慶應義塾中世文学研究会200回記念シンポジウム
No.5420
大橋直義です。突然の長文の投稿ですが、また宣伝をさせてください。
慶應義塾中世文学研究会 二〇〇回記念シンポジウムのご案内
シンポジウム:中世文芸の王権とレガリア
[パネリスト]
小秋元段氏(法政大学)
神器論の位相 ―『太平記』と『神皇正統記』と―
藤巻和宏氏(早稲田大学非常勤講師)
東大寺大仏と伊勢参宮 ―中世南都の舎利・宝珠信仰の一斑―
中原香苗氏(京都精華大学非常勤講師)
楽器と王権
佐々木孝浩氏(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫)
王権の標章としての装丁 ― 巻子装をめぐる諸問題―
[司会]大橋直義氏(日本学術振興会特別研究員)
[会場] 慶應義塾大学三田キャンパス 三一三教室
[日時] 二〇〇七年三月十七日(土) 午後一時より
[連絡先]
慶應義塾中世文学研究会
108-8345 港区三田2-15-45
慶應義塾大学文学部 岩松研吉郎
tel 03-3453-4511 内23093
fax 03-5427-1578
mail naohashi@k2.dion.ne.jp(大橋直義。@を半角に変えてください)
*PDF版のご案内をお入り用の方は上記メールアドレスまでご一報ください。
[趣意文]
年に十一回の例会をかさねてきた私ども慶應義塾中世文学研究会も、2006年12月に二〇〇回を数えることができました。それを記念いたしまして、来る2007年3月17日(土)にシンポジウム「中世文芸の王権とレガリア」を開催いたします。
天皇とそのイエ、神祇と王権をめぐる諸問題については、中世の文学や史学、宗教研究、あるいはそれら諸領域をこえた言説・現象をめぐる視座からの検討がなされ、活況を呈しているということができるでしょう。ただ、その中にあって、中世日本におけるレガリア―王の宝物―とは何であったのかという観点から、総合的に「王権」とそれをとりまく諸文芸・言説をとらえようとする試みは、これまでなされてはいなかったのではないでしょうか。それはおそらく、レガリアには、実体的な「モノ」という側面と、それに対する種々の言説によって仮構された虚像までも含む「コト」という側面とが、しかも折り重なるようにかかわりあう性格があるということに起因するようにも思えます。そしてさらに、日本におけるレガリアとは、三種神器のみならず、如意宝珠や楽器もその範疇にあるものであることも一因であったのかもしれません。
このような状況にかんがみ、本研究会は三種神器・如意宝珠・楽器、そして書物そのものをもレガリアの範囲内にいったん収めた上で、さらにそこから展開させてゆくべきと考えました。そこで、各々の事物にかかわるご研究を精力的につづけておられる4人の研究者の方々をパネリストとしてお招きし、シンポジウム「中世文芸の王権とレガリア」を企画いたしました。それぞれの題目と要旨は次のとおりです。
*小秋元段氏「神器論の位相 ―『太平記』と『神皇正統記』と―」
南北朝時代において、三種神器の有無は両朝の正統性に大きな影響を与えたはずである。これを文学作品はどのように描くのか。『太平記』と『神皇正統記』をとりあげ、神器論の位相を探っていきたい。
*藤巻和宏氏「東大寺大仏と伊勢参宮 ―中世南都の舎利・宝珠信仰の一斑―」
東大寺創建の際、行基・橘諸兄が伊勢に参宮し、天照大神の本地=盧遮那仏が示される。また、再建時には重源が伊勢で宝珠を感得する。本発表では、舎利・宝珠信仰の視点から、これらの説話の展開相を検討する。
*中原香苗氏「楽器と王権」
中世において、音楽―特に楽器の名器や秘曲伝授―は、天皇の権威と深く関わっていた。室町期には将軍も音楽に関与するようになるが、史実や伝承をもとに、名物とされる楽器と王の権威との関係を中心に述べたい。
*佐々木孝浩氏「王権の標章としての装丁 ―巻子装をめぐる諸問題―」
勅撰集の奏覧本が巻子装であったことは良く知られている。勅撰集の現存伝本には巻子装であるものは少なく、またその多くは冊子から改装されたものである。その理由を書誌学的な見地から考察してみたい。
塾の内外をとわず、こういった問題について関心をお持ちのかたのご参加と、議論の深まりを熱望いたします。
年度末のお忙しい時期とは存じますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
