来年度、共同研究のお知らせ
No.6005
以下、私を研究代表者とする「平成20年度 宗教・文化研究所共同研究」の詳細について、お知らせいたします。関係者は御確認下さい。また、各方面のみな様には、宜しく御協力のほど、御願い申しあげる次第です。
記
摂関家別業の成立とその背景(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅲ)
<研究概要>
平成18年度より約5年計画で、中世前期における宇治をめぐる諸問題を研究テーマとして掲げ、文献史学・国文学などの側面からアプローチをはかっている。
近年、中世前期都市史研究は活況を呈しており、そのなかで京都・平泉・鎌倉という王家・武家の政治権力の所在した都市については大きな成果が示されている。しかし、王権に包括されながら、実は国家的な権能を担い、平泉や鎌倉の政治権力にも大きな影響を与えた摂関家の本拠の都市である宇治については、ほとんど関心の対象にされてこなかった。本研究は、宇治を中世前期における権門都市の典型ととらえ、その政治・経済・文化・軍事機能を平泉など他の権門都市との比較を踏まえて解明し、その成果を中世都市史研究の中に位置づけることを目的とする。
<研究代表者>
野口実(本学宗教・文化研究所教授)
<研究協力者>
岩田慎平(関西学院大学大学院研究員),長村祥知(日本学術振興会特別研究員,京都大学大学院人間・環境学研究科DC),樋口健太郎(神戸大学大学院文化学研究科DC),山岡瞳(京都大学大学院人間・環境学研究科MC),田中裕紀(同志社大学大学院文学研究科DC),満田さおり(京都女子大学大学院家政学研究科MC),鈴木潤(同志社高校教諭),永富絵里子(京都文教中学・高校講師)
<研究概要>
【文献史学】(野口・岩田・長村・樋口・山岡)① 院政期頃までの宇治における都市の形成と発展について祖先供養の問題などを念頭に検討する。② 記録・文書から、宇治や平等院の経営に関わる記事を収集し、平安末期、分立した摂関家がどのように宇治・平等院を支配していたかを考察する。③ 鎌倉時代の公家日記によって宇治史料集を作成する。④ 京都の防衛拠点としての考察・検討を行う。
【国文学】(田中) 宇治を文学の舞台としてとらえ、物語を中心に、宇治という場がもつ文学上の役割や特性を考察する。
【建築史】(満田) 宇治における摂関家の本邸と位置付けられる富家殿・小松殿について、その復原的考察・検討を行う。
※ 今年度は、考古学に代えて建築史のジャンルを設定した。
<研究計画・方法>
研究協力者が全体の研究テーマに即した形で個々のテーマを設定し、その成果を全体の研究会で報告・総括し、さらに個々の研究作業に活かしていくという方法をとり、研究代表者は自らの研究課題を設定するとともに全体の総括を担当する。とくに文献史学と国文学は、たとえば説話類の記述についても、史料として分析の対象とすべきものが多いことから、相互に緊密な連携をはかる。また、建築史学など周辺分野の諸業績を積極的に活用するとともに、つねに平泉や鎌倉などと比較する視角をとる。
情報処理担当の研究協力者(鈴木・永富)は、この研究で得られた情報の整理や研究過程における情報機器の活用について技術協力を行う。研究成果については個人および研究ジャンルごとに積極的に論文化をはかっていく。
<備考>
昨年11月以後に、本研究に関わる成果として研究代表者・研究協力者(前年度)によって発表・執筆された論文は以下のとおりである。
岩田慎平「宇治における都市形成の契機について-道長期を素材に-」(京都女子大学宗教・文化研究所ゼミナール『紫苑』第5号,2007年)
長村祥知「『明月記』の宇治関係史料-鎌倉前期における-」(同)
野口実・佐伯智広・田中裕紀・大原瞳「摂関家の空間における政治と文化(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅰ)」(京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』第21号掲載予定)
記
摂関家別業の成立とその背景(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅲ)
<研究概要>
平成18年度より約5年計画で、中世前期における宇治をめぐる諸問題を研究テーマとして掲げ、文献史学・国文学などの側面からアプローチをはかっている。
近年、中世前期都市史研究は活況を呈しており、そのなかで京都・平泉・鎌倉という王家・武家の政治権力の所在した都市については大きな成果が示されている。しかし、王権に包括されながら、実は国家的な権能を担い、平泉や鎌倉の政治権力にも大きな影響を与えた摂関家の本拠の都市である宇治については、ほとんど関心の対象にされてこなかった。本研究は、宇治を中世前期における権門都市の典型ととらえ、その政治・経済・文化・軍事機能を平泉など他の権門都市との比較を踏まえて解明し、その成果を中世都市史研究の中に位置づけることを目的とする。
<研究代表者>
野口実(本学宗教・文化研究所教授)
<研究協力者>
岩田慎平(関西学院大学大学院研究員),長村祥知(日本学術振興会特別研究員,京都大学大学院人間・環境学研究科DC),樋口健太郎(神戸大学大学院文化学研究科DC),山岡瞳(京都大学大学院人間・環境学研究科MC),田中裕紀(同志社大学大学院文学研究科DC),満田さおり(京都女子大学大学院家政学研究科MC),鈴木潤(同志社高校教諭),永富絵里子(京都文教中学・高校講師)
<研究概要>
【文献史学】(野口・岩田・長村・樋口・山岡)① 院政期頃までの宇治における都市の形成と発展について祖先供養の問題などを念頭に検討する。② 記録・文書から、宇治や平等院の経営に関わる記事を収集し、平安末期、分立した摂関家がどのように宇治・平等院を支配していたかを考察する。③ 鎌倉時代の公家日記によって宇治史料集を作成する。④ 京都の防衛拠点としての考察・検討を行う。
【国文学】(田中) 宇治を文学の舞台としてとらえ、物語を中心に、宇治という場がもつ文学上の役割や特性を考察する。
【建築史】(満田) 宇治における摂関家の本邸と位置付けられる富家殿・小松殿について、その復原的考察・検討を行う。
※ 今年度は、考古学に代えて建築史のジャンルを設定した。
<研究計画・方法>
研究協力者が全体の研究テーマに即した形で個々のテーマを設定し、その成果を全体の研究会で報告・総括し、さらに個々の研究作業に活かしていくという方法をとり、研究代表者は自らの研究課題を設定するとともに全体の総括を担当する。とくに文献史学と国文学は、たとえば説話類の記述についても、史料として分析の対象とすべきものが多いことから、相互に緊密な連携をはかる。また、建築史学など周辺分野の諸業績を積極的に活用するとともに、つねに平泉や鎌倉などと比較する視角をとる。
情報処理担当の研究協力者(鈴木・永富)は、この研究で得られた情報の整理や研究過程における情報機器の活用について技術協力を行う。研究成果については個人および研究ジャンルごとに積極的に論文化をはかっていく。
<備考>
昨年11月以後に、本研究に関わる成果として研究代表者・研究協力者(前年度)によって発表・執筆された論文は以下のとおりである。
岩田慎平「宇治における都市形成の契機について-道長期を素材に-」(京都女子大学宗教・文化研究所ゼミナール『紫苑』第5号,2007年)
長村祥知「『明月記』の宇治関係史料-鎌倉前期における-」(同)
野口実・佐伯智広・田中裕紀・大原瞳「摂関家の空間における政治と文化(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅰ)」(京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』第21号掲載予定)