古文書学会見学会
元木泰雄
No.6017
以前、掲示板にも書かせていただいた、和歌山県立博物館での古文書学会見学会、22名方々の参加を得て、盛会裏に終了致しました。
何をおいても、ご多用の中、昨年に引き続いて見学会の開催をお引き受けくださり、遅くまで文書の熟覧の機会をご提供くださるなど、様々なご高配を賜りました県立博物館の高木徳郎先生に、厚く御礼を申し上げます。
参加メンバーは、大山喬平先生をはじめ、各大学の研究者、院生、古文書学会会員の方々で、遠く関東方面からお越しの方々もおられたほか、高知からは、夏の旅行で大変お世話になった池内敏彰先生もわざわざお越しになりました。
大山先生は早朝京都を出発され、立命館の方々と周辺の史跡を見学になったあと、見学会にお越しでした。まことにフットワークも軽く、ご年齢を感じさせない若々しさでいらっしゃいます。
博物館にお越しのときも、なにやら周辺をデジカメで御撮影になるなど、知的好奇心は旺盛なご様子、常に新たな知見を探求される御姿勢が、心身御若々しさにつながるものと拝見致しました。学問は及びもつきませんが、健康と探究心では、少しでも近づきたいものと存じます。
展示のすばらしさは、以前に記した目録からもご想像いただけると思います。後鳥羽自筆の熊野懐紙、後鳥羽像ではないかという法体の坐像など、当方にはとくに興味深く思われました。
熟覧で拝見した史料、やはり中御門宗忠の熊野参詣を記した鎌倉書写『中右記』写本に最も興味を惹かれました。さらに、熊野本宮文書、神護寺文書など間近で見る原本には写真では感じ取れない迫力があり、作成した人間の息遣いが感じられるように思われました。
10月の東寺百合文書の見学といい、貴重な原本を拝見する機会を得られたのは大変幸せなことでした。当ゼミ関係者をはじめ、多数の院生諸君にご参加いただけて、嬉しく存じます。関西で歴史を学ぶメリットは、まさに現物に触れる(現地に行く)ことができるところにあると思います。
また、こうした見学会を開催したいと思います。見学会にふさわしい展覧会がありましたら、ご教示をお願い申し上げます。
余談ですが、翌24日は京大のホームカミングデー。全学同窓会の総会です。当方、総合人間学部・人間環境学研究科同窓会設立準備委員長だった関係で、出席する破目に相成りました。歴代総長も出席になる堅苦しい会と思いきや、プロのヴァイオリニスト、実は農学部の院生によるヴァイオリン演奏会のおまけに、ヴァイオリン伴奏で『琵琶湖周航の歌』を合唱したり、大先輩の思い出話を聞いたり、結構楽しめました。
その中で印象的なお話。
理学部に1947年に入られた、現在はさる大学の副理事長という先生は、在学中に湯川博士がノーベル賞を受賞され、その結果得がたい経験をされたとのこと。すなわち、湯川先生が東大でも講義をされることになり、東大と京大の教授が、お互いの大学に相互乗り入れで授業され、東大の有名教授の授業を聞くことができたとうのです。
そこで受けたカルチャーショック。東大の先生は時間通りに授業を始める、きちんと講義ノートを作って、それを滔滔と読み上げる授業をされ、それがそのまま本になる内容であったこと。
片や湯川先生はじめ当時の京大教授の授業は、時間通りにはじまることはない、教室に入ってももっぱら黒板に向かい、難しい内容を独り言のようにお話になる。湯川博士の「モノローグ」は有名だったとか。今日では考えられない授業です。
