夕刻の史跡見学会

No.6257

 今朝、研究室に着いてビックリ。昨晩の豪雨による雨漏りで、部屋の一部が水浸しとなり、床のプラスチックのタイルが浮き上がっているという惨状。
 以前、鈴木御夫妻(当時は永富さんと鈴木君)が来室したときにも、大雨で蛍光灯伝いに雨漏りがしたことがあったのですが、同様に上階のベランダ状になっているところに水が溜まったことが原因のようです。
 備品を動かしたりして、午前中は仕事になりませんでした。
 不幸中の幸いと言えば、PCや本に水がかからなかったこと。施設課に連絡して床のタイルを貼り替えてもらうことになりましたが、これから梅雨時になりますから、研究室を空けるときにはPCの上に大きなビニールシートを懸けておいた方が賢明なのかも知れません。
 それにしても天災は忘れた頃にやってきます。比較にならないほどのことですが、中国四川省の地震被害に遭われた方たちの御苦労の程が察せられました。

 本日Ⅳ講時は『小右記』の講読会。出席者は史学・国文学・建築学を専攻する院生さんたち。さすがに飲み込みが早い。私は本題からはずれた話ばかりで申し訳ないこと限りなし。しかし、他ではなかなか聞けない話もあったのではないでしょうか(??)。

 Ⅴ講時目は京女周辺の史跡見学会。Ⅳ講時の院生さんたちに初参加の一回生も加わって、総勢10名ほどで、馬町十三重の塔跡、積翠園(伝、小松殿庭園跡)、方広寺大仏殿跡、方広寺鐘楼、豊国神社、耳塚、法住寺殿跡、最勝光院跡、今熊野神社、新日吉神宮などを歩きました。
 朝は小雨がパラついていましたが、午後は曇、そして研究室を出発した夕刻にはすっかり晴れ上がり、西日が少しまぶしかったのですが、史跡見学には絶好のコンディションとなりました。
 六波羅をはじめ、泉涌寺・即成院や清閑寺など、行き先には事欠きませんので、また京女周辺を歩く機会を持ちたいと思っています。

 ☆ 本学名誉教授の加納重文先生より、新刊の御高著『平安文学の環境 後宮・俗信・地理』(和泉書院)を御恵送頂きました。興味深い論考が満載された大著です。
 加納先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 浅草金龍寺の御住職である並木優記先生より、先生が訳注・資料作成を分担された野口善敬編著『開甘露門の世界』(禅文化研究所)を御恵送頂きました。
 並木先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 慶應大学等で非常勤講師をつとめておられる桃崎有一郎先生より、御編著『康富記人名索引』(日本史史料研究会)を御恵送頂きました。大変な御労作で、今後の研究に裨益するところは多大だと思います。
 桃崎先生の精力的なお仕事ぶりには頭が下がるばかり。これからの御活躍がなお一層期待されます。
 桃崎先生に、あつく御礼を申し上げます。

27日・30日の授業・ゼミなどの予定 

No.6255

 週があけて、京都もだいぶ暑くなって参りました。渋谷通りの上り下りで汗だくになりました。
 教育実習で帰郷中の皆さんは、いよいよ本格始動でしょうか?
 けっこう、人生の岐路になったりすることが多いので、しっかり取り組んで来て下さい。
 昼夜逆転の生活になったり致しますから、健康管理にはくれぐれもご留意のこと。私は2週間の実習(授業は28コマ担当)の後、2週間ダウンいたしました。
 
 さて、明日のⅢ講時「基礎演習Ⅰ」は、山本さんが「韓流はなぜ流行るのか」をテーマに報告されます。日本と韓国の関係にまで話を拡大できることと思います。歴史的には古代まで視野に入れて考えましょう。あるいは、今日の日本社会論にも結びつくのかも知れません。いずれにしても、多角的な議論が期待できそうです。
 Ⅴ講時の「総合教育科目7B」は、「日本史に見る老人像」の一回目。まずは、前近代における「老人の制度的位相」と「老人観と社会的位相」についてお話ししたいと思います。自分が老化して参りましたので、リアルなお話が出来ることと思います。

