扉を開けると、そこは一面の湖水であった

No.8322

 「人生、一寸先は闇」とは、よく貫先生が口にされた言葉ですが、台風一過の今朝、研究室に行ってドアを開けると、なんと床一面が湖水の如き有様になっておりました。
 3階なのに床上浸水。
 以前、鈴木ご夫妻がお出でになっていたときも、大雨でPCの上に雨水が落ちてくる事件がありましたが、今回はエアコンのダクトを伝って、いったん椅子の上に落ちてきた雨水が、徐々に床に溜まるという過程を経たようで、実害といえば、せいぜい濡れた椅子に座った程度で幸いでした。まさに奇跡的なほどです。

 即座に対応して下さった施設課の皆さん、それに新しい雑巾を沢山提供して、床の水を拭き取ってくれた宗教教育センターの方たちに御礼を申し上げます。
 水の溜まった部分は、床のワックスが剥げてはっきり確認できます。今日のゼミはこの遺跡の確認から始まりそうです。
 まったく、大したことではありませんが、こんなことは1993年夏の鹿児島における被災以来の経験です。

 本日また、原稿の御依頼を頂きましたが・・・・・。

 あと五日ほどの辛抱です。

No.8320

 本日は台風の接近により、京女は一日休講になりました。
 この時間、すでに京都は台風の影響から脱したようですが、東海・関東以北が心配です。
 十分お気をつけください。

 >>No.8313でお願いした引用論文の御報告、京都のみならず、関東の方からも頂きました。
 ありがとうございました。
 思いの外、拙論はいろいろなところで引用されているようで、執筆の甲斐がございました。

 元木泰雄先生の御新著『河内源氏』(中公新書)ですが、当方の情報網によりますと、その内容は「平高望、源経基の時代から説き起こして、頼朝の挙兵まで、河内源氏の浮沈がトータルに叙述されており、河内源氏と院・摂関家以下の権門との関係に重きが置かれている」のことです。
 これは、いよいよ、さらに、たいへん・・・楽しみになってまいりました。
 25日の発売です。

☆ 本学名誉教授の加納重文先生より、新刊の御高著『源氏物語の平安京』(青簡舎)を御恵送頂きました。
 まさに「平安文学の地理を歩く」、そして上品な装丁の本です。
 広島の江波さんや東京の雨野さんが、きっとお喜びになりそうな内容。
 加納先生にあつく御礼を申し上げます。

読書の秋、近し。

No.8319

 昨日、愛知の野口君が研究室を訪ねてくれました。A地下で昼食をとりながらのよもやま話。
 野口君もそろそろ・・・を考える時期に至ったようですよ。
 食事に出ている間に研究室に来てくれた方もおられたようですが、お目にかかれず残念でした。

 ところで、今朝の新聞に講談社学術文庫の新刊の広告が載っており、そこに石井進先生の『中世武士団』がありました。
 中世の武士について関心のある方は必読です。とくに東国武士の在地に於ける存在形態や西遷後の動きなど、とても具体的に理解することが出来ると思います。
 自らの研究を振り返ってみても、この本(1974年に小学館版『日本の歴史 第12巻』として刊行)からいかに沢山のことを学び、また大きな指針となっていたかがよく分かります。

 ただ、中世の武士は「根生い」で、近世の武士を「鉢植え」とする見方について、私は現段階では全面的には賛成できません。

 それから、この本は最近ソフトバンクのCMにやたらに登場する「一乗谷」について知りたい人にもお勧めです。

 なにしろ、武士論に取り組もうと思っている人、「東国武士」なるものを理解したいと考えている人には本当に必読の本です。

 これを読んだ上で、25日に書店店頭に並ぶはずの元木先生著『河内源氏』(中公新書)をお読みになれば、中世前期の武士のことが構造的に理解できるのではないかと思います。

 諸方からの情報によると、今秋から来春にかけて、当方の専攻領域に関係する面白そうな本が続々と刊行されるようで、たいへん楽しみです。

棚からぼた餅

No.8317

 「北条時政の上洛」をテーマにした拙論、ようやく脱稿しました。いろいろなことを並行させながらまとめたものなので、また、貫先生の「空想でしょ」というお声が聞こえてきます。

 並行して書いたものの一つは「平家の六波羅・西八条と院の法住寺殿」というタイトルの短文で、十一月に刊行される予定の、ある雑誌(特集 平清盛)に掲載されるものです。地図は山田邦和先生の原図をおおいに活用させて頂いたのですが、校正に苦労致しました。編集者の方も大変だと思います。
 重盛の六波羅小松殿の故地として、積翠園(東山武田病院庭園)を取り上げました。

