或る人いわく、『義経』談義の意義について。

No.3718

 当、BBSにおける義経談義は各方面から大きな注目を集めているようで、日曜の放送後のアクセスは普段の1.5~2倍くらいに及ぶようです。
 しかし、それにしても、放送があまりの内容なので、小生、書き込みに乗り気ではなくなりつつあったのですが、「或る人」から以下のような御意見が届きましたので御紹介いたします。
 「歴史家」の先生方、よろしく御覧おき下さい。

  ところで義經談義であるが、諸先生方の手厳しいこと。
  素人にとっては判らないことが多いのであるから、掲示板は
  非常にためになるのである。
  プロローグの歴史解説、エピローグの歴史紀行のいずれも
  そのまま信じてはいけないと、掲示板を通じて知ることとなるのである。
  亀の前は架空の人物かと思いながら見ていたのだが、掲示板から
  実在していることを知ることとなるのである。
  シロが実在の人物なのであるから、まさかクロも実在ではあるまいな。
  いずれにしても「義経」は素人目にも唐突な場面が多いのであるから。
  諸先生方には諦めずに、掲示板に書き込んでもらいたい。
  真実を伝えることが、歴史家の使命と心得たし。

Re: 同感です。...

阪本敏行
No.3721

脚本家や監督,そしてそれに協力する考証家が,フィクションとノンフィクションとの間で悩みつつもそれまでにはない独創性溢れる娯楽ドラマを造り上げようとするに対し,一方で歴史家が今知られる事実にもとづいてそのドラマの内容を検証することを怠ったのではフィクションだけが一人歩きし,奇妙な歴史像が作られてしまいます。一度作られた歴史・人物像を後で訂正することは非常に難しいことですし,立体的な歴史・人物像を提供する意味で重箱の隅をつついてでも歴史家がどしどし意見を述べることが必要でしょう。
私のような地域史家ではなかなかこのような大きなテーマに立ち向かうことはできませんが,かつて「その時,歴史は動いたー源義経,大水軍を奪い取れー」の事前取材の中で,地方に住むある特定の人物についてNHKから取材を受けた際に,それまでとは違う重箱の隅をつつくような事実を提供し,その人物に関するイメージを変えてもらったことがありました(多少自己満足気味ですが)。それでも,今回,義経に関連して出版された出版物を見ても,私が提供したイメージが定着しているようには見えません。まあ,世間とはこんなものでしょう。しかし,生きている限り,どんな小さなテーマであっても,今知りうる事実にもとづいて歴史を書き,発言し続けていく必要はあるでしょうね。