日・二十九日、三月八日・十四日・十五日、四月二十七日、六月一日・二十五日・二十六日、八月二日・十五日・二十三日・二十四日・二十七日、九月十五日・二十一日、十月八日・二十九日、閏十月十三日・十五日、十一月二十一日、十二月十九日の各条

 1月はこのあと19日のみで、試験期間中はおやすみです。
 前回のご案内で「26日に開催予定」としたのは誤りでした。申し訳ございません。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 昨今は、“ポップでライトな”歴史が流行っているようですが、そんなポップでライトで楽しげなイメージも、もとはといえば何らかの史料に依拠して形作られたはずです。そのもとの部分の史料に当たって事実関係をきちんと踏まえて整理するという作業に慣れておくことも、いろいろな角度から楽しむのに役立つかもしれません。
 ただ、そうすると今度は“ポップでライトな”歴史を楽しめなくなってしまうのかもしれませんが…

 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、2012年、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

平清盛 第2回

山田邦和(同志社女子大学)
No.9399

 みなさまこんにちは。
 大河ドラマ「平清盛」第2回を見ました。第1回の際に話題にした鳥羽上皇と待賢門院の関係、
>2. 鳥羽は璋子の不倫を知って嫉妬に狂うが、しかし彼女を熱愛して求めてしまう。
というところで落ち着いたようですね。一応、後白河の実父が宙に浮くという事態は回避されました。でも、美川先生ご指摘のように
>じいさんが死んだらすぐに自分の子どもではないとわかっている崇徳を退位させ、自分の子どもであることが確実な後白河に位をつがせなけりゃだめでしょ。そうしないと鳥羽院政なんてできない。
という問題は未だに残っています。
でも、第3回の予告編を見ると、鳥羽上皇(三上博史)がこめかみに青筋を立てて(実際に立っている)待賢門院にくってかかっている場面が流れていましたから、美川先生の予測通り「待賢門院々政(鳥羽は璋子がこわくてなにもできなかった)」が敷かれていたのかもしれません(笑)。くわばらくわばら。

それにしても壇れいさんは綺麗だ。あんな呆けたような待賢門院(何を考えているのかさっぱりわかららない)を演じさせるのにはもったいないな・・・・

    参考文献の御紹介

No.9400

 何も申し(せ?)ませんが、このことに関心のある方に、話の前提として、必ず読んでおいて欲しい著書と論文を紹介しておきます。

 ○ 角田文衞『待賢門院璋子の生涯 椒庭秘抄』(朝日選書,1985年、初出は1975年)
 ○ 美川 圭「崇徳院生誕問題の歴史的背景」(『古代文化』56-10、2004年)

 『古代文化』は本学図書館(本館)の雑誌室にありますが、私の研究室にも配架しています。
 買いたい人は、(財)古代学協会に、まだ在庫があるはずです。
           http://kodaigaku.org/

 そういえば、『古代文化』には、こんな好論も掲載されていました。

 ○ 横澤大典「白河・鳥羽院政期における京都の軍事制度-院権力と軍事動員-」(『古代文化』54-12、2002年)

Re: 平清盛 第2回

美川圭
No.9401

 ネットの世界では、大河で「王家」と言ったのがけしからんという話が広がっているらしく、NHKは美川圭などという京大出の「アカ学者」の説をまにうけて、などという記事までみつけてしまいました。生きているうちに「アカ学者」などという名誉な称号をいただけるとは思いもかけず、家で大笑いしてしまいました。それこそ貴族社会をもちあげている私としては、本家本元に申し訳ないしだいです。そんなことで大河を批判するなら、白河法皇が「もののけ」と言われている(私の耳に誤りがなければ)ことの方が怪しからん、のではないでしょうか。どう考えても、白河法皇は現在の陛下の祖先であることは間違いないのです。これでは、現陛下の祖先が「アマテラス」ではなく、「もののけ」になってしまいます。