 ゼミの『吾妻鏡』講読は岩田君の御案内の通りです。4回生の不在がちょっと寂しいところですが、建築関連記事をふりかえって<精読>ということになるのだろうと思います。

 それから、木曜日Ⅴ講時目の方の『吾妻鏡』講読(初級)ですが、今週は京女周辺の史跡見学に出かけます。少し時間が遅いので、法住寺殿関連の史跡が中心になることと思います。
 ふだん、講読会に出席されていない方も参加を歓迎いたします。16:30共同研究室から出発します。

土曜日はありがとうございました。

No.6254

名古屋の松薗です。
野口先生(孝子さんもいらっしゃっていた思いますが)、京都界隈(東京の方も)の諸先生・院生・学生諸兄には雨の中をお出でいただきありがとうございました。帰り京都駅で、加藤先生とお別れした際に、大変いい機会を与えられたことを共に確認した次第です。
加藤先生の重厚で緻密なご報告に対し、いまだ煮詰まっていない思いつきで煙に巻いた感が否めませんが、話題提供ということでご容赦ください。
ただ、古代・中世にかけての「日本」の「王朝日記」(笑)が、極めて面白い存在であることだけは、ご理解いただけたのではないかと思います。まだまだいろいろなことが隠されていそうです。

Re: 土曜日はありがとうございました。

No.6256

 松薗先生、土曜日は加藤先生と共に、大変貴重なお話をありがとうございました。
 日記を史料として使うことの難しさと面白さを再確認させていただきました。
 私は大学院生の時代に、桃裕行先生・土田直鎮先生という記録研究の大家に直接御指導を頂く機会がありましたので、いろいろ思い出されることも多くございました。
 承久の乱後の幕府による日記捜索については、拙稿「慈光寺本『承久記』の史料的評価に関する一考察」(京女宗文研『研究紀要』18)の冒頭で少しばかり触れたことがございます。また、山下克明氏の御研究というのは、「『承久三年具注暦』の考察」(大東文化大学東洋研究所『東洋研究』127)でございます。
 名古屋の中世史研究会で、松薗先生が御報告の時は、都合が悪く伺えなかったのですが、京都と名古屋は近いので、ぜひ頻繁に交流の機会を持たせていただきたいと思っております。
 今回は、元木先生が「遷都」(まさに!!)の御準備でお忙しく、御出席されなかったのが残念だったのですが、また御上洛の折には、元木先生・美川先生とともにお出迎えできたらと思っております。
 ちなみに、モデル原稿の件、よろしくお願い申し上げます。
 (※ 掲示板を私信のように使わせていただき、申し訳ありません。) 

第46回中世史サマーセミナーのご案内

No.6252

みなさんはじめまして。鹿児島大学で非常勤講師を勤めております新名と申します。
先日来鹿されました野口先生にお許しをいただきましたので、こちらで今年の中世史サマーセミナーのご案内をさせていただきます。
今年は以下の要領で開催いたします。

・日時:8月22日(金)~24日(日)
・会場:シティホテルイン国分(霧島市国分)
・日程
 1日目:研究報告①…南九州の遺跡に関して等、4名報告
 2日目:史跡見学…志布志(志布志城・大慈寺等)・波見・下伊倉城跡
     研究報告②
 3日目:史跡・史料見学…鹿児島神宮・大隅正八幡宮神官家邸宅跡
・研究報告(いずれも仮題)
  中村和美氏(鹿児島県立埋蔵文化財センター)「万之瀬川下流域の発掘調査成果」
  渡邊誠氏(広島大学特別研究員)「12世紀の日宋貿易と山門・八幡・院御厩」
  重久淳一氏(霧島市教育委員会)「中世大隅正八幡宮をとりまく諸相―社家館跡の調査から―」
  屋良健一郎氏(東京大学大学院)「中世後期種子島氏とその周辺」
  小山博氏(宮崎県総合博物館)「中世の島津豊州家の対外関係」
・参加費用 25,000円(予定)

