『古代文化』第63巻第2号刊行

No.8370

 この号には、待望の生駒孝臣「平安末・鎌倉初期における畿内武士の成立と展開―摂津渡辺党の成立過程から―」が巻頭に掲載されています。

 摂津渡辺党を素材として、畿内武士の成立を王朝政府や鎌倉幕府成立との関係の中で追究。
 近年の武士論研究の成果を踏まえたすぐれた指摘が随所に見られ、東国武士に比較して低調であった畿内武士研究の現状を打破するものとして高く評価されるべき好論だと思います。

 武士論や鎌倉幕府成立史に関心のある方にとっては必読の論文です。
 また、渡辺党がテーマですから『平家物語』研究者にとっても有為な参考文献となることでしょう。
 
 この『古代文化』ですが、次号(第63巻第3号 2011年12月末 刊行予定)には、
  樋口健太郎「藤氏長者宣下の再検討」
  尻池由佳「儀礼構成と準備運営からみた宇治入り」
の二論攷が掲載されます。
 年末のお楽しみです。