歴史の話ではないんですが、
今日のYahooニュースで一瞬、かなり大きく取り上げられ、
朝日新聞にも、小さな記事で載っていた問題があります。
日本テレビが26日に放送した
特番「ビートたけしの歴史的大発見 名画モナリザはもう一枚あった」
に対し、北大大学院の田中英道教授(西洋美術史)が、
「存在はすでに知られ、コピーであることも学界では結論づけられている。
あたかも『大発見』であるかのような演出で、虚偽報道だ」と指摘している、
というのです。
私は、ひょんなことから、この番組の後半を見ていたのです。
というのも、たけしと大竹しのぶとともに、出演していた
絹谷幸二という洋画家を知っているためなのです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050329-00000036-sanspo-enthttp://www.ntv.co.jp/louvre/0326sp/main.htmlたけしにほとんど興味がない私が仕事をしていると、
家内が「絹谷さんがたけしの番組に出ているわよ」と
呼びにきたので、思わずそのあとを見てしまったのです。
番組自体は、『ダビンチコード』という最近話題の小説にからませた、
民放らしい胡散臭さがにおってくるような番組でしたが、
問題は、「新発見」とされる、もう一つのモナリザが、専門家の鑑定により、
間違いなく、ダビンチの真筆だということを前提としていること。
(前半を見ていないので、その「科学的」根拠は私にはわからない)
でも、ルーブルのモナリザと比較すると、素人目にも魅力がない。
引きつけるところがない。描写があきらかに平板である。
つまり出来がちがうのである。ということで、ダビンチにも、
失敗作もあるのか、と思いながらも、合点がいかなかったわけ。
しかし、もしも田中教授の言が正しいとすると、
たけしなどとテーブルを同じくして座っていた、
絹谷には責任はないのか、ということになります。
絹谷幸二の肩書きは、東京芸術大学教授 日本芸術院会員です。
とくに日本芸術院会員の洋画家は、現在13人しかいない。
しかも最年少です。
肩書きはまあ、日本の絵描きとしては、これ以上ない。
私、この人、40年近く前(つまり私の子供時代)から知っているのですが、
どちらかというと能天気な人なので、
おもしろそうだというので、ほいほい出て行ったのでしょう。
この前の話だと、倒れる前の長島茂雄に絵を教えていたとのこと。
あるいは、たけしがこんど東京芸大教授になるそうなので
(映画学科をつくるんだったか、これもちょっと信じられませんが)
そういう関係もあるのかもしれません。
私としては、素人の目にもおかしいとわかるものを、
あつかっている、かなりあぶない番組になんで出るのか、
なんで現在の日本を代表する洋画家のはずなのに、
あの絵の不出来がわからないのか、
と思うのですが、いずれにせよ、近藤先生がおっしゃることは、
歴史番組だけではないのです。
そのことが、このたぶんに個人的な事件でも、身にしみました。
思いっきり、利用されてしまうのです。