千葉常胤の生誕から832年。

No.9524

 岩田君や滝沢さんが呟いておられるように、3月24日(ただし旧暦の)は千葉常胤の命日です。
 『吾妻鏡』建仁元年三月二十四日条には「千葉介常胤卒。年八十四。従五位下行下総介常重一男。母平政幹女。鳥羽院御宇元永元年五月廿四日生云々。」とあります。
 元永元年(1118)生まれということは、平清盛・西行と同い年ということになります。同じ年に生まれたのに、歴史的に活躍する時期はまったく異なる。常胤が飛躍を遂げるのは清盛が死ぬ半年ほど前からです。人の一生というのは分からないものです。
 そして、この人は私の人生を決めた人でもあるのです。常胤も、自分の存在が、まさか800年も後になってから、同郷の少年の人生を左右するとは思わなかったでしょう。もっとも、私と同じようなことを言い出しそうな人は、千葉には何人かいそうですが。

 まあ、そんなわけで、今秋千葉市での講演のテーマには、この千葉常胤をとりあげることにしました。ただし、千葉からの視角からではなく、グローバルな観点からの評価を語りたいと思っています。ベースにするのは、未刊ですが、拙稿「千葉常胤 列島を転戦した清盛・西行と同い歳の東国武士」(野口実編『中世の人物(京・鎌倉の時代編)第二巻 治承~文治の内乱と鎌倉幕府の成立』清文堂)。

 ちなみに、この『中世の人物』というシリーズについては近々お知らせできると思います。ついで乍ら、執筆をお願いしているみなさま、どうぞ宜しくお願い致します。

 それから、これから出る本ではなく、旧著の話を2件。
 まず、このお正月に刊行した『武門源氏の血脈-為義から義経まで-』(中央公論新社)ですが、その書評を元木泰雄先生が執筆して下さいました。明日発行の『京都民報』に掲載されます。
 すでに、掲載紙を拝見しているのですが、とても的確に拙著の内容を紹介して下さっています。私が言いたいことを、私よりも明解に語って下さっており、これは是非、多くの方に読んで頂きたいと思っています。
 アマゾンのカスタマーレビューとともに、このような評価をいただけると、苦労のし甲斐を感じます。

 もう一件は、2007年に刊行した『源氏と坂東武士』(吉川弘文館 歴史文化ライブラリー)について。
 さきほど、Amazonでのランキングを見てみたら、新刊の『武門源氏の血脈』よりも売れているようですが(喜ぶべきか、悲しむべきか?)、版元からの連絡によると、増刷した分についても、一週間ほど前の段階で、もう倉庫在庫数は106冊しかないということですので、(投機筋のみなさまへ)お知らせしておきます。

 目下、月末締切の原稿の執筆が進まず、焦燥感に駆られる一方で、そろそろ送られてこなくてはならないはずの『古代文化』と『立命館文学』の到着を楽しみにしているという、矛盾した状況にあります。 

 ところで、山田邦和先生は、しばらく「ローマの休日」中です。 私は「メタボの忙日」。
編集:2012/03/24(Sat) 23:55

メキシコの青い空-次回の『吾妻鏡』-

No.9525

 千葉常胤と清盛・西行が同い年であることは、少し前の『吾妻鏡』でも話題になりましたね。これを呟きましたら、少しですが歴史好きな方から反応がありました。思わず「えっ、そうなの」と言ってしまうようなあまり知られていない事柄に食い付きがいいようですね。

 今年度担当させていただいた大学の授業でも、元木先生や野口先生の御著書をいくつか紹介させていただくことがありました。映画の寅さんのようにはまいりませんが、“実況席の寅さん”のようなかんじをささやかに目指しております。

 次回、今年度最後の『吾妻鏡』のご案内です。
 日時:2012年3月29日(木)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:建仁二年(1202)六月一日・二十五日・二十六日、八月二日・十五日・二十三日・二十四日・二十七日、九月十五日・二十一日、十月八日・二十九日、閏十月十三日・十五日、十一月二十一日、十二月十九日の各条
    建仁三年(1203)正月二日、二月四日、三月十五日、四月六日、五月十九日・二十日・二十五日、六月一日・三日・四日・二十三日・二十四日、七月二十日・二十五日、八月二十七日、九月一日・二日・三日・四日・五日・六日・七日・十日・十二日・十五日・十七日・十九日・二十一日・二十九日、十月三日・八日・九日・十四日・十九日・二十六日・二十七日、十一月三日・六日・十日・十五日・十九日、十二月三日・十三日・十四日・十五日・十八日・二十二日・二十五日の各条

 4月以降の開催日・開催時間等は、参加者の皆さんのご都合を伺いながら考えてみたいと思います。
 
 木曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 昨今は、“ポップでライトな”歴史が流行っているようですが、そんなポップでライトで楽しげなイメージも、もとはといえば何らかの史料に依拠して形作られたはずです。そのもとの部分の史料に当たって事実関係をきちんと踏まえて整理するという作業に慣れておくことも、いろいろな角度から楽しむのに役立つかもしれません。
 ただ、そうすると今度は“ポップでライトな”歴史を楽しめなくなってしまうのかもしれませんが…

 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新年度から何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。