甘葛煎の復元報告

No.7955

 奈良女子大学の前川佳代です。
 野口先生、甘葛煎復元成功の報告をしていただき、ありがとうございました。

 今回で奈良女のツタを使用してしまうと次に復元するのは20年後くらいになるというプレッシャーの中、奈良で甘葛煎を作るのが夢で年齢的にこれが最後の復元と覚悟された石橋顕先生のご指導を受けて、採取した5本のツタから460ccの樹液(これが芋粥を煮る時に使う味煎(みせん))を吹き出し、糖度75度を目標に煮詰め、史料にみる「箸にかけると糸を引く」状態で復元終了となりました。

 大変な労力でたったの50cc強と思われるかもしれませんが、樹液が460ccも集まり、煮詰めたら糖度が75度になったということだけでも感動でした。
 初めての、甘葛煎、おそらく日本でも数百人くらいしか味わったことのないお味は、非常に甘く、口の中ですぐにその甘さがなくなる「はかない」もので、これが「あてなるもの」と表現されたお味かと本当に感動しました。義経もきっと味わったに違いないと別の感慨も加わって・・・
 参加者の中にはその存在を知っていたけれど、一生味わえないと思っていたとおっしゃる奈良食文化研究会の方もおいででした。
 採取してから構内のラウンジで樹液採取を行ったため、余計な外皮やゴミを取り除くことができたので、薄い琥珀色の大変上質な甘葛煎となりました。
 またその前日の報告会も盛況で院生たちは菓子の歴史を塗り替える報告をしてくれました。

 この掲示板を見て参加してくださった方もいらっしゃいました。皆様のおかげで成功できました。本当にありがとうございました。
 急ぎご報告とお礼まで。
 なお、甘葛煎に関する資料は大学にございますので、ご興味ある方は前川までご一報くださいませ。

Re: 甘葛煎の復元報告

No.7956

前回の書き込みから、結果がどうなったのか大変気になっていました。
文章だけでも、甘さが伝わってきました。バレンタインのチョコとは違う、歴史的な重みのある甘さですね。

>「Web情報実習」で高校生向けのHPを作成中です。
とありましたが、本物の高校生に評価させたりというのをお考えでしょうか?

甘葛煎は義経のような味。

No.7958

 前川先生によると、甘葛煎の味は、
   一口なめると濃厚な甘さが一瞬のうちに口に広がり、消える。
  「はかない」ものでした。日本人好みなんでしょうね・・・
そして、
   大好きな義経にたとえて、義経のような味。
  奥州藤原氏のような一瞬の栄華を極めた味といってもいいでしょう!
とのことでした。
 ちなみに、この実験については新聞各紙も報じております。
  http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20110114-OYT8T01107.htm
  http://www.nara-np.co.jp/20110114094907.html

 ところで、昨日で今年度金曜日の『吾妻鏡』の講読会は終了。
 出席の粟村さん・尾田さん・井草さんから和洋取り混ぜた美味しいお土産を頂きました。
 こういうときに、折良くやってくるのが長村君です。みんなでヨシトモ談義に花を咲かせました。

 ☆ 神奈川県立金沢文庫の西岡芳文先生より、御高論「富士山をめぐる中世の信仰」(『興風』22号)を御恵送頂きました。
 西岡先生にあつく御礼を申し上げます。