宇治市で学芸員などの募集をしています

No.9396

 私の住んでいる京都府宇治市で、学芸員と文化財保護担当の職員を募集しています。
 どなたか、応募してみませんか。詳細は下記をごらん下さい。
           http://www.city.uji.kyoto.jp/0000003536.html

岩田慎平著『平清盛』を推薦します。

No.9395

 昨年末、『京都民報』という地方紙の読書欄に、岩田君の著書『乱世に挑戦した男 平清盛』(新人物往来社)について書かせて頂く機会がありました。その原稿をベースに、ここでもう一度、この本を紹介させて頂きたいと思います。

 来年度、本学やキャンパスプラザで、私の講義を受講しようとされる方には、ぜひ読んでおいてほしい一冊です。

      + + + + + + + + + + +
 日本史教育の衰退した今日、毎年NHKで放送される大河ドラマはその市民向け教科書のような役割をになっている。高視聴率をあてこんで、前年の秋頃から、ドラマのテーマに即した内容の書籍が続々と出版される。しかし、その多くは歴史作家と呼ばれるような人たちによって書かれたものなので、歴史の骨格そのものは分かりやすいステレオタイプの旧説が再生産されることになる。

 歴史への関心や理解ということについて、一般市民と研究者との間に深い断絶が生じていることは長く指摘されている。そんな状況に一石を投じるかのように本書は出版された。
 著者の岩田慎平氏は、京都教育大学で教育の本質を考える中で、日本中世史の研究に自らの方向を見定めた。大学院では平氏政権の研究者として令名高い田中文英氏に師事し、現在は院政期政治史研究の第一人者である元木泰雄氏の主宰される研究会で、その謦咳に触れている。
 したがって、本書は最新・最高の研究成果を反芻した上に、彼自身の視点を織り込み、しかも、一般の読者に対する心配りが籠められた内容であり、源平内乱期の政治史に関する入門書としても最適な本といえる。大河ドラマとの関わりで刊行されたにせよ、モチベーションの高い若い研究者によってこそ世に出すことの出来た出色の本である。

 「歴史学の世界で、今、平清盛と彼を取り巻く時代がどう評価されているのだろうか?」そんな疑問を持っている方たちに今、私が一番お勧めしたい本なのである。

 営業上の要請なのであろう。装幀やタイトル・字体などが通俗的なために、書店では「歴史読み物」のコーナーに置かれざるを得ないが、わかりやすい筆致ながら、現在の研究水準を一般に還元するに足るハイレベルな内容である。

 これからこの時代の歴史を勉強していこうと考えている、とくに若い方たちに是非とも一読をお勧めしたいと思う。

 ゼミ初日。 年頭の御礼とお詫び。

No.9393

 元木先生、日本古文書学会の見学会日程のお知らせ、ありがとうございました。
 
 見学会は2月と3月の2回です。
 2月18日(土)=関西学院大学→>>No.9381
 3月13日(火)=京都府立総合資料館→>>No.9392

 昨日は今年の初ゼミ(蝉が啼いたわけではありませんょ)。
 例によって、帰省先からの美味しいお土産がたくさん。御菓子を頂きながらの講読会。
 みなさん、どうもありがとうございました。

 『紫苑』第10号の原稿もそろい、構成が決まりましたので、いよいよ見積もり依頼の書類を提出する段階に到りました。
 もと編集長の鈴木(永富)さんからは、ゼミ創設の頃の懐かしいカラー写真の入った、PDFファイル化した原稿を頂きました(どうやら主役は山本陽一郎君のようです)。これは、縮小・横組みにして『紫苑』に掲載したいと思いますが、写真はモノクロになりますし、勿体ないので、カラーでプリントアウトしたものを研究室前に掲示するとともに、印刷したものを、少なくとも写真に写っている旧メンバーにはお送りするようにしたら如何かと思います。
 とても、懐かしい写真がいっぱいです。元木先生や美川先生、それに山田先生、松薗先生のお姿も。
 もっとも耄碌したせいか、自分が写っているのに、いつ何処でのことか、すっかり忘れているものもあります。

