長村祥知「『六代勝事記』の歴史思想」

No.4804

 本日、京都大学で平安京文化研究会がありました。辻浩和君の御報告「院政期における後鳥羽芸能の位置」は、後鳥羽を「諸道の興隆」実現した帝王として評価した、いつもながらの優れた内容で、御鳥羽院政の何たるかを考える上で大きな示唆をいただきました。

 ところで、その席で、長村君から新刊の『年報中世史研究』第31号に掲載された御高論「『六代勝事記』の歴史思想-承久の乱と帝徳批判-」の抜刷をいただきました。学部生の時から当ゼミに所属したメンバーによる論文がレフェリ-制の全国規模の学会誌に掲載されたのは、これが初めてのことだと思います。
 非常にハイレベルな政治思想史に関する論文(卒論をベースにしているというのですから驚かされます)で、歴史学のみならず国文学の研究者にも是非読んで頂きたいと思います。
 当ゼミの歴史に大きな画期を記した出来事です。長村君に讃辞を呈するとともに御礼を申し上げ、さらなる御活躍を期待するところです。 

Re: 長村祥知「『六代勝事記』の歴史思想」

No.4806

過褒を賜り恐縮に存じます。

上記拙稿は、南北朝期研究で注目されることの多い、徳治主義に基づく帝王批判―帝徳批判―について、平安・鎌倉前期における特質と、その南北朝期までの展開を考察したものです。
 中世思想史と言えば宗教関係のものが大半で、『愚管抄』『神皇正統記』等の著名な書物を主対象としたいくつかの研究以外では、貴族の政治・歴史思想史研究は僅少と思われます。
 その現状に鑑みれば、課題山積みの不出来なものとは言え、古記録等を用いて上記課題に取り組んだ拙稿にも、少しばかりの意味はあるかもしれません。
 
 野口先生の書かれている通り、拙稿は、同志社大学文化史学専攻在学時に、
竹居明男先生にご指導いただいた卒業論文を土台としたものです。
 卒論提出以前には、竹居先生はじめ多くの先生方に相談させて頂きましたが、中でも
野口実・松本公一・元木泰雄・八木聖弥各先生からは特に懇切なご指導を賜りました。
 大学院進学後は、元木先生のご指導のもと改稿を重ね、学内の研究会や同期の友人、京女野口ゼミの例会、日本史研究会中世史部会・大阪歴史学会中世史部会合同卒論報告会で報告の機会を頂きました。
 竹居・元木両先生をはじめ、拙い報告を聞いてくださった方々に、お礼申し上げる次第です。
 謹呈申し上げたい方は多くいらっしゃるのですが、ご住所がすぐにわからないことと、
身辺の雑多な用事があってすぐにお送りすることができません。どうぞご容赦ください。