シンポジウムのご案内

佐伯真一
No.8584

ご無沙汰しております。この場をお借りして、シンポジウムのご案内をさせてください。

青山学院大学日本文学科主催・国際シンポジウム(2011年度)
日本と〈異国〉の合戦と文学
開催日:2011年12月3日(土)
時間:13時00分~17時30分 (受付開始 12時30分)
会場:青山学院大学青山キャンパス11号館7階、1173教室

趣旨:日本の軍記物語は、国内の戦争のみを描いているといわれてきました。それは、異民族との戦いを多く経験してきた諸外国と異なる、日本文化の特徴であるとも考えられています。その認識には、確かに正当な面があります。しかしながら、日本人が古来、戦いというものを「国内」のみにおいて考えてきたわけではありません。前近代において、日本列島がすべて「日本国内」だったわけではなく、古代・中世には列島内の〈異国〉に対するさまざまな認識がありました。そして、近世には琉球や朝鮮半島との戦いに関する多様な文学が生まれました。近世の作品が「軍記物語」との関連で語られることは、従来ほとんどありませんでしたが、時代別の文学研究の枠組みを超えて、中世の軍記物語との区別と連関を議論すべき時が来ているようです。
 日本人にとって〈異国〉とは、そして合戦とはどのようなものか。新進気鋭の研究者を集めて、新たな研究の方向を切り開いてみたいと思います。
(報告および討論は日本語で行われます)

司会・コーディネーター:佐伯真一(青山学院大学教授)
パネリスト:目黒将史(立教大学兼任講師)
       「琉球侵略の歴史叙述―日本の対外意識と〈薩琉軍記〉―」
      徳竹由明(中京大学准教授)
       「敗将の異域渡航伝承を巡って―朝夷名義秀・源義経のことなど―」
      松本真輔(韓国・慶熙大学校助教授)
       「古代・中世における仮想敵国としての新羅」
      金 時徳(韓国・高麗大学日本研究センターHK研究教授)
       「朝鮮軍記物の近代―活字化、再興記、太閤記―」
コメンテーター:牧野淳司(明治大学准教授)
        大屋多詠子(青山学院大学准教授)
参加無料・事前申込不要 (当日直接お越しください)

ご案内のみにて、失礼しました。

文学研究から学ぶべきことは多い。

No.8588

 佐伯先生、御案内ありがとうございます。

 東アジアの視点からの軍記研究と言いますと、以前、軍記・語り物研究会の例会で樋口大祐先生の源為朝に関する御報告をうかがって、おおいに啓発させられたことが思い出されます。

 このところ、中世文学の研究者からの歴史学へのアプローチは積極的で、22日の土曜日には、国文学の研究会なのに、講師がすべて歴史学者という講演会が國學院大學で開かれますが、こういう交流は極めて意義深いことと思います。
 すでに、歴史学で担うべきと思われるジャンルが、文学研究者によって開拓されている例がいくつもあります。
 一方通行ではまずい。歴史学の方からのアプローチも、もっと試みられるべきでしょう。
 
 文献史学のみならず、考古学や建築史学においても文学研究の成果から学び取るべきものは多大なように思えます。

 ところで、15日に本学で開催された川本先生が主催された建築史のシンポジウムですが、ここでは寝殿造建築の多様な有り様や、平泉などにおける最新の考古学的成果を学び、また、建築史・考古学・文献史学の第一線で活躍されている先生方と交流を深めることが出来、たいへん有益な時間を過ごさせて頂きました。
 
 私としては、総柱大型建物が決して地方的な所産ではなく、寝殿造りも基本的には総柱建築であることや、これまでの建築史研究において鎌倉期武家住宅の特徴として指摘されていることの多くが、領主制論(ないしは東国国家論)的な武士認識に基づくものであることを確認することが出来たのが大きな収穫でした。