古代の甘味料“甘葛煎”の復元のご案内(1月12日・13日)

No.7925

 奈良女子大学の前川佳代です。皆さま、ご無沙汰いたしております。本日は、年明け早々の1月12日・13日に奈良女子大学で開催される「古代の甘味料“甘葛煎”の復元」というイベントをご案内させていただきます。
 私、今年度一杯、奈良女子大学大学院の特任助教として平日は大学に勤務しております。前期マスターの授業「文化史総合演習」を先生方と担当させていただき、「菓子の文化史」をテーマに史料に基づいた菓子研究を行いました。歴史研究者による先行研究が少ない菓子研究において、通説と異なる見解を導き出すことができました。授業終了後もさらに研究を深めたい院生さんたちと相談し、古代の甘味料である“甘葛煎”を再現したいと希望するようになりました。そして今回、授業成果報告会として古代から中世の菓子について報告するとともに、北九州から日本で初めて“甘葛煎”を再現された先生をお招きしてお話いただき、翌日には学内で再現するという計画をたてました。
 『枕草子』に「あてなるもの」として描かれる「あまづら」、『芋粥』で想起される方も多いでしょう。“甘葛煎”とは、日本独自の植物性甘味料で、冬季のツタ樹液から作ります。砂糖が流通する近世までは甘味料の主流を占めていたのですが、その後は作られなくなり、原材料までも不明でした。よく、甘茶ヅルと混同されるのですが、ツタの樹液を煮詰めたものが“甘葛煎”です。お招きする先生は薬草学者である石橋顕先生で、“甘葛煎”について二年がかりで研究され、20年前に復元を成功されました。原料のツタが入手しにくいことから、この10年間復元は止まっていますし、先生のグル―プ以外他は誰も成功していません。今回、成功したら、日本で二番目ということになります。
 これまで二回の予備実験を行っておりますが、23日の実験では、非常に甘い、上品なお味の“甘葛煎”を得ることができました。ですから、来年13日も成功が期待できます。
 千年以上の時を超えた「甘み」を一緒に作ってご賞味されませんか?
 日程は、下記のポスターの通りです。
http://www.nara-wu.ac.jp/news/H22news/110112.pdf
 13日の復元に際しては、寒い時期ですので、防寒の用意をしていただき、軍手をご持参くださいませ。
 お問い合わせは前川までお願いいたします。maekawakayo@cc.nara-wu.ac.jp

 なお、演習での成果は、『奈良女子大学文学部研究教育年報』第7号(2010刊行予定)に連名でまとめ、さらに後期授業の「Web情報実習」で高校生向けのHPを作成中です。菓子研究グループとして、古代菓子や奈良饅頭の復元も行っています。もしご興味がある方は前川までご一報くださいね。

甘いものもすきです

No.7928

 >前川先生
 「古代の甘味料“甘葛煎”の復元」のお知らせをいただきまして、ありがとうございます。
 どのような甘みなのか想像もつきませんが、なにやら炭水化物系(米や芋)の甘みとよく合いそうですね。大変興味をそそられる実験だと思います。

 *ところで、まだ少し先のことですが次回の火曜日の『吾妻鏡』のご案内を再掲致します。次回は年明けです。

 日時:2011年1月11日(火)午後3時~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 範囲:文応二年(弘長元年、1261年)正月十日・二十五日・二十六日、二月二十日・二十五日・二十九日、三月五日・十三日・二十日・二十五日、四月二十一日・二十三日・二十四日・二十五日・二十六日、五月一日・十三日、六月一日・三日・六日・十日・十八日・二十二日・二十三日・二十五日・二十七日・二十九日・三十日、七月二日・九日・十七日・十八日・二十二日・二十九日、八月二日・七日・十日・十二日・十三日・十四日・十五日、九月三日・四日・十九日・二十日、十月四日・二十九日、十一月一日・二日・三日・二十六日、十二月二日の各条

 毎週火曜日の『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。基礎的な史料読解のニーズにも対応しておりますので、新しい歳に何か新しいことを始めてみようという方は、まずは見学からでも、どうぞお気軽にご参加ください。

Re: 古代の甘味料“甘葛煎”の復元のご案内...

No.7930

岩田さま
ご興味をお示しくださり、ありがとうございます。
私も正直申し上げて半信半疑でしたが、本当にツタから甘い樹液が出た時は感動でした。どのような甘さかは私が説明するよりは、味わってみていただいたほうがよろしいかと思います。最終的に糖度75度まで煮詰めます。かなり甘そうでしょう?
『吾妻鏡』と菓子といえば、「十字」は蒸餅といわれていますが、どのようなものなのか、小麦粉を使用しているのか米粉なのかなど、非常に気になります。何物かご存知でしたら、ご教示くださいませ。

蒸餅ですか…

No.7935

 >前川先生
 糖度75度というのはすごそうですね。
 ところで「十字」という菓子のことは全く知りませんでした。すみません…。あの時代の菓子といえば、果物かその加工品とばかり思っておりましたので…。甘いもの好きとしては、ぜひ調べてみたいと思います。