角田文衞先生を偲ぶ会

No.6609

 本日は京都ホテルオークラにおいて、昨年五月に亡くなられた角田文衞先生を偲ぶ会が催されました。学界・政界・官界などの各方面から百四十名ほどの著名な方々が参会し、不世出の歴史学者であった角田先生の遺徳を偲びました。
  →http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009030700150&genre=K1&area=K00

 たくさん新たな発見もありましたが、とくに驚いたことが二つ。
 一つは会場の入り口に展示されていた角田先生の使われていた『尊卑分脉』(国史大系本)。
 山田邦和先生のブログ参照→http://heike.cocolog-nifty.com/kanwa/2009/03/post-ea3c.html

 所掲の各人物について、記録所見が小さく且つ綺麗な文字で詳細に書き込まれていました。自家製の平安京図も同様。これが先生の思考の前提にあったわけです。
 学問を業とする者にとって、美しく整理された手書きのノートを作ることは、最低限に必要な能力であることを痛感させられました。今ならPCを使いこなすことで代替されるのかも知れませんが、これを見て、やはり手書きでないと優れた研究は生み出し得ないように思えました。

 二つ目は、挨拶に立たれた碩学たちの見事なスピーチ。
 角田先生の後輩に当たる80歳代の著名な先生方の御挨拶が続いたのですが、いずれも原稿などなし。にもかかわらず、論理明快で固有名詞もすらすら出てくる。角田先生もそうでしたが、老いてもちっとも頭脳の衰えを見せません。これらの先生方には「老人ぼけ」などという言葉はまったく無縁のように思えました。戦前・戦中・戦後の厳しい時代を学問の道を一筋に邁進されてきた結果なのでしょう。私も出来れば、ああなりたいものだと感じ入った次第です。

 会場で、角田先生出演のテレビ番組のビデオが放映されたりしたこともあり、今は、先生御本人にまたお目にかかって来たような気分でおります。

早咲きの「サクラ」サク!院試は全員合格。

No.6605

 先日「合格」の知らせを頂いた杉山君に続いて、本日、満田さんからも合格の知らせが届きました。
 これで、今年度当ゼミの関係者で大学院修士、博士(後期課程)進学希望者全員が所期の目的を達したことになります。素晴らしいことです。
 ところは東広島・吉田(2名)・大宮・桂と離れは致しますが(後の3地点は京都市内とはいえ)、それぞれの地で大いに活躍されることを期待するところです。
 なお、当ゼミには御本人からの「離縁状」提出のない限り、卒業も修了も御座いません。今後とも宜しくお願い申しあげる次第です。
 それにしても、嬉しい限りです。

【追記】さらにまた、慶ぶべき情報が続々と到来しました。
  >田中さん おめでとう御座います。
   「さすがは八坂神社の御神籤!」などと、ひどく感動されている方がおられましたよ(笑)。

  >山本君  一安心ですね。
   郷里での御活躍を期待しています。

全員合格。

田中裕紀
No.6615

全員合格、おめでとうございます。
なかなかゼミに伺うことが出来ませんが、お会いした方の吉報は嬉しいです☆

そして、野口先生ご祝辞ありがとうございます。
まだ新生活がスタートした・・という感じではありませんが、少しずつ実感がわいてきました。
新しい環境を、どう楽しむかが課題です。
今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします。

野口ガ果報ハ・・猶マサリマイラセタリケレ

No.6620

 (もと)田中さん、あらためまして御入籍おめでとう御座います!

 それにしても、「新しい環境を、どう楽しむかが課題」とは流石です。
 しかし、建礼門院ほどにというのは酷ですが、少しは苦労を背負って、『平家物語』ならぬ『平気物語』を平成の世に送り出すというのもオツなものなのではないでしょうか(笑)。

 ともあれ、ひたむきな御健闘を期待しております。


 「全員合格」本当に素晴らしい。こんなに優秀な若者達に囲まれて過ごしていられる幸せを、自覚的に噛みしめなければ、罰が当たるかも知れませんね。

『後鳥羽院のすべて』の御紹介

No.6603

 このほど、当研究所の公開講座で講師をつとめて頂いたことのある、鈴木 彰・樋口 州男両先生の御編になる 『後鳥羽院のすべて』が刊行されました(新人物往来社、 税込価格: \3,150 )。

