行く年や猫うづくまる膝の上  漱石

No.9367

 大学に入ったら、漱石のお孫さんと同級生になったというお話をしたことがありますが、今年はこの句で閉めたいと思います。本当にそのままの状態ですから。

 ちなみに、当家のネコはpenという名で、白の雌です。年齢はもうすぐ16。
 人間なら「子どもじゃないのよ」(むかし、こんな歌がありましたよね)と言い出す頃ですが、ネコだと中高年はとっくに過ぎた世代です。
 ときどき、年寄りじみた啼き声で私にお説教を垂れます。

 ところで、本年も当ゼミに対して、各方面より多大な御支援、御声援を頂きましたことに、あつく御礼を申し上げます。
  来年も、どうぞ宜しく。

 ☆ 東北大学の柳原敏昭先生より、調査・執筆者を代表されて『伊達氏重臣遠藤家文書・中島家文書~戦国編~』(白石市文化財調査報告書第40集)を御恵送頂きました。
 柳原先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 神奈川県立光陵高校の久保田和彦先生より、先生が分担執筆された『平清盛ガイドブック』(別冊歴史読本)を御恵送頂きました。
 久保田先生に、あつく御礼を申し上げます。

Re:  行く年や猫うづくまる膝の上  漱石

元木泰雄
No.9368

 あけましておめでとうございます。
 昨年は野口ゼミの皆さんに大変お世話になりました。
 本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 
 今年は公開講座にも久しぶりにお招きいただき、光栄に存じております。
 野口先生はじめ、ゼミの皆さんとともに、学問の進展に寄与することができれば嬉しく存じます。
 昨年は、拙著が思いのほか好評で、まことにありがたいことでした。清盛ブームにたまたま乗っかったのも幸いしたようです。もちろんわかりやすく、堅実な内容を心がけたことも好結果に結び付いたのかもしれませんが、特筆すべきは編集・校閲体制の素晴らしさです。編集の高橋さんの適切なアドバイスは本当にありがたいことでした。桜井栄治先生の御著書のあとがきにも、高橋さんや中央公論新社のスタッフに対する謝辞がありましたが、全く同感です。
 むろん優秀な編集者の方とご一緒して、充実した書物つくりを体験したことは、これまでにもありました。感心したのは、野口先生もお書きでしたが、校閲の厳密さ。一字一句にまで厳しい注文を付けられました。これは経験のなかったことです。正直に言うと、何でそこまで言われるのかという気にもなりました。しかし、こうした丁寧な仕事が、高い評価を受ける書物を世に送る背景にあるということを痛感いたしました。また中央公論新書で、拙著を世に送りたいと思います。
 野口先生の御著書も間もなく刊行される由、大変楽しみに存じます。
 
 昨年末は、公私にわたり信じがたい騒動に巻き込まれ、散々な目にあわされました。良いこともあれば、こんなこともある、ということかもしれません。些末なトラブルですが、背景には様々な意味で日本の「劣化」という問題が関係しているとしか言いようがありません。若い人たちが希望を抱ける日本にするのが、我々の世代の仕事なのでしょうが・・・

 昨夏は、長野県立蟻ケ崎高校の村石先生の御案内で、北信濃を旅行いたしました。
 善光寺、川中島、上田、別所、塩田平を回る充実した旅行でした。想定外の猛暑(一昨年の濃尾旅行に懲りて涼しい地域を選んだはずが・・・)、当方のぎっくり腰などの事態はありましたが(帰宅後二週間ダウンする羽目に))、優れた文化財、古文書、史跡を多数見学することができました。
 この地域への旅行は三回目になります。かつて、大先輩の今谷明先生は、「何度行っても良いところだ」と仰せでしたが、そのとおりでした。毎回新たな発見があり、今回も強い印象を受けた次第です。
 義仲に関する史跡も多く、彼に関心をお持ちの方には、とりわけ興味深い旅行になったことと思います。ただし、浅間山に関する認識はもう少し深めてほしいものですが。
 今年は北九州案が有力です。よろしければご参加ください。

 信じがたい惨禍と原発問題という、日本史上、あるいは人類史上に刻印を残した2011年が去りました。この年の歴史における意味、そして歴史学者が担うべき役割を厳しく自問しながら、今年は生きてゆきたいと思います。
 野口先生、野口ゼミの皆さん、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 今年もお世話になります。

No.9369

 あけまして、おめでとうございます。
 
 年頭に元木先生からのメッセージを頂くことが出来て、「今年は春から、縁起がいいわい」の心持ちであります。

  6月の公開講座>>No.8957、お引き受け頂いて本当に有り難うございました。研究所主催の市民向け公開講座という性格から、「高い研究水準」と「社会還元」の両立をはかりうるテーマと、それに相応しい講演者への御依頼という点において、毎年考えさせられるところがございますが、今年は本当に期待するところ大きいものがございます。 多くの聴講者が全国からお集まりになることと思います。何卒、宜しくお願い申しあげる次第です。