 鹿児島では1993年に一度開催されており、その時は野口先生や現在東北大学にいらっしゃる柳原先生が事務局の中心となり、8・6水害直後の混乱のなか大変なご苦労の末、挙行されました。
 なお、93年は薩摩国が中心だったこともあり、今年は大隅国を中心に史料・史跡見学を行います。また、統一テーマは決まっておりませんが、報告題目をご覧いただければ分かりますように、対外交易を軸として近年の発掘成果と文献側の新見解をふまえたものになる予定です。
 先日の歴史学研究会で、実行委員会の代表日隈正守さん(鹿児島大学教育学部)がご挨拶いたしまして、正式に受け付けも開始いたしました。皆さん是非ふるってご参加下さい。
 申込方法等詳しくは、下記専用ホームページをご覧下さい。
http://kchiiki.kachoufuugetu.net/s-seminar.html

以上、宜しくお願いいたします。

鹿児島における中世史研究の黄金時代。

No.6253

 新名さん、御案内ありがとうございました。

 1993年の中世史サマーセミナーは、史上最悪のコンディションのもとで開催されたサマーセミナーとして記憶されるべきものと思います。にもかかわらず、たくさんの参加者が集まり、充実した三日間を過ごすことが出来たのは、事務局を担当された柳原先生の獅子奮迅の御活躍の賜物にほかなりません。あの時は、永山先生・松尾先生・栗林先生・林先生など、若手(当時)の結束、御助力も目覚ましいものがありました。
 今回は、93年のサマーセミナーで、報告者として参加された日隈先生が事務局を担当され、柳原先生の教え子である新名先生たち若手が、それを補佐するという体制が組まれたということで、さらなる盛会が期待されます。
 私は、全日程の参加は無理だと思いますが、ぜひ御挨拶には伺いたいと存じております。

 昨日は、日本史研究会の例会に出席。国文学専攻の方も多く、盛会でした。
 記録は読むだけでも大変なのですが、やはり史料として活用するには慎重な対応が求められることを、再確認させられました。学問探究の道は、嶮しく深遠です。
 なお、討論の時間にボーっとしておりましたところ、突然の御指名を頂き、訳の分からぬ質問を致しましたこと、御出席者各位にお詫び申し上げる次第です。

 ☆ 歴研大会の際に4篇もの御高論を拝受した赤澤春彦さんから、さらに御高論「鎌倉期における陰陽家安倍氏について-安倍晴道党を中心に-」(『中央史学』31)を御恵送頂きました。
 『吾妻鏡』後半は陰陽道のオンパレードなので、講読会の参加者にも是非読んで頂きたいものと思っています。
 赤澤さんにあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 國學院大學栃木短期大學の鍛代敏雄先生より、新刊の御高著『戦国期の石清水と本願寺
  都市と交通の視座』(法蔵館)を御恵送頂きました。
  先生は石清水八幡宮研究所員のお仕事もおつとめの由。
  鍛代先生にあつく御礼を申し上げる次第です。

 ちなみに、当家では、近々のうちに、石清水八幡宮にお詣りに行く予定があります。石清水八幡宮といえば、八幡太郎。
 『源義家』については、ぜひ一書にまとめてみたいと考えています。

実習中の『吾妻鏡』

岩田慎平
No.6251

 そろそろ教育実習のため母校へ里帰りという方もおられますが、次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2008年5月27日(火)15:00頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
 範囲:『吾妻鏡』嘉禎三年六月一日、二十日、二十三日、二十五日、七月八日、十日、十一日、十九日、二十五日、二十九日、八月七日、十三日、十五日、十六日、十月十六日、十一月十七日、十二月十二日、

