歴史と文学 …現代版『純友追討記』

No.8946

 急に寒くなってきたせいか、体調がいまひとつです。
 食事の後が特にいけません。
 これは社会生活を営む上で、なかなか辛いものがあります。

 昨年6月に國學院大學で行われた公開シンポジウム「平家物語研究の視点-歴史学の視点、文学の視点、その相互理解をめざして-」の内容もおさめた、千明守編『平家物語の多角的研究 屋代本を拠点として』が刊行されました(A5判 上製カバー装 8,500円+税 ISBN 978-4-89476-578-8)。
 本論の構成は以下のとおり。
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  序説 軍記物語古態論の行方
   軍記物語の表現の古態を考えるということ・・・・・・・・・・ 佐倉由泰

  Ⅰ 屋代本平家物語の新研究
   「屋代本平家物語」の書誌学的再検討・・・・・・・・・ 佐々木孝浩
   屋代本平家物語巻十一の性格―字形と語句の観点から・・・・・・・・・ 吉田永弘
   屋代本平家物語巻十一本文考 千明守
   『平家物語』巻一「二代后」の本文―一方系と八坂系の接近・・・・・・・・・ 伊藤悦子
   屋島合戦記事の形成・・・・・・・・・ 松尾葦江
   屋代本『平家物語』における梶原景時の讒言をめぐって・・・・・・・・・ 大谷貞徳
   屋代本『平家物語』〈大原御幸〉の生成・・・・・・・・・ 原田敦史

  Ⅱ 刀剣伝承の文学
   アーサー王のエクスキャリバーと「剣の巻」・・・・・・・・・ 多ヶ谷有子
   『剣巻』をどうとらえるか―その歴史叙述方法への考察を中心に・・・・・・・・ 内田康
   「平家剣巻」の構想―道行・生不動説話の位置づけをめぐって・・・・・・・・ 山本岳史

  Ⅲ シンポジウム「平家物語研究の視点」
   東国武士研究と軍記物語・・・・・・・・・ 野口実
   歴史学の視点と文学研究の視点―「武士的価値観」を中心に・・・・・・・・・ 佐伯真一
   「史料」と軍記物語・・・・・・・・・ 高橋典幸
   『平家物語』の生成と東国―「重衡・千手譚」を素材として・・・・・・・・・ 坂井孝一
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 私は日頃考えていることを率直に書かせて頂きました。
 歴史学・文学双方からスポイルされることを怖れるばかりです。

 ☆ 広島大学の下向井龍彦先生より、新刊の御高著『物語の舞台を歩く 純友追討記』(山川出版社)を御恵送頂きました。
 これまた、歴史学と文学のあわいにせまった御研究の成果。
 下向井先生に、あつく御礼を申し上げます。

 山陽・山陰・西海・南海道の武士にも研究の手を伸ばしたい。いま私の願うところです。

 ☆ 神奈川県立金沢文庫の永井晋先生より、御高論「建保二年の園城寺回禄及び傲訴について-柴田芳明氏所蔵本「園城寺牒状及興福寺返牒案等」の分析から-」収録の『金澤文庫研究』第327号を御恵送頂きました。
 永井先生に、あつく御礼を申し上げます。