二人の樋口先生から御著書を頂く。

No.8004

 「春は名のみの風の寒さや」あるいは「三寒四温」といった言葉が想起される天候が続いています。それにしても、今日の関東はだいぶ暖かかったようですね。 

 ☆ 神戸大学の樋口大祐先生より、新刊の御高著『変貌する清盛  『平家物語』を書きかえる』(吉川弘文館 歴史文化ライブラリー)を御恵送頂きました。
 プロローグに、「『平家』における清盛のイメージはどのような論理に支えられているのか、後世の読者は清盛の「悪行」をどう受け取り、読みかえてきたのか」が課題として掲げられています。
 引用されたベンヤミンの「歴史をさかなでする」という言葉。 私もイタリアの歴史家カルロ・ギンズブルグに倣って愛用したくなりました。
 これから平清盛関連の本は次々と出版されることになろうかと思いますが、この時点での本書の刊行は、安直な「大河」便乗本の抑止力になるでしょう。
 僭越な申し様ですが、まさに、歴史学の成果を踏まえた、すぐれた文学研究者による清新な清盛論です。
 樋口大祐先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ☆ 岩手大学の樋口知志先生より、先生の博士論文をもとに成された新刊の御著書『前九年・後三年合戦と奥州藤原氏』( 高志書院)を御恵送頂きました。
 前九年・後三年合戦を中心に11世紀の奥羽の政治状況について、次々と旧説を克服して行かれる樋口先生の御研究には目を見張るものがあるのですが、それらが系統的に一書にまとめられたことは、たいへん有り難いことです。
 私は近々、「源義家」に取り組まなければならないので、大いに参考にさせて頂きたいと思います。また、その機会に、拙論に対する御批判にもお応えしていかなければならないと考えています。
 樋口知志先生に、あつく御礼を申し上げます。

 ★ ところで、上記の御著書は、それぞれ別の大手の宅急便で配送されたのですが、その配達の仕方は対照的なものでした。
 一方は、玄関のチャイムを鳴らして手渡し。これは良心的です。
 しかし、もう一方は、拙宅の門扉脇のポストに載せていくというものでした。今にも雨が降り出しそうな天候のもとで、本を露天に晒すとは、配達した人の無神経ぶりには驚かされました。

ゼミの遣欧使節-来月の『吾妻鏡』-

No.8006

 火曜日の『吾妻鏡』は、諸般の事情によりしばらくお休みをいただきます。「諸般」のなかには、遣欧使節の派遣が一件と私の歯の治療も含まれております。すみません。みなさん、どうぞ歯はお大事に。
 歯みがけよ、アビバノンノ。

 ところで、次回の火曜日の『吾妻鏡』は3月16日(水)の予定で、その後は22日(火)、28日(月)と開催予定です。

 日時:2011年3月16日(水)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:弘長三年(1263年)正月一日・十日・十一日・十四日・十八日・二十三日・二十五日、二月五日・八日・九日・十日、三月十日・十三日・十七日・十八日・二十一日、四月七日・十四日、五月九日・十七日、六月二日・二十三日・二十五日・二十六日・三十日、七月五日・十三日・十六日・十八日・二十三日・二十七日、八月一日・四日・六日・七日・八日・九日・十日・十一日・十二日・十三日・十四日・十五日・二十五日・二十六日・二十七日、九月十日・十二日・十三日・二十六日、十月八日・十日・十四日・十七日・二十五日・二十八日、十一月二日・八日・九日・十三日・十六日・十九日・二十二日・二十三日・二十四日、十二月九日・十日・十一日・十六日・二十四日・二十八日・二十九日の各条

 毎週火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。
 基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、春を感じさせるこの時期に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。