 構成は以下のとおり。
「後鳥羽院とその時代」(樋口州男:専修大学非常勤講師)
「院政開始」(櫻井彦:宮内庁書陵部主任研究官)
「承久の乱」(野口実:京都女子大学教授)
「京方武士群像」(錦昭江:鎌倉女学院中学・高校教頭)
「隠岐の後鳥羽院」(平田英夫:藤女子大学准教授)
「後鳥羽院と公家衆」(長村祥知:日本学術振興会特別研究員・京都大学大学院DC)
「後鳥羽院をとりまく女性たち」(野口華世:東京都立大学・首都大学東京非常勤講師)
「後鳥羽院と兄弟・子女-皇統対立のなかの後鳥羽院-」(松井吉昭:都立向丘高校教諭)
「後鳥羽院の歌壇」(石澤一志:目白大学専任講師)
「後鳥羽院と熊野御幸」(清水眞澄:青山学院大学女子短期大学部等非常勤講師)
「後鳥羽院の怨霊-利用される怨霊-」(今野慶信:駒澤大学兼任講師)
「後鳥羽院像の展開-刀剣文化との関わりから-」(鈴木彰:明治大学准教授)
「後鳥羽院関係史蹟事典」(錦昭江)
                (野口孝子:同志社女子大学嘱託講師)
                (石附敏幸:開成高校教諭)
               (鈴木彰)
                (平田英夫)
「後鳥羽院関係人物事典」(石澤一志)
                (川鶴進一:早稲田大学本庄高校教諭)
                (平田英夫)
                (堀内寛康:都立高校嘱託)
「後鳥羽院関係年譜」(長村祥知)
「後鳥羽院参考文献目録」(平藤幸:鶴見大学非常勤講師)
 
  ※ 新人物往来社の『~のすべて』シリーズの中には、さまざまな内容のものがありますが、本書は確実に教養書、さらに歴史学・文学専攻の学生・専門家向けに属します。
 編者のみならず執筆者には長村君をはじめ、当ゼミ所縁の方が多く名を列ねています。
 なお、拙稿は、はじめて慈光寺本『承久記』によって、承久の乱の過程を通覧したもので、以前執筆した「ドキュメント承久の乱」(『別冊歴史読本15-28』)にかわる、私の承久の乱認識を示したものです。

 ◎ 現在、日本の出版文化は危機に瀕しています。定額給付金は飲み食いに使わずにこういう書籍購入に充てて下さい。

「以仁王挙兵の枠組みを考える」

No.6600

 以前、予告した公開研究会の詳細スケジュールです。

 報告テーマ:「以仁王挙兵の枠組みを考える」
 報告者  :永井晋先生(神奈川県立金沢文庫主任学芸員)
 日 時  :3月12日(木)午後3時~5時
 会 場  :京都女子大学宗教・文化研究所共同研究室(L校舎3F)
         ※ 交通アクセス・キャンパスについては下記をごらん下さい。
            http://www.kyoto-wu.ac.jp/access/index.html
         http://www.kyoto-wu.ac.jp/student/campus/map/index.html

  関西で永井先生のお話をきける機会は少ないと思います。また、御報告には、佐伯智広君が担当される2009年度日本史研究会大会中世史部会報告の内容に関係する論点が含まれるのではないかと思いますので、関西圏で中世前期(12C後半)政治史を専攻される院生諸姉兄の積極的な参加を期待するところです。

久しぶりの案内です-次回『吾妻鏡』-

No.6602

 このところご案内を掲出するのを怠っておりましてすみません。来週(3/10)は一回お休みの次の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2009年3月17日(火)13:00頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室

 範囲:寛元二年(1244年)五月十一日・十八日、六月五日・十日・十三日・十七日・二十七日・二十九日、七月五日・十五日・二十日、八月三日・八日・十五日・十六日・二十四日・二十九日、九月一日・二日・三日・十三日・十九日・二十八日、十月十三日、十二月七日・八日・二十七日の各条

 毎週火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。ご自身に合った勉強法を見つけていただけると思いますので、どなたさまでも、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加ください。