 ところで、耄碌と言えば、住所録の更新を怠っていたために、郵便物などをお送りしても、戻ってきてしまうケースが多く、まったく失礼な結果を招いたりしております。
 ひらに御容赦下さい。

「紫苑」原稿についてお願い

No.9394

野口先生>ありがとうございます。カラー版を掲示・配布していただけるとのこと、ありがとうございます。私の手持ちの写真で作ったので、どうしても私の写真(そして山本さんはどこにでも写っている!)が多いのですがご容赦ください。

岩田さん、田中さん、平田さん、長村さん>先ほどメールでPDFファイルを転送いたしました。お手数ですが内容をご確認の上、何かございましたら鈴木まで至急ご連絡いただきますようお願いいたします。

長村さん>顔出しNGとおっしゃっていましたが・・・すみません。守れませんでした☆(みんな出てるのでご容赦ください!)

編集長の山本みなみさん>原稿が遅くなりすみませんでした。よろしくお願いいたします。

軍事貴族ですから源氏も商業を重視しましたす

No.9391

 最近、大河ドラマの関係で平清盛や平家に関するテレビ番組が多いようです。その中で、ある方が平家は日宋貿易に見られるように商業活動を重視したのに対して、東国を基盤とした源氏は農業重視だといったような話をされていました。それが、一般的な認識なのかも知れません。
 そういう対立的な捉え方は分かりやすくてよいのかも知れませんが、しかし、源氏も平家も同じように都市や流通・生産に依存する軍事貴族ですから、所期するところは同じであるはずです。
 源氏など、頼義の時代から武器・武具の材料を求めて奥羽への進出を図ったりしています。為義は大物浜に拠点を持っていましたし、為朝の鎮西進出も、貿易の利を求めたものと捉えることが出来ます。平家は保元の乱後、島津庄を押さえるなどして、その権益を継承したに過ぎないのです。
 中世前期武士論の研究において、今は、「東西」や「源平」など、従来の対立的な図式・捉え方を相対化すべき段階だと思っています。拙著『武門源氏の血脈』で述べたとおりです。

 それから、平清盛はけっして東国を軽視していたわけではありません。その点については、旅の文化研究所発行の『まほら』の70号(特集 東海道)に「清盛の富士・鹿島参詣計画と頼朝の上洛」という小文を書きましたので御覧頂ければ幸いです。

 京都女子大学のみなさま。現在配布中の『京都女子大学通信』の103号に「研究室訪問 野口先生に聞く!歴史研究とは?~歴史からみる京都女子大学の立地の魅力~」という記事を載せていただきました。
 昨年度の現代社会学部「基礎演習Ⅰ」で、立派な報告をしてくれた高田鈴さんたちの取材によるものです。大きな写真が載っているので恥ずかしいのですが、御紹介まで。

 ☆ 大阪大学大学院の芳澤元さんから、御高論「応永期における渡唐天神説話の展開」(『史学雑誌』120-10)・「慶長期の絵画・漢詩の製作過程」(『文学』12-5)を御恵送頂きました。
 芳澤さんに、あつく御礼を申し上げます。 

古文書学会見学会の予告

元木泰雄
No.9392

 日本古文書学会の見学会のご案内
 先日、2月18日に関西学院大学にて、日本古文書学会見学会を開催することをお伝えしましたが、続いて3月13日火曜日に、京都府立総合資料館にて、上島先生の御解説による見学会を開催いたします。
 これまで、上島先生の御解説による東寺百合文書の見学会は三回にわたって行われましたが、今回は最終回になります。
 国宝の文書を間近で拝見できる得難い機会です。
 ふるってご参加ください。
 時間は13時から16時の予定です。
 詳細は改めてご案内致します。

