公開講座のお礼と中世都市研の御案内

No.6295

 昨日の公開講座、つつがなく(司会の評価は別にして)終了することが出来ました。講師の川本先生・近藤先生をはじめ、お手伝い頂いた宗教教育センターの皆様、岩田君をはじめとするゼミメンバー、さらに御出席頂いた研究者・市民各位にあつく御礼を申し上げる次第です。

 川本先生の御講演からは、寝殿造における内郭と外郭や出居の空間構造が王朝身分秩序に対応するものであり、鎌倉幕府将軍御所においてもそれが明瞭であること、地方社会の所産とされる11~12世紀における総柱大型建物が、実は寝殿造建築の発展型として理解できることなどを学ぶことが出来ました。
 中世前期の武士論、公武関係、さらには国家論にまで敷衍しうる内容で、おおいに刺激を受けました。私としては、「地方と京都」、「武士と貴族」を対極的にとらえる見方に大きな変更を迫る論点を提示して頂いたものと受け止めています。

 近藤先生の御講演は、天皇の装束がまさに「王の可視的身分標識」であったことを、具体的に示されたもので、川本先生の御講演と同様に従来の政治史研究に欠落していた視点を提示して下さるものでした。
 とくに、退位後に行われる「御布衣始」に関する御指摘は、中世王権論に大きな一石を投ずるものと存じます。

 両先生の御講演内容は、ともに研究の最先端に位置付けられる内容をもつもので、たいへん刺激を受けました。今回聴講された若い方々は、おおいに研究意欲をそそられたのではないでしょうか。
 
 最後に総括的なコメントを頂いた元木泰雄先生にも、あらためて感謝の意を表させて頂きたいと思います。

 公開講座には、就職して通常の活動への参加がかなわなくなった古参メンバーや、かつての職場で同僚だった友人などがお出で下さるので、旧交を温める上でも本当に貴重な機会になっています。

 講座後に開催された、懇談会・懇親会も楽しいものでした。幹事さん、ご苦労様。
 すでに、元木先生から、その様子を撮影したデジカメの写真を送信して頂いておりますので、さっそくプリントアウトして研究室前に掲示したい思います。

 一回生のゼミメンバーには初の経験でしたが、今回の先輩の活躍の様子を忘れることなく、来年は是非宜しくお手伝いをお願いしたいと思います。


 次は、川本先生も司会を担当される、中世都市研究会の御案内です。東京大学史料編纂所の高橋慎一朗先生から御案内の送信を頂きました。

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 2008年度 中世都市研究会「都市を比較するーー東アジアの都市と住宅」へのご案内

〔期日〕:2008年9月6日(土)・7日(日)
〔研究会会場〕:東京大学本郷キャンパス武田先端知ビル
 ◎最寄り駅  本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線)、湯島駅又は根津駅(地下鉄千代田線)、東大前駅(地下鉄南北線)、春日駅(都営三田線)
〔参加費〕:4000円(中世都市研究最新号「開発と災害」(仮)と当日配布資料代金を含む)当日、受付にてお支払いいただきます。
〔懇親会会場〕:学士会分館(大学敷地内) Tel 03-3814-5541
〔懇親会費〕 :5000円
〔問い合わせ先〕:株式会社 新人物往来社 酒井直行 (東京都千代田区神田錦町3-18-3 錦三ビル Tel 03-3292-3971 fax 03-3292-3972 Mail : sakai@jinbutsu.jp)
 
〔申込方法〕
電子メールまたは郵送にて、必要事項を記入の上お送り下さい。
なお、8月5日までとさせていただきます。
(1) 氏名 
(2) 住所 
(3) 電話番号 
(4) E-mailアドレス 
(5) 所属 
(6) 懇親会の出欠 
(7) 9月7日(日)昼食用弁当(1000円程度)の予約の有無
(会場周辺には飲食店もございます)
(8) 来年度以降の案内の必要の有無

【電子メールの宛先】toshiken@jinbutsu.jp(申込専用)

【封書の宛先】〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-18-3 錦三ビル 新人物往来社内 中世都市研究会事務局

〔ご注意〕
◆9月7日(日)の昼は会場周辺にも食堂やコンビニはありますが、お弁当(1000円程度)を準備いたします。ご希望があれば事前にお申し込みください。
◆会場には駐車スペースがありません。できるだけ公共交通機関をご利用のうえご来場下さい。

〔当日スケジュール〕
9月6日(土)
12:30 受付開始
13:00 問題提起 五味文彦(人間文化研究機構)
☆第一部「東アジアからみた日本の中世都市」
13:10□東アジアにおける日本列島の中世都市 玉井哲雄(国立歴史民俗博物館)
14:00 □朝鮮半島の都市と日本の都市 韓三建(蔚山大学)
(休 憩)
15:00 □中国大陸の都市と日本の都市 包慕萍(東京大学生産技術研究所)
15:40 □ベトナムの都市と日本の都市 大田省一(東京大学生産技術研究所)
16:20 ◇コメント 村井章介(東京大学)
16:40 第一日目終了
17:30 懇親会 

