医学博士渡辺淳一『天上紅蓮』
美川圭
No.8277
昨日の朝日新聞夕刊を読んでいたら、渡辺淳一氏の小説『天上紅蓮』がとりあげられていました。あの白河法皇と待賢門院のあいだの性愛をあつかった小説です。自分の研究分野に関係が深いといっても、いちいち小説家の歴史小説に関心をもつことはないのですが、今回はちょっと気になります。渡辺氏が「医学博士」だからです。歴史的知識はともかく、医学的知識は私よりはるかに上であるはず。しかも、新聞の記事によると、角田先生の本をとりあげながら「法皇も自分の子を生ませやすい時期を調べさせたはずです」と述べているのです。受胎時期を推定できる荻野久作先生の世界的な学説を角田氏は知っていて(本質を理解されていなかったことは『古代文化』の論文で論証したつもりですが)、あの本を書いたのですが、白河法皇はこの学説を知るよしもない。いったい、それではどうやって受胎時期を推定できたのか。そのことが、この小説に書かれているのか。時間を見つけて読んでみることにします。