『日記で読む日本中世史』重版

No.9364

 12月29日。私の父方の曾祖母はこの日が誕生日です。年は慶應3年(1867)。戸籍にある日付ですが、旧暦だと思います。坂本龍馬が落命してから一月半くらい後のことです。
 彼女は、私がたしか小学校の5年生の時にこの世を去りました。

 重版になった『日記で読む日本中世史』(元木泰雄・松薗斉編著、ミネルヴァ書房)が版元から届きました。拙稿の誤植が訂正されて、気持ちよく新年が迎えられます。
 しかし、あらためて広げてみるに、この本は本当に内容充実。好評なのも道理だと思います。
  →http://www.minervashobo.co.jp/book/b93393.html

 ところで、本と言えばBS11に「ベストセラーBOOK TV」という番組があり、来春1月6日(金)の放送の特集のテーマは「2012年は歴史を学ぼう!」だそうです。
  →http://www.bs11.jp/entertainment/545/

 ここで、新刊の拙著>>No.9206が、書名くらいは出るだろうというようなお話を編集者の方からうかがいました。
 それにしても、特集そのものが面白そうですね。

 テレビと言えば、>>No.9353で御紹介した京都女子大学のオリジナル番組。関西や関東、九州・沖縄や北海道では見られないではないか、という声が寄せられておりますが、こちらでも見られますので、御紹介申し上げます。
  →http://www.kyoto-wu.ac.jp/daigaku/media/tv.html

思いがけない読者層 付 「藪蛇」

No.9359

 みなさんも同様だと思いますが、原稿に行き詰まると、ふと、インターネットを開いてしまいます。これがPCの困るところ。ワープロ専用機では、こうはいきませんから。

 そこで、ついつい正月に出る拙著>>No.9206の予約状況をAmazonのサイトで確認してみると、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というところに、俳優の玉木宏さんの写真の載った本がいくつも並んでいて、その後に元木先生の『河内源氏』が出ておりました。

 なるほど、来年の大河ドラマでは源義朝を玉木氏が演じる、そういことで、玉木さんのファンの方が拙著を注文されたということなのでしょう。
 「想定外」の読者でしたが、これをきっかけに歴史(この時代)に関心を持って頂ければ有り難い限り。

 なお、蛇足ながら、源義朝ファンの方は、山田邦和先生の論文「保元の乱の関白忠通」(朧谷壽・山中章編『平安京とその時代』)は、ぜったいにお読みにならない方が良いかと思います。→と言うと、読みたくなるでしょう。出版社は思文閣出版です。

 今日は、さすがの私も、ほんの少しだけですが大掃除の手伝いをしました。一応、年賀状も書きました。
 原稿は進まず、ここに逃げてきている次第です。

【追記】 上記のような、のんきなことを書いておりましたら、早速、某出版社の方から、正月休み明けあたりを目途にしていた原稿について確認の電話を頂いてしまいました。
 とんだ「藪蛇」でありました。
 今行き詰まっているのは、まさにその原稿なのであります。

 ところで、ポストを開くと、待望の『古代文化』第63巻第3号が届いていました。
 この巻には、巻頭に樋口健太郎氏の論攷「藤氏長者宣下の再検討」、ついで当ゼミ出身(京女史学科卒)である尻池由佳さんの「儀礼構成と準備運営からみた「宇治入り」」、さらに研究ノートとして、末松剛氏「『年中行事絵巻』巻15「関白賀茂詣」の公卿行列について」と、摂関家関係の論文が並んでいます。

 ついに尻池さん(広島大学大学院)も、本格的に学界デビューというわけです。このところ、院政~鎌倉期の摂関家に関する研究を精力的に進めておられる樋口さんとともに、中世前期の摂関家研究における今後の御活躍をおおいに期待しております。

 ちなみに、『古代文化』の次号(来年3月刊行)には、山岡さんの「侍長考」が掲載されます。

 ☆ 身延山大学の長又高夫先生より、御高論「北条泰時の政治構想」(身延山大学東洋文化研究所『所報』15)を御恵送頂きました。
 長又先生に、あつく御礼を申し上げます。