『武門源氏の血脈』は本日発売

No.9386

  いよいよ本日は『武門源氏の血脈』(中央公論新社)の公式発売日です。

 朝日、読売の両紙(朝刊)に新聞広告が載ったことと思います(朝日の場合、西日本は11日掲載とのこと)。

 アマゾンではすでにレビューを書いて下さった方もあり、有り難く思っております。

 序章には大河ドラマに関する私見も記しましたので、書店で立ち読みでもして頂ければ幸いに存じます。

好調なスタートですが-御礼とお願い

No.9387

 おかげ様で、本日発売の拙著の売れ行きは、たいへん好調な滑り出しのようです。
 目下、僭越にも元木先生の『河内源氏』と鍔迫り合いを演じております。
 みなさまに、あつく御礼を申し上げます。

 ただし、その一方で、拙著は単行本で発行部数が新書のように多くないために、このままで行くと入手が難しくなる可能性があるという情報(アドバイス)をいただきました。
 ネット通販専門の会社などは、手持ちの在庫が少ないため、注文が殺到すると、あっという間に「在庫切れ」になり、そのまま、補充されないで長く放置というケースもあるそうです。

 ですので、たとえば関西の大都市圏にお住まいの方の場合は、アバンティブックセンター京都店、旭屋書店本店、同書店なんばCITY店、紀伊國屋書店梅田本店、同書店本町店、ジュンク堂書店三宮店など、在庫が豊富な大型書店でお求め頂くのがよいのではないか、ということです。

 昨今、書店では、大ベストセラーを除き、売り切れた本の補充はなかなかしてくれないのだそうで、こんなところにも市場原理の歪みが及んでいるようです。

 ☆ 東京都立大学名誉教授峰岸純夫先生より、御高著『新田岩松氏』(戒光祥出版)を御恵送頂きました。
  峰岸先生に、あつく御礼を申し上げます。

新年の『吾妻鏡』

No.9388

 『武門源氏の血脈』(中央公論新社)のご刊行、おめでとうございます。
 大河ドラマ『平清盛』の視聴率は、関西地方よりも関東地方のほうが少し低かったようです。やはり「東国」では清盛の人気は芳しくないのでしょうか。
 そんな坂東武士ご贔屓の方にもおすすめの一冊です。

 新年初回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2012年1月12日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:正治二年(1200)十一月一日・四日・七日、十二月三日・二十七日・二十八日の各条
    正治三年(建仁元年、1201)正月十二日、二月三日・五日、三月四日・十日・十二日・二十四日、四月二日・三日・六日、五月六日・十三日・十四日・十七日、六月一日・二日・二十八日・二十九日、七月六日、八月十一日・二十三日、九月七日・九日・十一日・十五日・十八日・二十日・二十二日、十月二日・六日、十一月十三日、十二月二日・三日・二十八日・二十九日の各条

 12日は新年初回ですから、年末年始のことなどもいろいろ報告しあいましょう。
 1月は12日、19日、26日に開催予定です。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、2012年、何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

明日は今年のゼミ講読会はじめ

No.9390

 明日は今年のゼミ史料講読会の初日と言うことになりますね。
 みなさんとお目にかかるのも久しぶりです。私は例によって正月太りであります。胃腸が弱いというのに、これだから誰も同情してくれません。
 それにしても、運動不足であることは間違いありません。

 講読会の時間に『紫苑』の構成についても確定をしたいと思います。早々に見積もりをお願いしなければなりませんので、宜しくお願い致します。

 『源義家』は草稿を出版社に送付する段階まで漕ぎ着けることが出来ました。

 書評会の評者について>>No.9382、立候補と推薦の件、宜しくお願い致します。

 ☆ (財)古代学協会勤務時代に同僚だった関口力先生より、御高論「清少納言と源経房」(紫式部学会『むらさき』48)・「書評と紹介 倉田実編『王朝人の婚姻と信仰』(『日本歴史』759)を御恵送頂きました。
 関口先生に、あつく御礼を申し上げます。

