衣川シンポジウム

No.4830

 平泉中尊寺の菅野成寛先生より、6月24日(土)にサンホテル衣川荘を会場にして開催される衣川シンポジウム「日本史のなかの衣川遺跡群」(事務局長:東北大学大学院助教授 柳原敏昭先生)の御案内をいただきました。
 しかし、残念ながら当方の公開講座の日程に重なります。
 宇治の共同研究や閑院内裏の研究を進める上で平泉はぜひとも出掛けたいところです。今年の中世史サマーセミナーも平泉ということですが、当方はゼミの有志を募って、イベントのない時期にこっそりとお邪魔したいと考えております。
 もっとも、ゼミメンバーにはサマーセミナーへの参加は奨励しておきます。

 ☆ 学習院大学史料館の木村真美子先生より、御高論「後白河法皇と東大寺大仏復興-『因明入正理論疏紙背文書』を手がかりに-」(『年報中世史研究』31)を御恵送いただきました。
 翻刻や考証論文は学界に寄与するところ多く、執筆の労少なからざるものがあるにもかかわらず、華やかな理論的な論文の陰に隠され、また発表した実証的な成果(考古学なら遺構や遺物の発見に匹敵する)も「正当な評価が得られないままに」また「発表者への敬意がはらわれぬままに」研究者間の共有財産にされてしまうという側面があります。「縁の下の力持ち」は目立つべきではないという謙虚な考え方もあって然るべきでしょうが、私には理不尽に思えて仕方ありません。
 木村先生の御研究。大いに高く評価されるべきものと存じます。
 木村先生にあつく御礼を申し上げます。

【追記】『院政期の内裏・大内裏と院御所  平安京・京都研究叢書1』(文理閣)、12日の 月曜あたりから頒布が出来ると思います。先にお申し込みいただいた方々は早々のうちに取りにお出で下さい。遅くても月内で締め切らせていただきます。

翻刻や考証論文の価値

美川圭
No.4832

 木村先生の御高論に関連して、野口先生の述べられること、非常によくわかります。そうした翻刻や考証論文があってはじめて、日本史学の確固たる地位が維持され、かつ発展していくのだと思います。

 しかし、一部の編集者などの中には、下記のような「実証なんかなんだ」という暴言を吐く方がおられるようです。ほんとうに嘆かわしいことだと思いますが、自分としてはそうしたことばにひるむことなく、なんとかきちんとした本を書いて、その内容そのものによって、反論を示したいと、決意を新たにしております。

                     (新書原稿の改稿におわれる中で)

http://www.furugosho.com/cgi-bin/newbbs/yybbs.cgi

Re: 考証論文の価値

No.4834

>美川先生  例の大冊の新書、出版に向けて順調な御様子にて大慶に存じ上げます。

  実証的な研究の件ですが、
 「とはいえ」、問題意識の欠落したものは、やはり駄目だと思っています。
 それに、己に刃を向けるような発言ですが、実証的研究を標榜しながら、実は「空論」以前の「空想の産物」も問題外でしょう。