 これで、棚上げしていた仕事に戻れます。しかし、その前に棚上げしていた仕事もありました。そしてまた、科研申請の時期も近づいてきました。電子申請でなければ・・・。
 また、よろしく御助力をお願い致します。

 元木先生の『河内源氏』(中公新書)の刊行が間近に迫りました。ほんとうに楽しみですね。
 『保元・平治の乱を読みなおす』の時のように、元木先生をお招きして書評会を開く機会が得られれば嬉しいのですが。
 なにしろ早く拝読したいものです。

物言えば唇寒し「夏」の空

No.8313

 いつまでも涼しくなりませんね。

 後期が始まって、前期の授業評価アンケートの結果に対する所見とか諸々の書類に追われています。中には、一年間に他の研究者の論文や学会発表の際に引用された論文がいくつあるか申告せよ、などというのもございます(情報をお寄せ頂ければ幸いです)。

 一昨日は、研究室に2回生が3人来て下さり、よもやま話に花を咲かせました。講読会以外にも、こういう機会は必要ですね。ゼミが始まった当時はこういう機会ばかりでしたが。当時の諸君はみんな元気にやっていますか?沈みっぱなしなどと嘆いている人もおられますが、きっと、動けば浮上できますから。

 このところ、記憶が曖昧になってきているので、動いた一環としてのゼミ旅行とゼミメンバーと出かけた研究旅行の記録をまとめてみました。

2003年2月24日~26日 鎌倉旅行 (岡さんの案内。学習院の院生も参加)
     8月6日~8日 熊野旅行(台風接近の中。摂南大学の先生方と青岸渡寺へ)
     27日 竹生島・彦根旅行(学習院大学兵藤ゼミの旅行に参加) 
 
2004年2月24日~26日 伊勢旅行(美川先生参加)
      8月8日~10日 福岡・佐賀旅行(佐賀県小城町の町長さんと会見)

2005年2月26日~28日 東京・千葉旅行(東大を訪問し、保立先生に案内して頂きました。宴会に石浜さんや佐伯先生も)
     8月18日~20日 鹿児島旅行(新地さんの案内 紫原の信玄での大宴会に五味克夫先生も)

2006年2月26日~28日 伊豆旅行(北条氏邸発掘調査現場などを池谷先生・山田先生に案内して頂く)
     9月2日~3日 厳島・広島旅行
    9月30日~10月1日 宇治見学と共同研究の合宿勉強会(佐伯君の差配)

2007年12月8日~10日 茨城大学シンポ・水戸周辺の見学(前川さんの案内)

2008年4月19日 木幡・宇治の史跡見学
     8月27日~28日 古代史サマーセミナーで宮島へ(尻池さんの発表)
     12月13日~15日 茨城大学シンポ・小田城跡などの見学(額賀さんの案内)

2010年2月27日~3月1日 鎌倉旅行(警報で江ノ電ストップ)

※ 最近は低調ですね。ぜひ計画を立ててみて下さい。

一昨日はありがとうございました

鳥飼真希
No.8315

掲示板ではお初にお目にかかります。京都女子大学文学部史学科日本史コース二回生の鳥飼真希と申します。木曜日の吾妻鏡講読会の二回生のまとめ役を務めております。どうぞよろしくお願い致します。

野口先生、一昨日はお忙しい中、私どもの瑣末な相談や話を聞いて下さり、誠にありがとうございました。大学院進学のことは今一度考え直し、後悔することが無いよう慎重に考えていこうと思います。

先生から何か論文をとの奨励のお言葉を頂きましたので、只今執りかかっているところです。テーマは一先ず「藤原時平」に。太宰府で生まれ育った私は彼を悪人と認識するような教育を受けてきたので、彼についてもう一度考え直そうかと。至極単純な理由ですが頑張ってみようと思います。果たして完成するのはいつになるでしょうか。頭の中で終わらないことを説に願うばかりですが、こうして論文を書くとなると諸先生方の苦労は如何ばかりかと思いやることが出来ますね。本当にお疲れ様です。

また、お借りした前川先生の御高論、大変勉強になります。甘葛煎について詳細に記されている書物は中々見当たらないのでとても興味深いです。ありがとうございました。

来週22日(木)は打ち合わせと事前勉強会ですね。野口先生、諸姉兄の皆さまにはご迷惑をおかけしますが、二回生皆頑張って頑張ってまいりますのでご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

※ゼミ旅行の方もぜひ計画致しましょう。二度目になりますが福岡でしたら私がある程度ご案内出来ます。元寇防塁や聖福寺など、中世の史跡もございますのでお楽しみいただけるかと。