座業の日々、また太りそうであります。

No.9358

 この時期、御同業のみなさまは、いずこでも原稿執筆やら校正に追われていることでありましょう。  
 年賀状も書けないし、大掃除の手伝いも出来ない状況だと思います(かく言う私は、こんなものを書いていますが・・・)。

 何度も新刊予告をさせて頂いている拙著の写真が中央公論新社のサイトに掲出されましたので、お知らせしたかったのです。↓御参照下さい。

  http://www.chuko.co.jp/tanko/2012/01/004318.html

 正面からの写真で、ちょっと色合いが実物と異なる感じです。私は背文字のレイアウトも気に入っているのですが。

 ☆ 千葉県立千葉東高校の後輩で、早稲田大学エクステンションセンターの講師をされている大薮海先生から、御高論「興福寺東門院の相承-文明四年北畠氏子弟入室の前提-」(『史学』80-4)を御恵送頂きました。
 大薮先生に、あつく御礼を申し上げます。

粋なクリスマス・プレゼント

No.9355

 土曜日だというせいもあるでしょうが、今日の大学はだいぶ人が少なく、かなりの学生さんはすでに帰省してしまったように思われました。A地下で余裕の昼食(京女弁当420円)でした。

 『研究紀要』に掲載する論文(タイトルは「北条時政の上洛」)の再校ゲラを提出し、雑務を処理して帰路につくと、山科に向かう国道は大渋滞。東山トンネルを出た辺りで車線規制をしていました。

 ところで、岩田慎平著『乱世に挑戦した男 平清盛』(新人物往来社)も重版の由。おめでとうございます。

 >>No.9206で紹介させて頂いた刊行間近の拙著『武門源氏の血脈』(中央公論新社)については、出版契約書を取り交わす段階に到ったのですが、その書類と一緒に、編集者の方が、装幀見本の中味が白紙の本を「クリスマス・プレゼント」といって送って下さいました。

 装幀は白が基調で、林原美術館本『平家物語絵巻』の「大坂越」の場面をあしらっています。装幀は、ブックデザインの第一人者菊地信義氏によるもの。
 源氏の白旗がたなびいていて、ある方の評によれば「流れるように美しい」。

 人間の評価も外見9割という時代ですから、中味よりも装幀だけで売れてしまうのではないかと、おおいに「期待」しているところです。

 いま御覧に入れられないのが残念ですが、刊行されたら是非書店にてお確かめ頂ければ幸いです。

 しかし、このプレゼントを送って下さった編集者さんには大変お世話になりました。本当に親身になって、我が子を慈しむようにして、この本を世に出してくれました。本にとって編集者とは親も同然。
 つくづくそう思います。

 美川先生に御紹介頂いた『翻刻 明月記 一』(>>No.9203)も昨日、落掌致しました。
 これは大変な労作です。おおいに活用させて頂きたいと存じます。

年末の禍を転じて新年の福と為す

No.9353

 昨日は今年最後のゼミ講読会。『紫苑』第10号の原稿の見通しもつき、11号から編集の仕事を史学科2回生の池嶋さんが引き受けてくれることになりました。
 4回生は全員無事に卒論提出の由。
 先輩方の「偉業」は確実に引き継がれなくてはいけません。安心しました。

 ちなみに、ある先輩は、目下、「禍転じて福と為す」作戦を実行中とのこと。
 何事も前進あるのみ。頼もしい限りです。

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  ところで、テレビで京都女子大学のオリジナル番組が放映されるのだそうです。
  「女坂」や学内の風景が紹介されるとのこと。
  京都以外の地域での放送とのことなので、郷里で活躍中の卒業生や帰省中の学生のみなさんが御覧になったらよいと思います。

 【番組名】京都女子大学PRESENTS「南かおりの京都おもいで旅」

 【放送局と放送日時】
  ■静岡朝日テレビ(SATV テレビ朝日系)
   放送日:12月24日 10:55   再放送:12月27日 25:55

  ■山梨放送(YSB NTV系)
   放送日:12月24日 14:30   再放送:12月29日 10:55

  ■テレビ信州(TSB NTV系)
   放送日:12月23日 9:55   再放送:12月27日 26:13

  ■北陸朝日放送(HAB テレビ朝日系)
   放送日:12月24日 10:30  再放送:12月28日 11:00

  ■瀬戸内海放送(KSB テレビ朝日系)
   放送日:12月23日 11:00  再放送:12月26日 26:45

   ※年末年始編成のため、時間が替わることがあります。.