  (※掲出した範囲以外に「これは」という条文があれば、その都度お知らせ下さい。しばらくは建築関連の記事を中心に、過去の条文に遡って読むことなどもしてみるつもりです)

 なお、その先も六月は毎週火曜日15:00頃~開催の予定です。
 『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。どなたさまでも、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加下さい。

司書・学芸員の専門性について

No.6250

 下のような緊急イベントが開かれます。谷合さんは、大学での同級生です。大変な事態なので、応援したいと思います。私も何とか時間をつくって、参加します。司書や学芸員について知るよい機会にもなると思います。以下、転載です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

司書・学芸員の専門性について考える緊急イベント開きます

図書館廃止問題 | 2008年05月21日
 わたしも呼びかけ人となって来週の水曜日、急遽下記のようなミニ集会を開きます。この文章は転載引用大歓迎です。いくらでもコピーしまくってどんどんお知らせください! よろしくお願いします。

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 今こそ、専門分野の司書・学芸員の“専門”を問う
~図書館・博物館における専門スタッフの役割を考える集い~

 
みなさまご存知のように、大阪府の改革プロジェクトチーム(PT)によって、専門情報提供機関や文化関連施設の存続が危機に直面しています。

 この問題に関してマスコミ等で取り上げられるのは、建物というハードや事業内容などにとどまり、そこで専門的業務を担っている“人”には焦点があたることはほとんどありません。

 司書や学芸員として働く専門職スタッフは何を担ってきたのか、このようなポストが失われることによって何ができなくなるのか、府民にはどんな損失があるのか。

 それぞれの分野で資料や情報収集・組織化・提供に携わる専門職が自らの“専門”をリレートーク形式で語り、分野を超えてこれからの展望を共有していきたいと考えます。図書館・博物館で働く方々だけでなく、利用者の皆様をはじめ興味をお持ちいただけるかた、どなたでも参加歓迎です。

 また、集いの前に大阪府労働情報総合プラザと大阪社会運動資料センターの見学会を開きます。集会後に会場近くで懇親会も予定していますので合わせてご参加ください。


●日時:5月28日(水) 
      見学会17時~18時(エルおおさか南館2階に集合)
      集い 18時30分~20時30分(エルおおさか本館6階)              
●場所:エルおおさか604号室(6階)
      大阪市中央区北浜東3-14 電話06-6942-0001
       地下鉄谷町線/京阪「天満橋」駅下車、西へ350メートル
●参加費:300円(会場使用料)
●スピーカーの所属施設(コメント参加もあり)
      大阪府立国際児童文学館、ヒューライツ大阪、ピースおおさか
      リバティおおさか、ワッハ上方、部落解放人権研究所図書室りぶら
      大阪府労働情報総合プラザ、ドーンセンター
●内容  
      ・リレートーク・・・1人8分×8人=64分
      ・参加者を交えてのフリーディスカッション・・・40分

●呼びかけ人
      木下みゆき(ドーンセンター)
      谷合佳代子(財団法人大阪社会運動協会)

●お問い合わせ・参加申し込み
      ご連絡はなるべくメールでお願いします。
      飛び込み参加も可能ですが、前日までに谷合宛、メールにてお申し込みください。
      見学会、懇親会への参加の有無も合わせてお知らせください。

        (財)大阪社会運動協会・谷合佳代子 
                メール shaunkyo@topaz.ocn.ne.jp
       

昨日の歴研大会と明日の基礎演習・講義

No.6248

 昨日は、岩田君・佐伯君・伊藤さんとともに、早稲田大学で開かれた歴史学研究会大会(日本中世史部会)に出かけて参りました。
 会場では久方ぶりにお目にかかる方も多く、また多くの抜刷などを拝受いたしました。あらためて、御礼申し上げる次第です。