そういえば、上横手先生が受講された文学部の某外国史の先生も、一時間遅れで開講し、やおら懐中からメモのようなものを取り出して、なにやらよくわからないお話をされたとか。京大の気風でしょうか。
ただし、その副理事長先生によると、もちろん東大式の授業もすばらしいけれど、改めて京大の授業の魅力も感じたとのこと。つまり、湯川先生は研究の思考・論理展開の過程をそのままさらけ出し、学問の何たるかを身をもって示されたわけで、そこから学問の奥深さを学んだとのことでした。
結論ではなく、学問の過程から学問を学ぶことは、実は本当に大事なことと思います。もっともそんな授業が成立するのは、学生がよほど大人で、教員との間に深い信頼感があってのことではありますが。そんな時代の大学に戻ったら・・・当方のように中身のない人間は教師など勤まりません・・・・
例会のお知らせ。
山岡 瞳
No.6013
昨日は、『台記』研究会、『玉葉』勉強会とお疲れ様でした。
さて、例会のお知らせです。
①12月3日(月)17:00~
於:京都女子大学L校舎3F宗教・文化研究所共同研究室
「卒論準備報告会」
報告者:京都女子大学 小野 翠氏
②12月17日(月)18:00~
於:京都女子大学L校舎3F宗教・文化研究所共同研究室
「修論準備報告会」
報告者:神戸大学 山本 陽一郎氏
*開始時間が異なりますのでご注意ください。
年末のお忙しい時期かと思いますが、皆さまふるってご参加下さい。
12月は、ほぼ毎週例会。
No.6014
山本君、久しぶりの登板、「完全試合」を期待しております。・・・というのは、冗談で、肩から力を抜いて報告をお願いいたします。
古参メンバーはふるって御参加下さい。
山本君、小野さんとも、報告のタイトルなど、告知して下さい。
ちなみに、24日も岩田君に報告をお願いしたいと考えているのですが、如何でしょうか。
・・・ということで、10日を除いて、12月の月曜日の午後は『吾妻鏡』講読会と例会が毎週続きそうですね。
かくいう私も、目下、12月9日の講演レジュメを急ぎ作成中です。
◇ そろそろお目に留まるはずの『日本歴史』第715号には、私の執筆による岡田清一『鎌倉幕府と東国』の書評・紹介が掲載されています。御高覧いただければ幸いに存じます。
久々の書き込みです。
山本陽一郎
No.6015
久々の書き込みです緊張してます(汗)。年末のお忙しい時に発表の時間を作っていただきありがとうございます。完全試合にならないまでも、コールド試合にならないように頑張りたいと思います。12月17日(月)の報告内容と参考文献は以下の通りです。
報告内容 :「利仁流藤原氏の成立と展開-院政期から鎌倉期を中心にー」
参考文献 :生駒孝臣氏「中世前期の畿内武士と公家社会」
『ヒストリア』・203・2007・1月号
櫻井彦氏「丹波国宮田荘における『本所違背』行為をめぐって」
『書陵部紀要』・55・2004年
まだ結論が纏まっていないので、拙い報告になるかと思いますが、よろしく御願いします。
共同研究論文の校正刷りが出ました。
No.6016
>山本君 告知をありがとうございました。準備のことなどで、何かありましたら、遠慮なくお知らせ下さい。
>小野さん そろそろ報告一週間前ですから、テーマ・参考文献など、告知をお願いいたします。
23・24日は、古文書学会の見学で和歌山に行ったり、日本史研究会の例会に出席された方が多いと思いますが、如何でしたでしょうか?
