山田邦和「福原遷都の混迷と挫折」発表
No.4095
元木先生 お久しぶりです。古文書学会の御案内をありがとうございました。
元木先生・美川先生をお招きして6月4日に開催したゼミ研究会の場で御報告いただいた山田邦和先生の御研究の成果が、早くも『古代文化』57-9に掲載されました。平家によって遷都候補地とされた印南野京と小屋野京のプランがこれだけ具体的に示されたのは初めてでしょう。無論、こうした計画が挫折していく過程を追った叙述も面白い。
考古学者にここまでやられては、私も須恵器の論文でも書かないと立つ瀬がありません。いずれにしても、山田先生のオールマイティぶりを遺憾なく示した好論です。もちろん、名誉ある巻頭論文、一段組の体裁です。
『古代文化』は各号毎の購入も可能。定価800円(本体762円)、送料100円。
申込先:(財)古代学協会 ℡075-252-3000
ちなみに、次号(57-10)には、後期に例会報告をお願いしている樋口健太郎さんの「藤原師長の政治史的位置-頼長流の復権と貴族社会-」が巻頭論文で、またその次の号(57-11)には、当ゼミメンバー長村祥知君の「書評 三島義教著『三善康信』」が掲載される予定です。
ゼミメンバーは、いずれも必読のこと。
Re: 古文書学会大会のご案内
No.4099
古文書学会は興味深い報告が目白押しです。せっかく京都で開催されることでもあり、ぜひお越しください。懇親会にも参加されると、日本史研究会などであまり見かけない先生(それはお前だ、と言われそうだが・・・)もお越しになるかと思います。
当方が最初に参加したのは1983年の立正大学のときでした。当時は、小葉田淳会長、宝月圭吾副会長の頃。懇親会では、竹内理三先生が、スピーチを当てられ、焼き鳥をくわえながら登壇されたり、瀧川政次郎先生が「古文書学会は、大正デモクラシーの時代精神を受け継ぎ、右にも左にも寄らない立派な学会である」と持ち上げられたり、政治経済史学会の彦由一太会長が「アメコウ、ロスケをやっつけるために古文書学をやらねばならぬ」とか何とかわけの分からない演説をしたり、まあ印象的でした。
そのほか、村田正志、小川信、飯倉晴武と言った方々を初めてお見かけしたのも古文書学会でした。
なお、残念ながら、本屋は日本史研究会ほどには来ません。
今年度大会の実務、運営のお手伝いをお願いしている方々、何卒よろしくお願いいたします。
学問をやっておられる方々が、本当にうらやましい限りです。
何ともやりきれない会議で、連日9時から22時まで拘束され、すっかり体調がおかしくなってしまいました。
いかに体調が悪いかと言えば、ビールがまずく思えるのですから、ただ事ではありません・・・。
今夏は成果なしかもしれません。こんなことばかりやっている大学がまともなところであるはずがありません。
「福原遷都の混迷と挫折」刊行
No.4102
野口先生にご紹介いただいた通り、拙稿「福原遷都の混迷と挫折」が掲載された『古代文化』第57巻第9号が刊行され、昨日、手元に届きました。春の「『福原京』の都市構造」と合わせ、私なりに一生懸命とりくんできた「福原京論」をとりまとめることができました。
もちろん、私ひとりの力でできあがったものではありません。野口先生には本当に親身な御指導を賜ることができました。野口先生があたたかく見守ってくださったおかげです。
それでも不安だったので、野口先生に無理をお願いして、京女宗文研ゼミで報告をさせていただいたのはご承知の通りです。元木先生、美川先生、野口孝子先生をはじめとして、多大のご教示をいただくことができました。美川先生には、私の史料の読み方の間違いをお教えいただき、危ういところを救い上げていただけました。
さらに、福原論の最高権威ともいうべき元木先生から受けた御恩も忘れることができません。私の拙い説の中には、元木先生のお考えと矛盾するところがあります。それにもかかわらず、「胸を貸して」いただき、「稽古を付け」ていただいたようなものです。さすがは元木先生、私説の弱点を的確にご指摘いただき、私も反省することしきりでした。今回の論文にはそうした先生方のご教示を活かすことができたのではないかと思います。
もうお一方をあげるならば(この掲示板には御登場なさいませんが)、神戸大学の高橋昌明先生です。高橋先生はいつも、私の粗雑な福原論を困ったような顔で聞いていただき、その後ではかならず、いろんな新しい見解と史料を教えていただけました。
研究を通じて、人と人とのつながりが広がっていくからこそ、学問は楽しいのだと思います。やめられませんね。
「福原遷都の混迷と挫折」
No.4103
山田先生、昨日は遅くまでお付き合いいただき、有難うございました。
早くも8時半に書き込まれたとのこと、当方はまだ昨夜のアルコールが抜けず、床の中でした(苦笑)。あの程度(中ジョッキ8杯、小ジョッキ1杯)で二日酔いとは情けない限りです。加齢と最近の疲労が重なったのかもしれません。
玉稿、本日拝読しました。
当方の見当はずれな意見にも真摯に耳を傾けていただき、過分の謝辞を賜り恐縮に存じます。
昆陽野遷都案の評価、『玉葉』8月4日条を通した高倉院の役割の見直し、清盛の内裏造営と正当性の問題など、これまでにない新知見であり、福原遷都に関する議論を大きく進めるものと存じます。
もちろん、清盛と高倉の関係は治承3年政変から長い眼で検討する必要もあります。8月後半に清盛が表に出るのはなぜかと言う問題もさらに議論が必要でしょう。遷都と内乱の問題は、還都後の清盛の政治構想・動向も含めて、議論してゆきたいと存じます。
いずれにせよ、福原遷都と平氏政権の議論を活性化する大きなきっかけになるものと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。
しかし、歴史家の音楽好きは珍しくもありませんが、自らオペラを演ずる方は貴重ですね(山田先生のブログ『平安京閑話』参照)。
オペラ歌手がいるなら、対抗して歴史家の俳優を養成して、理想的な時代劇を上演する、なんてことはありえないか・・・。
余談ですが、某大河ドラマでは、驚くべきことに屋島合戦で資盛が継信を討ち取ると設定になっていたとのこと。政局に符合させるようにご子息がご活躍のようで、色々考えさせられます・・・。
Re: 「福原遷都の混迷と挫折」
No.4108
>元木先生
こちらこそ、先日は楽しいお酒をありがとうございました。
(事情を知らない方はわからないでしょうが、市内某所で密会しておりました)。
それにしても、元木先生があれほどにクラシック音楽通とは、まったく知りませんでした。また、ご一緒させていただく楽しみが増えました。
拙稿「福原遷都の混迷と挫折」についても、本当にありがとうございました。ご指摘の通り、平氏政権論、高倉院政政権論、福原遷都論は、治承4年だけではなく、それ以前からのもっともっと長いスパンで考えていかねばならないと思います。またじっくりと考え直してみたいと思っておりますので、こちらのほうでもよろしくお願いいたします。