小城ゼミ旅行について。
No.2231
今回のゼミ旅行の見学先・方針について、小生の考え方を示しておきます。
時間に限りがありますが、博多を経由して時間のある人は、できれば承天寺・櫛田神社・住吉神社など、博多駅周辺の史跡見学をしていただければよいと思います。中世都市博多・元寇などを勉強する上でおおいに役立ちます。
小城についてはおそらく、ゼミメンバーはほとんど知識がないと思いますので、十分な事前学習をお願いします。鎌倉時代に肥前国小城郡惣地頭として下総から入部した千葉氏の列島規模のネットワーク支配や文化の伝播などの材料が山のようにあり、この地はまさに日本中世史の宝庫なのです。また、真正な「小京都」、羊羹・日本酒の生産地として地域振興の観点から考察してみるのも野口君などには面白いかも知れません。
当ゼミのメインテーマは「中世前期の歴史と文化」ですから、小城は今回の旅行の見学の中心に据えられるに相応しいところです。くわしい参考文献などは、後日紹介いたしますが、とりあえず、拙著『武家の棟梁の条件』のⅤあたりを読んでおいて下さい。ちなみに、『平家物語』の一本である『源平闘諍録』は、この肥前千葉氏に伝来したのではないかと小生は「想像」しています(拙稿「千葉氏の嫡宗権と妙見信仰」)。なお、小城への文化伝播を考えるうえからも、中世の博多の機能を理解しておいて欲しいところです。
吉野ヶ里や大宰府も見学予定に組まれていますが、大宰府の場合、天満宮や観世音寺など個々の史跡も面白いのですが、水城(元寇の際も防衛戦となる)なども含めた空間として理解できるように心がけてください。
中世後期の北九州について、朝鮮側の視角を理解する上で『海東諸国紀』(岩波文庫)を読んでおくのもよいでしょう。山岡さん如何でしょうか。この本には、小城の「千葉殿」も出てきます。
ちなみに、肥前千葉氏は室町時代、周防の大内氏とも関係深いものがありました。京都文化の導入という点で影響しあっている可能性もあろうかと思います。防府出身の山内さんなど関心をもてるテーマだと思います。
吉野ヶ里は、平忠盛が日宋貿易を行ったことで知られる神崎庄の地にあたります。弥生時代ばかりが喧伝されていますが、中世前期の地層からは舶載陶磁器の優品が出土していますから、資料館などでは展示品に要注意です。肥前一宮河上神社(千葉氏はこの宮司職を掌握)とともに、院政期研究を志している山本君・平田さんに興味を喚起したいところです。
小城については、日蓮宗中山門流の教線拡大の点からもおおくの研究が蓄積されています。メンバー一人一人の関心に沿って、主体的に事前学習を心がけて、実りあるゼミ旅行を実現したいものです。
※ なお、当初予定されていた伊豆については、小生は年度内に調査旅行を計画しています。
時間に限りがありますが、博多を経由して時間のある人は、できれば承天寺・櫛田神社・住吉神社など、博多駅周辺の史跡見学をしていただければよいと思います。中世都市博多・元寇などを勉強する上でおおいに役立ちます。
小城についてはおそらく、ゼミメンバーはほとんど知識がないと思いますので、十分な事前学習をお願いします。鎌倉時代に肥前国小城郡惣地頭として下総から入部した千葉氏の列島規模のネットワーク支配や文化の伝播などの材料が山のようにあり、この地はまさに日本中世史の宝庫なのです。また、真正な「小京都」、羊羹・日本酒の生産地として地域振興の観点から考察してみるのも野口君などには面白いかも知れません。
当ゼミのメインテーマは「中世前期の歴史と文化」ですから、小城は今回の旅行の見学の中心に据えられるに相応しいところです。くわしい参考文献などは、後日紹介いたしますが、とりあえず、拙著『武家の棟梁の条件』のⅤあたりを読んでおいて下さい。ちなみに、『平家物語』の一本である『源平闘諍録』は、この肥前千葉氏に伝来したのではないかと小生は「想像」しています(拙稿「千葉氏の嫡宗権と妙見信仰」)。なお、小城への文化伝播を考えるうえからも、中世の博多の機能を理解しておいて欲しいところです。
吉野ヶ里や大宰府も見学予定に組まれていますが、大宰府の場合、天満宮や観世音寺など個々の史跡も面白いのですが、水城(元寇の際も防衛戦となる)なども含めた空間として理解できるように心がけてください。
中世後期の北九州について、朝鮮側の視角を理解する上で『海東諸国紀』(岩波文庫)を読んでおくのもよいでしょう。山岡さん如何でしょうか。この本には、小城の「千葉殿」も出てきます。
ちなみに、肥前千葉氏は室町時代、周防の大内氏とも関係深いものがありました。京都文化の導入という点で影響しあっている可能性もあろうかと思います。防府出身の山内さんなど関心をもてるテーマだと思います。
吉野ヶ里は、平忠盛が日宋貿易を行ったことで知られる神崎庄の地にあたります。弥生時代ばかりが喧伝されていますが、中世前期の地層からは舶載陶磁器の優品が出土していますから、資料館などでは展示品に要注意です。肥前一宮河上神社(千葉氏はこの宮司職を掌握)とともに、院政期研究を志している山本君・平田さんに興味を喚起したいところです。
小城については、日蓮宗中山門流の教線拡大の点からもおおくの研究が蓄積されています。メンバー一人一人の関心に沿って、主体的に事前学習を心がけて、実りあるゼミ旅行を実現したいものです。
※ なお、当初予定されていた伊豆については、小生は年度内に調査旅行を計画しています。