「武士発生史上の院宮王臣家・諸司」

No.5862

 『古代文化』第59巻第1号が刊行されました。
 これには、当ゼミの牽引役である岩田慎平君の研究ノート「武士発生史上の院宮王臣家・諸司-富豪層との関連について-」が掲載されています。
 以下、その紹介です。

 近年の職能論的武士論の成果を踏まえて、かつての領主制論的武士論の中で論じられてきた富豪層の問題を再検討した問題提起的な研究ノートとして高く評価できる。
 流通・交通拠点の掌握や在京活動など、主に12世紀段階を対象とした近年の武士論研究の成果を踏まえて、目下停滞している9~10世紀における武士発生段階を考察。かつて戸田芳実・河音能平氏らによって検討された富豪層と院宮王臣家・諸司の関係やその存在形態について、とくに流通・交通の観点から再検討を加えたもので、在地からの視角への偏りを修正し、より広域的な存在としてそれらを評価し直しており、当該分野における今後の研究に大きく資する内容である。

 ぜひ御一読下さい。『古代文化』のこの号には、ほかに文献史学関連の論攷として、

 積山 洋「牛馬観の変遷と日本古代都城」
 鈴木琢郎「大臣曹司の基礎的研究」 
 田原光泰「兼官留任の宣旨について」
 野口孝子「『夜』化の時代-物忌参籠にみる平安貴族社会の夜-」

が掲載されています。

Re: 『古代文化』第59巻第1号

No.5867

>野口先生
 過分のお言葉を賜り、恐悦に存じます。
 上記拙稿は、以前に私自身が「やり尽くされたよ」と聞かされました平将門の乱とその時代について、昨今の武士論研究の成果を踏まえた過去の研究蓄積の再検討が必要なのではないかと思い、現時点での気付いたことを少しまとめ、発表する機会を頂いたものです。富豪層や院宮王臣家・諸司の広域に亘る活動は夙に指摘されており、そのことと近年研究の進展著しい中世における武士の存在形態との類似点を幾つか探ってみただけの習作ですが、ご高覧に与ることが叶いましたならば幸甚でございます。

『古代文化』講読会員(会友)募集御案内

No.5874

 送付されてきた『古代文化』を開いてみたところ、157ページに「古代文化刊行委員会からのお知らせ」として耳寄りな情報が掲載されていました(私もこれで初めて知ったことです)。

 『古代文化』の再スタートにともない、新規定期購読者(会友・年間購読会費8000円)を募るに際して、以下の特典を用意するというのです。

 Ⅰ 『古代文化』第51巻~57巻までのバックナンバー進呈(一部欠号あり)

 Ⅱ 古代学協会出版物の進呈(1冊)
  ① 古代学研究所研究報告第2輯『福田(神明前)貝塚』
  ② 古代学研究所研究報告第6輯『東山道武蔵路の調査・研究』
  ③ 古代学研究所研究報告第7輯『東院跡の調査・研究』
  ④ 『(財)古代学協会創立25周年記念 平安博物館創立10周年記念 日本古代学論集』
  ⑤ 『角田文衞博士古希記念 古代学叢論』
  ⑥ 『淳和天皇の離宮 雲林院跡』

 Ⅰ,Ⅱのいずれかから、希望の特典一つを選択できるのだそうです。送料は着払いとのこと。

 それにしても、Ⅰなら『古代文化』は一巻で一年分ですし、Ⅱの場合、③,⑤は各定価が7000円もする本ですから、ずいぶん思いきったことをしたものです。
 ゼミメンバーも、この機会に会友資格を取得して、投稿を期するというのはどうでしょうか。 

 なお、(財)古代学協会のアドレスなどは以下のとおりです。詳しくはこちらに問い合わせてください。
  〒604-8131 京都市中京区三条高倉
  ℡:075-252-3000 FAX:075-252-3001
   E-mail:kodaigaku@deluxe.ocn.ne.jp  

※ ついでに、もう一件、お得な情報。
 前にも告知しましたが、新しいプリンターを購入したために不要になったインクタンクがブラック・カラーとも複数あります(新品)。品名はCanonのBCI-24。廃棄するのは勿体なく、残りがある限り、差し上げますので、御連絡下さい。
 こちらは、野口まで。