ゼミ、この一年

No.6499

 大つごもり。帰省中の方々は、巫女さんをされていたり、お餅つきをされていたり、楽しく過ごされているようで、何よりだと思います。

 さて、なにごとも最後は必ずやってくる。今年最後の日にあたり、ゼミの活動を中心に、この一年を振り返ってみたいと思います(※は野口)。

【1月】
 科研報告書の作成(ゼミ関係者の援助)・『紫苑』第6号の編集作業(山岡編集長の活躍)
※ 27日、中世戦記研究会(都立九段中等教育学校)で『曽我物語』巻八の輪読担当(佐伯君・伊藤さん参加)
【2月】
 『紫苑』第6号入稿
※ 拙稿「執権体制下の三浦氏」収録の峰岸純夫編『三浦氏の研究』(名著出版)刊行
 ※ 17日、隼人文化研究会(鹿児島市黎明館)で報告(「地域史研究における京都認識-閑院内裏・宇治と南九州・奥羽-」)。
【3月】
   研究所『研究紀要』第21号刊行(野口実・佐伯智広・田中裕紀・大原瞳「摂関家の空間における政治と文化(中世前期の宇治に関する総合的研究Ⅱ)」収録)。
1日 米谷豊之祐先生逝去(92歳)
3日・10日 ゼミ史料講読会
9日 神戸大学高橋昌明教授最終講義
13日 国際日本文化研究センター 千田稔教授・今谷明教授退任記念講演会
※ 14日 『台記』研究会(京都大学)で報告(「平家の坂東支配に関する新知見」)
23日 鈴木潤君・永富絵里子さん結婚式(同志社高校チャペル)
26日 ゼミ見学会(宇治市歴史資料館・浄瑠璃寺・般若寺など)
29日 上横手雅敬先生喜寿記念会(ウェスティン都ホテル)
ゼミ機関誌『紫苑』第6号刊行
 ※ 科学研究費成果報告書『閑院内裏の政治史的研究』刊行(資料は佐伯君・長村君・坂口君が分担、作成協力は山岡さん)  
【4月】
3日 ゼミ・ 9日 ゼミ(1回生5名参加)
11日 吉田泉殿跡現地説明会(京都大学構内)
12日 千葉乗隆先生逝去(86歳)
17日 新たに『小右記』と『吾妻鏡』(治承四年)の史料講読会を開始
19日 ゼミ史跡見学会(木幡~宇治)
24日 ゼミ史料講読会(『小右記』・『吾妻鏡』) 26・29日(『吾妻鏡』)
【5月】
8・15・22・29日 ゼミ史料講読会(『小右記』・『吾妻鏡』)
10・13・20・27日  ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
14日 角田文衞先生逝去(95歳)
18日 歴史学研究会大会(早稲田大学、岩田君・佐伯君・伊藤さん参加)
24日 日本研究会例会(機関紙会館)
 ※ 「書評と紹介 落合義明著『中世東国の「都市的な場」と武士』」掲載の『古文書研究』第65号刊行
【6月】
 ※ 2日 京都労働学校出講(テーマ「京都と鎌倉-王権の行方-」)
3・17・24日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
5・12・19日  ゼミ史料講読会(『小右記』・『吾妻鏡』) 
13日 愛知より野口洋平君上洛
16日 東大史料編纂所高橋慎一朗先生とゼミの懇親会(市場小路寺町)
22日 中世戦記研究会(学習院大学、伊藤さん・長村君出席)
28日 研究所公開講座・懇談会・懇親会(里)
 ※ 「書評 村井章介著『中世の国家と在地社会』」掲載の『史学雑誌』第117編第6号刊行
【7月】
3・10・17日 ゼミ史料講読会(『小右記』・『吾妻鏡』) 
8・15・22日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
17日 ゼミ例会報告(小野翠さん「鎌倉将軍家の女房について-源家将軍期を中心に-」)
24日 ゼミ史料講読会(『小右記』)
 29日  ゼミ公開講座事後勉強会・ 史料講読会(『吾妻鏡』)
【8月】
2日 平安京八条三坊四・五町現地説明会
27・28日 古代史サマーセミナー(広島県宮島、28日 尻池さん報告、岩田君・江波さん参加)
【9月】
    関幸彦・野口実編『吾妻鏡必携』(吉川弘文館)刊行
   (野口担当部分は、岩田君・佐伯君・長村君・坂口君・山本君・山岡さん執筆、岩田君が統括)
4日 学習院大学兵藤ゼミを案内(法住寺殿跡・清閑寺など)    
6・7日 中世都市研究会(東大武田先端知ビル)
※19日 唐津東高校にて出張講義(テーマ「武士の都としての平安京・京都」)
22日 ゼミ(一回生)
※24日 京都SKY大学講演「平安京・京都の歴史」(京都新聞社文化ホール)
29日  ゼミ史料講読会(一回生『吾妻鏡』治承四年)
30日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
【10月】
2・9・16・30日 ゼミ史料講読会(『小右記』)
4日 鈴木夫妻結婚祝賀会(ル・デッサン、幹事田中さん)
6・20・27日 ゼミ史料講読会(一回生『吾妻鏡』治承四年)
7・14・21・28日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
21日 ゼミ例会報告(岩田慎平君「泰時政権下の鎌倉幕府について」)
【11月】
4・11・18・25日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
10・17・24日 ゼミ史料講読会(一回生『吾妻鏡』治承四年)
13・20・27日 ゼミ史料講読会(『小右記』)
 ※  26日 『台記』研究会(京大、元木研究室)で研究報告(テーマ「渡宋僧了行と渡元僧道源」
 ※ 「書評 牧野和夫著『延慶本『平家物語』の説話と学問』」掲載の『日本宗教文化史研究』第12巻第2号刊行
【12月】
1日 『紫苑』第7号原稿締切(新編集長は国文4回生の江波曜子さん)
1・8日 ゼミ史料講読会(一回生『吾妻鏡』治承四年)
2・9日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)
4日 ゼミ史料講読会(『小右記』)
14日 茨城大学シンポ「北関東の武士たち」(岩田君・長村君)
15日 筑波山南麓史跡見学(岩田君・長村君・伊藤さん)
※ 20日 鎌倉遺文研究会例会報告「東国出身僧の在京活動と渡宋・渡元」
22日 ゼミ(一回生 昼食会)
23日 ゼミ史料講読会(『吾妻鏡』)