当方は、来月9日に茨城大学で開かれるシンポジウムの講演資料を作成しておりました(9月の日本史研究会例会報告の資料をペースにしました)。本日必着とのことで、昨日午前に速達で送付しましたから、間に合うことと思います。
このシンポには佐伯君・岩田君・長村君も参加されるので、ちょっとしたゼミ旅行ができるものと期待しております。
ちなみに、来年1月27日(日)、東京で開催予定の「中世戦記研究会」には、先般開かれた拙著『源氏と坂東武士』の書評会で講師をお願いした生駒孝臣先生が、摂津渡辺党について、研究発表をして下さいます。
国文学のジャンルでは、学習院大学院DCの鈴木啓子氏が、徳大寺実定説話に関する発表をされるとのことで、これも楽しみです。
『曽我物語』輪読の方は、巻八には東国武士団がたくさん出てくるというわけで、私が担当させていただく予定です。
伊藤さんは既に常連ですが、こちらにも多くのメンバーが参加してくれる事を期待しております(自由参加ではないので、参加希望者は事前にお知らせ下さい)。
★ 昨日、例のごとく、校正ゲラが、文字通り「束になって」押し寄せて参りました。
一件は拙稿「閑院内裏と『武家』」(『古代文化』次号掲載)。もう一件は研究所『研究紀要』に発表した共同研究論文の初校です。
後者については、共著ですので、早速ゲラをコピーして執筆者に速達で送付しました。
全体をまとめる必要がある上に、締切が私の出張時期に重なるため、校正期間が短くて申し訳ありませんが・・・・・・・、
>佐伯君・田中さん・大原さん 宜しくお願いいたします。
よろしくお願い致します。
小野 翠
No.6018
中間発表の時に引き続き、直前の告知になってしまい申し訳ありません。
12月3日に卒論の準備報告をさせていただくことになりましたのでお知らせします。
報告内容:「鎌倉時代における幕府女房」
参考文献:田端泰子氏 『日本中世の社会と女性』
吉川弘文館、一九九八年
金永氏 「摂家将軍家の「家」の形成と妻たち」
『ヒストリア』178、二〇〇二年
中間報告に引き続き、このような貴重な機会を与えていただけて本当に嬉しく思っています。
年末でお忙しい時期かとは思いますが、何かご意見をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
『台記』『玉葉』『鎌倉遺文』,篤姫と源氏
No.6012
本日は『台記』研究会に引き続いて、『玉葉』の国書刊行会本と図書寮叢刊本を対照する勉強会。長時間にもかかわらず、若い人たちの頭脳は冴え渡っているようで、羨ましい限りでした。
☆ 鎌倉国宝館館長の三浦勝男先生より、ことばの中世史研究会編『「鎌倉遺文」にみる中世のことば辞典』(東京堂出版)を御恵送いただきました。先生は「椀飯」の項目を執筆されています。
鎌倉国宝館で三浦先生に博物館実習の御指導をいただいてから、すでに35年。本当に長い間、御指導と叱咤激励をいただいて参りました。
三浦先生にあつく御礼を申し上げます。
☆ 鹿児島県歴史資料センター黎明館調査資料室長の徳永和喜先生より、新刊の御高著『天璋院篤姫 徳川家を救った将軍御台所』(新人物往来社)を御恵送いただきました。
来年のNHK大河ドラマの主人公に関する書籍の決定版だと思います。
徳永先生は私の大学院時代からの畏友。先年の鹿児島ゼミ旅行でもたいへんお世話になりました。
徳永先生に、あつく御礼を申し上げます。
☆ NHK出版の石浜哲士さんからは、編集を担当されたNHKブックスの最新刊である河添房江『源氏物語と東アジア世界』を御恵送いただきました。
本書「あとがき」には、編集者に「本書を捧げたい」というメッセージが書いてありました。本当に石浜さんはカリスマ編集者だと思うわけです。
私もぜひ、近いうちに、自著の「あとがき」に石浜さんへの謝辞を書きたいと思う次第であります。
石浜さんに、あつく御礼を申し上げます。
次回の『吾妻鏡』講読会
No.6011
昨日の素晴らしいおもてなしをいただきまして、ほんとうにありがとうございます。伊藤さん、小野さん、それに野口先生、満田さん、米澤くんもありがとうございました。素敵な仲間と史料講読ができて幸せです。今後とも『吾妻鏡』講読会をよろしくお願いします。
さて次回の『吾妻鏡』です。
日時:11月26日(月)13:00~(予定)
場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
