元木先生の『河内源氏』の書評会について

No.8380

 後期の『吾妻鏡』講読会は、先週から本格的にはじまっています。
 毎週木曜日の13時からと15時から。場所はL校舎3階の宗教・文化研究所共同研究室です。
 13時からの方は、今週は元暦元年五月二十日条~、15時からの方は、下記の岩田君の書き込みを御覧下さい。参加者は、個々別々ですが、時間のある方は、両方続けて参加しておられます。
 ともに史学と国文専攻の院生さん、そして15時からの講読会には大学の教壇に立っている若手研究者の方も複数参加されておりますので、私も大変勉強させられています。
 しかし、和気藹々でお菓子も沢山というのが、この講読会の美徳とすべきところでありましょう。

 さて、今日はキャンバスプラザの授業なので早朝出勤。しかし、9時半になっても駐車場には空きが目立つ。こんなことなら、もっと余裕を持って出てくればよかった思ったのですが、どうやら今日は高校の体育祭のようでした。幼稚園から高校までの行事も把握しておく必要があるのですが、それはなかなか難しいと思います。

 キャンパスプラザの授業には、このところ毎年、九州出身の方が参加されています。そして、みなさん明るくて元気がよい。「九州男児」という言葉がありますが、女性も頼もしい限りだと思います。
 
 元木先生の『河内源氏』(中公新書)はベストセラー街道をばく進中のようで、心強い限り。成立期の武士に対する認識が市民レベルで変革されることに繋がることを期待したいところであります。

 ちなみに、元木先生から先生御出席のもとでの書評会開催についてのご承諾を頂きました。「ほかの本の書評と合同で」との御意向です。お正月明けくらいまでの間に、ゼミ関係者の著書が複数冊刊行される見通しなので、その刊行を待って、年度内には実現を図りたいと思っています。

 ところで、元木先生の『河内源氏』の書評を担当したいという方がおられましたら、ぜひお申し出下さい。
 関東の若手の方など、ぜひお手をお挙げください。

古代学協会創立60周年の記念式典

No.8372

 今日は、(財)古代学協会創立60周年の記念式典が京都ホテルオークラでありました。
 上田正昭先生の御講演の後、角田文衞古代学奨励賞の授賞式が行われ、その後、祝賀会。
 そこで来賓の方々のスピーチで発せられた「賢人は歴史に学び、愚人は経験に学ぶ」とか、「学問とは真理に関わる人間関係のことである」といった名言・至言は式次第の余白にメモさせて頂きました。

 至言といえば、一昨日の『吾妻鏡』講読会で読んだところにあった「微質沈淪」は、今の私に相応しい言葉です。血気盛んな若い頃は、やたらと馬で海を渡ることの好きだった佐々木盛綱も晩年は辛かったようですね。

 古代学協会の記念式典は4時間の長丁場なので、途中で退席させて頂き(残念なことに、山田先生のスライド上映を見のがし、コーヒーとデザートにありつけない結果となりました)、地下駐車場から愛車を駆って大学へ。図書館の館外倉庫に置いてある本の貸し出しを頼んでいたのです。水曜日に坂口君から教えて頂いた本。これは助かりました。

 古代学協会の大きなイベントは数年ごとに開催されるのですが、かつての同僚に会っても、お互いに誰か識別できなかったりすることがあり、寂しい限りです。
 しかし、本日は、若い頃お世話になり、しばらくお目にかかることの出来なかった先生お二人にご挨拶をすることが出来て幸いでした。

 『古代文化』第63巻第2号刊行

No.8370

 この号には、待望の生駒孝臣「平安末・鎌倉初期における畿内武士の成立と展開―摂津渡辺党の成立過程から―」が巻頭に掲載されています。

 摂津渡辺党を素材として、畿内武士の成立を王朝政府や鎌倉幕府成立との関係の中で追究。
 近年の武士論研究の成果を踏まえたすぐれた指摘が随所に見られ、東国武士に比較して低調であった畿内武士研究の現状を打破するものとして高く評価されるべき好論だと思います。

 武士論や鎌倉幕府成立史に関心のある方にとっては必読の論文です。
 また、渡辺党がテーマですから『平家物語』研究者にとっても有為な参考文献となることでしょう。
 
 この『古代文化』ですが、次号(第63巻第3号 2011年12月末 刊行予定)には、
  樋口健太郎「藤氏長者宣下の再検討」
  尻池由佳「儀礼構成と準備運営からみた宇治入り」
の二論攷が掲載されます。
 年末のお楽しみです。

これにてもう一件落着!