 ちょうど前の席に高橋昌明先生が座られましたので、懸案になっていた『平清盛 福原の夢』の書評会について、御出席をお願いし、快諾を頂くことが出来ました。
 この分野を専攻されている関係者の方々が出来るだけたくさん参加できる日程で設定したいと考えています。あとは書評担当者の選定のみ。
 どなたか、立候補される方はいらっしゃいませんか?また、ゼミ関係者以外の方も含めて、報告者として適任と思われる方がおられましたら、どしどし御推薦をお願いいたします。

 さて、明日のⅢ講時「基礎演習Ⅰ」は、山戸さんが「結婚」をテーマに報告されます。かなり切実な問題だと思います。報告後の活発な議論を楽しみにしています。
 Ⅴ講時の「総合教育科目7B」では、「頭髪と服装の歴史」をとりあげて、「冠・烏帽子・頭髪-可視的身分標識論-」というテーマでお話しいたします。

 歴研大会の報告内容等については、また、講読会などの時にお話しいたしましょう。

 早稲田大学と申しますと、家族や親戚に卒業生が多く、私自身も1969年、雪の降りしきる中、受験生が浪人ばかりの第一文学部を受験した日のことを鮮明に思い出すわけでありますが、映画『男はつらいよ』の第40作「寅次郎サラダ記念日」(1988年公開)に登場することを付言しておかなければなりません。
 寅さんが、「産業革命論」の授業に出席、教授に果敢に質問を試みます。まあ、一度御覧下さい。
 教授を演じたのは三国一郎。いい味を出しています。昔の大学教授は、あんな感じでした。

追悼 角田文衛先生

No.6242

 山田邦和先生からのご連絡によると、

http://heike.cocolog-nifty.com/kanwa/

 昨日、角田文衛先生が亡くなられたそうです。

 95歳のご高齢だったので、いつかこの日が、と思っておりましたが、
とうとうその日がまいりました。

 京都では、いろいろな意味で、とても存在感のある大先生でした。

 しかも、こういうタイプの学者はもう出ないかも知れません。

 私にとっては、なんといっても、崇徳院生誕についての論文を、ご自身のつくられた『古代文化』への投稿を電話で促された、という忘れ得ないかたです。
 ご自身への批判論文の投稿を求められる、実にスケールの大きな方でした。

 ご冥福をお祈りしたいと思います。

 それにしても、崇徳院生誕についての仕事は楽しかったです。

Re: 追悼 角田文衛先生

元木泰雄
No.6243

角田文衛先生の訃報に接し、心より哀悼の意を表す次第でございます。
 4月の「紫式部顕彰会」のおりに、ご体調が悪化された由を伺い、案じておりましたが、何度もご不調を克服された先生だけに、今回も回復されると信じておりました。ただただ残念でございます。

 先生はご自身も学者として多大の業績を残されるとともに、古代学協会を設立運営され、国内外にまたがる研究成果を挙げられて、大きな存在感を示されました。
 我々のような平安時代の研究者にとっては、『平安時代史事典』『平安京提要』の存在を考えただけでも、先生から受けた学恩は計り知れないものがあります。先生なくして、今日の平安京や貴族政権研究の隆盛はありえなかったと思います。

 美川先生も仰せのように、角田先生は突然お電話を下さいます。人物叢書『藤原忠実』を上梓した際、「『古代文化』で書評したいから執筆者候補をあげなさい」とのお電話を頂き、仰天したことが思い出されます。それも、旺盛な行動力のあらわれといえるのかもしれません。 

 角田先生のお名前をはじめて知ったのは、高校二年のときに中公新書の『承香殿の女御』を拝読したときでした。平安貴族の世界の面白さを、鮮烈に印象づけられた思い出がございます。それと同時に、「小説ではなく、研究によって、このように歴史上の人物の息遣いや心のひだまでわかるとは、何てすばらしいことか」という思いを抱いたことでした。その思いは今も決して消えておりません。
 
