コミュニティ・カフェと明日の授業のご案内

No.7168

 昨日は、ご近所のかかりつけのお医者さんの主宰されているコミュニティ・カフェ「カフェ頼政道」
     →http://www.eonet.ne.jp/~kadosaka-naika/cafe/index.html
で、「頼政道」の由来とともに源頼政や木幡周辺の史跡についてのお話をさせて頂きました。

 近年の新興住宅地というのは、近隣の結合が弱く、また多様な価値観の交錯する時代だけに、他者への迷惑を迷惑と思わない困った住民もおり、またそれを調停・解決しうる地域の尊敬される人物も見当たらなくなっています。
 結局、善良な人々が我慢を強いられるような構造が、日本の全社会に及びつつある中で、閉塞感も生まれるのだろうと思います。
 そうした意味で、こうしたコミュニティの存在は、一つの解決策として大きな意味を持つものと考えます。

 さて、明日の授業ですが、Ⅲ講時の「基礎演習Ⅰ」は、高田鈴さんの報告。テーマは「なぜ忘れるのか、『忘却論』」です。私のためにあるようなテーマ。どんなアプローチをされるのか楽しみです。

 Ⅴ講時の「基礎・教養科目B25 女性の視点から日本中世の歴史を考える」は、第4回目の講義で、テーマは「日本中世の女性-結婚と妻の役割・貞女観-」です。
 『吾妻鏡』など、生の史料を読みながら考えたいと思います。

 ☆ 同志社大学の浜中邦弘先生より、御高論「宇治と藤原摂関家」掲載の増渕徹編『史跡で読む日本の歴史5 平安の都市と文化』(吉川弘文館)を御恵送頂きました。
 浜中先生に、あつく御礼を申し上げます。

 > 現社卒論演習(野口担当)の学生さん
  当方が研究室に在室しているときは、遠慮無くお立ち寄り下さい。 

 > 岩田君
  長い間の祇園でのお仕事、お疲れ様でした。
  これから、美味しいコーヒーが飲めなくなるのが残念ですが、引き替えに得た貴重な時間を有効に活用して大きな飛躍を期して下さい。

祇園町南側

No.7169

 野口先生、暖かい労いと励ましのお言葉をありがとうございます。
 先日5月8日、約9年間勤めた(バイトですが)コーヒー屋さんを辞めてまいりました。
 店員として勤めた9年間では、多くのお客様と仲間に恵まれました。特に京都の祇園の一角で働いたことにより、そこに住む人々の懐の深さのようなものを学ぶことが出来たのは、何ものにも代え難い貴重な経験となりました。

 『紫苑』第4号に寄稿した「草創期鎌倉幕府研究の一視点 ―奉行人を中心に―」は、頼家・実朝将軍期における鎌倉幕府の奉行人それぞれの「個性」に応じた「役割分担」に注目して書いたものですが、着想自体はそのバイトで「役割分担」を意識しながら働く経験から得られたものです。
 一方、バイト先でちょっと身だしなみを注意するときに、人前に出るときの身だしなみについて書かれた北条重時家訓の一節(『中世政治社会思想 上』p318・319)を持ち出して『吾妻鏡』講読会の成果を活かした(?)こともありました。北条重時とは750年ほどを隔てて「職場が近所」でした。
 コーヒー屋さんと鎌倉幕府と全く別の分野ではありますが、それぞれ楽しく取り組むことができたと思います。
 そのほか、当ゼミ関係者のみなさんにも何度もご来店いただきました。

 9年前の5月の連休明けから研修(いわゆる「OJT」)が始まりましたが、まだ店舗は完成しておらず、三条烏丸やカナート洛北にお邪魔しての研修となりました。そのころふと店舗が出来る場所を覗いてみると、全面作業シートに覆われてはいましたが、ここで働くのだという楽しみな気持ちを抑えられませんでした。
 6月1日に新装開店でしたが、オープニングスタッフは一週間前から資材の搬入や陳列、最終的な打ち合わせなどを、少しの緊張と大きな期待を抱きながら繰り返しました。初夏というよりは真夏を思わせる気候だったのを覚えています。
 いろいろと問題の多い店員だったと思うのですが、足繁く通い続けて下さったお客様と常に暖かく接してくれた仲間達にこの場を借りて御礼を申し上げたいと思います。


 さて、明日(5/11)の火曜日の『吾妻鏡』も、引き続き源実朝夫人(西八条禅尼、本覚尼)の置文を読んでみたいと思います。 

 日時:2010年5月11日(火)15:00~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 共同研究室
 内容:「本覚尼置文」(『中世法制史料集 第6巻 公家法 公家家法 寺社法』)

 ちなみに、次回以降の火曜日の『吾妻鏡』の範囲は以下の通りです。
 康元二年(正嘉元年、1257年)八月十二日・十四日・十五日・十七日・十八日・二十一日・二十三日・二十五日・二十八日、九月十六日・二十四日・三十日、十月一日・十三日・十六日・二十六日、十一月八日・十六日・十七日・二十三日、十二月六日・二十四日・二十九日、
 正嘉二年(1258年)正月一日・二日・六日・十七日・二十日、二月十三日・十九日・二十八日、三月二十日、四月十九日・二十五日・二十六日、五月二日・六日・八日・九日・十日・十四日・二十九日、六月一日・二日・三日・九日、七月十日・十五日・二十二日・二十三日・二十九日、八月五日・六日・八日・十六日・十七日・十八日・十九日・二十日・二十八日、九月二日・二十一日・二十九日、十月十二日、十二月十日・十九日
の各条

 『吾妻鏡』講読会は、参加者のみなさんの自主的な積極性によって支えられております。どなたさまでも、まずは見学からでもどうぞお気軽にご参加下さい。『紫苑』第8号も『吾妻鏡』講読会の成果が大きく反映されております。