No.8365

 「目出度し、目出度し」と言われても、何のことか分からず、気になって仕方がない。というメールを頂きましたので、何のことかお知らせ致します。
 当方のゼミメンバーが、吉田山の麓の大学院に合格したという次第であります。
 >吉田山の麓に集う先輩諸姉兄のみなさん  どうぞよろしくお願い致します。

 ところで、当方の老後に関わる懸案の書類、昨日までにすべて提出・投函を済ませることが出来ました。多くの方々から御助力を頂きましたことに御礼申しあげます。
 とくに東京池袋・埼玉坂戸方面には足を向けて眠ることが出来ません。

 昨日の研究発表では、先行研究の存在など、貴重なコメントを頂くことが出来ました。やはり、論文化の前にはしかるべき研究会での発表の機会を持つ必要がありますね。御出席の諸賢に御礼を申し上げる次第です(とくに東大阪市方面の方)。

 研究会の後、関東からお見えの編集者の方を囲んでの夕食会。アルコールを入れられない分、食べ過ぎてしまいました。いつものことながら、自己制御の出来ない自分の至らなさを「痛」感させられている次第です。

 しかし、懸案事項は一件目が落着しても、二件目、三件目・・・が続々と立ちはだかっております。
 嗚~呼! 

はや十月-次回の『吾妻鏡』-

No.8369

 時の流れに身を任せていると、もうあっという間に10月を迎えようとしています。はやいですねぇ。
 次回の木曜日の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2011年10月6日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建久十年(正治元年、1199年)三月二十三日、四月一日・十二日・二十日、五月七日・八日・十三日、六月八日・二十五日・二十六日・三十日、七月十日・十六日・二十日・二十五日・二十六日、八月十八日・十九日・二十日、九月二十六日、十月七日・二十四日・二十五日・二十七日・二十八日、十一月七日・八日・十日・十二日・十三日・十八日、十二月九日・十八日・二十九日の各条

 10月は6日、13日、20日、27日に開催予定です。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新学期から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

目出度し、目出度し。これにて一件落着

No.8332

 今日はいよいよ提出できると思っていた書類の控えをとろうとしたときに、未記入の部分が見つかり、先送り。どうしてこうも、お役所の書類というのは、どう答えていいか分からないようなところが多いのでしょうか。専門家に問いあわせ、回答を待って記載するに如かず。それにしても、後回しにするのは気が重いものです。

 明日は、もう一件、なんとしても片付けたいことがあります。
 キャンパス・プラザの講義もいよいよ開講。

 校正をしているところに、また図版校正が届きました。並行して研究報告のレジュメを作っていたので、何が何やら分からない。机上の資料も入り乱れて大混乱です。

 まぁ、今日は落ち着かなくても仕方がない。ある重大発表があるからです。午後になれば分かるはずなのだが、なかなか連絡が来ない。

 そして、些か心配の度を増していた矢先に、目出度し、目出度しの報告がありました。
 これまでの地道な努力を知っているからこそ、嬉しいこと限り無しです。

 さぁ、レジュメづくりから仕事再開です。

まだ、なにも成し遂げたわけではない-次回の『吾妻鏡』-

No.8355

 よい知らせというのは人を幸せにしますね。
 でも、まだまだこれからです。『吾妻鏡』の地道に読んでまいりましょう。

 日時:2011年9月29日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建久十年(正治元年、1199年)二月六日、三月二日・五日・六日・十二日・二十三日、四月一日・十二日・二十日、五月七日・八日・十三日、六月八日・二十五日・二十六日・三十日、七月十日・十六日・二十日・二十五日・二十六日、八月十八日・十九日・二十日、九月二十六日、十月七日・二十四日・二十五日・二十七日・二十八日、十一月七日・八日・十日・十二日・十三日・十八日、十二月九日・十八日・二十九日の各条

 前回はあまり夏休みの間のことを振り返るような話はしませんでしたから、いちおう、『夏休みの思い出』なども持ってきて下さい…。

 木曜日の『吾妻鏡』は、頼家将軍期の建久十年(正治元年)に戻っていきたいと思います。一気に70年近く遡りますが、よろしくお願いいたします。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新学期から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

元木先生の新著『河内源氏』拝受。

No.8330

 昨夕、元木先生の新著『河内源氏 頼朝を生んだ武士本流』(中公新書)が届きました。
 さっそく拝読。
 
 最新の武士論の成果のつまった一冊。中世前期の武士に関心があり、少し勉強してみようと思っている方は、元木先生の旧著『武士の成立』(吉川弘文館)と併読するとよいと思います。漫然と読むのではなく、ノートをとりながら。

 例によって、私の枝葉末節な研究成果をおおきな政治の流れの中に位置づけて下さっているのには感謝あるのみです。とくに平忠常の乱の部分など。

 また、すでに解明されている重要な事実を適切に紹介されるとともに、これに別の角度から分析を加えて、新しい見解を導かれているのは、さすがだと思いました。

 これまでの御著書と比較して語り口は平易なのですが、他の学説への批判など、言うべきことはズバリと指摘されている。元木先生の研究者としての矜持を随所に見つけることの出来る本だと思います。

 巻末に人名索引がついているのはとても助かります。

 さきに提案した書評会。ぜひ、実現したいところですね。

 御恵送くださった元木先生に、あつく御礼を申し上げます。

史跡散策に相応しい季節になりました。

No.8329

 源為義の画像。
 関西はもとより、西は九州熊本、東は関東横須賀などから沢山の情報をお寄せいただいて、感謝感激致しております。あわせて、頼信の画像の所在を教えて下さった方もあり、ほんとうに、ありがとうございました。