古文書学会見学会の予告

元木泰雄
No.9381

 来る2月18日土曜日、関西学院大学にて日本古文書学会見学会を開催いたします。
 正式のご案内は後日、再掲しますが、取り急ぎ概要のみ掲載します。
 時間は13時から15時まで。
 場所は関西学院大学図書館(時計台裏手、リンク参照、キャンパスマップの25番が図書館です)。
 http://www.kwansei.ac.jp/pr/images/0000017078.jpg
 
 関学所蔵の東寺文書、可能なら近世文書も拝見する予定です。
 参加費500円程度。
 
 関学は、阪急今津線(映画で名高い?)甲東園または仁川下車、徒歩10~15分程度。
 阪急河原町からなら、十三・西宮北口乗り換えで、1時間半程度(徒歩も含む)です。
 タクシーなら西宮北口から1200円程度です。http://www.kwansei.ac.jp/pr/images/3334_35211_img.jpg

 関学の皆さんにご協力をいただくことになりました。
貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。よろしくお願い致します。

 なお、三月には、上島先生の御解説による、総合資料館当時百合文書の見学会(最終回)も予定されております。日程がわかりましたら、掲載致します。

『源氏』関係二著の書評会につきお願い

No.9382

 こちらは、御案内かたがた、立候補ならびに候補者推薦のお願いです。

 今年度中、2~3月になってから、当方のゼミ主催の研究会の一環として、書評会を実施したいと考えています。
 俎上に上がるのは、元木泰雄『河内源氏』(中公新書)と拙著『武門源氏の血脈』(中央公論新社)。

 京都大学から元木先生(および研究室の方々)にもお越し頂いて、活発に、かつ、楽しくやりたいと思います。
 美川先生や山田先生も、ぜひお出かけ下さい。話題は当然、その方面に広がると思いますから。

 元木先生と私で議論しても仕方がありませんので、両方の本につき、各1名の評者を立てる必要があります。ついては、その評者に立候補、または評者の推薦をお願いしたいと思います。
 
 日程調整もありますが、まずは評者の候補が決まらなければ話しが進められません。遠方から京都観光のついでに、というのも宜しいのではないかと思います。また、国文学を専攻されている方も歓迎です。

 立候補・推薦ともに、当方か、岩田君などゼミのメンバー・関係者にお知らせ頂ければ幸いです。
 どうぞ宜しくお願い申しあげます。

 なお、研究会は公開のかたちで行おうと考えております。日程など決まりましたら、また追って告知させて頂きます。

Re: 古文書学会見学会の予告

No.9389

>元木先生
 日本古文書学会の見学会のご案内、ありがとうございます。

 ところで、関西学院大学(関学)の周辺にはお食事が出来るような場所が少ない(ほぼ皆無)です。

 阪急西宮北口駅周辺の西宮アクタ、ガーデンズ西宮などのショッピングモールなどで済ませていただくか、関学会館の「レストランポプラ」をご利用下さい。

  関学会館 レストランポプラ 0798-54-1188
 (http://member.kwangaku.net/kwangakukaikan/index.html)

《平家》の重囲の中で孤立無援

No.9376

 京都女子大は、本日後期授業再開。仏前成人式もありました。

 さて、このところお騒がせしている『武門源氏の血脈』。
    http://www.chuko.co.jp/tanko/2012/01/004318.html
 本を出すと、諸方の反応が気になるといいましょうか。やたらと、そんな書き込みばかりしていて、端(はた)から見ると大いに馬鹿げていることだろうと思います。

 それを承知で、また書き込むわけですが、すでに都市部では店頭に登場したようで、高校以来お世話になっている親友からは、東京は池袋の大書店に並ぶ拙著の写真が送信されて参りました。
 どうやら、大河ドラマ関連本コーナーに配架されているようで、周囲を数多の平家本に囲まれております。しかし、いろいろ出ているものですね。

 執筆中の「八幡太郎」の方は、ようやくどうにか形になって来た・・・という段階です。これから何度も読みなおして、推敲に推敲を重ねる必要あり。今の感じでは、すっかり教科書みたいであります。しかし、あまり奇を衒うのもよくありませんから、この程度が無難なところでしょうか。

衝撃の大河ドラマ?