山本陽一郎君の壮行会

No.6613

 3月17日の講読会には、久しぶりにゼミメンバーの兄貴分である山本陽一郎君が出席してくれるとのことです。
 終了後、時間があれば山本君の壮行会を行いたいと思いますので、山本君ゆかりの方々の積極的な御出席をお願いする次第です。

 ☆ 鎌倉考古学研究所の馬淵和雄先生より、御高論「上行寺東遺跡やぐら群の成立と展開」(『神奈川地域史研究』第26号)を御恵送いただきました。
 馬淵先生に、あつく御礼を申し上げます。

古文書学会見学会

元木泰雄
No.6599

 下記の要領にて古文書学会見学会を開催致します。
 奮ってご参加ください。
 日時 3月15日日曜日 13時より
 場所 綾部市資料館(連絡先は下記) 綾部駅よりタクシー利用
 見学内容 安国寺文書 足利尊氏、義詮など歴代将軍の文書など、中世文書
      文書見学後、安国寺境内(尊氏墓所など)も見学予定
 当日は上島有先生にご説明をいただきます。

 参加費 500円程度
 京都10時6分発の普通列車(園部乗換、12時6分着)、11時24分発の特急きのさき1号(12時33分着)が便利です。
 なお、レンタカーも利用したいと存じます。参加者で車を運転される方、御相談いたしたいと思います。ご連絡ください。

参加希望の方は元木までメールをくださるか、3月12日必着で下記あてにハガキでお申し込みください。
 〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町 京都大学大学院人間・人間環境学研究科 元木研究室
 多数のご参加をお待ちしております。

 なお、綾部市資料館のHP、所在地、連絡先などはは以下のとおりです。
 http://www5.nkansai.ne.jp/off/a-siryoukan/TOCFrame.htm
所在地 京都府綾部市里町(さとちょう)久田(きゅうた)21‐20
 TEL 0773-43-1366
 FAX 0773-43-2134
 a-siryoukan@mxc.nkansai.ne.jp

追記 綾部市文化資料館と記しましたが、綾部市資料館の誤りでした。
   謹んで訂正致します。ご容赦ください。

昨日は結婚お祝い会、明日は雛祭り

No.6601

 元木先生、御案内をありがとうございます。
 当ゼミ関係の皆さんは、せっかくの貴重な機会を逃さないように、ぜひとも御参加下さい。
 私は、この日は京女の卒業式当日ですので、参加が叶いません。

 さて、昨日(1日)は当ゼミ古参メンバーの(「古参」などというと、「また」叱られるかも知れませんが?)結婚お祝い会が国際会館近くのレストランで開かれました。暫くぶりの皆さんと歓談の機会がもてて幸いでした。御本人のみならず、教職にある出席者からは、講師から教諭へとか、京都市内の高校へ等々、嬉しい情報が目白押し。さらに、今秋、某巨大学会の大会報告を担当されるという方もおられました。
 このゼミが開設されて早くも9年。いろいろなことがありましたが、古参グループはいよいよ、大きな人生の岐路に立ち向かい始めたようです。

 大東文化大学の宮瀧交二先生から、埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催されている特別展「誕生武蔵武士」の御案内をいただきました。
 ちなみに、宮瀧先生と横浜市歴史博物館の平野卓治先生には、先年、畠山重忠関係の史跡調査で大変お世話になったことがございます。
 特別展の会期は3月15日(日)までなのですが、あいにく私は関東出張の予定がありません。招待券を同封して頂いておりますので、出掛けてみようという方がおられましたら、お知らせ下さい。

 ☆ 千葉県立船橋二和高校の滝川恒昭先生より、御高論「源頼朝の再起と安房国安西氏・洲崎神社」掲載の『千葉県史研究』第17号を御恵送頂きました。
 滝川先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 清水眞澄先生より、先に御紹介した御高著『源氏将軍神話の誕生』(NHKブックス)を御恵送頂きました。一冊は研究室に配架させて頂きます。
 清水先生に、あつく御礼を申し上げます。