 週が明けると、いよいよ後期の仕事が本格始動致しますので、棚上げにしていた年金の書類に手をつけたのですが、やはりスイスイとは行きません。こんなところにも転職を繰り返したことによるリスクが発生しています。
 御同業の方には、私と同じような職歴の方も多いと思うのですが、皆さん、すんなりと提出されたのでしょうか。

 同女の山田先生は(またしても)論文集をお出しになられるとのこと。研究者として、気力体力ともに充実した日々を過ごされている証拠だと思います。

 そういえば、本日は東京で古文書学会の大会でしたね。

源為義を描いた絵や木像など、お教え下さい

No.8323

 源為義を描いた絵・木像などを探しております。
 京都白峰神宮所蔵の随身装束のものは把握しておりますので、それ以外で。
 近世の版本はもとより、制作年代が近代以降に下るもの、たとえば戦前に出された子ども向けの本の挿絵のようなものでも一向に構いません。

 満仲・頼義・義家・義朝・頼朝・義経・頼家・実朝はあるのですが、頼信と為義が見つかりません。絵巻の中の一コマにでも描かれていればよいのですが。

 ご存知の方は、ぜひお知らせ下さいますように、お願い申しあげます。

「学威」天下に満つ。

No.8324

 上記の件、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 ところで、昨日のゼミ。2回生が出席してくれたので、とても活気溢れるものとなりました。
 伏見区主催イベントの準備を兼ねた醍醐の史跡見学会は10月29日(土)に実施されることに決定。時間帯はお昼頃から。詳細は後日、御連絡・掲示したいと思います。
 ふだんゼミに参加されていない方も、どうぞお誘い合わせの上。

 『吾妻鏡』もオリエンテーションの後、少し読み進みました。しかし、この会はちょっと記念すべき会であったことを確認させて頂きます。
 すなわち、奇しくも関西の大学史学科で『吾妻鏡』講読の講義を担当されている第一線の前途有為な若い研究者お二人が、この講読会で顔を合わせたことです。
 昨日のゼミ参加者は幸運でした。この講読会は、後刻、関西の日本中世史研究者の間の語りぐさになるのではないでしょうか。ちょっと大袈裟かな。

 ところで、本日も京都女子大学は通常授業。しかし、世間は三連休の初日ですから東大路は観光の車で大渋滞。大学と高校の間の一方通行の道も長蛇の列です。
 お昼休み、その間隙を縫って坂を下り、街中の大書店を覗いてみたところ、25日発売のはずの元木先生の新著が書棚に並んでいるではありませんか。
 本の帯には赤く太い字で、「武威、天下に満つ」とあります。

 表紙を開けると、まさしく元木先生の「学威、天下に満つ」ものがありました。

扉を開けると、そこは一面の湖水であった

No.8322

 「人生、一寸先は闇」とは、よく貫先生が口にされた言葉ですが、台風一過の今朝、研究室に行ってドアを開けると、なんと床一面が湖水の如き有様になっておりました。
 3階なのに床上浸水。
 以前、鈴木ご夫妻がお出でになっていたときも、大雨でPCの上に雨水が落ちてくる事件がありましたが、今回はエアコンのダクトを伝って、いったん椅子の上に落ちてきた雨水が、徐々に床に溜まるという過程を経たようで、実害といえば、せいぜい濡れた椅子に座った程度で幸いでした。まさに奇跡的なほどです。

 即座に対応して下さった施設課の皆さん、それに新しい雑巾を沢山提供して、床の水を拭き取ってくれた宗教教育センターの方たちに御礼を申し上げます。
 水の溜まった部分は、床のワックスが剥げてはっきり確認できます。今日のゼミはこの遺跡の確認から始まりそうです。
 まったく、大したことではありませんが、こんなことは1993年夏の鹿児島における被災以来の経験です。

 本日また、原稿の御依頼を頂きましたが・・・・・。

 あと五日ほどの辛抱です。

No.8320

 本日は台風の接近により、京女は一日休講になりました。
 この時間、すでに京都は台風の影響から脱したようですが、東海・関東以北が心配です。
 十分お気をつけください。

 >>No.8313でお願いした引用論文の御報告、京都のみならず、関東の方からも頂きました。
 ありがとうございました。
 思いの外、拙論はいろいろなところで引用されているようで、執筆の甲斐がございました。

 元木泰雄先生の御新著『河内源氏』(中公新書)ですが、当方の情報網によりますと、その内容は「平高望、源経基の時代から説き起こして、頼朝の挙兵まで、河内源氏の浮沈がトータルに叙述されており、河内源氏と院・摂関家以下の権門との関係に重きが置かれている」のことです。
 これは、いよいよ、さらに、たいへん・・・楽しみになってまいりました。
 25日の発売です。

☆ 本学名誉教授の加納重文先生より、新刊の御高著『源氏物語の平安京』(青簡舎)を御恵送頂きました。
 まさに「平安文学の地理を歩く」、そして上品な装丁の本です。
 広島の江波さんや東京の雨野さんが、きっとお喜びになりそうな内容。
 加納先生にあつく御礼を申し上げます。