岡田清一『鎌倉幕府と東国』刊行
No.4405
またまた怠惰な私の居場所を失わしめんとするかのように、積年の優れた御研究の成果が刊行されました。著者の岡田清一先生は、私にとってはまさしく「学兄」と呼ぶに相応しい存在です(したがって以下、「岡田さん」と呼ばせていただきます)。
出会ったのは大学院生の頃、当時岡田さんはすでに学習院の博士課程を出られて私立の女子高に勤務されていたと思います。千葉氏関係の論集の執筆者会議ではじめてお目にかかった時、帰りに「飲み」に誘ったところが喫茶店だったということを、岡田さんは私との邂逅を語るときに常にネタ話にされているようです。「野口はひどい下戸だ」と。
それにしても、同じレベルの都内の私大の出身で数年の先輩。そして、研究テーマが近く、志を同じくし、何よりも人格者である岡田さんに出会えたことは、私の人生にとって決定的なことだったと今さらながら思えます。
岡田さん、これからも宜しくお願いいたします。
前置きが長くなりましたが、肝心の『鎌倉幕府の東国』(続群書類従刊行会刊、本体価格11000円)ですが、その構成は、
序章
第一編 幕府の成立と地域動向
第一章 奥州藤原氏の奥羽支配/第二章 佐竹合戦と侍所の創設/第三章 鎌倉幕府と二所詣
第二編 鎌倉周縁の地域諸相と幕府体制の変貌
第四章 武蔵国留守所惣検校職について/第五章 遠江国と北条氏/第六章 「執権」制の成立と建保合戦/第七章 鎌倉政権下の両総
第三編 北辺の地域領主と鎌倉北条氏
第八章 越後国と北条氏/第九章 相馬氏と鎌倉北条氏/第十章 元弘・建武期の津軽大乱と曾我氏
終章
あとがき
という次第で、『吾妻鏡』講読会に参加しているゼミメンバーは必読。私もこの本を通して岡田さんの御研究の軌跡を再確認させていただきたいと思います。岡田さん、御恵送にあつく御礼を申し上げます。
なお、この本(もちろん箱入り)の題字は、活字ではなく岡田さんの奥様の手になる見事なものです。「団塊の世代の歴史体験」という副題の付いた「あとがき」も、若き日の岡田さんの遍歴を知るよすがとなるばかりでなく、戦後歴史学の歩みを振り返る上で貴重。中世前期政治史を専攻している若い方たちには是非読んでいただきたい内容です。
☆ さて、目下、その若手研究者の先頭を切って御活躍の高橋典幸先生から御高論「鎌倉幕府と東海御家人-東国御家人論序説-」(小野正敏・藤澤良祐編『中世の伊豆・駿河・遠江』 高志書院)・「将軍の任右大将と『吾妻鏡』-『吾妻鏡』の受容の一背景-」(『三田中世史研究』12)・「書評 高橋一樹『中世荘園制と鎌倉幕府』」(『歴史学研究』808)を御恵送いただきました。高橋先生にあつく御礼を申し上げます。
出会ったのは大学院生の頃、当時岡田さんはすでに学習院の博士課程を出られて私立の女子高に勤務されていたと思います。千葉氏関係の論集の執筆者会議ではじめてお目にかかった時、帰りに「飲み」に誘ったところが喫茶店だったということを、岡田さんは私との邂逅を語るときに常にネタ話にされているようです。「野口はひどい下戸だ」と。
それにしても、同じレベルの都内の私大の出身で数年の先輩。そして、研究テーマが近く、志を同じくし、何よりも人格者である岡田さんに出会えたことは、私の人生にとって決定的なことだったと今さらながら思えます。
岡田さん、これからも宜しくお願いいたします。
前置きが長くなりましたが、肝心の『鎌倉幕府の東国』(続群書類従刊行会刊、本体価格11000円)ですが、その構成は、
序章
第一編 幕府の成立と地域動向
第一章 奥州藤原氏の奥羽支配/第二章 佐竹合戦と侍所の創設/第三章 鎌倉幕府と二所詣
第二編 鎌倉周縁の地域諸相と幕府体制の変貌
第四章 武蔵国留守所惣検校職について/第五章 遠江国と北条氏/第六章 「執権」制の成立と建保合戦/第七章 鎌倉政権下の両総
第三編 北辺の地域領主と鎌倉北条氏
第八章 越後国と北条氏/第九章 相馬氏と鎌倉北条氏/第十章 元弘・建武期の津軽大乱と曾我氏
終章
あとがき
という次第で、『吾妻鏡』講読会に参加しているゼミメンバーは必読。私もこの本を通して岡田さんの御研究の軌跡を再確認させていただきたいと思います。岡田さん、御恵送にあつく御礼を申し上げます。
なお、この本(もちろん箱入り)の題字は、活字ではなく岡田さんの奥様の手になる見事なものです。「団塊の世代の歴史体験」という副題の付いた「あとがき」も、若き日の岡田さんの遍歴を知るよすがとなるばかりでなく、戦後歴史学の歩みを振り返る上で貴重。中世前期政治史を専攻している若い方たちには是非読んでいただきたい内容です。
☆ さて、目下、その若手研究者の先頭を切って御活躍の高橋典幸先生から御高論「鎌倉幕府と東海御家人-東国御家人論序説-」(小野正敏・藤澤良祐編『中世の伊豆・駿河・遠江』 高志書院)・「将軍の任右大将と『吾妻鏡』-『吾妻鏡』の受容の一背景-」(『三田中世史研究』12)・「書評 高橋一樹『中世荘園制と鎌倉幕府』」(『歴史学研究』808)を御恵送いただきました。高橋先生にあつく御礼を申し上げます。