 「明日は雛祭り」とタイトルに書きましたが、あっという間に今日になっていました。

尾張名古屋は城でもつ

No.6598

 雨に遭遇することなく、先ほど帰洛することができました。

 昨日は名古屋の中世史研究会に出席させていただき、安藤 弥先生の御報告「親鸞後半生の歴史的背景-近年の親鸞伝研究への批判もこめて-」を拝聴してまいりました。副題の御見解については全く同感であり、私の在来の親鸞研究に対する本質的な疑問が研究者の間で共有されているものであることを確認することが出来て、大安心いたしました。
 さらに、学ぶべき点、示唆されるべきところも多大であり、なかなか手をつける余裕はありませんが、一本論文が書けるだけの材料をいただいたように思えます。また、以前、千葉県史の仕事を一緒にさせていただいた戦国期を御専門とされる先生に、久しぶりにお目に掛かることも出来ましたし、本当に行って良かった。

 この日の昼間は、これまで行く機会を得られなかった熱田神宮や名古屋市博物館を見学いたしました。熱田神宮の近くには、源頼朝(母は熱田大宮司藤原季範女)の誕生地を示す案内板が名古屋市教育委員会名で立っていたのですが、これは在京の院近臣家である熱田大宮司家に対する誤解に基づくものと思われ、あくまでも「伝承」として周知すべものなので、いささか問題なのではないかと思いました。

 熱田神宮の次に訪れたのは、地下鉄「妙音通り」駅を下車したあたりの藤原師長(保元の乱で死んだ悪左府頼長の子で、京女の近くにあったと想定される「妙音堂」の主)配流伝承地。今回の研究会に同行して下さった畏友畠山誠氏(来年度共同研究員)に丁寧な御案内をいただきました。ここは古の鎌倉街道が通るところで、義経の臣亀井重清に関する伝承もあり、『平家物語』や中世軍記に関心のある方には、興味津々の空間に違いありません。

 本日は、これまで新幹線の車窓から遠くに眺めていただけの名古屋城を、漸く訪れる機会を得ることが出来ました。行ってみて、あらためて天守閣や本丸御殿の戦災での焼失が、本当に惜しまれた次第。のこっていたら世界遺産認定は確実だったでしょう。本丸御殿の復原計画が進行しているようで、完成が楽しみです。

 その後、徳川美術館・徳川園を見学。近世の絢爛豪華な大名文化に圧倒されながら帰途につきました。名古屋は不況の影響で大変なのではないかと思っていましたが、案に相違してまったくの活況ぶり。さすがに、信長・秀吉を生んだ土地だけに、そこに住む人たちのバイタリティーは底知れぬものがあるようです。

○ 『紫苑』の再校ゲラについて。
  >田中さん たしかに受け取りました。
  >江波さん 了解いたしました。
 
☆ 宗像大社復興期成会より、『宗像大社文書』第三巻の御恵送にあずかりました。編纂事業に関係された先生方の御配意によるものと存じます。あつく御礼を申し上げる次第です。

ラボール学園日本史講座の御案内

No.6597

 ラボール学園の2009年4月開講の講座案内が届きました。夜間の講座です。
 申し込みは、3月4日(水)10時より先着順とのことです。

  日本史講座 -検証・京の事件簿<古代・中世>- 

 著名な内乱・政争から市井のささやかな事件まで、古来、京都は大小さまざまな事件の舞台となってきました。そうした事件の背後には、現代からは想像もつかない各時代固有の意識・思想や社会の在り方が見え隠れします。今年度は京都で起こった様々な事件を取り上げ、“現場検証”しながら、その背景や時代の特質に迫ります。事件を通してみた、知られざる歴史の一面。意外なところで意外な事件が起こっているのです。ラボール学園の建つこの場所でも実は…………。