 元木先生の御著書『河内源氏』のベストセラー席巻は、やはり良い本は売れるということを世に示してくれたものと思います。近年、出版界では、あまり内容の伴わないような本が濫造されて、長く伝えられるような名著が生まれにくい状況が続いておりますが、こうした市場原理的な営為は、学問・研究ひいては文化の発展そのものと相容れないことだと思います。元木先生の御著書がベストセラーになっていることは、良いものはのこり、淘汰されるべきものは淘汰されてゆくことになるという見通しの正しさを示してくださったものと受けとめております。

 お世話になった編集者の方から頂いた年賀状には「暴風が過ぎ去ったのちに残っているのは、限られた本物の本、本物の編集者、本物の出版社だけかもしれません」とありましたが、まさにその通りだろうと思います。

 本の出版は、矜持ある編集者、文化の担い手たる信念に支えられた出版社によって行われると、著者としてもおおいに勉強・啓発させられるものです。私も昨年、そのことを存分に体験することが出来ました。

 今年も何冊かの著作に取り組みたいと思っておりますが、それと並行して、各方面から御評価をいただいているにもかかわらず、図書館などでもなかなか目にすることが出来ない私の処女論文集である『坂東武士団の成立と発展』(弘生書林、1982年)の復刊を目指してみようかと考えております。
 私本人に対する直接の要請のみならず、復刊ドットコムでも、そこそこの投票を頂いているようですし、昨年末にも、ある著名な研究者から丁寧なお勧めをいただきました。
 すでに刊行から30年ほども経過しているのですが、実証的成果として自治体史の執筆などでお役に立つところも多いようで、修正すべき点や新しい研究成果について補注を加えれば、まだまだお役に立てるところもありそうです。
 (と、こんなところにでも記しておけば、復刊を検討してくださる出版社もあろうかと思います。ちなみに、この本の版元はすでに解散しておりますので、権利面での問題は発生しないと思います。)

 研究室旅行のお話もありがとうございました。充実した御見学の様子、羨ましく存じました。
 当方のゼミは、このところ定期的なゼミ旅行の実施をはかれずにおります。
 元木先生の研究室にはすでに当ゼミの出身者が複数おられ、新年度にも新たに加えて頂くことになりますから、先輩との交流という効果もあり、もとより本当の研究のあり様を実地に学ばせて頂く意味からも、もし可能であり、お許し頂けるのなら、ゼミとして旅行への御同行を検討させて頂ければ幸いとするところです。

 いずれに致しましても、本年もさまざまなところで、お世話になることと存じます。
 ゼミのメンバー共々、宜しくお願い申しあげる次第です。

本年もよろしくお願い申し上げます。

元木泰雄
No.9370

 野口先生、さっそくのレスを有難うございました。
 先生の幻の名著『坂東武士団の成立と展開』復刊を目指されるとのこと、これこそ最大のお年玉ですね。心より楽しみにしております。
 御著書によって、山内首藤氏、波多野氏に対する認識を新たにしたこと、『吾妻鏡』治承4年9月14日条に登場する忠盛の聟千田判官代忠雅なる不思議な人物が判明し、目から鱗の思いをしたことなど、拝読した時の強いインパクトが思い起こされます。刊行から40年を経ても復刊が期待され、学問的な生命を保つ書物こそ、まさに名著にふさわしいものと思います。
 
 旅行の件、ご一緒できるなら大変うれしく思います。
 この旅行は、もともと古文書学会の見学会が姫路であった際に、東京の漆原先生や、関西の小林基伸先生、そして各大学の若手研究者の方々と浄土寺や一乗寺まど東播磨の史跡を見学したのが最初でした。その後、毎年各地の中世史跡を見学しております。
 当方の研究室旅行というわけではありませんので、野口ゼミの方々にもぜひご参加いただければと思います。
 昨年の北信濃は勉強第一でしたが、それ以外は史跡もさることながら、グルメと観光がメインのようなものですので、ご参加いただいてがっかりされるのがオチかもしれません(笑)。
 今年は北九州、来年は沖縄か仙台などと考えております。またご相談いたしましょう。
 
 

「シリーズ平清盛」放送

山田邦和(同志社女子大学)
No.9371

 みなさま、寒中お見舞い申し上げます。
 「平安京閑話」には書きましたが、NHK広島放送局が製作し、昨年末に放送したテレビ特番に「シリーズ平清盛(全4回)」があります。昨年の本放送は中国地方限定だったのですが、このたび、その第1~3回がNHKの全国放送枠に登場いたします。第2回には大河ドラマに使われた軍船の復元製作の過程をみることができたりして、まあまあ良番組だと思います。
 第1回「厳島への夢」 1月4日(水) 15:15~15:58
 第2回「よみがえる平氏の大将船―大河ドラマ・瀬戸内ロケ―」 1月5日(木)15:15~15:58
 第3回「新事実 日本改造計画」 1月6日(金)15:15~15:58
詳しくはこちら→http://www.nhk.or.jp/hiroshima/kiyomori/series/index.html

第3回には私もちょっとだけ出演していますし、短時間ではあるが私の仮説にもとづく福原京復元C.G.(現実に存在した福原ではなく、あくまで「清盛が脳内で構想した福原京」の想定復元)が流れます。