「さぁ、夢のハワイに行きましょう!」の時代が懐かしい。

No.9749

 昨日の『吾妻鏡』講読会では、将軍実朝の御台所となる坊門信清の娘の関東下向の辺りを読みました。北条時政の「嫡子」政範が上洛中に客死する記事のところでは、『明月記』に彼が「近代の英雄」と評されている点についての議論もなされました。貴族社会から見た北条氏のステイタスに関わる問題です。

  ところで。『吾妻鏡』講読に先立ち、しばらく雑談の時間があったのですが、そこで岩田君が、武士の存在形態について鎌倉期以前と室町期以後とで大きな相違が見られることを極めて明解に指摘されました。日本史研究会大会における吉田賢司氏の報告の感想に関連した話の中でのことですが、なにしろ岩田君は研究史に詳しい人ですので(彼は昨日も「憧れのハワイ航路」という歌の話をしていましたので、実は私より年長の可能性があります???)、大変説得力があり、大いに納得させられました。
 だから地方自治体の歴史編纂などの作業で、私などがお役に立ちづらい訳なのです。「中世」ということで、院政期から戦国時代までを一括りにするのは止めた方が良いかも知れません。このことについて、かつて網野善彦氏が14世紀半ばを日本の歴史における大きな分水嶺と評価されたことを思い出しました。
 岩田君、この話をエッセイ風にまとめて『紫苑』にでも載せてくれませんか?

 それから、昨日のゼミでは、真鍋さんからハワイ旅行のお土産のナッツの入ったホワイトチョコレートを頂きました。美味しいので、私が一人で3~4個食べてしまいましたことをお詫び致します(カロリー摂取オーバー)。
 なお、すでに一箱すっかり無くなりました。昨日、欠席された方は悪しからず。
 真鍋さん、ありがとうございました。

 先週末から、あちこち動き回り、その過程で、学生時代を千葉で過ごされた(千葉駅ビルの屋上のビヤガーデンでアルバイトをしたり、天台の銭湯に通っておられたとのこと)という、私より2歳年長の元小学校の校長先生と大いに話が弾むなどという楽しい出来事もありましたが、すっかり疲れ果ててしまい、また老耄を痛感しているところです。

 来月予定されている「もちもちぃんウォーク」で見学する栢ノ森遺跡について、坂口君から凄い新発見の史料を教えて頂きました。これは面白い。市民対象の史跡散歩での講演が学会報告みたいなことにならないように気をつけなければならなくなりました。
編集:2012/10/17(Wed) 14:49

コバルトの風-次回の『吾妻鏡』-

No.9750

 むかしはハワイへの旅が憧れであったり(いまも若干憧れていますが)、みんなでアメリカに行こうよという気分や、エキゾチックなアジアで異邦人気分を楽しもうよという雰囲気をうたった歌謡曲が大ヒットしたりしましたが、いまはどうなんでしょうね。歌謡曲で背中を押さなくても、みなさんどんどん旅に出ちゃうんでしょうか。

 中世前期と後期、ちょうど南北朝期を境に、武士の存在形態などにも大きな変化があったようであるという感想を以前からなんとなく持ってはいたのですが、先日の吉田賢司氏のご報告はそれに大きな示唆を与えてくださるものであったように思います。
 『紫苑』でエッセイ風に…じっくり検討させていただきたいと思います…

 日時:2012年10月23日(火)午後3時すぎ~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建仁四年(元久元年、1204十二月十日・十八日・二十二日の各条
     元久二年(1205)二月十二日・十七日・二十一日、三月一日・十二日・二十五日、四月十一日・十二日、五月十二日・十八日・二十四日、六月二十日・二十一日・二十二日・二十三日・二十六日・二十八日、七月一日・二十日、閏七月十九日・二十日・二十五日・二十六日・二十九日、八月二日・五日・七日・十一日・十六日・十七日・十九日、九月二日・二十日、十月十日・十三日、十一月三日・四日・十五日・二十日、十二月二日・二十四日の各条

 10月は23日、30日と開催予定です。

 火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。