 ☆ 高知大学の市村高男先生より、新刊の御高著『戦争の日本史10 東国の戦国合戦』(吉川弘文館)を御恵送頂きました。
 戦国期の千葉氏や里見氏の動向が詳述されていて、千葉の中世史から歴史を志した私には、たまらない内容。少年時代のワクワクした気持ちが甦りそうです。
 四国にありながらも、郷里・東国の歴史を継続して研究されている市村先生に敬意を表したいと思います。
 これに励まされて、私も、来年から、中世前期の東国の歴史について、新たな角度から再チャレンジをはかりたいと考えています。
 市村先生にあつく御礼を申し上げます。

 ☆ 平泉町世界遺産推進室の千葉信胤先生より、御高論「菅江真澄と平泉」(『真澄学』第4号)を御恵送頂きました。
 千葉先生にあつく御礼を申し上げます。

ゆくゼミ、くるゼミ

No.6500

>野口先生
 この一年の詳細な振り返り、ありがとうございます。
 今年もゼミでの活動を通じて、実に多くの方々と出会う機会を得ることができました。もともと出不精の私にとってはそれは大変ありがたいことでありまして、今年も「あぁ、野口ゼミの…」とお声を掛けて下さいました皆様に深く御礼申し上げます。

 来年も、ゼミへの変わらぬご指導、ご支援をいただきますようお願い申し上げます。

お世話になりました、本年もよろしくお願いします

元木泰雄
No.6502

 野口先生、野口ゼミのみなさん、明けましておめでとうございます。
 昨年は本当にお世話になりました、厚く御礼申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 思えば去年は、研究室と自宅という二度の大移転を経験致しました。
 近衛寮への配流は半年に及び、赦免帰還は去年1月末。この間、研究室没官という非常事態に直面したのですが、野口先生には当方の研究会のために研究室をご提供くださり、危機を救ってくださいました。改めて御礼を申し上げます。
 また、6月の転居に際しましては、岩田君に大変お世話になりました。老母を連れた再度の下見、転居後の荷物整理など多大のご尽力には感謝の言葉もありません。本当に有難うございました。
 また野口先生には、上横手先生の喜寿記念会に際し、お心のこもったお祝辞を頂戴致しました。当方の『台記』研究会では二度もご報告を賜り、主席者を裨益してくださいました。本当に有難うございました。
 野口ゼミには当方の研究室メンバーも参加さえていただいております。正確にいえば、野口ゼミのメンバーが当方の研究室に属すようになったのですが。それはともかく、彼らをご指導くださったことに心より御礼を申し上げます。
 今年も、協力して若い諸君を叱咤、激励してゆきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 
 歴史的な経済危機の中、人文科学は存続すら危ぶまれる事態に直面しております。しかし、経済面でも政治面でも根本的な価値観さえもが大きく動揺するときにこそ、歴史学が重要な意味をもつと存じます。
 過去の危機への対応の具体例を解明するのはもちろん、価値観の転換の中でも変わらない人間のあり方の本質を問い直せるのが、歴史学だからです。極端な言い方をすれば、歴史学をおろそかにし、政治的に歪曲する国は滅亡すると思います。
 こうした時代の中で、歴史学を守り、発展させるにはどうすべきか、学問を志す者は自身にできること、なすべきことを常に意識する必要があると存じます。
 歴史学を志すことの重要性と、意義を認識し、危機に立ち向かいたいと思います。
 何卒、今年もよろしくお願い申し上げます。