範囲:『吾妻鏡』寛喜三年十月二十七日、二十八日、十一月十八日条
寛喜四年(貞永元年)正月四日、五日、二十三日、二月十三日、二十日、二十四日、二十六日、三月三日、十四日、四月四日、九日、二十一日、五月十四日の各条
(※掲出した範囲以外に「これは」という条文があれば、随時お知らせ下さい。)
なお、12月は3日・17日・24日も開催予定です。
また、12月3日は『吾妻鏡』を16:30頃に切り上げ、17:00頃から小野さんの卒論報告を、12月17日はひさびさ登場の山本陽一郎さんの修論報告が予定されております。詳細は追って告知されると思います。こちらにも多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
博物館の特別展と史学会大会
No.6009
この週末は、先般池谷初恵先生が御紹介下さった(NO.5957)、目下、神奈川県下の4つの博物館で開催されている鎌倉時代関連の企画展のうち、神奈川県立金沢文庫特別展「鎌倉北条氏の興亡」と川崎市民ミュージアム企画展「12-14世紀の武蔵と鎌倉 "つわもの"どもの光と影 -稲毛三郎とその時代-」、また、東京大学本郷キャンパスで開かれた史学会大会に出掛けて参りました。
二つの企画展、ともに最新の研究成果を盛り込んだ展示だけに、系図に関する試案やら、考古学サイドの情報など、得るところ多大なものがありました。それぞれ、学芸員の方の個性が良く出た展示だと思いました。もと、同業だっただけに、よくわかるのです。
金澤文庫では、称名寺庭園のイチョウが見頃で、たくさんの市民の方たちが写生にとりくんでおられました。
史学会大会では、久しぶりにお目にかかれた方が多かったのですが、一方、最近、京都の研究会で面識を得たばかりの学生さんが、前列で一生懸命に報告を聴いていたのが目に留まりました。まだ学部の2回生というのに、積極的に学会に参加する姿勢は立派だと思いました。将来が楽しみです。
それから、ある報告のレジュメの参考文献欄に、ゼミメンバーの名前があったのも嬉しいことでした。彼もちゃんと評価されている。
ちなみに、報告レジュメの中に、岩田君(鎌倉下向の下級官人)と江波さん(蟹満寺関連の仏教説話形成)のお役に立ちそうなものがありました。明日お見せします。
なお、明日(19日)、私はⅢ講時の仏教学の時間に講話を担当いたしますので、その時間の『吾妻鏡』講読会は岩田師範にお任せしたいと思います。宜しくお願いいたします。
☆ 関東に出かけている間に、『横須賀市史』資料編古代・中世Ⅱを御恵送いただきました。本書は、南北朝~戦国時代を対象としており、とくに系図編は便利だと思います。
横須賀市史古代・中世史部会の専門委員である近藤好和先生・高橋秀樹先生、それに同市史編さん事務局の真鍋淳哉先生の御高配によるものです。
三先生に、あつく御礼を申し上げます。
臨時の勉強会
No.6010
臨時の勉強会のお知らせです。
日時:11月21日(水)6時45分~
場所:京都女子大学宗教・文化研究所 共同研究室
内容:『玉葉』のいくつかの記事につき、国書刊行会本と図書寮叢刊本を対照する。
具体的に何をするかは、私もしくは関係者が、月曜日の『吾妻鏡』の際か当日にご説明いたします。
内々に作業を進めようかとも思ったのですが、ゼミに参加されている学部生の皆様に史料訓読の補習の場を提供できるかもしれないので、告知いたします。
興味がおありの方は、気軽においで下さい
(資料は長村の方で準備いたしますので、参加予定の方は事前にご連絡頂けるとありがたいです)
シンポジウムのお知らせ
No.6007
下記の通り、シンポジウムを開催いたします。ご関心ある方々のご参加を希望いたします。
記
テーマ:日本の住様式~寝殿造から書院造へ
司会:溝口正人(名古屋市立大学)
発表
1.「寝殿造の成立とその展開」川本重雄(京都女子大)
2.質疑応答Ⅰ
3.「寝殿造から書院造へ ー鎌倉武家住宅の変化と
その意義ー」藤田盟児(広島国際大学)
4.質疑応答Ⅱ
5.全体討論
日時:2007年12月15日(土)午後1時30分~5時
場所:京都女子大学 C412教室
住所:京都市東山区今熊野北日吉町35
電話:075-531-7194(研究室)
参加費:無料 (先着100名)
参加申し込み:京都女子大学 川本研究室
Fax 075-531-7194
e-mail Kawamotolabo@aol.com
法住寺南殿!&鎌倉幕府将軍御所!
