日本古文書学会見学会のご案内

元木泰雄
No.7971

 日本古文書学会の見学会を以下の要領で2月、3月に行います。
 ふるってご参加ください。

① 奈良国立博物館
 日時 2月19日土曜日13時~16時(12時45分より受付)
 集合場所 奈良国立博物館新館玄関前 セキュリティ―の関係上、遅刻すると入場できません。時間を厳守してください。
 額安寺文書(鎌倉~南北朝)、造東大寺司請経牒、弘福寺牒以下の古代・中世文書、紫紙金字最勝王経以下、経典などの典籍類を見学、熟覧。
 参加費500円(予定) 博物館の展示の見学には別途入場料が必要です。
 参加希望者はお名前、ご連絡先を明記の上、下記までハガキで申し込んでください。2月14日月曜日必着でお願いいたします。
 
② 京都府立総合資料館 
 日時 3月29日火曜日13時~16時(12時45分より受付)
 集合場所 京都府立総合資料館入口
 東寺百合文書を上島先生のご解説を承りながら見学、熟覧します。今回は第二類の文書を取り上げます。
 参加費500円(予定)。
 参加希望者はお名前、ご連絡先を明記の上、下記までハガキで申し込んでください。3月11日金曜日必着でお願いいたします。
 上島先生より関係資料が送られますので、申し込み締め切りが早くなっております。ご注意ください。

 申し込み先 〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町 京都大学大学院人間・環境学研究科 元木研究室
 2月19日までにご連絡くださる場合は、どちらの研究会に参加されるか、または両方に参加される旨を必ず明記してください。
 いずれも大変貴重な文書を直に見学できる、大変貴重な機会です。ぜひともご参加ください。

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山田先生、例の番組、ご覧いただいたようで恐縮です。
  NHKは何やらホモのお話をやたら強調したようで、武士を組織した中世的側面など、すっかり捨象されてしまいました。男色は官僚制的秩序を逸脱し、情誼的な人間関係が表に出る武士社会で発展するものであり、その意味でも頼長は中世に向かう貴族であったと述べたのですが、肝心なところはカット。
 また、貴族を無能集団と描き、貴族社会には信西のような有能な院近臣がいて、現実的な政治が行われたことも、無視されています。それがなければ、院近臣が台頭するはずもありません。忠実の偏愛とか、傭兵同士が争った保元の乱とか、古めかしい俗説にまみれた描き方にも失望致しました。
 野口先生ご指摘の矛盾、たしかに何であんな演出になるのか、首をかしげたくなります。武士が治安を乱す存在というのは、高橋昌明先生らが提起された、新しい武士論に基づく見解なのですが、無能な貴族にかわる武士政権という超陳腐な通説と無理にくっつけるのは、いくらなんでも無茶という気がします。

 そんなこんなで、むなしい気分ですが、頼長を取り上げただけでも意味があるのかもしれません。あまりにひどかったこの前のことを思えば、まだ多少我慢もできます。まああんなもんでしょう。
 ジュンク堂の分類で言えば「歴史読み物」の番組ですから。
 でも歴史学的番組がないのも困ったことですが。

 そういえば、今回の大河ドラマもまるで学芸会。来年どんなことになるのか、おおよそ想像もつきます。
 せめてとんでもない歴史像、清盛像を描く犯罪的行為だけはやめてもらいたいものです。

1.26はテレビ人間としての私の誕生日

No.7972

 元木先生 日本古文書学会見学会のご案内ありがとうございました。
 また件の番組についての率直な御見解をお示し下さり、恐縮に存じております。
 明後日の『台記』研究会が楽しみです。

 さて、昨日の『吾妻鏡』講読会。久しぶりに大森さんがお出で下さいました。お土産に頂いた干し柿の入った最中は絶品。のこった分は独占をはかるために、いそいそと冷蔵庫にしまい込んだ次第です。
 『中世法制史料集』を読んでいくと、かつて全盛を極めた「社会史」でテーマとされたキーワードがたくさん出てきて、これは勉強をし直さなければいけないと痛感させられました。
 折良く、『紫苑』の印刷をお願いする日東印刷の黒澤さんもお出でになって、一件落着。
 なお、火曜日の『吾妻鏡』講読会だけは2月も継続して行うことになりました。ただし、次回は入試日程の関係で2月2日の水曜日です。
 『吾妻鏡』の全巻読破達成も時間の問題になって参りました。

