『伝説の将軍 藤原秀郷』第二刷刊行。

No.5911

 >>No.5821でお知らせした拙著『伝説の将軍 藤原秀郷』第二刷が出来上がり(奥付の発行日は十月一日です)、先ほど手もとに届きました。
 ゼミのみなさんに御指摘いただいた初版の誤植(>>No.5836)が完璧に訂正されていて、著者として胸のつかえがとれたような気持ちです。

 古書は一般に初版本に高値がつけられるようですが、それはモノとしての話で、研究書の場合は中味が問題ですから、誤植訂正済みの版に価値があります。
 この本は歴史学以外の、特に中世の軍記や説話文学を専攻されている国文の方たちにも御高覧いただければ有り難いと思っています。
 御批判・御叱正をいただければ更に幸いとするところです。
 なお、出版元は吉川弘文館、定価は本体2,300円+税です。

『中世武家系図の史料論』刊行の御紹介

No.5913

 もうひとつ、拙文掲載の論文集が刊行されますので、これも紹介させていただきます。
 私が紅顔?の「鼻持ちならない」歴史少年だった頃、心をときめかせていたのは、一に系図、二に中世城郭、三に中世の五輪塔でした(相当な変わり者です)。
 しかし、本格的に歴史の研究に参入してみると、文献史料の中で系図ほど厄介な史料はないということに気づかされたものです。しかし、しっかりと史料批判を行えば、多くの情報が引き出されることは確か。また、国文学のジャンルに於いても、軍記や説話研究の対象として重要だと思います。
 2年ほど前のことでしょうか。下記の論集へ執筆の御依頼を頂きました。それでなくても、執筆遅延の原稿をたくさん抱えている中で、お引き受けするのを一瞬躊躇したのですが、少年時代の「系図」への熱き情熱を思い起こし、大昔に書いた卒論の付論をベースにして何とかまとめ上げたのが拙文です。そういう次第で、拙文は中味の薄い内容ですが、諸先生方の御高論には興味津々なテーマが多く、刊行が大変楽しみです。

 峰岸純夫・入間田宣夫・白根靖大編『中世武家系図の史料論』上・下巻
【上巻】
日奉氏小川系図                         峰岸純夫(元・中央大学)
横山氏系図と源氏将軍伝承                    川合康(東京都立大学)
鎌倉期成立の「結城系図」二本に関する基礎的考察    市村高男(高知大学)
藤原南家武智麿四男乙麻呂流鎌倉御家人の系図     今野慶信(新宿歴史博物館)  
三浦氏系図にみる家の創造神話                高橋秀樹(文部科学省)
千葉氏系図の中の上総氏                    野口実(京都女子大学)
薩摩国阿多郡地頭鮫島氏系譜考               柳原敏昭(東北大学)
系図の裏面にさぐる中世武士団の成立過程         入間田宣夫(東北芸術工科大学)
【下巻】
中世古系図に見る公家と武家                 白根靖大(中央大学)
『玉燭宝典』紙背文書中の那須系図をめぐって        江田郁夫(宇都宮北高校)
留守氏と「奥州余目記録」                    七海雅人(東北学院大学)
武田氏系図の成立                        西川広平(山梨県立博物館)
秋田県公文書館所蔵「古本佐竹系図」に関する一考察  佐々木倫朗(松江市歴史資料館)
山内上杉氏・越後守護上杉氏の系図と系譜          片桐昭彦(練馬区教育委員会)
相馬中村藩の系図編纂について                岡田清一(東北福祉大学)
戸沢氏系図の成立と中世の戸沢氏              金子拓(東京大学史料編纂所)
 (上巻 定価4200円,下巻 定価5250円 税込)
 10月10日、 高志書院より刊行の由。