No.6008
川本先生、お知らせ、ありがとうございました。
満田さんの参加によって、建築にも注目しながら『吾妻鏡』を読み進められるようになったゼミメンバーたちにとっては、たいへんな朗報です。
『吾妻鏡』講読会参加の諸姉兄には、時間の許す限り、挙って御参加くださいますように。
小野さんは、卒論提出直前で、ちょっと苦しいかも知れませんが、かえって活力を与えてもらえる機会になるかも知れません。無理は言いませんが、お話しを聞いたら註の一つも増やせるかも知れませんよ。
どうも、今年いっぱい、週末はシンポジウム三昧のようです。
そういえば、自分の講演の準備をしなければならないのでした。
>永富さん→鈴木さん・鈴木君
入籍と転居を完了されたとのこと、おめでとうございます。
来年度、共同研究のお知らせ
No.6005
以下、私を研究代表者とする「平成20年度 宗教・文化研究所共同研究」の詳細について、お知らせいたします。関係者は御確認下さい。また、各方面のみな様には、宜しく御協力のほど、御願い申しあげる次第です。
記
摂関家別業の成立とその背景(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅲ)
<研究概要>
平成18年度より約5年計画で、中世前期における宇治をめぐる諸問題を研究テーマとして掲げ、文献史学・国文学などの側面からアプローチをはかっている。
近年、中世前期都市史研究は活況を呈しており、そのなかで京都・平泉・鎌倉という王家・武家の政治権力の所在した都市については大きな成果が示されている。しかし、王権に包括されながら、実は国家的な権能を担い、平泉や鎌倉の政治権力にも大きな影響を与えた摂関家の本拠の都市である宇治については、ほとんど関心の対象にされてこなかった。本研究は、宇治を中世前期における権門都市の典型ととらえ、その政治・経済・文化・軍事機能を平泉など他の権門都市との比較を踏まえて解明し、その成果を中世都市史研究の中に位置づけることを目的とする。
<研究代表者>
野口実(本学宗教・文化研究所教授)
<研究協力者>
岩田慎平(関西学院大学大学院研究員),長村祥知(日本学術振興会特別研究員,京都大学大学院人間・環境学研究科DC),樋口健太郎(神戸大学大学院文化学研究科DC),山岡瞳(京都大学大学院人間・環境学研究科MC),田中裕紀(同志社大学大学院文学研究科DC),満田さおり(京都女子大学大学院家政学研究科MC),鈴木潤(同志社高校教諭),永富絵里子(京都文教中学・高校講師)
<研究概要>
【文献史学】(野口・岩田・長村・樋口・山岡)① 院政期頃までの宇治における都市の形成と発展について祖先供養の問題などを念頭に検討する。② 記録・文書から、宇治や平等院の経営に関わる記事を収集し、平安末期、分立した摂関家がどのように宇治・平等院を支配していたかを考察する。③ 鎌倉時代の公家日記によって宇治史料集を作成する。④ 京都の防衛拠点としての考察・検討を行う。
【国文学】(田中) 宇治を文学の舞台としてとらえ、物語を中心に、宇治という場がもつ文学上の役割や特性を考察する。
【建築史】(満田) 宇治における摂関家の本邸と位置付けられる富家殿・小松殿について、その復原的考察・検討を行う。
※ 今年度は、考古学に代えて建築史のジャンルを設定した。
<研究計画・方法>
研究協力者が全体の研究テーマに即した形で個々のテーマを設定し、その成果を全体の研究会で報告・総括し、さらに個々の研究作業に活かしていくという方法をとり、研究代表者は自らの研究課題を設定するとともに全体の総括を担当する。とくに文献史学と国文学は、たとえば説話類の記述についても、史料として分析の対象とすべきものが多いことから、相互に緊密な連携をはかる。また、建築史学など周辺分野の諸業績を積極的に活用するとともに、つねに平泉や鎌倉などと比較する視角をとる。
情報処理担当の研究協力者(鈴木・永富)は、この研究で得られた情報の整理や研究過程における情報機器の活用について技術協力を行う。研究成果については個人および研究ジャンルごとに積極的に論文化をはかっていく。
<備考>
昨年11月以後に、本研究に関わる成果として研究代表者・研究協力者(前年度)によって発表・執筆された論文は以下のとおりである。
岩田慎平「宇治における都市形成の契機について-道長期を素材に-」(京都女子大学宗教・文化研究所ゼミナール『紫苑』第5号,2007年)
長村祥知「『明月記』の宇治関係史料-鎌倉前期における-」(同)
野口実・佐伯智広・田中裕紀・大原瞳「摂関家の空間における政治と文化(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅰ)」(京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』第21号掲載予定)
髙橋昌明『平清盛 福原の夢』 の御紹介
No.6001
講談社選書メチエの一冊として、髙橋昌明『平清盛 福原の夢』が刊行されました。
定価は1,785円(税込)。
以下、講談社のサイトからの転載です。
<内容紹介>
中世史の泰斗が満を持して放つ 清盛学の決定版!