長文、失礼いたしました。
慶應義塾中世文学研究会 二〇〇回記念シンポジウムのご案内
シンポジウム:中世文芸の王権とレガリア
[パネリスト]
小秋元段氏(法政大学)
神器論の位相 ―『太平記』と『神皇正統記』と―
藤巻和宏氏(早稲田大学非常勤講師)
東大寺大仏と伊勢参宮 ―中世南都の舎利・宝珠信仰の一斑―
中原香苗氏(京都精華大学非常勤講師)
楽器と王権
佐々木孝浩氏(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫)
王権の標章としての装丁 ― 巻子装をめぐる諸問題―
[司会]大橋直義氏(日本学術振興会特別研究員)
[会場] 慶應義塾大学三田キャンパス 三一三教室
[日時] 二〇〇七年三月十七日(土) 午後一時より
[連絡先]
慶應義塾中世文学研究会
108-8345 港区三田2-15-45
慶應義塾大学文学部 岩松研吉郎
tel 03-3453-4511 内23093
fax 03-5427-1578
mail naohashi@k2.dion.ne.jp(大橋直義。@を半角に変えてください)
*PDF版のご案内をお入り用の方は上記メールアドレスまでご一報ください。
[趣意文]
年に十一回の例会をかさねてきた私ども慶應義塾中世文学研究会も、2006年12月に二〇〇回を数えることができました。それを記念いたしまして、来る2007年3月17日(土)にシンポジウム「中世文芸の王権とレガリア」を開催いたします。
天皇とそのイエ、神祇と王権をめぐる諸問題については、中世の文学や史学、宗教研究、あるいはそれら諸領域をこえた言説・現象をめぐる視座からの検討がなされ、活況を呈しているということができるでしょう。ただ、その中にあって、中世日本におけるレガリア―王の宝物―とは何であったのかという観点から、総合的に「王権」とそれをとりまく諸文芸・言説をとらえようとする試みは、これまでなされてはいなかったのではないでしょうか。それはおそらく、レガリアには、実体的な「モノ」という側面と、それに対する種々の言説によって仮構された虚像までも含む「コト」という側面とが、しかも折り重なるようにかかわりあう性格があるということに起因するようにも思えます。そしてさらに、日本におけるレガリアとは、三種神器のみならず、如意宝珠や楽器もその範疇にあるものであることも一因であったのかもしれません。
このような状況にかんがみ、本研究会は三種神器・如意宝珠・楽器、そして書物そのものをもレガリアの範囲内にいったん収めた上で、さらにそこから展開させてゆくべきと考えました。そこで、各々の事物にかかわるご研究を精力的につづけておられる4人の研究者の方々をパネリストとしてお招きし、シンポジウム「中世文芸の王権とレガリア」を企画いたしました。それぞれの題目と要旨は次のとおりです。
*小秋元段氏「神器論の位相 ―『太平記』と『神皇正統記』と―」
南北朝時代において、三種神器の有無は両朝の正統性に大きな影響を与えたはずである。これを文学作品はどのように描くのか。『太平記』と『神皇正統記』をとりあげ、神器論の位相を探っていきたい。
*藤巻和宏氏「東大寺大仏と伊勢参宮 ―中世南都の舎利・宝珠信仰の一斑―」
東大寺創建の際、行基・橘諸兄が伊勢に参宮し、天照大神の本地=盧遮那仏が示される。また、再建時には重源が伊勢で宝珠を感得する。本発表では、舎利・宝珠信仰の視点から、これらの説話の展開相を検討する。
*中原香苗氏「楽器と王権」
中世において、音楽―特に楽器の名器や秘曲伝授―は、天皇の権威と深く関わっていた。室町期には将軍も音楽に関与するようになるが、史実や伝承をもとに、名物とされる楽器と王の権威との関係を中心に述べたい。
*佐々木孝浩氏「王権の標章としての装丁 ―巻子装をめぐる諸問題―」
勅撰集の奏覧本が巻子装であったことは良く知られている。勅撰集の現存伝本には巻子装であるものは少なく、またその多くは冊子から改装されたものである。その理由を書誌学的な見地から考察してみたい。
塾の内外をとわず、こういった問題について関心をお持ちのかたのご参加と、議論の深まりを熱望いたします。
年度末のお忙しい時期とは存じますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
長文、失礼いたしました。