9月7日(日)
☆第二部「東アジアにおける都市と住宅」
9:30 □鎌倉 岡陽一郎(青山学院大学)
10:10 □十三湊 鈴木和子(青森県教育委員会)
 (休 憩)
11:00 □益田 木原 光(益田市教育委員会)
11:40 □博多 佐伯弘次(九州大学)
12:20 昼 食
13:20 □豊後府内 坂本嘉弘(大分県埋蔵文化財センター)
  (休 憩)
14:10 ◎シンポジウム
    司会進行(玉井哲雄・小野正敏・川本重雄)
16:00 閉会

御礼

No.6297

野口先生・川本先生・元木先生・美川先生・野口ゼミメンバー諸君

昨日はありがとうございました。川本先生のご講演からは多くを学ばせていただきましたし、元木先生のコメントからもいくつかの研究上のヒントを得ることができました。翻って私儀ですが、大学の講義では、武具よりも装束のことを話す機会が多く、講演関係では武具ばかりで、じつは装束での講演は今回が初めてでした。そのため、内容についてはどこまで満足いただけたか心許ない限りですが、懇親会で野口先生とも少しお話ししたように、今後は装束と王権・貴族論なるものを考えていけたらと考えています。

茶話会・懇親会も楽しいものでした。茶話会では田中さんとお話しできて良かったです。懇親会は料理も美味かったですし、量的にも満足しました。幹事の山岡さん、安心して下さい。また、修論前の大変な時にご苦労様でした。懇親会後、元木・美川両先生及び坂口君と行った二次会も楽しいものでした。

それにしても、色々な大学の集まりながら、師範代の岩田君をはじめとする野口ゼミの結束は素晴らしいと関心しています。これも野口先生のご指導の賜物ですね。見習いたいと思います。人文学系大学院生の将来はけっして明るいものではありませんが、メンバー諸君は広い視野を持って研究に励んでいただきたいと思います。

では、今後ともよろしくお願いいたします。

みなさまのご来場に感謝致します

No.6298

 昨日の公開講座では、ご講演頂きました川本重雄先生・近藤好和先生、全体のコメントを頂きました元木泰雄先生、懇談会でコメントを頂きました美川圭先生、準備や司会その他のお世話に奔走して頂きました野口実先生、その他、会場においでの皆様に盛会の御礼を申し上げます。
 また、事前の準備から当日の運営については、今年度からゼミに加わって下さった一回生のみなさん、江波さん、満田さん、小野さん、山岡さん、米澤くん、長村くん、大谷さん、名古屋からおいでの野口くん(今回は事故とかなかったですか)らにご尽力いただきまして、私はなにげなくうろうろしているだけだったのですが、ご出席のみなさんを無事にお迎えすることができたと思います。ありがとうございました。なにげなくうろうろしていた私が言うのも恐縮ですが、みなさんで何かを作り上げることのできる場所というのは近頃あまり多くはありません。昨日はそういう機会を得られたという意味でも、楽しい時間でした。

 川本先生のお話をからは、頼朝の時代の鎌倉幕府というものの特殊性を様々な次元から検証する必要のあることを改めて実感しました。また近藤先生のお話からは、美川先生からもコメントいただきましたように、中世の身分秩序においてやはり天皇が他と一線を画する存在であることを極めて具体的に伺うことが出来ました。

 公開講座には、翌日(本日6/29)の大阪歴史学会の大会とセットで参加された方もおられるようです。今後もそのような形でご参加いただける方がおられればと思います。

 ところで、その次の『吾妻鏡』のご案内です。今週はお休みで、次回は来週に開催致します。
 日時:2008年7月8日(火)15:00頃~(予定)
 場所:京都女子大学L校舎 3階 宗教・文化研究所共同研究室
 範囲:『吾妻鏡』嘉禎四年(暦仁元年)閏二月十三日、十六日、三月七日、十八日、十九日、二十二日、三十日、四月二日、七日、九日、十日、十六日、十八日、二十四日、二十五日、五月四日、五日、十一日、十六日、二十日、六月五日、七日、九日、十日、十九日、二十四日、七月九日、十一日、二十七日、八月十九日、九月九日、十三日、二十四日、二十七日、十月三日、四日、十一日、十二日、十三日、十四日、十二月七日、十六日、十九日、二十三日、二十四日、二十五日、の各条

  (※けっこう先の方まで掲出しましたが、読めるところまで読んでいきましょう。また、掲出した範囲以外に「これは」という条文があれば、その都度お知らせ下さい。)