平氏系新王朝を夢見てあらゆる手段を尽くした男、清盛。なぜ福原でなければならなかったのか?『源氏物語』須磨・明石巻との相似性、六波羅幕府と鎌倉幕府成立との連続・不連続、福原の地形的意味、遷都の政治的意味と抵抗勢力との角逐など、第一人者ならではの多角的アプローチで、誰も書かなかった大いなる野望に迫る。
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【追記】本日、金沢文庫の永井晋先生より、御高論「源家一門考」掲載の『金澤文庫研究』第319号を御恵送いただきました。
御高論には頼家・実朝に仕えた「大弐局」について触れる部分があり、鎌倉幕府出仕の女房をテーマに卒論執筆中の小野さんには必読だと思います。
永井先生に、あつく御礼を申し上げます。
デンカといえば-11月から12月の『吾妻鏡』-
No.6002
一雨降るごとに冬が近づいてきているような気がします。みなさまどうかご自愛下さい。
ウメ星デンカから重野安繹まで議論の対象とする『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの積極性によって支えられております。どなたさまでも、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加下さい。
さて、次回のご案内です。
日時:11月19日(月)13:00~(予定)
場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
範囲:『吾妻鏡』寛喜三年十月六日、十二日、十六日、十九日、二十日、二十五日、二十七日、二十八日、十一月十八日
寛喜四年(貞永元年)正月四日、五日、二十三日、二月十三日、二十日、二十四日、二十六日、三月三日、十四日、四月四日、九日、二十一日、五月十四日の各条
(※掲出した範囲以外に「これは」という条文があれば、随時お知らせ下さい。)
なお、11月は19日・26日、12月は3日・17日・24日も開催予定です
六波羅幕府?
No.6003
岩田君、本日もまたスタバのコーヒーと木幡のシュークリーム、ご馳走様でした。そして『吾妻鏡』講読会の今後の予定のおしらせ、ありがとうございました。
なお、12月3日は、『吾妻鏡』を16:30頃に切り上げて、17:00頃から開始予定で小野さんの卒論報告を行う予定。詳細は追って告知されると思います。
それから、12月10日は、水戸に出張のため、休会とします。もっとも、水戸には数名のゼミメンバーが同行してくれますので(真の目的は<研究>にあらず、「あんこう鍋」という情報もあり)、治承四年の佐竹合戦の辺りを講読対象とした出張開催も一法かと考えております。
HAPPY BIRTHDAY!
ここ半月前後の期間に、ゼミメンバーの数名の方がお誕生日を迎えます(ました)。知るところでは21歳ないしは23歳、最高齢?で29歳になられる由。みんなまとめて、おめでとうございます。人生の旬の時期。今こそ「よく遊び、よく学べ」だと思います。
☆ 本日、神戸大学の髙橋昌明先生より、上記の御著書を御恵送いただきました。
「第4章 六波羅幕府」は「幕府」の概念規定の問題もはらんでおり、大いに議論の対象になることと思います。
できれば、ゼミで書評会を開きたいと思うのですが、如何でしょうか?