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

Re: 追悼 角田文衛先生

No.6244

 角田先生は、優秀な研究者数人分の頭脳と行動力を一人で担われていた不世出の歴史学者でありました。

 先生の御冥福をお祈りすると同時に、先生の学問・研究に向けられた情熱の炎を絶やさず、御研究の一部なりとも継承、発展させていけるように努めてまいりたいと思っております。
                                                 合掌

Re: 追悼 角田文衛先生

山田邦和(同志社女子大学)
No.6249

角田文衞先生の葬儀がつつがなく終わりました。
ひとつの「時代」の終了を感じております。

私のプログに、思い出話を書きました。ご笑覧いただければ幸いです。
http://heike.cocolog-nifty.com/kanwa/2008/05/post_49a7.html

西園寺家の吉田泉殿跡に新石敷き遺構発見

No.6241

 今日、京大西部構内の吉田泉殿と思われる遺構を見てきました。
先日の見学会の後に行ってから、2度目なのですが、
たいへんラッキーなことに、

 あの石敷き遺構の南東12mほどのところに、もう一本の石敷き遺構が発見されておりまいた。石敷き遺構~堀込地業~石敷き遺構となっておりました。

 二つの石敷き遺構は同じ高さで、並行しています。ということは、ほぼ12m四方の方形の仏堂と推定されます。以前発見されていた遺構に比較して、雨落ち溝がやや粗末な作のようで、この建物が北西方向から見られることを意識したものと思われます。ということは邸宅中心は北か北西にあったと考えられ、この遺構が吉田泉殿の一部と考えて間違いないのではないでしょうか。

 ちょっと興奮してしまいました。

 秋以降、今回の発掘地域の西側を掘る予定だそうです。楽しみになってきました。

『平治物語』論・『闘諍録』『盛衰記』注釈

No.6245

 美川先生、貴重な情報をありがとうございました。
 ひょっとしたら、福勝院の境域に属する建物の遺構なのではないかとなどと、想像をめぐらせていたのですが、やはり吉田泉殿の一部のようですね。
 京大の周辺は、12~13世紀のころ、源頼政の近衛河原邸や藤原経房の邸宅などもあり、けっこう都市的な様相を呈していたように思えてきました。白川道の機能も想像以上に大きかったのではないでしょうか。

 ☆ 本日、名古屋学院大学の早川厚一先生より、御高論「『平治物語』成立論の検証-『保元物語』『平家物語』『愚管抄』との関係について-」(『名古屋学院大学論集(言語・文化篇)』Vol.19 -1)・「源平闘諍録全釈(三-巻一上③(五ウ5~六ウ9))」(『名古屋学院大学研究年報』20)および、早川厚一・曽我良成・橋本正俊・志立正知「『源平盛衰記』全釈(三-巻一-3)」を、各10部づつ御恵送頂きました。
 ゼミ関係者に御配慮頂いたものです。
 早川先生にあつく御礼申しあげます。

 上記の御高論を必要とする方は、お申し出下さい。

『北条時宗の時代』と『式部省補任』拝受

No.6246

 本日、大著2冊を拝受。一冊は、ともに鎌倉時代研究の第一線で御活躍の久保田和彦先生・永井晋先生から御恵送頂いた北条氏研究会編『北条時宗の時代』(八木書店)、もう一冊は、永井晋先生より御恵送頂いた、永井先生の御編になる『式部省補任』(八木書店)です。

 前者に、久保田先生は「六波羅探題発給文書の研究-北条時茂・時輔・義宗探題期について-」、永井先生は「平姓安東氏の研究-安東蓮聖像の再検討を中心に-」・「中世都市鎌倉の発展-小袋坂と六浦-」という御高論を執筆されています。