開講日・回数 毎週月曜日 週1回の全14回
4月6日~7月13日
午後6時30分~午後8時30分
受講料 11,000円(資料代別途必要)
テーマ
(1) 藤原種継暗殺事件ー長岡京から平安京へー(4/ 6・山田邦和:同志社女子大学教授)
(2) たび重なる内裏焼亡の謎-「夜」化する平安京-(4/13・野口孝子:同志社女子大学非常勤講師)
(3) 菅原道真の配流と怪異(4/20・佐藤泰弘:甲南大学教授)
(4) 京の群盗ー闇の集団の正体とは-(4/27・西山良平:京都大学大学院教授)
(5) 花山天皇の出家-摂関時代の宮廷内暗闘-(5/11・美川圭:摂南大学教授)
(6) 崇徳上皇生誕の疑惑(5/18・美川圭:摂南大学教授)
(7) 京都守護伊賀光季の最期-承久の乱-(5/25・野口実:京都女子大学教授)
(8) 浅原為頼禁中乱入事件-鎌倉後期の朝廷と幕府-(6/ 1・木村英一:大阪大学大学院研究員)
(9) 神よ仏よ、御照覧あれ!-中世東寺の裁判-(6/ 8・小林保夫:元堺女子短期大学教授)
(10) 青年将軍足利義満の苦悩-花の御所と3つの事件-(6/15・山田徹:京都大学大学院生)
(11) 北野社目代捕物帖-今小路界隈の盗みと殺人-(6/22・三枝暁子:立命館大学准教授)
(12) 応仁の乱への道-御霊神社と西陣-(6/29・早島大祐:京都大学助教)
(13) 静原新井手相論をめぐるヒトとカネ-三好氏・土豪・土倉-(7/ 6・野田泰三:京都光華女子大学准教授)
(14) 「喧嘩」か「自治」か-禁裏門前の戦国-(7/13・仁木宏大阪市立大学准教授)

 ※ 詳しくは→http://www.labor.or.jp/gakuen/kouza_school/school_index.html

『紫苑』第7号、再校の締め切り近し。

No.6596

 『紫苑』第7号執筆者のみなさんへ

 再校ゲラ提出の締切が迫ってきました。原則として三校は編集サイドのみで行います。
 期限を遅れると、たいへん支障を生じますので、くれぐれも宜しくお願いいたします。

 >山本さん FAX送信、ありがとうございました。

 >諸方のみなさま お祝いのメッセージをありがとうございました。
  「門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」の心境です(笑)。  

研究所『研究紀要』第22号刊行

No.6594

 京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』第22号が出来ました。目次は以下の通りです。

『教行信証』の研究-「証巻」を中心として-・・・・・・・・・・・・・小池秀章
中世前期における宇治の軍事機能について・・・・・・・・・・・・・野口 実
<宗教・文化研究所公開講座講演録>
王朝の狩猟文化-摂関・天皇・院の権力と野生-・・・・・・・・中澤克昭
武家平氏と貴族社会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松薗 斉
<仏教文化公開講座講演録>
承元の法難の思想的意味-『教行証文類』と承元の法難・・・梯 實圓

オーケストラ音楽による仏教音楽の製作 「追憶」・・・・・・・・・・安村好弘
建学の精神と教育計画-小学校における宗教教育(心の教育)の研究Ⅱ-
                            ・・・・・・・・・・・吉永幸司他
京都北山におけるアシウスギとオモテスギの分布調査-杉の針葉の新しい計測法の開発-
                        ・・・・・・・・・・・・・・・・高桑 進他
  (別報)下坂家に関する社会調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・綱本逸雄
                                     高桑 進
体験型環境プログラムの調査と研究(2)・・・・・・・・・・・・・・・ 宮野純次
                                     高桑 進


 ※ この『研究紀要』についてのお問い合わせは、本学宗教教育センターまで

☆ 名古屋大学の阿部泰郎先生より、先生の御編著『日本における宗教テクストの諸位相と統辞法』(「テクスト布置の解釈学的研究と教育」第4回国際研究集会報告書、名古屋大学大学院文学研究科)を御恵送いただきました。
 阿部先生にあつく御礼を申し上げます。

明日の『吾妻鏡』

No.6595

 先週末の土曜日に歴史学研究会日本中世史部会にて報告をさせていただいてきました。お忙しいなか会場までご足労いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。奇異な報告であるにも関わらず、有益でオープンなご指摘を多くいただけたことは、今後の勉強に向けての大きな励みとなりました。
 報告・討論に充分な時間を割いていただいたのみならず、その後の懇親会も長い時間ご一緒させていただいて幅の広いお話を伺うこともできましたので、非常に充実した週末となりました。