乱文失礼いたしました。

福岡には七条町の借上の女がいます。

No.8316

 鳥飼さん、こんばんは。

 博多は面白そうですね。2回生には東洋史専攻の人もいますが、大陸との交流の視点からも見学先は沢山ありそうです。

 大濠公園の近くにある福岡市美術館には、『病草紙』の「七条町の借上の女」が展示されているはずです。

 今津後浜の元寇防塁(ここは大隅国の御家人の負担で築造されたのですが、当時の守護は千葉宗胤でした)もなかなかのものですし、博多から脚を伸ばせば唐津あたりにも行けるかも知れません。

 大宰府は史学科の先輩、平田さんの本拠地でもあります。中世の少弐氏も研究のやり甲斐ありですね。

 藤原時平ですが、昔、史学科におられた村井康彦先生の『平安貴族の世界』(徳間書店)に詳しく触れるところがあったように記憶します。この本は、図書館に複数冊配架されていると思います。私はこの本で平安時代の貴族社会史に興味を持てるようになりました。たいへんな名著です。

 前川さんは、研究所の共同研究員なので、そのうちお目にかかれる機会もあるでしょう。

 2回生のまとめ役を引き受けてくれてありがとうございます。宜しくお願いします。

シンポジウム「寝殿造と書院造の間」開催

No.8311

 去る3月19日に予定し、開催が延期されていた下記シンポジウムが10月15日に開催されることになったというお知らせを頂きました。

 伊勢平氏の本拠地、そして平泉・鎌倉・北陸などで発掘調査に関わっておられる第一線の研究者の方々のお話が聴けそうで、たいへん楽しみです。
 中世前期の武士の存在形態を考える上でも、おおいに得るところのあるシンポジウムになりそうです。ゼミ関係者はぜひ、御出席下さい。
  ***********************************

        ◇ シンポジウム「寝殿造と書院造の間」 ◇
 
                 記

 日時:2011年10月15日(土)午後1時30分~午後5時00分

 場所:京都女子大学 B420教室

 発表者・発表題目
  川本 重雄 (京都女子大学):寝殿造と総柱建物
  伊藤 裕偉 (三重県埋蔵文化財センター):伊勢・伊賀における古代中世移行期の建物遺構
  水澤 幸一(胎内市教育委員会):北陸の総柱建物~越後国を中心に~
  岡 陽一郎(兵庫大学兼任講師):東国の大型建物をめぐる武士の心性-古代末から中世を例に-
  羽柴 直人(岩手県文化振興事業団):奥州藤原氏の権力中枢の建物

  司会・コメンテーター 藤田盟児(広島国際大学)

 交通・アクセス:京都女子大学ホームページ
     http://www.kyoto-wu.ac.jpを御覧ください
 参加申し込み不要、参加費無料、

 連絡先: 〒605-8501京都市東山区今熊野北日吉町35 
         京都女子大学 川本重雄
    ※ 当日資料配布希望の方は印刷部数確認のため、kawamoto@kyoto-wu.ac.jpまたは075-531-7077(FAX)宛て参加を申し込んでください。
   ***********************     

 ○ ゼミ旅行ではじめて鎌倉を見学した際にお世話になった岡先生がお出でになります。
  あの旅行に参加された諸姉兄はふるって御出席を!

白金も黄金も玉もなにせむに、

No.8308

 しろがねも、くがねもたまもなにせむに、まされるたからこにしかめやも


  いよいよ明日は在学生のオリエンテーション、そして明後日から後期の授業が始まりますね。

 明日から試験という人もいますが、心穏やかに自信を持って臨んで来てください。

 私の方は、原稿の執筆がはかどらず、小学生の時の夏休み明け直前の状況と同じ有様です。家庭科の宿題は母親に手伝ってもらったりしたのですが、今はそうはいきません。
 
 現在、北条時政の上洛をテーマにした拙文を書いております。例によって奇を衒うばかり。
 
 院生時代のことだったと思いますが、貫先生に、執筆したばかりの論文について「(謙遜して)空論ですから」と申し上げたら、「空想でしょ?」と切り返されたことが思い出されます。

 校正、終わりましたか?

プレシーズンでございます

No.8309

 京都女子大学生の始動の早さに、毎年ながらびっくりしております。
 だってまだ「暑い」ですよ?

