「院政期における後鳥羽芸能の位置」

No.5859

 宇治に関する共同研究のメンバーである辻浩和君の御高論「院政期における後鳥羽芸能の位置-後白河芸能との関係を中心に-」が『史学雑誌』116-7に発表されました。
 以前、研究会でその大要をうかがって以来、論文化を待望しておりました。すぐれた芸能史論であるばかりでなく、後白河と後鳥羽の権力の本質の相違を突いた鋭い指摘に溢れており、今後の政治史研究に裨益するところは多大だと思います。
 このところ、歴史学の狭義の「文化史」化が進行する中、辻君のような着実な実証を踏まえつつ広い視野に立った研究者の登場は、(私にとっては)大きな救いです。
 辻君の今後の御活躍を期待するところです。

 国文学や民俗学を専攻されている方たちにも広く一読をお勧めいたします。

>田中さん
 お誕生日、おめでとうございます。
 そろそろ、博士論文が視野に入ってきたことと思います。御精進下さい。

>拙著『伝説の将軍 藤原秀郷』の誤植発見のお手伝いを頂いた皆さんへ
 おかげさまで、誤植訂正の依頼を吉川弘文館の担当の方に送付することが出来ました。
 重版の刊行日は10月1日の予定。価格は据置。発行部数は800部です。

>『入門吾妻鏡』執筆の方たちへ
 大詰め段階だと思います。字数の制約の中で、必要最小限の情報の他に、どれだけオリジナルなものを盛り込めるかが腕の見せ所だと思います。頑張ってみてください。
 入門書ですから、読む側の立場に立って、何度も読み返してみることが大切です。
 万事、岩田君と連絡を取り合いながら、よろしくお願いいたします。 

 私は目下、3本の原稿執筆を同時進行していて、いよいよ頭の整理がつかなくなってきております。ただ、先日、来月に予定されている研究会報告の内容の案を元木先生に聞いていただく機会を得て、その際に元木先生がチラリと口に挟まれたことが、大きな行き詰まり打開の糸口になっております。然るべき人に話を聞いていただくことは本当に大事なことだと思いました。
 上記研究会では、元木先生がコメントを担当してくださいます。

 ◆ 京都女子大学構内は、夏休み中のため、各所で工事が行われています。28日に書評会が予定されていますが、その際、共同研究室にお出でになる際も、いつものコースで入れないケースが想定されますので、ご注意下さい。現代社会学部の建物(S校舎)を経由するのが確実なようです。

Re: 「院政期における後鳥羽芸能の位置」

辻 浩和
No.5873

>野口先生
拙論をご紹介頂き有難うございます。過分のお言葉を賜り恐縮です。
後白河・後鳥羽がともに遊女・傀儡子・白拍子と深く関わったことは有名ですが、
近年進展の著しい院政期「芸能史」研究を通覧していると、
両院の文化面での共通性はこれに留まるものではないということに気づかされ、
またそれぞれの文化的性格についても各分野でかなり共通した指摘がなされているように思います。
本稿では両院の関係を中心に、院政期の天皇・院の芸能を少し大きな視点からまとめなおしてみようと試みました。
発表の席上で野口先生からご指摘いただいた問題については未だ確たる見通しが得られないままに活字化の運びとなってしまいましたが、今後さらに考えていきたく存じます。
まことに拙いものではありますが、御笑覧頂き、ご叱正を賜れば幸いです。

帰洛いたしましたら、またご挨拶に伺います。