米谷豊之祐著『平信範』刊行。

No.4794

 私を院生時代から励まし続けてくださっている米谷豊之祐先生が『平信範』(新風書房)を刊行されました。先生は1915年のお生まれ。このところ一書も成していない私の背中をまた押してくださったようです。前著『院政期軍事・警察史拾遺』(近代文藝社)同様、学界に大きな裨益をもたらす書だと思います。
 御恵送の御挨拶文に「幼少時より史書をまさぐって来た名残として」とございますが、先生にはこれからも、まだまだお導きを頂きたいと念じております。

 ☆ 栃木県立文書館の松本一夫先生から御高著『考えながら学ぼう 日本史へのいざない』(岩田書院)を御恵送いただきました。研究と教育実践の架け橋となるような一書。高校で日本史教育に携わっていたり、教員を目指す方には大いに役に立つ本だと思います。これから教育実習に行こうという人にはうってつけかもしれません。
 松本先生、ありがとうございました。この掲示板を御覧になられているとのこと。よろしければ一言いただければ幸いなのですが、いかがでしょうか?

 ☆ 和歌山大学の海津一朗先生から先生を研究代表者とする科研費による研究成果報告書『和歌山平野における荘園遺跡の復元研究-中世日前宮領の研究-』および『追悼フォーラム 小山靖憲の歴史学-理論と実践の歴史家-』のレジュメ集を御恵送いただきました。報告書は内容はいうまでもありませんが、印刷・装丁ともに立派なもので、今後本としていい加減な形の科研費報告書は作りにくくなりそうです。
 海津先生にあつく御礼申しあげます。

 ☆ 先に御紹介した『院政期の内裏・大内裏と院御所』が、文理閣から、とりあえず執筆者宛にということで、本日届きました。市販されるのは週末の歴史学研究会大会からとのこと。書店の店頭に登場するのはそれからのようです。内容はもとより(拙文を除く)、装丁も凝っていて、400ページ近いのに本体6000円というのは研究書としては破格の安さだと思います。

髙橋昌明編『院政期の内裏・大内裏と院御所  平安京・京都研究叢書1』(文理閣)
  はじめに                                         髙橋昌明
  Ⅰ 大内・内裏・大内裏・閑院内裏
   院政期平安宮-瓦からみた-                           上原真人   
   大内裏の変貌-平安末から鎌倉中期まで-                   髙橋昌明
   閑院内裏の空間構造-王家の内裏-                       野口孝子
   中世における政務運営と諸官司の空間                      本郷恵子
   王権・内裏と大番                                   木村英一 
  Ⅱ 後白河院御所論
   続法住寺殿の研究                                  川本重雄
   法住寺殿の考古学的検討                              上村和直
   後白河天皇陵と法住寺殿                              山田邦和
   法住寺殿成立の前提としての六波羅                        野口 実
   六条殿長講堂の機能と荘園群編成                         高橋一樹
  Ⅲ 起点としての白河・鳥羽
   「六勝寺」の成立とその歴史的意義                         上島 享
   白河街区における地割とその歴史的変遷-考古学の成果から-       堀内明博          
   鳥羽殿と院政                                      美川 圭
   鳥羽殿と交通                                      大村拓生
   鳥羽離宮跡の発掘調査                                前田義明
   平安京・京都研究集会の記録                            仁木 宏 

教育実習の季節。

No.4798

 本日、講義の後、山本君はゼミ発表をひかえているため図書館へ。石井君と私は京都文化博物館に寄り道。そして、山岡さんは例によって、「お引っ越しですか?」と声をかけたくなるほどの大荷物を携えて伊予に下って行かれました。
 山岡さん・尻池さんは、いよいよ教育実習です。思い起こせば、私も1972年6月5日(月)から2週間、母校千葉県立千葉東高校で教育実習をいたしました。あのとき私の授業を聴いてくれた生徒諸君は、もう50歳を越えているはず。信じられません。
 そういえば、本日、同志社に向かう地下鉄の車中で、『平安時代史事典』編集室で一緒に仕事をした隅地(現姓・山下)伸子さん(当時、同志社大学大学院生・国文学専攻)に偶然お目にかかりました。こちらは気づかず、にっこり微笑んで声をかけていただきました。こちらは17年ぶりくらいでしょうか?

 >佐伯君  歴史学研究会大会では各地の若い研究者の方たちと「一所傍輩の好」をたくさん作ってきて下さい。

 >山田知佐子さん  ここで宣伝いたしましたから、『院政期の内裏・大内裏と院御所』はたくさん売れることと思いますよ。

 >山田邦和先生  「肩の荷が軽くなった」とは羨ましい限りです。当方、月末締切の原稿に苦闘中。下記の市村先生の御高論の一つの〔付記〕に書かれた「・・・このような遅れを生み出した原因者には、「論文は生物」であり、その公刊の大幅な遅れが何を意味するか、真摯に考えていただきたいと思う」という一節が、胸に突き刺さっております。

 ☆ 本日、愛知学院大学の松薗斉先生より御高著『王朝日記論』(法政大学出版局)を、また高知大学の市村高男先生からは御高論「戦国期城下町研究の視点と方法」(『国立歴史民俗博物館研究報告』127)・「中世日本の港町」(歴史学研究会編『シリーズ港町の世界史2 港町のトポグラフィ』青木書店)・「当主の居城と前当主(または継嗣)の居城」(千葉城館研究会編『城郭と中世の東国』 高志書院)・「戦国期の地域権力と「国家」・「日本国」」(『日本史研究』519)を御恵送いただきました。
 両先生にあつく御礼申し上げます。