髙橋先生に、あつく御礼を申し上げます。
立冬というのに、とても忙しい。
No.5995
このところ、毎朝、大学に出て来ると思いもよらない用件が待ち受けています。
そのような次第で、せっかく研究室を訪ねてくれた方、お電話を下さった方たちに対して、礼を失することが多く、恐縮の極みです。
こちらから、御迷惑を顧みずに、いきなり電話で問い合わせという局面もありました。
>江波さん お話をきちんと聞くことが出来ず、こちらとしても残念でしたが、山岡さんの情報提供は最善だったと思います。
>野口君 喧噪の最中にて、ゆっくりお相手が出来ず申し訳ありませんでした。結局、狩野永徳展は御覧になれましたか?
それから、いつもながら名古屋のお土産をありがとうございました。味噌サブレーは京大『吾妻鏡』研究会の方たちにも賞味していただきました。
>永井先生 再度の電話、御迷惑をおかけいたしました。御陰様で完全な形で書類を提出することが出来ました。御礼申し上げます。
このところの忙しさの原因(私に限ってのことかも知れませんが)は、明らかに、やたらと形式的に詳細な情報を要求するようになった書類の作成と、その方法の電子化にあります。この種の作業は、芯から疲れます。
昨日、元木先生主催の『吾妻鏡』研究会に参加させていただいて、文治元年十月の勝長寿院供養の政治史的意義について大いに考えさせられるものがありました。若い頃なら、即、論文執筆だったのですが。どなたか取り組んでみませんか?
○ 教学課からの問い合わせもありましたので、キャンパスプラザ開講科目の博物館見学について再掲いたします。
大学コンソーシアム京都(キャンパスプラザ)で、私が担当している講座では、開講期間に一回、京都文化博物館で見学会を開いております。
本年度は下記の要領で実施することになりましたので、お知らせいたします。
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特別講座科目Ⅰ「平安~鎌倉時代の京都」の博物館見学について
見学先:京都文化博物館(地下鉄烏丸御池駅下車徒歩3分)
日時:11月13日(火)11:00~12:30
集合場所:同館2F歴史展示室(入館料を払って直接展示室にて)
※ とくに、『平治物語絵巻』の大路首渡しの場面をもとに作成された「武者行列」、法住寺殿跡出土鍬形の復元品、関西電力京都支店敷地(七条町跡)出土の埋納銭については、詳しく解説する予定です。
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今朝、家の近所、住宅街の狭い路上で、青い小型乗用車が仰向けになっているという場違いな光景を目にしました。もちろん、すでに警察の車は到着していましたが、何しろ危険の多い世の中、至る所で細心の注意が肝要のようです。
気分は俊寛
元木泰雄
No.5996
野口先生、『吾妻鏡』研究会をはじめ、種々の研究会に際し、研究室をご提供頂き、まことに有難うございます。厚く御礼を申し上げます。
先日の『吾妻鏡』研究会も、身近のご指導を賜り、参加者一同、大変勉強をさせていただきました。
研究室にお邪魔しているのは、ほかでもない当方の研究室が耐震補修のために、しばらく閉鎖されたためです。予定では11月末に終了、12月はじめに移転、正月は新研究室で・・・・ということになっていたのですが、今日の教授会の報告を聞いて愕然。工事の終了は早くて12月末、移転は早くても1月18日以降とのこと。今年一杯は研究室なしという状態と判明致しました。
研究会、院生諸君との面談、自身の研究、授業準備、書物の保管、あらゆることに重大な齟齬をきたし、院生・学生諸君に多大の不便と迷惑をかけているのですが、それが実に半年に及ぶとは、あきれてものが言えません。
赦免の舟は去り、絶海の近衛寮生活はいつ果てるともなく・・・
成親の研究はしていますが、俊寛の配流生活を実体験させられるとは、思いもよりませんでした。