 たしか、今日は、かつて当ゼミで古文書の師範代をつとめて下さった方(すでに学位を取得されて、大学の非常勤講師をつとめておられます)のお誕生日だったと思います。ますますの御活躍を祈念致します。
 なお、本日は、私が小学校2年生の時に、家にテレビ(松下電器の14インチ)が設置された、私にとっての「テレビ記念日」なのであります。

 ☆ 国立歴史民俗博物館の菱沼一憲先生より、御高論「下総国印東庄の領主と百姓・沙汰人」(『佐倉市史研究』23)・「『醍醐雑事記』紙背の具注暦と文書について」(『國學院雑誌』111-6)・「内海としての紀伊水道」(『国立歴史民俗博物館研究報告』157)を御恵送頂きました。
 「下総国印東庄の領主と百姓・沙汰人」は、以前にも紹介させて頂いた記憶があるのですが(>>No.7126)、「かつての在地領主制という概念のみでは、描ききれない実態が存在しているといえよう」という末尾の一文に示されるように、12世紀における東国武士のあり方に再考をせまる内容をもつものです。また、「内海としての紀伊水道」も紀伊と四国の武士勢力の交流を明らかにした斬新な視角からの研究で、地域武士論に新たなフィールドを開拓した興味深く意義ある成果だと思います。
 菱沼先生に、あつく御礼を申し上げます。  

ナショナルキッドの時代?-次回の『吾妻鏡』は二月です-

No.7974

 次回の『吾妻鏡』は水曜日開催です。2月は、2日(水)、8日(火)、15日(火)、22日(火)と開催予定です。

 日時:2011年2月2日(水)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:文応二年(弘長元年、1261年)三月五日・十三日・二十日・二十五日、四月二十一日・二十三日・二十四日・二十五日・二十六日、五月一日・十三日、六月一日・三日・六日・十日・十八日・二十二日・二十三日・二十五日・二十七日・二十九日・三十日、七月二日・九日・十七日・十八日・二十二日・二十九日、八月二日・七日・十日・十二日・十三日・十四日・十五日、九月三日・四日・十九日・二十日、十月四日・二十九日、十一月一日・二日・三日・二十六日、十二月二日。
    弘長三年(1263年)正月一日・十日・十一日・十四日・十八日・二十三日・二十五日、二月五日・八日・九日・十日、三月十日・十三日・十七日・十八日・二十一日、四月七日・十四日、五月九日・十七日、六月二日・二十三日・二十五日・二十六日・三十日、七月五日・十三日・十六日・十八日・二十三日・二十七日、八月一日・四日・六日・七日・八日・九日・十日・十一日・十二日・十三日・十四日・十五日・二十五日・二十六日・二十七日、九月十日・十二日・十三日・二十六日、十月八日・十日・十四日・十七日・二十五日・二十八日、十一月二日・八日・九日・十三日・十六日・十九日・二十二日・二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条

 毎週火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新しい歳に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

テレビの中にあった「極楽浄土」

No.7975

 まだ、「ナショナルキッド」は放送されていませんでしたね。「七色仮面」もまだでした。私がテレビを見始めた頃の番組として記憶しているのは、民放では『名犬ラッシー』『名犬リンチンチン』『ヒチコック劇場』「若君日本晴れ」『パパは何でも知っている』『うちのママは世界一』『ローンレンジャー』、NHKでは「バス通り裏」「ゼスチュア」「お笑い三人組」『ハイウェイパトロール』「事件記者」「チロリン村とクルミの木」などです。
 『 』はアメリカで制作された番組で、日本語の録音と映像がずれてしまって「しばらくお待ち下さい」という静止画面になってしまうことがよくありました。
 1960~70年代に「アメリカ帝国主義粉砕」などと叫んでいた学生さんたちも、子どもの頃は『パパは何でも知っている』や『うちのママは世界一』を見てアメリカに憧れていた世代なのです。あの頃は、遠いところに憧憬の地があったのです。今は地球が狭くなりすぎてしまって、「西方極楽浄土」も何処へやらですね。