 後者は「式部省補任 附文章道大業」・「式部考証」・「解説」の三部構成で、大変な御労作です。今後の研究にもたらす裨益は多大なものがあると思います。

 永井先生・久保田先生に、あつく御礼を申し上げます。


 ※ 本日、ある学術雑誌に掲載予定の書評の再校ゲラが届きました。初稿で完璧に修正は済ませたと思っていたのですが、数多の校正の見落としを指摘されていました。編集担当者には全く頭が下がります。その一方で、本当に自分に自信が持てなくなってまいりました。「耄碌」とはこういう状況を指すものだと思われます。
 原稿は、提出する前に、若い人に目を通して貰うことにしたいと思います。
 ・・・ということで、ゼミに関係する皆さん、宜しくお願いいたします。

第7回 中世戦記研究会の御案内

No.6238

 事務局御担当の志立先生より、第7回 中世戦記研究会の開催について御案内を頂きました。下記の通りです。
 
 日時:2008年6月22日(日)13:30~18:00
 場所:学習院大学 北2号館10階大会議室
 輪読『真名本曾我物語』巻9:兵藤裕己氏
 研究発表:高松百香氏「松殿基房と松殿家」(仮)
       志立正知氏「『平家物語』と武家故実」(仮)

 ※ 自由参加制ではありませんので、会員以外のゼミ関係者で参加希望の方は、事前に当方までお知らせ下さいますようにお願いいたします。
 ゼミメンバーは、伊藤さんもお待ちですから(!)、積極的に御参加下さい。

そしてまた『吾妻鏡』のご案内

No.6239

 前回の告知は直前の、しかも簡略なものとなってしまいました。また次回の『吾妻鏡』のご案内です。

 日時:2008年5月20日(火)15:00頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
 範囲:『吾妻鏡』嘉禎三年正月二日、六日、三月八日、十日、二十一日、二十五日、三十日、四月五日、十一日、十九日、二十二日、二十三日、五月十五日、六月一日、二十日、二十三日、二十五日、七月八日、十日、十一日、十九日、二十五日、二十九日、八月七日、十三日、十五日、十六日、十月十六日、十一月十七日、十二月十二日、
          嘉禎四年(暦仁元年)正月十八日、二十日、二十八日、二月六日、七日、九日、十六日、十七日、二十二日、二十三日、二十六日、二十八日、二十九日、閏二月三日、十三日、十六日、三月七日、十八日、十九日、二十二日、三十日、四月二日、七日、九日、十日、十六日、十八日、二十四日、二十五日、五月四日、五日、十一日、十六日、二十日、六月五日、七日、九日、十日、十九日、二十四日、七月九日、十一日、二十七日、八月十九日、九月九日、十三日、二十四日、二十七日、十月三日、四日、十一日、十二日、十三日、十四日、十二月七日、十六日、十九日、二十三日、二十四日、二十五日、の各条

  (※けっこう先の方まで掲出しましたが、読めるところまで読んでいきましょう。また、掲出した範囲以外に「これは」という条文があれば、その都度お知らせ下さい。)

 なお、その先は、5/27(火)15:00頃~開催の予定です。以後は毎週火曜日15:00頃からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いします。

 『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。どなたさまでも、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加下さい。

さらに、日本史研究会 五月例会

No.6240

 今週末は歴史学研究会の大会に出掛ける方が多いと思いますが、来週の24日にも、今度は日本史研究会の例会で、注目すべきテーマが取り上げられています。
 
   「日記研究の現在―古代・中世の思考-」
   日時 5月24日(土)午後1時~午後5時
   場所 機関紙会館5階会議室 京都市上京区新町通丸太町上ル東側(地下鉄丸太町駅下車
     2番出口より西へ徒歩五分、市バス府庁前下車すぐ)

   報告 加藤友康氏(東京大学史料編纂所教授)
     「平安時代日記研究の多角的視座―平安中期における日記の筆録・書写・部類を中心     
     として―」

      松薗斉氏(愛知学院大学文学部教授)
     「王朝日記と「家」の日記」

   入場無料 一般来聴歓迎