「為義から義経」の次は八幡太郎です

No.9351

 >>No.9206で紹介させて頂いた拙著。
 中央公論新社のサイトにも掲載されましたので御確認いただければ幸いです。

     http://www.chuko.co.jp/tanko/2012/01/004318.html

 今日はプラスとなるべきものがマイナスになってしまったというお話をうかがって、いささか意気消沈。
 また、発言に誤解を与えるようなこともあって、反省。
 とはいえ、如何ともなし難く、なかなか辛いところです。

 明日は、いよいよ今年最後のゼミ講読会ですね。

 そろそろ帰省される方もおられるようですが、佳いお年を! 

卒業論文 提出の日。

No.9350

 本日は文学部の卒論提出日。
 4回生のみなさん、お疲れ様でした!

 昨夜は、われわれ中世史研究者の敬愛する先生の快気祝いの宴が祇園花見小路で催されました。関東からの元気いっぱいのお客人も加わって盛会でした。
 先生には、末長く、さらなる御指導をお願いするばかりです。

 元木泰雄先生の『河内源氏』(中公新書)は、ついに5刷の由。
 
 ☆ 神奈川県立金澤文庫の永井晋先生より、御高論「赤橋殿壇所について」(『かまくら考古』11)を御恵送頂きました。
 永井先生に、あつく御礼を申し上げます。

西村隆「平氏「家人」表」

No.9336

 いよいよ講義もゼミも今年最後の週となりました。
 そして、4回生には卒論、私たちには原稿の締め切り日が目前。

 拙著『武門源氏の血脈 為義から義経まで』(中央公論新社→>>No.9206)は、お正月の松の内には大都市の書店には配架されることになるものと思います。
  
 元木先生の『河内源氏』(中公新書)はベストセラー街道をばく進中。来年、さらに売れ行きを伸ばすのではないかと思います。研究者から高校生まで、誰が読んでも面白い本だと思います。中公新書の歴史にのこる傑作でしょう。

 岩田慎平『平清盛』(新人物往来社)は『平氏政権の研究』(思文閣出版)を書かれた田中文英先生を修士課程時代の指導教官に仰ぎ、現在は元木先生の研究会に参加されている著者が、最新・最高の研究成果を分かりやすく還元している点が高く評価されているようです。
 いわゆる「歴史愛好家」という方たちばかりでなく、中世前期を専攻しようとする学生さんに読んで頂きたい、大学のテキストに使えるようなしっかりした内容の本です。
 なお、来週日曜日(25日)の『京都民報』6面に本書の書評が掲載される予定です。

 ☆ 京都市歴史資料館館長の井上満郞先生より、新刊の御高著『秦河勝』(吉川弘文館・人物叢書)を御恵送頂きました。
 井上先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 神戸大学名誉教授髙橋昌明先生より、平凡社ライブラリーの一冊として再刊された『増補改訂 清盛以前』を御恵送頂きました。

 佐伯真一先生による解説が付せられ、新しい研究成果が補注の形で紹介されています。 まったく埋もれてしまっている、拙稿「院政期における伊勢平氏庶流-「平家」論の前提作業-」(京都女子大学宗教・文化研究所『研究紀要』16)・同「院政期における伊勢平氏庶流(補遺)」(同17)を取り上げて下さり、うれしく思っております。

 髙橋先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ちなみに、『平家政権』を語るに際して、拙稿などより余程重要な研究成果として、西村隆先生による「平氏「家人」表-平氏家人研究への基礎作業」(『日本史論叢』10)があります。もちろん、髙橋先生も上記の本の中で紹介されておられます。