 ところで、週末は東日本を中心に好天に恵まれたので、東京に向かう新幹線からは富士山もよく見えました。ほんとうにどうでもよいことですが、東海道新幹線の静岡付近では『「海側」の席から富士山が見える』という話を聞いたことがあるので(映画『間宮兄弟』より)、ほんとかなあと思いながら掛川を過ぎたあたりから「海側」を眺めていたのですが(「海側」に座ったのはたまたまそこが空いてたから)、果たして安倍川のやや手前付近で本当に『「海側」の席から富士山が見え』ました。雲一つない快晴だったこともあり、ほんとうに立派な富士山が見えていた数十秒間はちょっと感慨に浸ってしまいました。

 週末から一転、雨予報の明日の『吾妻鏡』のご案内です。しばらくご案内を出し忘れていてすみません。

 日時:2009年2月24日(火)13:00頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:仁治二年(1241年)六月十六日・十七日・十八日・二十八日、七月八日・二十六日、八月十一日・十五日・二十五日・二十八日、九月三日・七日・十日・十一日・十三日・十四日・二十二日、十月十三日・二十二日、十一月三日・四日・十七日・二十一日・二十五日・二十七日・二十九日・三十日、十二月一日・五日・八日・十三日・二十一日・二十四日・二十七日・二十八日・二十九日・三十日、
    仁治四年(寛元元年、1243年)七月十七日・十八日・二十日・二十九日、閏七月二日・六日・七日、八月十六日・二十四日・二十六日、九月五日・二十五日、十月七日、十一月一日・十日・二十六日、十二月二日・十日・二十二日・二十五日、
    寛元二年(1244年)正月一日・十七日、二月三日・十六日、三月二十八日、四月十日・二十一日、五月五日・十一日・十八日、六月五日・十日・十三日・十七日・二十七日・二十九日、七月五日・十五日・二十日、八月三日・八日・十五日・十六日・二十四日・二十九日、九月一日・二日・三日・十三日・十九日・二十八日、十月十三日、十二月七日・八日・二十七日の各条

 毎週火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。ご自身に合った勉強法を見つけていただけると思いますので、どなたさまでも、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加ください。

清水眞澄『源氏将軍神話の誕生』の刊行

No.6590

 青山学院大学。巷間では、あまり「研究」というイメージを持たれてはいないようですが、どうして、どうして、結構すぐれた研究者が輩出している大学なのであります。

 清水眞澄先生は、青山学院大学大学院文学研究科日本文学・日本語専攻の御出身。とても積極的かつ熱心に研究に立ち向かっておられるお姿には、いつも元気をいただいております。
 今日の社会においても、女性が学問を継続していくのには、未だに障害は大きいと思うのですが(家事能力のない、私のような存在も障害の一つかも知れませんが)、それを見事にクリヤーして業績を重ねて行かれるお姿には敬意を表さざるを得ません。
 タイトルに掲げた新刊の書籍は、その最新の成果です。正式な書名は『源氏将軍神話の誕生 襲う義経、奪う頼朝』。NHKブックスの一冊として出版され、定価は本体970円+税。編集担当は御存知、石浜哲士さんです(御恵送にあつく御礼申しあげます)。
 源頼朝と義経を通じて、史実が文学へ継承されていく過程と、その要因を探っていく興味深い内容。この時代の武士を専攻する私の立場としては、いくつかの注文もありますが、歴史好きも文学好きも双方の関心が満たされること請け合いの労作だと思います。

 もうお一人。青山学院大学大学院文学研究科史学専攻の御出身で、後輩ながら陰陽道研究の第一人者として、私が(ひそかに)尊敬しているのが、山下克明先生です。
 今日は奇しくも清水先生の御著書と一緒に、山下先生の新しい御高論二点が届きました。「書評 細井浩志著『古代の天文異変と史書』」(『日本史研究』555号)と「平安初期の政治課題と漢籍-三伝・三史・『劉子』の利用-」(『東洋研究』第171号)。
 いずれも、私には難解な内容ですが、後者は、先に『古代文化』第59巻第2号に発表された「陰陽道の成立と儒教的理念の衰退」に続いて、儒学・漢籍の政治思想分野への影響を検討したものということです。
 御恵送にあつく御礼申しあげます。

※ かくして、清水先生・山下先生の「先輩」というのは荷が重い、というのが私の偽らざる心境なのであります。

【追記】 岩田君、歴研の報告は如何でしたか?