 私のほうは鋭意校正実施中ですが、
  “疑念はいつもついてくる 訂正の後ろをついてくる”
 という気持ちでおります(中島みゆき「わかれうた」にのせて)。

  *  *  *  *  *  *  *

 すでに野口先生からご案内いただいておりますが、9/22(木)に、顔合わせと事前勉強会を予定しております。プレシーズンマッチですね。

 日時:2011年9月22日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室

 材料はこちらでご用意致しますので、手ぶらでお越しいただいても結構です。「夏の思い出」などは忘れず持ってきて下さい。

  *  *  *  *  *  *  *

 後期からの木曜日の『吾妻鏡』のご案内は以下の通りです。

 日時:2011年9月29日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建久十年(正治元年、1199年)二月六日、三月二日・五日・六日・十二日・二十三日、四月一日・十二日・二十日、五月七日・八日・十三日、六月八日・二十五日・二十六日・三十日、七月十日・十六日・二十日・二十五日・二十六日、八月十八日・十九日・二十日、九月二十六日、十月七日・二十四日・二十五日・二十七日・二十八日、十一月七日・八日・十日・十二日・十三日・十八日、十二月九日・十八日・二十九日の各条

 範囲はいちおう上記の通りですが、初回の9月29日(木)はいろいろな意見交換や諸々の説明なども実施する予定ですから、手ぶらでご参加いただいても結構です(「夏休みの思い出」などは持ってきて下さい)。

 木曜日の『吾妻鏡』は、頼家将軍期の建久十年(正治元年)に戻っていきたいと思います。一気に70年近く遡りますが、よろしくお願いいたします。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新学期から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

今月の祝日はすべて通常授業実施です

No.8310

 本当に暑いですね。

 ところで、よみうり文化センター堺のサイトに出ていた岩田君担当の講座の紹介が見られなくなってしまったのは残念なことですが、また再掲されるのでしょうか?

 それから、しばしアクセス不能であった古代学協会のサイトは復旧したようです。
 古代学講座は、申込者多数とのことで、たいへん結構なことだと思います。

 今月の『台記』研究会の報告は、「北条時政の上洛」に関する問題をテーマにする予定です。いろいろ御教示頂けることを期待致しております。

11月の醍醐・日野の史跡散歩について

No.8307

 先般、ゼミの関係者の皆さんに御協力を御願いした醍醐・日野の史跡散歩(伏見区誕生80周年記念事業「伏見連続講座ーふれて、しって、みて伏見ー」 醍醐もちもちぃんウォーク~重衡・頼政・親鸞をたずねて~)の募集要項が「京まなびネット」にアップされましたのでお知らせ致します。↓
http://miyakomanabi.jp/search/index.php?act=detail&id=2427&r=1315233226.4501

 もちろん、御協力頂く皆さんは、参加申込みの必要はありません。

建築史と考古学のシンポは10月15日

No.8306

 また京都は、猛暑が復活してきたようで、昨日17時過ぎ、五条坂の気温は34度と表示されていました。

 川本重雄先生(本学学長)より、延期されていたシンポジウム「寝殿造と書院造の間~建築史学と考古学の接点を求めて~」(連続シンポジウム『日本建築様式史の再構築』6)が、10月15日に開催されるとのお話を頂きました。
 詳細については、さらに情報をいただいた段階で後日またお知らせしたいと思います。

 昨日は大学近くの床屋さんに出掛けたのですが、私より年長と思われるここの御主人は読書家で、長年お住まいのこの地域の歴史に詳しく、散髪をして頂きながら、いつもたくさんのお話をうかがって、とても楽しい時間を過ごさせて頂いています。
 昨日は帰りがけに、昭和50年代のはじめに地元の方の著された冊子(中塚誠一著『六原を中心に松原橋ヨリ渋谷マデ 我楽苦多昔話シ』)を貸して下さいました。これがことのほか面白い。大正時代の六波羅周辺の様子が彷彿とされます。
 これを読んで、またこの辺りを身近に感じることが出来るようになりました。
 授業の材料にも使えそうです。

市澤哲『日本中世公家政治史の研究』

No.8305

 神戸大学の市澤哲先生より、新刊の御高著『日本中世公家政治史の研究』(校倉書房)を御恵送頂きました。
 長年の御研究の集大成。

 市澤先生とは、先生がまだ神戸大学の院生であった頃からのお付き合い。
 まだ日本史研究会の事務局が百万遍にあった当時、中世史部会の会場で、一緒に椅子や机を並べたりしたことかありました。お互い若かったですね。
 「あとがき」を拝読して、市澤先生の御研究の軌跡が理解出来、また、感慨一入なものがございました。
 市澤先生に、あつく御礼を申し上げます。そして、これからも宜しくお願い致します。

 いま、私の周囲にいる院生・若手の諸姉兄も、20年の後には・・・などと考えてしまいます。