ともに同じ運命を慨嘆する東洋史や西洋史の先生を除くと、近衛寮の友達は古ぼけた畳を住処とする家ダニ、何やらわからん虫(?)たちのみ。そういえば最近は、体のあちこちが痒くてたまりません。
業者の工事遅延は最初から噂されたこと、最近になって深夜の工事も始めたようですが、遅延は想定内だったのではないかと疑われます。安ければ、ずさんな工事でも良いという姿勢は、最低のお役所主義ではないでしょうか。かの悪名高い印刷業者に競争入札で契約し、執筆委員をとんでもない目にあわせるどこかの自治体史と一緒ではありませんか。
独立法人化したのは名ばかり、かえって文科省の統制が強化され、学内のすべてが悪化したのは誰しも感じるところですが、今回の問題はその最たるものでしょう。
当方のような、研究室を活用する教員は、当研究科でも例外的のいうです。したがって、その累が及ぶ院生・学生の数は知れているということなのでしょうか。
しかし、こんな無法が許されるのでしょうか。このようなでたらめが横行する国立大学に未来はなさそうです。
そんな折、とある書評のご依頼を賜りました。意義ある、大変影響力のあるお仕事ですので、是非お引き受けいたしたいと思います。研究会で、皆さんのご意見も伺いたいと思います。その節はよろしくお願い申し上げます。
ついでで恐縮ですが、23日の和歌山県立博物館の見学会参加希望の方は、すでに口頭などで仰った方も、改めてメールか、葉書で御連絡ください。
当方にとっての「とある書評」。
No.6000
元木先生の引き受けられた「とある書評」は、とても楽しみです。
一方、当方にも「とある書評」の話題がございます。こちらは、じつに情けない話でありますが、この機に乗じて、書かせていただこうと思います。
もう一年以上も締切を超過してしまった「とある書評」について、昨日、再度の督促をいただいてしまいました。汗顔の極みです。
御依頼をいただいたとき、私にこの本の書評はとても無理だと思ったのですが、研究者としての名誉感情をくすぐられたこと、そして、とても内容の充実した論文集をじっくり拝読するよい機会だと欲を出してしまったのが失敗のもとでありました。
とりかかってみると、予想通り、とても私の能力で対応できるものではなく、そのために、昨夏、ゼミの諸兄姉の御協力を得て、二日がかりの書評会を開いていただいたりしたのですが、その後、諸事に追われるうちにモチベーションは下がるばかり。これではいけないと、気を取り直して立ち向かっても、自らの器量のほどを自覚させられて撤退、というような仕儀を繰り返すうちに今に至ってしまいました。
書けない理由は、自らに課した目標設定が高すぎることだと思いますので、このさい、見栄をはらず、肩から力を抜いて、自分の専攻領域以外にまで口を挟むことは勘弁していただくような形で、一から書き直すことに致しました。
著者にたいしての失礼は勿論、ステイタスの高い学術雑誌に、「よくもまあ、こんな原稿を」、というようなことになりかねないとは思うのですが、何しろ形を示さなければ申し訳が立たないと考える次第です。
そういうわけで、書評会に参加して下さった諸君には、せっかくの御教示を反映させることが出来ないこととなり、お詫びを申し上げます。
かかる次第で、なんとか、早々のうちに執筆を終えたいと存じますので、編集委員の先生方には今しばらくの御猶予をお願い申し上げる次第です。
ちなみに、「書評」については、もう一件、これまた締切を一年以上過ぎている依頼原稿がございますが、こちらも上記に引き続いて、同様に努力したいと思います。
書評といえば、こんな話もございました。同じように、ある学会誌から依頼された書評なのですが、これはいささか締切を遅れたものの、今年の三月に速達で送付。しかし、受領の連絡がありません。そこで、八月にいたって、葉書で問い合わせたのですが、未だに返信なし。
この本の著者や献本先には申し訳ないような気分でおります。
このようなケースもあるわけです。
※ 書き込みの記念すべき6000件目が、こんな話で申し訳ありません。