元木泰雄
No.9377

 きっとこうなるだろうな、と思いながら、怖いもの見たさで見ました。何をって、もちろん大河ドラマを。

 武士は王家の番犬、血塗られた汚れた存在という、昔ながらの描き方には、やっぱりという感をうけました。あのころ、忠盛はすでに伯耆守であり、自らチャンバラはしないと思いますが。
 衝撃的なのは、院御所で、殺人行なわれたこと。仏教信仰に篤く、殺生禁断例を何度も出した白河法皇が、自分の目の前で、しかも何やらわからない理由で処刑を命じ、追い詰められて切りかかった元の愛妾を射殺させたのには、ただ唖然・茫然でした。地獄変の悪影響でしょうか??
 殺生禁断例がどうのという以前に、藤原忠実が血にまみれた忠盛を忌避する場面を設定しながら、よくこんな場面が作れたものです。脚本家は何を考えているのでしょうか?プロデューサーは矛盾を感じないのでしょうか?これでは時代考証の先生方も大変ですな。お察しいたします。
 歴史的にどうのという以前のお粗末な脚本に、ただただあきれ返りました。

 正盛・忠盛が怪しげな盗賊と切り合いをしたり、忠盛が自ら海賊船に乗り込んで、海賊を一網打尽にしたりは、まあ娯楽時代劇的サービスなのでしょう。でも、戦闘形態は、もう少しリアルにしてもらいたいですね。かつて大河ドラマには品格があって、水戸黄門や桃太郎侍とは一線を画したものですが・・・

 白河院と待賢門院の醜聞を映像化したのも、別の意味で驚きました。一種の天皇制タブーに対する挑戦かもしれません。でも、残念ながら最新研究では否定されているのですがね。おどろおどろしく、世を混乱させる元凶である院政という、戦後歴史学の成果に則った理解ですね。
 まあ若いころ非行に走った清盛が、西行や文覚と交わるという設定自体、戦後歴史学の影響下にあった吉川英治の世界といえるでしょう。結局、NHKの歴史認識は、武士と貴族を階級闘争でとらえるという、半世紀以上前の認識のようです。
 こうなったら、水戸黄門も終わったことですので、古代末期の腐敗の元凶院政・院近臣、貴族・寺社などの荘園領主勢力と戦いながら世直しを目指す、さっそうとした清盛を描く「痛快時代劇」に徹してもらいたいものです。いざとなったら、印籠の代わりに三種の神器か何かを取り出してはいかがでしょうか(笑)

「紅旗征戎、吾事に非ず」の心境

No.9378

 当方も、授業や市民講座で関連する話をすることになるだろうということで、あえて視聴致しましたが、驚くことの連続。まず、政子には(一人称「オレ」だった)財前直見さんの時以上に驚かされましたが、院御所での殺戮の場面には驚く以上に絶句、驚愕いたしました。

 もう少し、新たな(あるいは真面目な)歴史理解(あえて「認識」とは言いません)に基づいたものになっているのではないかと思っていたのですが、見事に裏切られました。
 大河ドラマで、これをやられてしまうと、一般の方々は、これをその時代のイメージとしてしまいますから、今後の市民講座など一苦労だと思いやられます。どっと疲れを感じました。

 でも、このドラマを切っ掛けにして、この時代の真の歴史を考えようとする賢明な視聴者もおられることと思います。微力ながらも書物をもって対応するに如かずかと考えております。
 それにしても、この仕事をしていて日頃感じている空しさを、このドラマは、あらためて、しっかりと、そして、強く、噛みしめさせてくれたように思います。