 これを参照しないで、「平家政権」を論ずることはできません。

忘れてはならない年の忘年会

No.9334

 卒論。京都橘大学の高橋さんはもう提出されたとのことですが、京女や同女のみなさんは、いよいよ時間との闘いという段階に入ったのではないでしょうか。

 当方も早々に仕上げなければならない原稿に頭を悩ませているのですが、なぜかこの時期にいたって校正ゲラが集中的に送られてきます。昔は郵送で悠長に出来たのですが、最近はFAXのほかPDFファイルなどという新兵器が登場して送る方も大変だろうと思います。

 原稿と言えば、『紫苑』10号の締切は22日ですので、宜しくお願い致します。OG・OBの方には鈴木(永富)さんから、依頼が届いていると思います。

 『紫苑』の編集。2回生から後継者が出て来てくれれば有り難いのですが。どなたか、ぜひ手をあげて下さい。10号の作成にかかわることで編集の過程を学ぶことが出来るはずです。

 目下、予定が2週間遅延の状態です。年賀状もいつになったら書けることか。旧暦で出すという手もありますが、その頃も忙しいことでしょう。

 そんな中、忘年会シーズン。胃腸とお財布の節制を心がけたいものです。

 ☆ 東北芸術工科大学の入間田宣夫先生と岩手大学の樋口知志先生の御高配で、両先生の御対談「前九年・後三年合戦を考える」を収録した、入間田宣夫・坂井秀弥編『前九年・後三年合戦 11世紀の城と館』( 高志書院)を御恵送頂きました。
 入間田先生・樋口先生に、あつく御礼を申し上げます。

年内さいごの『吾妻鏡』

岩田慎平
No.9335

 この時期は忘年会などが続く方も多いでしょうから、どうかくれぐれもご自愛ください。
 次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2011年12月22日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:正治二年(1200)七月二十七日、八月二日・十日・二十一日、九月二日・二十五日、十月十三日・二十一日、十一月一日・四日・七日、十二月三日・二十七日・二十八日の各条
    正治三年(建仁元年、1201)正月十二日、二月三日・五日、三月四日・十日・十二日・二十四日、四月二日・三日・六日、五月六日・十三日・十四日・十七日、六月一日・二日・二十八日・二十九日、七月六日、八月十一日・二十三日、九月七日・九日・十一日・十五日・十八日・二十日・二十二日、十月二日・六日、十一月十三日、十二月二日・三日・二十八日・二十九日の各条

 22日は『紫苑』第十号の原稿締め切り日です。がんばります。

 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、年の瀬に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

『武門源氏の血脈 為義から義経まで』

No.9206

 来年のお正月に中央公論新社から、上記タイトルの本を刊行致します。

 価格は1,785円(税込) ISBNコード: 9784120043185 (ネット等での予約は既に受付中のようです)

     http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4120043185
     http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106113748/subno/1 

 一般に平清盛の好敵手ととらえられている源義朝と、その一族の歩みを再検討し、「草深い東国の武士団の棟梁」という河内源氏のイメージを一新する論考。

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  《本書の構成》

  序章  日本中世の幕開けと武門源氏

  第一章 構想する為義─列島ネットワークの構築
  略伝 源為義
   1 武士の長者と権門の爪牙
   2 河内源氏の地方進出

  第二章 調停する義朝─坂東の平和と平治の乱
   略伝 源義朝
   1 「坂東の平和」と源氏庶流の展開
   2 平治の乱における義朝
   3 賴朝以前の鎌倉

  第三章 起ち上がる頼朝─軍事権門「鎌倉殿」の誕生
   略伝 源賴朝
   1 伊豆配流
   2 頼朝のイメージと王権
   3 将軍の六波羅邸

  第四章 京を守る義経─院近臣の「英雄」
   略伝 源義経
   1 二度の奥州下向
   2 義経の支援者たち

  終章  征夷大将軍と源氏の血脈

  初出一覧
  あとがき
  人名索引