今年最後の講義案内

No.6967

 22日(火)、キャンパスプラザⅡ講時の「特別講座科目1 『平家物語』と中世前期の京都」は、少し時代を飛ばして、源実朝の妻(西八条禅尼)と遍照心院を取り上げます。2回完結、すなわち2年越しの話になります。

 Ⅴ講時の基礎教養科目「源平内乱の時代を京都で生きた人たち」は、義経の評価で終結となります。

 ● 先週の水曜日(16日)にNHKテレビで放送された「歴史秘話ヒストリア」という番組で、東国武士の野蛮さを示す一例として、壇ノ浦合戦の際、義経軍が水手・梶取を射殺すというルール違反で勝利を得たことが語られたが、それは本当なのかという質問が寄せられました。
 かつて、そんな説もありましたが、これについては佐伯真一先生が、明快に否定されている通りだと思います(『物語の舞台を歩く 平家物語』山川出版社、125ページ)。 ちなみに、この番組では、平家を「草食系武士」と呼んでいたそうですが、そこまで言っては平家に気の毒ですし、武士の何たるかが分からなくなってしまいます。もっとも、最近は「貴族が殴り合っている」ので、仕方のないことなのかも知れませんが・・・(笑)。

 ☆ 長野工業高専の中澤克昭先生より、御高論「生産・開発」・「交通」収録の高橋慎一朗編『史跡で読む日本の歴史6 鎌倉の世界』(吉川弘文館)を御恵送頂きました。
 中澤先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 慶應義塾大学の小川剛生先生より、新刊の御高著『中世の書物と学問』(山川出版社)を御恵送頂きました。小川先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 日本大学の関幸彦先生より、新刊の御高著『北条時政と北条政子』』(山川出版社)を御恵送頂きました。関先生にあつく御礼を申し上げます。 

共犯者の反省付愚痴

元木泰雄
No.6968

 その番組の罪悪に関しては、共犯者かもしれません。
 熱心なディレクター氏と、数度にわたる面談、何時間もの打ち合わせを重ね、彼の認識は大変な水準に達していました。
 ところが、鶴の一声で、くだらないタイトルに変更され、すでに映像会社で作られた、いい加減な資料に基づく「再現フィルム」が垂れ流しになる。これが受信料を徴収して作られている番組の実態です。
 もちろんそんなことはすでに経験済みでもあり、それで腹が立つなら出るなと言われそうですが(笑)。しかし、わかっていてもこの体質には本当に怒りと、危険を感じないではいられません。
 「鶴の一声」の背景には、一般人が分からない、視聴率が稼げないという、上の方のカンによる判断があるようです。カンが正しいかどうかはともかく、学問、学者はお添え物、視聴率のためには学問を無視しても構わないというのは、まさに詐欺というべきものです。こんな番組にのんきに出ている学者は、でたらめ映像を正当化するピエロですね、まったく。あたかも、インチキな通信販売の宣伝に出るようなものです。

 それを言うなら、学問などどうでもよい、「学生」さえ集まり、ともかく卒業させれば組織は発展する、学生の頭の中は空でよい、教員は学生のご機嫌取りがいいという、昨今の大学、それを推進する文科省の方針も同じこと。この状態が続けば、間違えなく日本は世界に取り残されることになります。いよいよ日本も二流国に、先進国から後進国に落ちぶれてきましたね。これからの人たちは本当に気の毒としか言いようがありません。もちろん、もうすぐあの世に行く身にはどうでもいいことですが(笑)。
 大学の惨状。今週まだ授業があります。明日は3コマ。ちなみに来年から23日も授業になります。木曜は、9時半、14時50分、16時と会議三連発。出て終わりの会議ではありません。宿題が出ます。中期目標とか何とかいう実にくだらない問題ですから、極めてストレスが溜まります。
 これでどうやって研究しろというのでしょうかね。こんなことばかりやっていると、本を書く能力も失われてしまいます。今夏、久しぶりに書物の筆をとりましたが、さっぱり進まず。震災後の3カ月避難の後を思い出しました。学務と学問を無理に両立させて体調を崩された先生もおられます。
 定年を指折り数えて待っていたら、65まで延長とのこと。懲役が伸びた気分です。だれか学務を専門にこなしてくれるアルバイトはいませんかね・・・

 宝くじが当たったら、こんな大学なんかやめてやるのに。
 それより、その資金をもとにアルカイーダの関係者でも雇って文科省、いや国家転覆のテロを計画しようかしら・・・。