 しかし、先学から受け継ぎ、そして自らこれまで積み重ねてきたこの仕事を止めるわけには参りません。少なくとも私たちの書いた本の読者には、わかって頂けるものと固く信じるしかありません。

 今年は、片目を開きつつ、定家の如く「紅旗征戎、吾事に非ず」でまいることに致しましょう。

皇国史観かもね

美川圭
No.9379

 町内会の新年会に行っていたため、20:30ごろからしか見ていないのですが、何で白河法皇のまえで女が射殺されるのか、まったく理解不能。目を白黒させてしまいました。天皇制を堕落させた院政の元凶は白河法皇、というのは戦前、とくに皇国史観でしょう。それを武士が正していくわけですから、混乱した政党政治を軍部が立て直していくのと同じでしょう。それが、いまの政局にオーバーラップしていくと、嫌な感じがします。家内の話だと、最初に頼朝と政子が登場したそうですね。政子はまるで漁師のような出で立ちだったとか・・・。私の本など読んでもらっているはずはないことは、最初からわかっておりますが。

「平清盛」第1回

山田邦和(同志社女子大学)
No.9380

みなさんこんばんは。
研究会でへべれけになり、帰って来てから録画で「平清盛」を見ました。
白河法皇の前での殺人に目が点になったこと、あいかわらずの「腐った貴族」史観に呆然としたことについて皆様と同感ですのでそれは別にして、
私が「オイオイ」となったのは、崇徳の即位直後に、白河(伊東史郎)と璋子(檀れい)の不倫関係を知った鳥羽上皇(三上博史)が嫉妬のあまり半狂乱になっているシーン。これは困る。だってそうでしょう。崇徳の生誕は元永2年(1119)で、即位は保安4年(1123)。この段階で鳥羽と璋子の夫婦関係が破綻してしまうハズがない。だってそうでしょう。崇徳の下には、大治2年(1127)生まれの後白河がいる。保安年間に鳥羽と璋子が喧嘩別れしていたら、後白河の父親までもが白河法皇なのか?という話になってしまう。んなアホな。

ドラマなのだから、史実に絶対忠実に、とはいいません。しかし矛盾は困る。描くんならば、次のうちどれかでないと後白河の父親の説明がつかない。
 1. 璋子は不倫しながらも、一方では鳥羽との夫婦関係を続けている。
 2. 鳥羽は璋子の不倫を知って嫉妬に狂うが、しかし彼女を熱愛して求めてしまう。
 3. 鳥羽は璋子の不倫をまったく知らない寝取られ男。
そう思いませんか?

待賢門院院政

美川圭
No.9383

 鳥羽天皇(院)があんなに嫉妬に狂っているなら、じいさんが死んだらすぐに自分の子どもではないとわかっている崇徳を退位させ、自分の子どもであることが確実な後白河に位をつがせなけりゃだめでしょ。そうしないと鳥羽院政なんてできない。
 それをやっていないんですから、結論は自ずからはっきりしているのです。崇徳の実父が白河法皇というのは、後白河を即位させるため藤原忠通あたりがながしたガセねたか。たとえ崇徳の実父が白河法皇であったとしても後白河即位の少し前まで、鳥羽はそれを知らなかったんでしょう。崇徳が生まれたところで、自分が実父でないと知っていたら、そのあとつぎつぎ璋子とのあいだに後白河など子どもはつくらなかったでしょうね。
 いったいこのドラマどうつじつまあわせる気ですかね。璋子がこわくて、鳥羽は白河法皇死後も崇徳退位以下なにもできなかったとするのでしょうか。それだったら、鳥羽院政じゃなくて、美福門院登場、近衛天皇即位までは、

待賢門院院政

という新(珍?)説を提示しなくちゃ。
いままでそんな説を聞いたことないけれど。案外画期的な説だったりして(笑)